トランプ米政権、中国向け航空機部品・半導体技術の輸出許可を一時停止、メディア報道
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年05月30日
米国商務省が中国に対する航空機部品および半導体技術の輸出許可を一時停止したと、米国主要メディアが5月28日に報じた。
輸出許可が停止されたのは、中国の国有航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)のC919型機の製造に用いられる、エンジン、ホイール、飛行制御システムなどの航空機部品(米国政治専門誌「ポリティコ」5月28日)。また、半導体のEDA(電子設計自動化)ツール大手のケイデンス・デザイン・システムズ、シノプシス、シーメンスが販売するソフトウエアの輸出許可も停止されたもようだ(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版5月28日)。
さらに、ロイター(5月28日)は、商務省が戦略的な重要品目に対する輸出管理の見直しを図っているとして、「一部の案件では、既存の輸出許可を一時停止したり、追加の許可要件を課したりしている」との同省の声明を紹介した。
輸出管理は強化の方向性か
トランプ政権下で輸出管理に関する措置は緩和と強化を繰り返している。商務省産業安全保障局(BIS)は5月13日に、バイデン前政権が策定した人工知能(AI)半導体の輸出管理に関する暫定最終規則(IFR)を撤回した(2025年5月15日記事参照)。ドナルド・トランプ大統領の2025年5月の中東訪問後には、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の企業に対する米国半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)とアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)製の半導体の販売の合意が発表されている(2025年5月16日記事、2025年5月21日記事参照、注1)。
一方で、米国メディアは4月15日に、商務省がNVIDIAのAI半導体「H20」を輸出管理対象に追加した、と報じた(2025年4月17日記事参照)。また、商務省は5月13日に、華為技術(ファーウェイ)製のAI半導体「Ascend」の使用に関するガイダンスを発表し、同製品が米国の輸出管理に違反して開発・製造された可能性が高く、同製品の使用は米国の輸出管理規則(EAR)に違反するリスクがあるとして、企業に注意を喚起している。今回の航空機部品および半導体技術の輸出許可の一時停止も、こうした輸出管理強化の動きの一環に位置付けられる。
首都ワシントンの法律事務所の専門家は、「中国が米国の先端技術を入手できないよう、米国の中国に対する輸出管理は今後も強化の方向性だろう」と指摘しつつ、トランプ政権の輸出管理政策の方針については、政権内部で対中強硬の度合いに差異があることや、緩和の措置が講じられることを踏まえて、「現時点で見通せない」と述べている(注2)。
(注1)これに対して、連邦議会下院の中国特別委員会で少数党筆頭委員を務めるラジャ・クリシュナムルティ下院議員(民主党、イリノイ州)は、第三国を経由して中国に技術が流出する可能性に懸念を表明したほか、米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)シニアアドバイザーのウィリアム・ラインシュ氏も、両国を経由して中国やロシアに技術が流出する可能性が高いと指摘
している。
(注2)ジェトロの2025年5月のヒアリングに基づく。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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