世界銀行が国別レポート公表、ウズベキスタンの経済構造改革を評価

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年08月28日

世界銀行は8月22日、最新(2018年~2019年第1四半期)のウズベキスタンの国別経済レポートを公開した。2019年のGDP成長率見通しを5.3%とし、2020年、2021年の成長率を5.5%、6.0%としている(注)。世界的景気減速を受け、ロシアなどで経済成長予想が引き下げられる中(2019年8月22日記事参照)、ウズベキスタンで進む経済構造改革の結果が徐々に表れ始めたことが評価されている。

レポートは同国経済について「構造改革の恩恵を得ている」と評し、影響の大きかった改革として2017年9月の外貨規制緩和、2019年1月の税制改革(個人・法人向け税率引き下げ)、ビザ免除国の拡大(2019年1月21日記事参照)などを挙げる。中期的成長に貢献する(進行中の)改革として、複数分野での独占状態解消(青果輸出など)や銀行分野の対外開放、近隣諸国との関係改善による貿易・投資活発化(2018年8月21日記事参照)、PPP法の制定(2019年5月15日記事参照)や国有企業の分割・ガバナンス強化(2019年7月19日記事参照)、農業分野での労働環境改善(2019年4月4日記事参照)、統計精度の改善(2019年8月27日記事参照)、公共調達の見直し(2019年7月17日記事参照)のほか、世界銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行など国際金融機関との良好な関係により、融資・支援が進んでいることなどを挙げ、外国直接投資の増加や経済活動の活性化につながっていると評価した。

2018年に17.5%を記録したインフレについても、公共料金(2019年8月5日記事参照)・最低賃金(2019年7月17日記事参照)の引き上げ、為替レート下落などを背景に上昇圧力はあるものの、全体的には収束へ向かい、2021年には11.0%まで落ち着くとする。

ウズベキスタンの対外ポジション(安定性)に関しては、工業化に向けた産業機械などの輸入増から、経常収支は2018年と同様に、2019年もGDP比マイナス7.0%になる予測。一方、国際機関・外国政府の援助と対内外国直接投資の増加などで、2021年には同マイナス4.7%に収まる見込み。十分な外貨準備高(輸入月数13カ月分)と対外公的債務(2018年でGDP比20.6%、2021年予測で24.6%)を勘案すると、同国経済は中期的にも外的ショックに耐え得ると評価している。

今後、経済成長に影響を与えるカギとなる改革として、a.為替市場の自由化(2019年8月22日記事参照)、b.輸入関税率の引き下げ、c.国有企業改革の完遂、などとした。経済的なリスクとしては、小規模融資の過熱(2019年7月31日記事参照)や、経済的結び付きの強いロシアや中国、カザフスタンの経済減速、などを挙げている。

(注)世界銀行は2019年6月発表の「世界経済見通し」の中で、ウズベキスタンの2019年GDP成長率予想を年始から0.2ポイント引き上げ、2020年と2021年については据え置きとしている。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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