IMFや世界銀行、ロシア中銀、2019年の実質GDP成長率予測を相次いで下方修正

(ロシア)

海外調査企画課

2019年08月22日

IMFや世界銀行、ロシア中央銀行などが2019年のロシアの実質GDP成長率を相次いで下方修正している。IMFは7月23日、世界経済見通しの改訂版を発表。2019年のロシアの実質GDP成長率を4月時点の予測から0.4ポイント引き下げて1.2%に、2020年は1.9%とした(表参照)。IMFは石油価格の下落と付加価値税引き上げ(18%→20%、2018年8月6日記事参照)による第1四半期(1~3月)の低成長が2019年予測値の押し下げ要因と指摘している。世界銀行も6月4日にIMFと同様の理由で2019年の予測値を1.5%から1.2%に引き下げていた。

表 各機関によるロシアの2019年実質GDP成長率見通し

IMFと世界銀行の予測値について疑問を呈する声もある。民間投資会社ロコインベストのキリル・トレマソフ氏は「連邦国家統計局が2019年上半期の実質GDP成長率は0.7%としており、このような結果が出ているにもかかわらず、年間の実質GDP成長率を1.2%と見込むのは、非常に楽観的ではないか」と述べた(「ベドモスチ」紙7月23日)。

ロシア中銀も6月14日に2019年の予測値を1.2~1.7%から1.0~1.5%に下方修正。2019年1~4月の製造業の成長率が前年の第4四半期(10~12月)と同程度であること、外需低下に伴う輸出の衰えなどを減速要因として説明。ロシアの民間格付け機関アクラも、世界的な保護主義的措置の発動によるロシアからの輸出減少を理由に、予測値を1.4%から0.9%に引き下げている(アクラ発表7月23日)。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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