個人と企業主体の資金需要に対応、小規模金融の機能を拡大

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年07月31日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は7月23日、大統領決定第4400号「小規模金融サービスへのアクセス向上に関する措置について」に署名した。同決定で、中央銀行や財務省、関係省庁に対し、マイクロファイナンス(小規模融資)・同クレジット(信用供与)の利用範囲拡大と監督を指示した。同サービス分野での、個人と企業主体の資金需要の伸びに対応する。

今回の決定で、2019年8月1日から許可される事項は次のとおり。

a.マイクロファイナンスの最大額を5,000万スム(約65万円、1スム=約0.013円)まで引き上げ(1.5倍)、b.マイクロクレジットの最大額を3億スムまで引き上げ(2.5倍)、c.マイクロリース最大額を6億スムまで引き上げ(1.5倍)、d.小規模金融業・質入業免許審査期間の30日から15労働日への短縮、e.小規模金融企業による自主的な利率の決定、f.株式会社形態の小規模金融企業による社債の発行、g.国外の小規模金融企業による既存のウズベキスタン小規模金融企業への資本参加、h.小規模金融企業による銀行・保険会社・その他の金融機関の代理店としての活動、i.(当局の監督下での)小規模金融企業が融資・信用の貸与を受けること・社債の発行、j.監督当局の決定を受けた小規模金融企業による(小売り)サービス店舗の開設(現金の取り扱いは不可)、k.通信上の安全確保を条件とするウェブサイト上での自然人へのサービス提供。

一方、今回の決定で禁止される事項は次のとおり。

a.外貨による融資・信用供与、b.非銀行系金融機関による住居を担保とした融資・信用供与、c.延滞債務がある自然人への新たな信用供与。

中央銀行に対しては、a.小規模金融企業店舗・同窓口などの建築規制などの緩和(2019年9月1日まで)、b.債務荷重度とその限界値などに関する算出手法の確立(10月1日まで)、c.金融企業が顧客に提供するウェブサイト経由などの遠隔サービス(申し込み・引き受けなど)の手順決定(11月1日まで)、d.内務省と協力した(金融機関による)遠隔サービス時の本人認証システムの確立(12月1日まで)、を指示している。

中央銀行によると、2019年4月時点でウズベキスタンでは国内41の小規模金融事業者が登録。2019年第1四半期のウズベキスタン国内の個人向け信用供与実績は27兆スムとなり、前年同期比で82%増と需要を大きく伸ばしている。通常の信用供与の期間は1年まで。利率は年30~40%で、平均的な利率は34%とされる。

今回の小規模金融機能の拡大で、消費の拡大や中小企業ビジネスの活性化が想定される。その一方で、小規模金融業者の過剰融資が社会問題化したジョージアなどの事例もあることから(2018年11月21日記事参照)、政府・中央銀行は国際金融機関などによる技術的な支援を得ながら導入を進める予定。

写真 ウズベキスタン中央銀行ビル(ジェトロ撮影)

ウズベキスタン中央銀行ビル(ジェトロ撮影)

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

ビジネス短信 2104f2f49c7dfa3a