8月1日から最低賃金など引き上げ、9月から新制度へ移行

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年07月17日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は7月12日、大統領令第5765号「月給、年金、奨学金、扶助金額の引き上げについて」に署名。8月1日から公務員の最低月給(MRZP)、年金などの公的給付金を引き上げることを決定したほか、9月1日からの制度変更に伴う「最低賃金」も引き上げられる。

大統領令第5765号では、MRZP、年金、高齢者などへの給付金が10%、障害者への給付金額の算出係数が引き上げられた。8月1日からのMRZPは22万3,000スム(約2,900円、1スム=約0.013円)となる。

MRZPは最低賃金(MROT)の算出の際に特定の係数を掛けることで使用されているが、公務員の実際の最低月給から乖離して形骸化した数字になっているため、9月1日からはMRZPを廃止し、政府がMROTを絶対値として直接設定・調整する形式に移行する(5月21日付大統領令第5723号)。新制度導入前の8月1日から8月31日までの期間のMROTは従前どおりMRZPを利用し算出されるため、10%増の63万4,881スム(MRZPに係数2.847を乗じた額)となる。9月1日からのMROTは大統領令第5765号により、63万4,880スムに設定し直される(注1)。前回のMRZP(MROT)の引き上げは1月に行われた。

ウズベキスタンでは、行政罰に対する罰金や社会、商業、権利関係などの幅広い政府サービス料金がMRZPを基礎に算出されているため(注2)、8月1日以降は罰金や広範な分野の料金なども10%値上げされる。

ミルジヨエフ大統領は7月5日、エネルギー分野を中心に民間資本を活用した構造転換の改革を進めるべく、電力・ガス料金の引き上げと緩和措置としての最低賃金の引き上げを指示しており(2019年7月16日記事参照)、今回の措置も9月以降の同料金の引き上げをにらんだものとみられる。

(注1)大統領令第5723号では57万7,170スムに設定されていた。

(注2)携帯電話を使用しながらの運転行為への罰金は最低月給の2倍、生体情報付きパスポートの発給料金は最低月給の50%などと定められている。9月1日以降はMROTのほか、「基礎計算額」が新たに設定され、同額に基づき罰金や政府サービス料金などが算出される。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

ビジネス短信 8a1c4c36f2059728