マレーシア2025年の自動車販売
2年連続で80万台を突破し過去最高を記録

2026年7月7日

マレーシアの2025年新車販売台数は2年連続で80万台を突破し、4年連続で過去最高を更新した。堅調な国内需要を背景に、同国政府主導で発展してきた国民車メーカー(プロドゥア、プロトン)が引き続き市場を牽引する一方、中国系メーカーや電気自動車(EV)の存在感も高まっている。また、販売が好調だった一方で、生産台数は前年を下回るなど、市場構造にも変化がみられる。 

本稿では、2025年の自動車市場の動向を販売・生産の両面から分析する。併せて、国民車メーカーと外資系メーカーの競争状況、EV市場の拡大、中国メーカーの台頭、さらに2026年の市場見通しについて整理する。

新車販売台数は過去最高の82万台に

マレーシアの2025年新車販売台数は82万752台となり、前年比で0.5%増加した。2年連続で80万台を超えた。2024年に記録した過去最高をさらに更新し、4年連続で過去最高を記録した。自動車販売が好調に推移した要因として、マレーシア自動車協会(MAA)は、堅調な国内経済、2.75%まで引き下げられた政策金利(OPR)による自動車ローン利用環境の改善、安定した社会・政治環境、低失業率に象徴される良好な労働市場を挙げた。また、Aセグメント(注1)での受注残が高水準で推移し、小型車を主力とする国産車のシェアをさらに0.4ポイント押し上げた。加えて、国産車を含む新モデルの投入が好調だったことや、2025年末で完全組立(CBU)のバッテリー式電気自動車(BEV)向け税制優遇措置が終了することを見越した需要もあり、BEV販売台数は前年比で約2倍に増加した。

車種別では、全体の9割強を占める乗用車が75万9,098台と前年比1.4%増だったのに対し、商用車は11.7%減の6万1,654台に減少した(表1参照)。MAAによると、乗用車が伸びた背景には、スポーツ用多目的車(SUV)の好調があり、SUVは前年比13.0%増となった。一方、2年連続で減少した商用車については、2024年6月にマレー半島部で実施されたディーゼル補助金の撤廃の影響があると分析した。

表1:マレーシアにおける車種別の新車販売台数の内訳(△はマイナス値)注:シェアの母数は、新車販売台数合計。
車種 2024年 2025年
通年
(台)
シェア
(%)
通年
(台)
シェア
(%)
前年比
(%)
乗用車 748,929 91.5 759,098 92.5 1.4
普通乗用車 475,156 58.0 458,556 55.9 △ 3.5
スポーツ用多目的車(SUV) 203,426 24.8 228,572 27.8 12.4
多目的車(MPV) 69,237 8.5 69,839 8.5 0.9
窓付きバン 1,110 0.1 2,131 0.3 92.0
商用車 69,844 8.5 61,654 7.5 △ 11.7
ピックアップトラック 49,011 6.0 45,448 5.5 △ 7.3
トラック 14,334 1.8 11,598 1.4 △ 19.1
パネルバン 3,948 0.5 3,331 0.4 △ 15.6
プライムムーバ 2,196 0.3 1,104 0.1 △ 49.7
バス 355 0.0 173 0.0 △ 51.3
新車販売台数合計 818,773 100.0 820,752 100.0 0.2

注:シェアの母数は、新車販売台数合計。

出所:マレーシア自動車協会(MAA)

乗用車の車種別では、SUVのほか、多目的車(MPV)が前年比0.9%増の6万9,839台、窓付きバンが92.0%増の2,131台と、いずれも前年を上回った。これに対し、普通乗用車は3.5%減の45万8,556台だった。商用車は、全ての車種が前年実績を下回った。

2025年の新車販売台数を月別に見ると、12月の販売台数は2年連続で8万台を超え、過去最高の9万716台を記録した。次いで、10月は7万7,195台、8月は7万4,479台、11月は7万3,505台と続いた。特に、10月から12月にかけては、販売台数が生産台数を大きく上回った(図参照)。民間調査会社ケナンガ・リサーチは、完全組立(CBU)の電気自動車(EV)に対する税制優遇措置が2025年12月末に終了したことに加え、各社による年末のプロモーション活動が大きく寄与したと分析した。

図:月別新車生産台数・販売台数(2025年)
2025年の新車販売台数を月別にみると、12月の過去最高の9万716台を記録した。次いで、10月は7万7,195台、8月は7万4,479台、11月は7万3,505台と続いた。特に、10月から12月は販売台数が生産台数を大きく上回った。

出所:マレーシア自動車協会(MAA)

国民車メーカーが6割強のシェアを占める

2025年の新車販売台数をメーカー別に見ると、国民車メーカー2社(プロトン、プロドゥア)が市場シェアの62.3%を占めた(表2参照)。商用車を販売しないこの2社は、乗用車の市場シェアでは67.4%を占めた。

表2:マレーシアにおける主要メーカー別の新車販売台数の内訳 (△はマイナス値、ーは値なし) 注1:プロトン、プロドゥア、ホンダは乗用車のみ。トヨタ(レクサスを除く)と三菱(三菱ふそうを除く)は、乗用車と商用車の合算。 注2:シェアの母数は、新車販売台数合計。
項目 2024年 2025年
通年
(台)
シェア
(%)
通年
(台)
シェア
(%)
前年比
(%)
乗用車 748,929 91.5 759,098 92.5 1.4
商用車 69,844 8.5 61,654 7.5 △ 11.7
国民車(乗用車) 505,689 61.8 511,468 62.3 1.1
プロドゥア 358,102 43.7 359,904 43.9 0.5
プロトン 147,587 18.0 151,564 18.5 2.7
国民車以外(乗用車+商用車) 313,084 38.2 309,284 37.7 △ 1.2
トヨタ 100,770 12.3 100,760 12.3
ホンダ 81,699 10.0 72,301 8.8 △ 11.5
JAECOO 7,038 0.9 16,125 2.0 129.1
BYD 8,570 1.0 15,166 1.8 77.0
チェリー 12,645 1.5 14,654 1.8 15.9
三菱自動車 16,167 2.0 13,823 1.7 △ 14.5
新車販売台数合計 818,773 100.0 820,752 100.0 0.2

注1:プロトン、プロドゥア、ホンダは乗用車のみ。トヨタ(レクサスを除く)と三菱(三菱ふそうを除く)は、乗用車と商用車の合算。
注2:シェアの母数は、新車販売台数合計。

出所:マレーシア自動車協会(MAA)

日本のダイハツ工業が25%、三井物産が7%出資する第2国民車プロドゥアは、前年比0.5%増の35万9,904台で市場シェアの43.9%を占め、昨年に引き続き首位に立った。また、同社は総販売台数が過去最高だったと発表した。同社の主な販売車種では、「ベザ」が10万448台と2年連続で10万台を超え、モデル別で首位を維持した。これに「アクシア」(8万4,291台)、「マイヴィ」(7万2,724台)が続いた。2025年12月に発売を開始した同社初のEV「QV-E」およびコンパクトSUV「トラズ」については、2026年の実績への寄与が期待されている。

一方、2017年に中国の吉利汽車が49.9%を出資した第1国民車プロトンは、2.7%増の15万1,564台で市場シェアの18.5%を占めた。同社によると、ベストセラーモデルである代表的な小型セダン「サガ」の販売台数は7万4,013台となり、2011年以来となる最高記録を更新した。さらに、「S70」はマレーシアで最も人気のあるCセグメント・セダン(注2)としての地位を維持した。また、SUVシリーズの「X50」「X70」「X90」も各セグメントで引き続きトップポジションを確固たるものとし、堅調に推移した。加えて、2024年末に新たに発表したマレーシア初の国産EV「e.MAS 7」は、2025年のEV販売台数において首位を獲得し、高い存在感を示した。

日系を含む外資系メーカーの販売台数は、商用車販売の減少により前年比1.2%減の30万9,284台となった。そのうち、トヨタは前年比0.1%増の10万760台で、市場シェアの12.3%を占め、外資系メーカーでは5年連続で首位を独走した。同社は乗用車と商用車を販売しているが、モデル別の販売台数は公表していない。

ホンダは前年比11.5%減の7万2,301台となったものの、市場シェア8.8%を確保し、2位を維持した。同社によると、販売上位3モデルは、「HR-V」(同社売り上げシェア25.0%)、「シティ(セダン)」(同24.0%)、「CR‑V」(同15.0%)だった。なお、商用車を販売していないホンダは、乗用車カテゴリーにおいてはトヨタを上回り、外資系メーカーの中で12年連続首位を維持した。

また、2025年は中国系メーカーが前年から大きく伸長し、マレーシア市場における存在感を一段と高めた。そのうち、上位3ブランドであるJAECOO、BYD、チェリーの合計販売台数は、4万5,945台(全体の5.6%)に達し、2024年の2万8,253台(同3.4%)から大幅に増加した。

生産台数は前年比5.4%減、メーカー別に動向の差あり

新車販売台数は過去最高を記録したのに対し、2025年の生産台数は、前年比5.4%減の74万7,780台にとどまった(表3参照)。そのうち、乗用車が70万4,603台、商用車が4万3,177台で、それぞれ前年比5.4%、5.6%減となった。

メーカー別の生産台数を見ると、国民車では、プロドゥアが前年比0.7%増の36万3,570台と増加した一方、プロトンが3.3%減の14万4,582台だった。また、国民車以外では、トヨタが0.6%増の9万5,155台と微増だった一方、ホンダが21.9%減の7万223台、三菱自動車が21.8%減の8,442台と、いずれも2桁減となった。中国系メーカーでは、チェリーが前年比8.5%減の1万3,771台となった。一方、現地生産を行っていないBYDは、販売台数が前年比77.0%増加したことから、輸入車を中心にマレーシア市場で急速に存在感を高めている。同社は現地生産を計画しているものの、マレーシア投資貿易産業省(MITI)が提示する輸出要件や価格条件などを巡り、計画見直しの可能性が指摘されており、今後の事業展開や現地生産の実現動向が注目される(2026年4月27日付ビジネス短信参照)。

表3:マレーシアの生産台数の内訳 (△はマイナス値) 注1:プロトン、プロドゥア、ホンダ、三菱自動車は乗用車のみ。トヨタは、乗用車と商用車の合算。 注2:シェアの母数は、生産台数合計。 注3:JAECOOは、チェリーによって生産されている。
項目 2024年 2025年
通年
(台)
シェア
(%)
通年
(台)
シェア
(%)
前年比
(%)
乗用車 744,604 94.2 704,603 94.2 △ 5.4
商用車 45,743 5.8 43,177 5.8 △ 5.6
国民車(乗用車+商用車) 510,568 64.6 508,152 68.0 △ 0.5
プロドゥア 361,000 45.7 363,570 48.6 0.7
プロトン 149,568 18.9 144,582 19.3 △ 3.3
国民車以外(乗用車+商用車) 279,779 35.4 239,628 32.0 △ 14.4
トヨタ 94,597 12.0 95,155 12.7 0.6
ホンダ 89,857 11.4 70,223 9.4 △ 21.9
チェリー 15,045 1.9 13,771 1.8 △ 8.5
三菱自動車 10,802 1.4 8,442 1.1 △ 21.8
新車生産台数合計 790,347 100.0 747,780 100.0 △ 5.4

注1:プロトン、プロドゥア、ホンダ、三菱自動車は乗用車のみ。トヨタは、乗用車と商用車の合算。
注2:シェアの母数は、生産台数合計。
注3:JAECOOは、チェリーによって生産されている。

出所:マレーシア自動車協会(MAA)

2026年新車販売台数は前年を下回る見込み

2026年通年の新車販売台数見通しについて、MAAは1月20日、前年比3.8%減の79万台(うち、乗用車が73万台、商用車が6万台)になると予測した。需要を下支えする要因として、(1)安定した労働市場による購買力の維持、(2)手頃で燃費性能に優れた車種、とりわけ国産車への需要、(3)EVエコシステムの発展、(4)新ブランドおよびモデルの登場と、これに伴う戦略的な販売促進活動や付加価値サービスによる市場の活性化などを挙げた。一方で、需要の下押し要因として、(1)マレーシア経済が4.0~4.5%の緩やかな成長にとどまる見通しであること、(2)米国の不安定な政策や地政学的緊張による世界貿易の不確実性、(3)インフレに伴う製造・部品・オペレーションコストの上昇、(4)輸入EV向け優遇措置の終了による価格変動、(5)ガソリン補助金新制度(注3)の導入に伴いEVへの移行や需要が鈍化する可能性、(6)EV市場が依然として初期段階にあり、現地組立のさらなる進展が必要であることなどが指摘された。

その後、民間調査会社ケナンガ・リサーチは5月21日、MAAと同じく2026年の予測販売台数を79万台と予測した。7月以降、CKD向けの物品税の計算基準において、製造コストに加え、販売費用や利益などの非製造項目も含めたオープン・マーケット価格(OMV)が段階的に導入されることで、車両価格の上昇が見込まれ、需要への影響が予想される。一方、2026年6月以降に導入される割賦ローン制度改革(注4)は、消費者にとってより公平な金融環境を整え、購入意欲を後押しする要因になると評価している。そのほか、魅力的な新モデルの投入や安定した雇用環境なども需要を支える要素として挙げた。

なお、MAAが5月19日に発表した統計によると、2026年1~4月の新車販売台数は前年同期比1.6%増の25万4,319台に達し、引き続き堅調に推移している。

xEV販売は拡大傾向にあるも勢いは不透明

2025年の電動車(xEV)の販売台数は、前年比52.2%増の6万9,363台となり、2024年の4万5,562台から大幅に増加した。販売市場全体に占めるシェアも、前年の5.6%から8.5%へと拡大した。内訳は、BEVが約2倍の3万848台、ハイブリッド電気自動車(HEV)が25.0%増の3万8,515台だった。

一方、EV市場の本格的な拡大にはなお課題が残る。民間調査会社のケナンガ・リサーチは、ガソリン補助金の新制度導入に加え、EV充電インフラ整備の遅れを背景に、EVの本格普及には時間を要すると見込んでいる。報道によると、2026年2月末時点での国内EV充電施設数は計5,624カ所(内訳は、直流の急速充電施設1,923カ所、交流の普通充電施設3,701カ所)にとどまった。政府は、2025年までに1万カ所の設置を目標としていたが、達成率は56.2%だった。

加えて、MITIは7月1日以降、EVの完成車(CBU)のフランチャイズAP(輸入許可)(注5)による輸入について、新たにCIF価格の下限を20万リンギ(約780万円、1リンギ=約39円)、モーター出力の下限を180キロワットとする要件を導入すると発表した(2026年5月20日付ビジネス短信参照)。これにより、販売を抑制する可能性があると指摘されている。

一方、マレーシア電気自動車オーナーズクラブ(MyEVOC)は、中東情勢の緊迫化に伴う燃料価格の上昇・変動を背景に、EVへの関心が高まっているとの見通しを示した。また、政府は国民を対象に1リットル1.99リンギのガソリン価格を補助金によって維持しつつも、4月以降、1人当たりの月間購入枠が300リットルから200リットルへ引き下げられたことに加え、150リットルへの引き下げも検討されており、EVへの関心が高まる要素の1つと考えられる。


注1:
重量が1,000キログラム以下の車で、最も小型の車両カテゴリーを指す。 本文に戻る
注2:
重量が1,251~1,400キログラムの車で、「小型ファミリーカー」とも呼ばれる。 本文に戻る
注3:
BUDI95(ブディ95)(マレー語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」制度に基づき、2025年9月30日以降、RON95ガソリン補助金の合理化を全面開始。有効な運転免許証を持つマレーシア国民を対象に、1リットル1.99リンギの補助価格を適用。 本文に戻る
注4:
借り手に不利だった定額金利や返済初期に利息が集中する方式が撤廃され、実効金利(EIR)と借入残高に基づく金利算定方式が導入される。 本文に戻る
注5:
フランチャイズAPとは、正規自動車販売代理店に発給される輸入許可証。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・クアラルンプール事務所
戴可炘(タイ・カーシン)
2024年、ジェトロ入構。ジェトロ・クアラルンプール事務所で調査アシスタント・ダイレクターを務める。