BYD工場を巡る報道を受け投資貿易産業省が自動車政策を説明、産業育成を強調

(マレーシア、中国)

クアラルンプール発

2026年04月27日

マレーシア投資貿易産業省(MITI)は3月31日、中国の大手電気自動車(EV)メーカー比亜迪(BYD)の現地組立(CKD)工場計画を巡り、不利な条件を理由に同社が投資を再検討しているとの報道を受け、事実関係を整理するとともに、自動車政策に対する考え方や投資条件(添付資料表参照)について説明する声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

声明によると、BYDは2025年9月に北部ペラ州でのEVなどの組み立てに向けた製造ライセンスを取得済みだという。同ライセンスは、輸出志向型の生産体制を前提として、国家自動車計画(NAP)および新産業マスタープラン2030(NIMP2030)に基づく枠組みに従って付与されたものだ。さらに、国内販売台数の上限や最低価格などの条件については、BYDに限った措置ではなく、2025年9月以降の大規模な自動車生産案件に共通して適用されるものだと強調した。また、こうした政策の背景として、既存の現地生産拠点におけるEVなどへの生産シフトを確実に進めるとともに、サプライヤーも含む既存のエコシステムを維持・保護する狙いがあると説明した。

MITIは、マレーシアの自動車政策について、保護主義ではなく、国内産業の育成、とりわけ高付加価値な事業活動への移行を重視しているとあらためて強調した。

MITIの説明を受け、業界からは支持の声が相次いだ。国民車メーカーのプロドゥアは、MITIによるNAPの方針明確化を歓迎し、産業のエコシステムの強化や、研究開発・地場企業の育成などを通じた経済波及効果への期待を示した。マレーシア自動車部品工業会(MACPMA)も、輸出志向や現地化、国内サプライチェーンとの統合を重視する政策は、産業基盤の強化や貿易競争力の向上に不可欠であるとし、MITIの見解に同調した。さらに、外資系メーカーでは、ホンダ・マレーシア・サプライヤー・クラブ(HMSC)が、外国直接投資と国益の両立を図る妥当な対応であるとして支持を表明した。

一方、BYD投資の誘致を進めてきたペラ州政府は、BYDの投資申請後に導入された生産台数の80%を輸出とする条件や、40%の現地化要件が投資家の信頼を損ねているとして、MITIに対しEV製造に関する条件の再検討を求めている。また、生産拠点については、既存の合意を踏まえ、引き続きペラ州に維持されるべきだと強調した。

なお、4月2日には、UMWトヨタ・モーターがマレーシアで3つのBEVモデルを発売すると発表した(同社リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。発表にはMITIのシム・ツェツィン副大臣も立ち会い、地場企業との連携強化や新技術の導入に資する投資を歓迎する姿勢をあらためて示した(MITIリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。同社は以前からハイブリッド車を現地生産しているが、2026年2月にヴィオス(Vios)のハイブリッドモデルの発売を開始し、ハイブリッドバッテリーの組み立ても現地で行うと発表していた。

(戴可炘、山口あづ希)

(マレーシア、中国)

ビジネス短信 9a80e143cc026852