2025年カナダ新車販売は前年比2.0%増、生産は10.3%減

2026年7月2日

2025年のカナダ自動車市場は、米国による関税措置やそれに伴うサプライチェーンの混乱など、外部環境の不確実性の影響を受けて推移した。新車販売台数は190万台と前年を上回り、対米関係の悪化を踏まえると底堅い結果となった。メーカー別では、ゼネラルモーターズ(GM)が首位、フォードが2位を維持し、米系が引き続き上位を占めた。一方、生産台数は前年比10.3%減と2年連続で2桁減となった。電気自動車(EV)生産への体制移行や一部メーカーによる減産が背景にあり、全体として成長は限定的にとどまった。非日系メーカーによる生産停止や減産を受けて、生産台数の構成比では日系が上位2位を占め、そのシェアも大きく上昇した。

販売拡大下でみられるメーカー間格差と需要構造の変化

調査会社デロジエ・オートモーティブ・コンサルタント(以下、DAC)が2026年1月15日に発表した統計によると、2025年のカナダの新車販売台数は、前年比2.0%増の189万7,055台だった(表1参照)。

メーカー別に新車の販売台数を見ると、GMが前年比1.9%増の29万9,813台で前年に続き首位を維持した。年初はトップを走っていたフォードは、5.5%増の29万3,894台と僅差で迫ったものの及ばず、2位となった。トヨタは4.4%増の24万9,445台で、前年に引き続き3位となり、上位3位の順位に変動はなかった。4位の現代は11.3%増の15万4,405台と高い伸びを示し、販売規模を拡大した。5位のホンダが4.3%増の14万1,557台と増加基調を維持した一方、6位のステランティスは11.7%減の11万4,720台と大幅に減少し、メーカー間での増減に差がみられた。増加率で見ると、マツダが前年比13.2%増と最も高く、現代、アウディ(10.6%増)が続いた。

表1:メーカー別新車販売台数 (単位:台、%)(△はマイナス値、―は値なし)注1:順位のかっこ内は2024年。 注2:「その他」はジャガー、ランドローバー、マセラティ、ミニ、ポルシェ、ボルボ。
順位(注1) メーカー 2024年 2025年 前年比
1(1) GM 294,315 299,813 1.9
2(2) フォード 278,571 293,894 5.5
3(3) トヨタ 238,933 249,445 4.4
4(4) 現代 138,755 154,405 11.3
5(5) ホンダ 135,692 141,557 4.3
6(6) ステランティス 129,945 114,720 △11.7
7(7) 日産 103,092 109,742 6.5
8(8) 起亜 86,657 94,622 9.2
9(9) VW 81,742 84,030 2.8
10(10) マツダ 72,226 81,746 13.2
11(11) スバル 68,043 70,953 4.3
12(14) メルセデス・ベンツ 34,484 37,382 8.4
13(13) 三菱 38,921 37,335 △4.1
14(15) アウディ 33,644 37,201 10.6
15(16) BMW 30,623 31,354 2.4
16(12) テスラ 55,188 18,359 △66.7
その他(注2) 38,718 40,497 4.6
米系・日系 米系自動車メーカー 758,019 726,786 △4.1
日系自動車メーカー 656,907 690,778 5.2
その他メーカー 444,623 479,491 7.8
セグメント 乗用車 248,702 235,114 △5.5
小型トラック 1,610,847 1,661,941 3.2
合計 1,859,549 1,897,055 2.0

注1:順位のかっこ内は2024年。
注2:「その他」はジャガー、ランドローバー、マセラティ、ミニ、ポルシェ、ボルボ。

出所:デロジエ・オートモーティブ・コンサルタントのデータを基にジェトロ作成

日系・非日系メーカーの新車販売の割合を見ると、カナダで販売を行う日系6社(トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル、三菱)の合計は前年比5.2%増の69万778台となった。また、その他メーカーも7.8%増の47万9,491台と増加した一方で、米系の販売合計台数は4.1%減の72万6,786台となった。これにより、日系の販売シェアは2024年の35.3%から36.4%へとわずかに上昇した。

セグメント別の新車販売台数では、乗用車(セダン、クーペ、ハッチバック)は前年比5.5%減の23万5,114台と減少した一方、小型トラック〔ピックアップトラック、スポーツ多目的車(SUV)、クロスオーバーSUV〕は3.2%増の166万1,941台となった。この結果、小型トラックのシェアは前年の86.6%から87.6%へと上昇し、乗用車のシェアは13.4%から12.4%へと低下した。小型トラックへの需要集中が一段と進み、市場は引き続きこのセグメント中心で推移している。

減産局面で際立つトヨタの増産と日系メーカーのシェア拡大

2025年のカナダでの生産台数は、前年に続き低調に推移した。2024年はEV移行期に伴う工場再編が主な変動要因であったが、2025年はこれに加え、米国の関税措置による輸出環境の悪化やEV市場の鈍化が重なり、生産回復の動きを抑制したとみられる。DACが2026年1月31日に発表した統計によると、生産台数は前年比10.3%減の121万6,763台(表2参照)にとどまった。

メーカー別の生産台数では、トヨタは前年比0.7%増の53万7,472台で首位を維持した。モデル別では「レクサスNX」の増産(17.4%増)が寄与し、カナダで生産を行う5社の中で唯一の増産となった。2位のホンダは、「シビック」および「CR-V」の減産を受けて4.7%減の40万587台だった。3位のステランティスは、主要モデル3種の生産を停止した影響で、21.7%減の15万753台と大幅に減少したが、順位は前年から変わらなかった。4位のGMは組み立て工場2カ所での生産調整により、18.0%減の12万7,680台と減少した。5位のフォードは次世代EV生産対応に向けた再編の影響で99.5%減の271台にとどまるなど、非日系メーカーを中心に大幅な減産がみられた。こうした動向を受け、日系・非日系の生産構成では、トヨタとホンダを中心とする日系メーカーのシェアが前年の70.3%から77.1%へと大きく上昇した。

表2:メーカー別自動車生産台数(単位:台、%)(△はマイナス値)注:順位のかっこ内は2024年の順位。
順位(注) メーカー 2024年 2025年 前年比
1 (1) トヨタ 533,584 537,472 0.7
2 (2) ホンダ 420,550 400,587 △4.7
3 (3) ステランティス 192,428 150,753 △21.7
4 (4) GM 155,690 127,680 △18.0
5 (5) フォード 54,178 271 △99.5
セグメント 乗用車 240,113 211,105 △12.1
小型トラック 1,116,317 1,005,658 △9.9
合計 1,356,430 1,216,763 △10.3

注:順位のかっこ内は2024年の順位。

出所:デロジエ・オートモーティブ・コンサルタントのデータを基にジェトロ作成

セグメント別の生産は、乗用車の生産台数が前年比0.4%減とわずかに減少したのに対し、小型トラックは0.4%増の微増となった。全生産台数に占める小型トラックのシェアは、前年の82.3%から82.7%へと上昇した。

カナダでの生産減少で北米でのシェアも低下

北米3カ国(カナダ・米国・メキシコ)の生産はいずれの国でも前年比で減少したが、減少幅には差がみられた。カナダは10.3%減と大きく落ち込んだのに対し、米国(3.6%減)およびメキシコ(3.0%減)は比較的小幅な減少にとどまった。この結果、カナダのシェアは8.5%から7.9%へと低下する一方、米国は67.7%、メキシコは24.4%へとそれぞれ上昇した。

執筆者紹介
ジェトロ・トロント事務所
井口 まゆ子(いぐち まゆこ)
民間企業勤務を経て、2019年からジェトロ・トロント事務所勤務。