2024年の新車販売台数は前年比8.5%減(ペルー)
HEVは6割増、自動車ローンも拡大

2025年5月22日

ペルー自動車協会(AAP)の発表によると、2024年の販売台数(注)は前年比8.5%減の15万8,845台だった(表1参照)。

車種(部門)別では、普通車(乗用車、ステーションワゴン、スポーツ用多目的車(SUV)を含む)の販売台数が前年比9.7%減の11万24台で市場全体の69.3%を占めた。小型商用車(バン、ピックアップトラックなど)は同5.5%減の3万9,793台だった。トラックは同10.7%減の7,987台で3年連続の販売台数減少となった。バスは同33.3%増の1,041台で、唯一、3年連続の販売増を記録した。

ペルー中央準備銀行によると、2023年のペルーのGDP成長率はマイナス0.4%で、新型コロナ禍を除き「過去30年で最悪の年」と評価された。2024年は、4月以降プラス成長が続き、通年で3.3%とプラスに回復した。しかし、個人消費の回復により、自動車の販売台数が前年同月比で増加に転じたのは2024年9月以降で、1月から8月までの減少分を補えなかった。

表1:車種別新車販売台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
項目 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比
(2024年)
2024/
2023年比
普通車 81,957 115,818 121,681 121,806 110,024 69.3 △ 9.7
小型商用車 27,071 37,491 40,385 42,087 39,793 25.1 △ 5.5
トラック 8,688 10,810 9,540 8,946 7,987 5.0 △ 10.7
バス 787 650 681 781 1,041 0.7 33.3
合計 118,503 164,769 172,287 173,620 158,845 100.0 △ 8.5

出所:ペルー自動車協会(AAP)

市場の4割弱を占める日系メーカー、ペルー市場で存在感

2024年の販売実績が登録されたメーカー数は、前年比3社減の69社だった(表2参照)。日系メーカーは11社が登録されている。11社の販売台数は合計5万8,913台で、全体に占める割合は37.1%だった。

トヨタは、普通車と小型商用車の両部門で販売台数が減少したが、33年連続でシェアトップを堅守した。また、同社の高級車ブランドのLEXUS(レクサス)は前年比20.9%増の231台だった。そのほかの日系メーカーでは、スズキ(4.0%増、4,757 台)、三菱自動車(4.9%増、4,118 台)、ホンダ(4.7%増、2,832 台)が前年より販売台数を伸ばした。一方、日産(22.8%減、5,166 台)、マツダ(30.7%減、2,295 台)、スバル(4.1%減、2,177 台)、いすゞ(11.9%減、2,130 台)、三菱ふそう(19.4%減、1,275 台)などが前年実績を下回った。

韓国メーカーでは、現代が前年比1.0%減の1万4,921台で、トヨタに次いで2位となった。2023年に2位だった起亜は、同14.3%減の1万3,616台で3位に転落した。中国メーカーでは、長安汽車(Changan)が前年比0.8%減の8,713 台で4位だった。中国メーカーによる販売は全体の27.2%を占めた。

表2:主要メーカー別新車販売実績(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
トヨタ 21,450 31,509 35,489 36,331 32,800 20.6 △ 9.7
現代 13,590 16,922 16,028 15,078 14,921 9.4 △ 1.0
起亜 8,721 10,840 15,519 15,885 13,616 8.6 △ 14.3
長安汽車(CHANGAN) 4,187 7,206 7,620 8,785 8,713 5.5 △ 0.8
シボレー 7,791 11,372 11,602 12,066 8,007 5.0 △ 33.6
DFSK 2,767 5,218 7,016 7,294 6,904 4.3 △ 5.3
日産 4,924 8,618 5,950 6,688 5,166 3.3 △ 22.8
スズキ 5,381 6,322 6,343 4,575 4,757 3.0 4.0
江淮汽車(JAC) 3,694 7,102 5,681 5,777 4,537 2.9 △ 21.5
フォード 2,546 3,797 3,869 4,205 4,519 2.8 7.5
三菱 3,525 4,332 4,315 3,924 4,118 2.6 4.9
ジェットア(JETOUR) 0 616 1,994 2,943 3,762 2.4 27.8
フォルクスワーゲン 4,533 7,161 5,791 4,539 3,607 2.3 △ 20.5
奇瑞汽車(CHERY) 1,844 4,287 5,280 3,365 3,218 2.0 △ 4.4
福田汽車(FOTON) 1,754 2,395 2,723 3,021 3,152 2.0 4.3
吉利汽車(GEELY) 649 1,779 3,050 3,083 3,095 1.9 0.4
ホンダ 1,397 2,599 3,444 2,704 2,832 1.8 4.7
マツダ 3,088 3,132 2,517 3,311 2,295 1.4 △ 30.7
スバル 1,648 1,633 1,412 2,271 2,177 1.4 △ 4.1
いすゞ 1,527 2,039 2,080 2,418 2,130 1.3 △ 11.9
MG 859 1,318 1,780 1,801 1,867 1.2 3.7
ルノー 2,766 2,952 2,505 2,085 1,717 1.1 △ 17.6
JMC 83 310 640 1,046 1,636 1.0 56.4
メルセデスベンツ 1,596 1,228 1,486 1,257 1,620 1.0 28.9
三菱ふそう 810 1,395 1,140 1,582 1,275 0.8 △ 19.4
日野自動車 1,265 1,686 1,371 1,267 1,132 0.7 △ 10.7
BMW 931 1,045 821 1,079 1,060 0.7 △ 1.8
シャインレイ(SHINERAY) 473 767 971 1,152 1,051 0.7 △ 8.8
長城汽車(GREAT WALL) 2,112 2,415 1,678 1,508 1,047 0.7 △ 30.6
レクサス 108 126 144 191 231 0.1 20.9
その他 12,484 12,648 12,028 12,389 11,883 7.5 △ 4.1
合計 118,503 164,769 172,287 173,620 158,845 100.0 △ 8.5

注:日本メーカーのみ太字にしている。
出所:ペルー自動車協会(AAP)

ペルー国内での金融サービスの普及が自動車ローンを後押し

自動車ローンは、2024年は前年比1.6%増の42億2,830万ソル(約1,775億8,900万円、1ソル=約42円)だった(表3参照)。特に販売金融会社は前年比11.1%増と大きく伸ばした。販売台数は減少したが、自動車ローン市場は拡大している。背景として、消費者への金融サービスの普及が挙げられる。ペルー国家統計情報庁(INEI)によると、金融機関に何らかの預金口座を保有する人の割合は2019年に43.4%だったが、2024年には58.6%まで上昇した。政府は、ペルー経済のフォーマル化と税の徴収を確実に進めるため、中小零細企業や一般消費者に金融サービスの利用を呼びかけている。

また、自動車ローン全体に占めるドル決済比率は2024年に8.8%で、3年連続で1割を切った(図参照)。中銀とSBS(ペルー銀行保険年金基金監督庁)は、消費者を対象とする金融サービス講座などを通じ、収入がソル建ての場合には、ローンを組む際、同じ通貨のソルでの決済として、為替リスクを避けるよう呼びかけている。ペルーは、ハイパーインフレの時代の苦い経験から、ビジネスのみならず日常生活でもドルを使用できる環境にあるが、近年、ソルは中南米地域でも有数の安定感のある通貨となっている。

表3:金融市場における自動車ローン(単位:1,000ソル、%)(△はマイナス値)
項目 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
普通銀行 1,703,674 1,758,450 1,999,746 2,222,346 2,202,214 52.1 △ 0.9
販売金融会社 605,897 738,891 898,841 1,008,435 1,120,454 26.5 11.1
小規模零細企業開発会社(EDPYMES) 900,027 726,306 839,083 909,432 883,900 20.9 △ 2.8
市営貯蓄信用金庫(CMAC) 26,786 10,856 13,173 17,678 18,620 0.4 5.3
農村貯蓄信用金庫(CRAC) 3,835 8,708 7,151 4,457 3,120 0.1 △ 30.0
合計 3,240,219 3,243,210 3,757,995 4,162,347 4,228,308 100.0 1.6

注:CMAC、CRAC、EDPYMESなどはノンバンク系のマイクロファイナンス機関。
出所:ペルー銀行保険年金基金監督庁(SBS)

図:自動車ローン市場におけるドル決済比率
2015年は44.8%、2016年は25.5%、2017年は17.6%、2018年は11.8%、2019年は11.9%、2020年は13.8%、2021年は12.2%、2022年は8.8%、2023年は8.2%、2024年は8.8%。

注:全ての貸付機関のクレジットポートフォリオを対象としている。
出所:ペルー銀行保険年金基金監督庁(SBS)

中古車市場は、2024年に55万5,158台で、前年比0.1%増だった(表4参照)。車種(部門)別に見ると、全体の89.2%を占める乗用車・小型商用車が前年比0.3%減の49万5,089台で、トラック・バスが同4.1%増の6万69台だった。

メーカー別に見ると、トヨタが13万7,452台で、全体の24.8%を占め最も多い(表5参照)。

表4:車種別中古車販売台数(所有者登録変更届数)(単位:台、%)(△はマイナス値)
車種 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
乗用車・小型商用車 376,187 602,919 509,460 496,701 495,089 89.2 △ 0.3
トラック・バス 49,105 65,112 61,801 57,710 60,069 10.8 4.1
合計 425,292 668,031 571,261 554,411 555,158 100.0 0.1

出所:国家登記庁(SUNARP)

表5:中古車の販売台数(所有者登録変更届数)(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
トヨタ 113,608 171,919 155,467 139,880 137,452 24.8 △ 1.7
現代 46,841 77,757 63,087 62,711 61,307 11.0 △ 2.2
日産 40,108 58,587 52,190 48,377 46,494 8.4 △ 3.9
起亜 30,774 52,926 42,206 44,176 44,860 8.1 1.5
シボレー 17,919 31,233 25,313 26,476 26,949 4.9 1.8
スズキ 16,719 28,435 23,401 22,722 22,337 4.0 △ 1.7
フォルクスワーゲン 16,167 24,361 20,804 20,108 19,863 3.6 △ 1.2
三菱 10,019 15,417 13,729 12,928 13,426 2.4 3.9
マツダ 7,378 12,784 10,165 10,597 10,612 1.9 0.1
デーウー(DAEWOO) 11,772 15,661 14,380 11,848 10,467 1.9 △ 11.7
ボルボ 9,973 12,061 11,925 9,830 9,882 1.8 0.5
ルノー 5,398 10,564 8,053 9,076 8,838 1.6 △ 2.6
ホンダ 6,746 9,828 8,814 8,319 8,370 1.5 0.6
三菱ふそう 8,399 10,208 10,169 8,415 8,271 1.5 △ 1.7
メルセデス・ベンツ 6,426 9,142 7,445 7,845 8,266 1.5 5.4
長安汽車(CHANGAN) 2,990 7,481 5,091 7,119 8,046 1.4 13.0
江淮汽車(JAC) 3,518 7,510 5,486 6,834 7,559 1.4 10.6
フォード 5,285 8,459 7,479 7,118 7,497 1.4 5.3
スバル 4,285 6,434 5,427 5,551 5,637 1.0 1.5
奇瑞汽車(CHERY) 2,342 4,874 3,600 4,386 4,975 0.9 13.4
DFSK 1,217 3,656 2,217 3,989 4,606 0.8 15.5
BMW 3,686 5,533 4,419 4,512 4,590 0.8 1.7
長城汽車(GREAT WALL) 2,427 4,710 3,584 4,099 4,326 0.8 5.5
福田汽車(FOTON) 2,030 3,854 2,916 3,705 3,880 0.7 4.7
JEEP 3,249 4,752 4,146 3,779 3,862 0.7 2.2
プジョー 2,284 4,013 3,236 3,230 3,727 0.7 15.4
日野 3,259 4,023 3,625 3,644 3,618 0.7 △ 0.7
いすゞ 2,350 3,218 2,988 2,974 3,086 0.6 3.8
ダイハツ 965 1,395 1,301 1,046 947 0.2 △ 9.5
レクサス 234 431 353 384 368 0.1 △ 4.2
その他 36,924 56,805 48,245 48,734 51,040 9.2 4.7
合計 425,292 668,031 571,261 554,411 555,158 100.0 0.1

出所:国家登記庁(SUNARP)

州別の新車販売台数では、リマ州が10万644台で全体の63.4%を占めた(表6参照)。6割超のシェアを維持しており、国内最大の経済圏が重要な市場と位置付けられる。

表6:州別新車販売台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
リマ州 75,925 99,432 109,066 113,395 100,644 63.4 △ 11.2
アレキパ州 10,067 15,250 15,328 15,297 15,549 9.8 1.6
ラ・リベルタッド州 6,453 10,126 9,574 8,819 7,487 4.7 △ 15.1
クスコ州 3,757 5,649 6,194 5,884 6,298 4.0 7.0
ランバジェーケ州 3,267 6,111 4,653 4,248 4,417 2.8 4.0
ピウラ州 4,065 5,836 5,931 4,509 4,369 2.8 △ 3.1
フニン州 2,774 4,109 4,184 4,358 3,905 2.5 △ 10.4
カハマルカ州 1,828 3,215 3,692 3,278 3,076 1.9 △ 6.2
プーノ州 1,742 2,668 2,167 2,568 3,067 1.9 19.4
アンカッシュ州 1,862 2,850 2,946 3,078 2,440 1.5 △ 20.7
イカ州 2,018 2,959 2,245 2,098 2,325 1.5 10.8
タクナ州 1,790 2,584 2,412 2,431 2,297 1.4 △ 5.5
ウアヌコ州 643 1,045 1,080 950 957 0.6 0.7
サンマルティン州 926 1,145 1,116 809 766 0.5 △ 5.3
ウカヤリ州 587 805 715 521 474 0.3 △ 9.0
アジャクーチョ州 343 377 362 907 407 0.3 △ 55.1
パスコ州 168 257 322 176 219 0.1 24.4
モケグア州 120 202 149 79 76 0.0 △ 3.8
ロレート州 88 116 77 48 51 0.0 6.3
マドレ・デ・ディオス州 76 33 5 5 15 0.0 200.0
トゥンベス州 0 0 5 11 6 0.0 △ 45.5
アマソナス州 4 0 64 151 0 0.0 △ 100.0
合計 118,503 164,769 172,287 173,620 158,845 100.0 △ 8.5

出所:ペルー自動車協会(AAP)

2024年の自動二輪・三輪車の新車販売台数は、前年比3.8%増の34万9台だった(表7参照)。

メーカー別では、ホンダが前年比3.6%増の7万9,619台で、全体に占める割合が23.4%と最多を占めた。そのほかの日本メーカーとしては、ヤマハが14.5%減の7,574台、スズキが31.3%増の1,087台、カワサキが12.1%増の111台だった。

表7:自動二輪・三輪車新車販売台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
ホンダ 85,053 76,823 79,619 23.4 3.6
ワンシン(WANXIN) 45,127 42,695 45,356 13.3 6.2
バジャージ(BAJAJ) 32,590 33,351 35,513 10.4 6.5
ロンコ(RONCO) 20,681 20,800 23,526 6.9 13.1
ゾンシン(ZONGSHEN) 20,903 14,002 12,274 3.6 △ 12.3
センダ(SSENDA) 10,875 10,197 8,930 2.6 △ 12.4
ネクサス(NEXUS) 10,556 8,508 8,843 2.6 3.9
リーファン(LIFAN) 8,281 7,536 8,738 2.6 16.0
ヤマハ 9,557 8,862 7,574 2.2 △ 14.5
JCH 5,050 5,978 6,980 2.1 16.8
スズキ 840 828 1,087 0.3 31.3
カワサキ 131 99 111 0.0 12.1
その他 111,148 97,944 101,458 29.8 3.6
合計 360,792 327,623 340,009 100.0 3.8

出所:ペルー自動車協会(AAP)

排気量450CC以上の高級クラスの自動二輪車の新車販売台数は、前年比2.6%減の609台だった(表8参照)。ホンダが11.8%増の265台で、全体に占める割合は43.5%を記録した。

表8:450CC以上自動二輪車(高級クラス)新車販売台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
ホンダ 342 237 265 43.5 11.8
BMW 130 123 119 19.5 △ 3.3
カワサキ 56 55 66 10.8 20.0
ヤマハ 67 61 54 8.9 △ 11.5
KTM 41 52 32 5.3 △ 38.5
ドゥカティ(DUCATI) 43 34 22 3.6 △ 35.3
トライアンフ(TRIUMPH) 32 30 22 3.6 △ 26.7
ベネリ(BENELLI) 62 30 17 2.8 △ 43.3
スズキ 3 1 10 1.6 900.0
ハーレーダビッドソン 2 2 2 0.3 0.0
合計 778 625 609 100.0 △ 2.6

出所:ペルー自動車協会(AAP)

市場が拡大するハイブリッド車

自動車の販売台数を燃料別に見ると、2024年のガソリン車は前年比8.1%減の9万7,819台で、全体の61.6%を占めた(表9参照)。また、ディーゼル車は5.7%減の3万9,898台で、全体の25.1%を占めた。次いで、液化石油ガス(LPG)車が多く8,641台だったが、前年比20.5%減と大きく落ち込んだ。

2020年から2024年までの5年間、ガソリン車、ディーゼル車、LPG車の上位3種が全体の9割以上を占める構図に変化はない。一方で、確実に台数を伸ばしているのが、ハイブリッド(ガソリンエンジンと電気モーター)車(HEV)だ。2024年には5,583台を販売し、前年比64.4%の大幅増を記録した。全体に占める割合は3.5%でまだ大きい市場には至っていないが、今後普及が加速すると、ガソリン車、ディーゼル車、LPG車の3種で販売台数の9割以上を占めるペルーの新車市場の新たな柱になる可能性がある。

ペルー政府は、一般消費者向けにハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの普及を促すインセンティブ制度を設けておらず、普及にある程度の時間が必要となる。一方、ペルー運輸通信省(MTC)は、2025年2月28日付の局長決議(スペイン語)にて、環境汚染対策と市民の健康保持のため、地方自治体などと共同で、輸送トラックやバスをハイブリッド車や電気自動車に買い替える場合、最大で2万5,000ドルの補助金を出す取り組みを行うことを決定した。輸送トラックについては使用年数や製造年の制限はなく、MTCの調査によると、最も古いものは84年間使用されているという。

表9:燃料別自動車販売統計(単位:台、%)(△はマイナス値、―は値なし)
燃料種類 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
ガソリン 85,138 113,637 109,427 106,466 97,819 61.6 △ 8.1
ディーゼル 30,074 39,539 42,355 42,310 39,898 25.1 △ 5.7
液化石油ガス(LPG) 661 5,697 9,803 10,874 8,641 5.4 △ 20.5
ハイブリッド(ガソリン、電気) 364 1,171 1,901 3,397 5,583 3.5 64.4
バイオ燃料(ガソリン、LPG) 0 661 3,050 3,200 2,815 1.8 △ 12.0
天然ガス 308 1,030 2,440 3,452 2,011 1.3 △ 41.7
表示なし 1,948 2,999 1,871 2,105 1,605 1.0 △ 23.8
デュアル燃料(ディーゼル、天然ガス) 0 0 417 1,669 255 0.2 △ 84.7
電気 10 17 123 147 218 0.1 48.3
ハイブリッド(ディーゼル、電気) 0 1 0 0 0 0.0
バイオ燃料(ガソリン、天然ガス) 0 17 900 0 0 0.0
合計 118,503 164,769 172,287 173,620 158,845 100.0 △ 8.5

出所:ペルー自動車協会(AAP)

ハイブリッド車(HEV)の新車販売状況をメーカー別に見ると、トヨタが前年比2.1倍の2,119台で首位を維持し、全体に占める割合は38.0%だった(表10参照)。スズキが64.5%増の1,199台で、2023年に続き第2位だった。韓国メーカーでは、現代が92.1%増の194台で第6位だった。中国メーカーの中では、吉利汽車(Geely)が10.3%減の201台で最多となり、第5位だった。

2024年のバッテリー式電気自動車(BEV)市場は自動車市場全体のわずか0.1%であるが、前年比48.3%増の218台を記録した。ボルボが前年比8.7倍の87台で、首位に立った(表11参照)。次いで、BMVと江淮汽車(JAC)が20台で並んだ。一方、2020年から2023年まで首位だった現代は17台で5位だった。

ペルー自動車協会(AAP)によると、2024年9月時点の充電スタンドは52カ所、充電口は83基設置されている。このうち、リマ市内にある充電スタンドが21カ所、充電口が36基と、いずれも全体の4割以上を占めている。今のところ、充電スタンド設置を促す政策の検討などの動きはみられない。

表10:メーカー別ハイブリッド車(ガソリン、電気)新車販売統計(単位:台、%)(△はマイナス値、―は値なし)
メーカー 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
トヨタ 355 642 975 990 2,119 38.0 114.0
スズキ 0 29 90 729 1,199 21.5 64.5
ボルボ 6 142 352 404 431 7.7 6.7
アウディ 2 262 197 325 283 5.1 △ 12.9
吉利汽車(GEELY) 0 0 82 224 201 3.6 △ 10.3
現代 0 0 0 101 194 3.5 92.1
フォード 0 53 46 70 149 2.7 112.9
ホンダ 0 0 0 0 129 2.3
レクサス 0 0 15 86 118 2.1 37.2
ランドローバー 0 10 18 44 114 2.0 159.1
スバル 0 0 0 46 104 1.9 126.1
BMW 0 0 0 173 103 1.8 △ 40.5
GWM 0 0 0 0 92 1.6
日産 0 0 0 0 82 1.5
奇瑞汽車(CHERY) 0 0 0 72 77 1.4 6.9
マツダ 0 0 0 0 66 1.2
メルセデス・ベンツ 0 0 0 0 48 0.9
起亜 0 32 107 79 23 0.4 △ 70.9
長城汽車(GREAT WALL) 0 0 0 0 17 0.3
MINI 0 0 0 15 12 0.2 △ 20.0
ポルシェ 1 0 0 2 7 0.1 250.0
DFSK 0 0 0 0 7 0.1
ジャガー 0 1 6 0 6 0.1
広州汽車(GAC) 0 0 0 0 2 0.0
ハヴァル 0 0 13 37 0 0.0 △ 100.0
合計 364 1,171 1,901 3,397 5,583 100.0 64.4

出所:ペルー自動車協会(AAP)

表11:メーカー別EV新車販売統計(単位:台、%)(△はマイナス値、―は値なし)
メーカー 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 構成比 2024/
2023年比
ボルボ 0 2 6 10 87 39.9 770.0
BMW 0 0 0 17 20 9.2 17.6
江淮汽車(JAC) 0 0 0 0 20 9.2
MINI 0 0 11 21 18 8.3 △ 14.3
現代 9 7 47 29 17 7.8 △ 41.4
アウディ 0 0 28 18 13 6.0 △ 27.8
日産 0 0 0 18 11 5.0 △ 38.9
起亜 0 0 2 17 8 3.7 △ 52.9
メルセデス・ベンツ 0 0 0 0 6 2.8
ポルシェ 0 5 4 4 4 1.8 0.0
マクサス 0 0 8 7 3 1.4 △ 57.1
ルノー 0 0 0 0 3 1.4
JMC 0 0 4 6 2 0.9 △ 66.7
GWM 0 0 0 0 2 0.9
レクサス 0 0 0 0 2 0.9
トヨタ 0 0 0 0 1 0.5
MG 0 0 0 0 1 0.5
ファリゾン 0 0 3 0 0 0.0
メープル 0 0 7 0 0 0.0
スカイウェル 0 3 3 0 0 0.0
ジョイロング 1 0 0 0 0 0.0
合計 10 17 123 147 218 100.0 48.3

出所:ペルー自動車協会(AAP)


注:
各社の販売代理店がAAPに報告する全部門の販売台数。
執筆者紹介
ジェトロ・リマ事務所長
石田 達也(いしだ たつや)
1995年、ジェトロ入構。ジェトロ沖縄など国内事務所のほか、1999年から2003年、2007年から2013年までペルーのジェトロ・リマ事務所に通算10年間勤務。企画部、農林水産・食品部などを経て、2024年6月から現職。