自動車販売台数が前年比31.7%減(UAE)
ドバイで自動運転やEVシフトを目指す動き

2021年12月7日

国際自動車工業連合会(OICA)によると、2020年のアラブ首長国連邦(UAE)の自動車販売台数は15万8,711台。前年比で31.7%減少し、世界全体(前年比13.8%減)と比べても大きな減少幅だった。内訳をみると、乗用車が12万9,901台(同34.6%減)、商用車が2万8,810台(同14.7%減)で、乗用車の減少が目立った(表1参照)。

販売不振の原因は何か。(1)新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン等の行動規制や、(2)経済活動の縮小による買い控え、(3)海上物流コストの高騰(2021年6月28日付地域・分析レポート参照)、などの影響が大きかったとみられる。

また現地報道によると、UAEの人口は8割以上が外国人とされているが、企業の業績不振による人員整理や給与カットにより、その人口が1割減少したとも言われている(注)。これが、販売減少の要因の1つになったと考えられる。

表1:UAEの自動車販売台数(単位:台)
項目 2019年 2020年 前年比
乗用車 198,520 129,901 △ 34.6%
商用車 33,785 28,810 △ 14.7%
全体 232,305 158,711 △ 31.7%

出所:国際自動車工業連合会(OICA)

貿易では、輸入・再輸出ともに減

UAEの乗用車(HSコード8703)貿易額(通関ベース)をみると、輸入は379億100万ディルハム(約1兆1,370億円、1ディルハム=約30円)だった。前年比25.8%減と、やはり減少したことになる。そのうち、日本からの輸入は161億9,200万ディルハムで31.4%減。ちなみに、輸入総額の42.7%を占め、輸入相手国としては第1位だ(表2参照)。

地場輸出と再輸出を合わせた輸出総額は221億200万ディルハムで前年比22.2%減だった。そのうち、輸出全体の98.2%を占める再輸出が217億900万ディルハムで22.7%減。対照的に、地場輸出は3億9,300万ディルハムで12.0%増となった(もっとも、輸出全体に占める割合は1.8%で、大勢に影響は及ぼしていない)。UAEは自動車を輸入し、それを再輸出する貿易ハブとなっている。その構造が変わっていないことは、直近の統計でも確認できたことになる。また、それゆえ世界の需要の増減にも影響を受けやすいといえる。

表2:アラブ首長国連邦(UAE)の乗用車貿易(国別輸出入)

輸入(単位:100万ディルハム、%)
国名 2019年 2020年
金額 金額 構成比 伸び率
日本 23,620 16,192 42.7 △ 31.4
米国 7,353 5,544 14.6 △ 24.6
ドイツ 4,220 3,382 8.9 △ 19.9
英国 2,768 1,987 5.2 △ 28.2
タイ 2,076 1,861 4.9 △ 10.4
インド 1,690 1,377 3.6 △ 18.5
合計 51,079 37,901 100.0 △ 25.8
地場輸出(単位:100万ディルハム、%)
国名 2019年 2020年
金額 金額 構成比 伸び率
マリ 40 367 93.4 817.5
スーダン 6 1.5 全増
ソマリア 3 0.8 全増
コンゴ 3 3 0.8 0.0
オマーン 3 3 0.8 0.0
日本 25 0 0.0 全減
合計 351 393 100.0 12.0
再輸出(単位:100万ディルハム、%)
国名 2019年 2020年
金額 金額 構成比 伸び率
サウジアラビア 3,925 3,889 17.9 △ 0.9
イラク 2,720 3,185 14.7 17.1
中国 7,072 2,675 12.3 △ 62.2
オマーン 3,086 2,576 11.9 △ 16.5
イラン 1,343 520 2.4 △ 61.3
日本(7位) 528 437 2.0 △ 17.2
合計 28,074 21,709 100.0 △ 22.7

注1:HS8703の統計を抽出。
注2:本統計にはFOB、CIFの掲載がない。
出所:UAE連邦競争・統計局から作成

トヨタ、新型ランドクルーザー公開をUAEから発信

UAEでは、伝統的に日本車がシェアの多くを占めてきた。また、特定の車種には根強い人気がある。国内の道路が整備される以前から、日本のオフロード四駆車が砂漠地帯で活躍し、高い機能性や耐久性で高い信頼を獲得してきた。そのことから、その流れを汲むスポーツ用多目的車(SUV)が今でも人気車種だ。

トヨタ自動車は2021年6月9日、SUV「ランドクルーザー」新型車のワールドプレミア(世界初公開)を、UAEで進めた。同24日には、世界で最初の顧客50人に対する納車イベントをドバイで実施した。ドバイ警察やアブダビ警察にも同日に納入され、UAE市場での同車種の人気がうかがえる。

新技術の取り込みにも積極的

ここで、自動車産業への新技術の活用状況についてみる。ドバイ首長国は2017年、「ドバイ・自動運転交通戦略&ロードマップ」(Dubai Self-Driving Transport Strategy & Roadmap)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.42MB)を発表。2030年までにドバイの全輸送の25%を自動運転化することを目指すことが示された。ちなみに、2020年に10周年を迎えたドバイ・メトロ(市内鉄道)は、既に運転自動化を達成済みだ。2020~2021年にかけて、自動車に関しても具体的なプロジェクトが発表されている。

2020年9月、ドバイの財閥アル・ハブトゥール・グループは、2023年までに自動運転車の一般消費者向けサービス開始を目指すことを発表した。先進運転支援システム(ADAS)としてのマッピング技術を開発するイスラエルのモービルアイと提携しするという。2021年からデータ収集し、路面での走行試験、商業化テスト、商業化の4段階に分けてプロジェクトを進める(2020年10月1日付ビジネス短信参照)。

2021年4月には、米国自動運転車開発スタートアップのクルーズとドバイ交通局(RTA)が提携。2023年から、全電気自動運転車両による配車サービスをドバイで開始すると発表した。2030年までに4,000台に増やすとしている(2021年4月21日付ビジネス短信参照)。

一方で、世界的な潮流となっているのが、温室効果ガス削減への取り組みだ。この点、ドバイ首長国は「ドバイ・グリーン・モビリティー戦略」の中で、目標を示す。この戦略によると、2030年までに、ドバイで道路走行する自動車の2%、ドバイ政府が調達する自動車の30%を、電気自動車(EV)またはハイブリッド車とするという。それに呼応し、ドバイ電気水道局(DEWA)は、首長国内に既に約300カ所の充電ステーションを設置済みだ。市内タクシー会社の一部やカリーム社(シェアライドサービスを運営)などは、既にテスラモーターズのEVを導入済み。実際、昨今は街中で見かける頻度も増えている。


注:
外国人労働者が勤務先企業から解雇される場合、ビザのスポンサーを失うため、UAEを離れなければならなくなる。
解雇されないにせよ、流出に至ることも考えられる。例えば、高給を目指して移住してきた労働者は、給与が減少すればUAEに居住し続けるインセンティブを失う。こうした場合、国外に出て行ってしまう可能性が濃厚だ。
執筆者紹介
ジェトロ・ドバイ事務所
山村 千晴(やまむら ちはる)
2013年、ジェトロ入構。本部、ジェトロ岡山、ジェトロ・ラゴス事務所を経て、2019年12月から現職。執筆書籍に「飛躍するアフリカ!-イノベーションとスタートアップの最新動向」(部分執筆、ジェトロ、2020年)。

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