2020年の日中貿易、日本の貿易に占める対中比率は過去最高に
総額は前年比0.2%減

2021年6月15日

ジェトロが日本の財務省貿易統計と中国の海関(税関)統計を基に、2020年の日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、総額は前年比0.2%減の3,401億9,478万ドルとなった(表1参照、注1、注2)。前年に続き減少したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で日本と世界との貿易総額が1割減となった中、対中貿易額の減少幅は相対的に小さく、日本の貿易に占める中国の比率は過去最高となった。

輸出(中国の対日輸入、以下同じ)は2.7%増の1,760億8,888万ドル、輸入は3.1%減の1,641億591万ドルとなった。その結果、日本の中国に対する貿易収支は119億8,297万ドルと、4年連続の黒字を維持し、黒字幅は前年の5倍以上に拡大した。

表1:日中貿易の推移(双方輸入ベース)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
年月 輸出額
(日本→中国)
伸び率 輸入額
(中国→日本)
伸び率 総額 伸び率 貿易収支
2011年 194,296,265 10.3 184,128,640 20.0 378,424,904 14.8 10,167,625
2012年 177,649,842 △ 8.6 188,450,182 2.3 366,100,025 △ 3.3 △ 10,800,340
2013年 162,114,236 △ 8.7 180,840,622 △ 4.0 342,954,857 △ 6.3 △ 18,726,386
2014年 162,512,019 0.2 181,038,865 0.1 343,550,884 0.2 △ 18,526,847
2015年 142,689,642 △ 12.2 160,624,606 △ 11.3 303,314,248 △ 11.7 △ 17,934,964
2016年 144,996,448 1.6 156,631,816 △ 2.5 301,628,264 △ 0.6 △ 11,635,368
2017年 164,865,658 13.7 164,542,081 5.1 329,407,739 9.2 323,577
2018年 180,234,250 9.3 173,598,618 5.5 353,832,868 7.4 6,635,632
2019年 171,514,651 △ 4.8 169,302,509 △ 2.5 340,817,160 △ 3.7 2,212,142
2020年 176,088,877 2.7 164,105,906 △ 3.1 340,194,783 △ 0.2 11,982,971
2020年
1月
11,253,936 △ 18.1 15,901,769 △ 5.8 27,155,705 △ 11.4 △ 4,647,833
2月 11,253,936 1.5 6,125,301 △ 46.8 17,379,237 △ 23.1 5,128,635
3月 14,758,275 4.8 13,313,752 △ 1.3 28,072,027 1.8 1,444,523
4月 14,712,086 △ 5.3 16,121,474 15.9 30,833,560 4.7 △ 1,409,388
5月 12,465,470 △ 5.4 14,109,499 0.6 26,574,969 △ 2.3 △ 1,644,029
6月 15,253,048 8.9 12,930,587 1.4 28,183,635 5.3 2,322,461
7月 15,333,804 5.1 13,661,713 △ 8.3 28,995,517 △ 1.7 1,672,091
8月 14,236,394 △ 0.9 12,463,653 △ 6.7 26,700,047 △ 3.7 1,772,741
9月 17,187,262 13.4 13,554,924 △ 10.1 30,742,186 1.7 3,632,338
10月 14,914,305 5.5 14,627,864 △ 0.8 29,542,169 2.3 286,441
11月 16,385,630 7.1 16,172,838 11.5 32,558,468 9.3 212,792
12月 18,334,734 12.3 15,122,532 7.0 33,457,266 9.9 3,212,202

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額、輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。
いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
注2:伸び率は前年比および前年同月比。
注3:機械処理の関係上、他の統計とは計数の値が異なる場合がある。
注4:暦年の数値は確定値。各月の数値は速報値を使用。
参考:為替レート(円/ドル):2015年 121.05、2016年108.66、2017年112.10、2018年110.40、2019年109.02、2020年106.78(米国連邦準備制度理事会発表)。
資料:Global Trade Atlasを基にジェトロ作成

輸出:中国の経済活動回復を受けた需要増により増加

輸出は前年比2.7%増の1,760億8,888万ドルと、2019年の減少から増加に転じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年1、4、5月は前年同月比マイナスとなった。しかし、中国国内で感染拡大が落ち着き、経済活動が回復してきたことに伴い、6月以降は増加に転じ、微減となった8月を除き、一貫してプラスの伸びとなった。品目別にみると、車両などで前年比マイナスとなったものもあったが、構成比最大品目の電気機器のほか、機械類、精密機器、化粧品などが牽引し、全体では増加した(表2参照)。

表2:2020年の日本の対中輸出 (単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 176,088,877 2.7 100.0
第85類 電気機器およびその部分品 47,557,997 9.0 27.0 2.3
階層レベル2の項目8542 集積回路 18,621,257 7.7 10.6 0.8
階層レベル2の項目8541 ダイオード、トランジスターその他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 4,252,513 15.3 2.4 0.3
階層レベル2の項目8532 コンデンサー 4,094,024 13.4 2.3 0.3
階層レベル2の項目8536 電気回路の開閉用、保護用または接続用の機器 3,756,752 1.4 2.1 0.0
階層レベル2の項目8504 トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 2,459,616 21.2 1.4 0.3
第84類 原子炉、ボイラーおよび機械類 36,687,770 0.7 20.8 0.2
階層レベル2の項目8486 半導体、集積回路またはフラットパネルディスプレイの製造用機器 9,646,579 8.0 5.5 0.4
階層レベル2の項目8479 機械類(固有の機能を有するものに限る) 4,128,514 11.5 2.3 0.2
階層レベル2の項目8481 コック、弁 1,824,078 1.8 1.0 0.0
階層レベル2の項目8443 印刷機、その他のプリンター、複写機およびファクシミリ 1,791,351 △ 15.7 1.0 △ 0.2
第87類 鉄道用および軌道用以外の車両 16,538,353 △ 7.7 9.4 △ 0.8
階層レベル2の項目8703 乗用自動車その他の自動車 10,146,521 △ 7.7 5.8 △ 0.5
階層レベル2の項目8708 自動車の部分品および付属品 6,142,439 △ 9.2 3.5 △ 0.4
第90類 光学機器、写真用機器、映画用機器、 測定機器、検査機器、精密機器および医療用機器 16,158,687 6.5 9.2 0.6
階層レベル2の項目9013 液晶デバイス、レーザーおよびその他の光学機器 3,045,847 4.1 1.7 0.1
階層レベル2の項目9001 光ファイバー、光ファイバーケーブル、偏光材料製のシートおよび板ならびにレンズ 2,550,875 1.1 1.4 0.0
階層レベル2の項目9031 測定用または検査用の機器および輪郭投影機 2,295,844 11.2 1.3 0.1
階層レベル2の項目9027 物理分析用または化学分析用の機器 1,792,163 8.6 1.0 0.1
第39類 プラスチックおよびその製品 10,109,065 4.5 5.7 0.3
階層レベル2の項目3920 プラスチック製のその他の板、シート、フィルム、はくおよびストリップ 2,960,760 13.4 1.7 0.2
第33類 精油、レジノイド、調製香料および化粧品類 4,883,489 31.6 2.8 0.7
第72類 鉄鋼 4,634,025 △ 1.7 2.6 △ 0.0
第29類 有機化学品 4,550,386 △ 30.1 2.6 △ 1.1
第74類 銅およびその製品 4,178,014 34.5 2.4 0.6
第38類 各種の化学工業生産品 3,840,806 10.2 2.2 0.2
第73類 鉄鋼製品 2,342,684 2.0 1.3 0.0
第71類 真珠、貴石、半貴石、貴金属およびこれらの製品、身辺用模造細貨類ならびに貨幣 2,093,512 32.0 1.2 0.3

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額、輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。
いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
注2:2桁分類で構成比1.0%以上を抽出(輸出12、輸入17)し、金額降順。
注3:太字は二桁分類の金額ベースで上位5位。
資料:表1に同じ

品目別の特徴

  1. 電気機器(第85類、伸び率9.0%、構成比27.0%、寄与度2.3)は、全体の39.2%を占める集積回路(8542)が7.7%増と堅調に推移した。光電性半導体デバイスおよび発光ダイオード(854140)をはじめとする半導体デバイス(8541)が15.3%増、コンデンサー(8532)が13.4%増、トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター(8504)が21.2%増と伸びが大きかった。また、可変抵抗器(853340)は前年の約7倍の大幅増で、最大の押し上げ要因となった。
  2. 機械類(第84類、伸び率0.7%、構成比20.8%、寄与度0.2)は、中国での新型コロナウイルス感染拡大後の設備需要増を背景に、0.7%増となった。世界的な第5世代移動通信システム(5G)の普及や巣ごもり需要などで増大した半導体需要の増加を受け、半導体デバイス・集積回路製造用の機器(848620)が36.1%増と大幅増となった。また、その他の機械(847989)が12.4%増と堅調だった。一方、フラットパネルディスプレー製造用の機器(848630)が15.4%減、印刷機の部品・付属品(844399)が13.6%減、ブルドーザー、アングルドーザーなど(842952)が32.1%減と2桁減となった。これらは、いずれも中国の国・地域別輸入額で日本が1位のシェアを占める品目だが、世界からの輸入額が減少しており、日本からの輸出も前年に続く減少となった。
  3. 車両(第87類、伸び率マイナス7.7%、構成比9.4%、寄与度マイナス0.8)のうち、乗用車(8703)は、ハイブリッド車(870340)が32.9%増と前年に引き続き好調だった。一方、排気量3,000cc超の乗用車(870324)の輸出が52.0%の大幅減、乗用車全体では7.7%減となった。自動車部品(8708)は、全体の67.7%を占めるギヤボックス・同部品(870840)が8.0%減で、自動車部品全体では9.2%減だった。
  4. 精密機器(第90類、伸び率6.5%、構成比9.2%、寄与度0.6)は、液晶デバイスなど(9013)が4.1%増、測定用・検査用機器等(9031)が11.2%増、表外の自動調整機器(9032)が24.4%増で、精密機器全体では6.5%増となった。
  5. 化粧品(第33類、伸び率31.6%、構成比2.8%、寄与度0.7)は、全体の87.9%を占める美容用、メーキャップ用または皮膚の手入れ用の調製品など(3304)は2014年以降2桁増が続き、2020年は36.9%増だった。中国の化粧品輸入額を国・地域別でみると、日本からの輸入額は全体の24.8%を占め、トップとなっている。

輸入:電気機器、衣類・同付属品などが減少、前年に続きマイナス

輸入は前年比3.1%減の1,641億591万ドルと2年連続でマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、電気機器では、モニターやプロジェクターなどの受像機器やマイクロホン、ヘッドホンおよびイヤホンなどテレワークに関連した品目が増加したほか、紡織用繊維では不織布マスクが急増した。一方で、衣類・同付属品、車両は1割以上の減少となった(表3参照)。

表3:2020の日本の対中輸入 (単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 164,105,906 △ 3.1 100.0
第85類 電気機器およびその部分品 45,766,596 △ 1.1 27.9 △ 0.3
階層レベル2の項目8517 電話機およびその他の機器 18,027,418 △ 0.7 11.0 △ 0.1
階層レベル2の項目8528 モニターおよびビデオプロジェクター 2,911,346 12.8 1.8 0.2
階層レベル2の項目8541 ダイオード、トランジスター、その他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 2,495,622 △ 3.1 1.5 △ 0.0
階層レベル2の項目8504 トランスフォーマー、スタティックコ ンバーターおよびインダクター 1,988,280 3.8 1.2 0.0
階層レベル2の項目8544 電気絶縁をした線、ケーブルおよび光ファイバーケーブル 1,848,777 △ 10.0 1.1 △ 0.1
階層レベル2の項目8542 集積回路 1,757,785 △ 4.4 1.1 △ 0.0
階層レベル2の項目8518 ヘッドホン、イヤホンおよびマイクロフォン 1,697,409 19.8 1.0 0.2
階層レベル2の項目8516 家庭用電熱機器(電子レンジ、オーブン レンジおよびヘアドライヤーなど) 1,606,140 5.3 1.0 0.0
第84類 原子炉、ボイラーおよび機械類 32,866,763 3.2 20.0 0.6
階層レベル2の項目8471 自動データ処理機械 15,913,284 20.8 9.7 1.6
階層レベル2の項目8443 印刷機、その他のプリンター、複写機およびファクシ ミリ 2,009,880 △ 14.6 1.2 △ 0.2
階層レベル2の項目8415 エアコンディショナー 1,905,552 △ 1.4 1.2 △ 0.0
階層レベル2の項目8473 事務用機器などに専らまたは主として使用する部分品および付属品 1,627,652 △ 26.5 1.0 △ 0.3
第61類 衣類および衣類付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものに限る) 7,004,813 △ 13.2 4.3 △ 0.6
第62類 衣類および衣類付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く) 6,337,512 △ 19.1 3.9 △ 0.9
第63類 紡織用繊維のその他の製品 6,219,086 126.9 3.8 2.1
階層レベル2の項目6307 室内用繊維製品などを 除くその他の製品 (不織布マスクなど) 4,656,453 340.9 2.8 2.1
第39類 プラスチックおよびその製品 5,036,147 2.3 3.1 0.1
第94類 家具、寝具 5,007,242 △ 0.3 3.1 △ 0.0
第90類 光学機器精密機器および医療用
機器
4,713,543 △ 4.9 2.9 △ 0.1
第95類 玩具、遊戯用具および運動用具 4,527,397 △ 2.2 2.8 △ 0.1
第73類 鉄鋼製品 3,806,867 △ 9.1 2.3 △ 0.2
第87類 鉄道用および軌道用以外の車両 3,665,480 △ 14.7 2.2 △ 0.4
第29類 有機化学品 3,345,384 △ 8.1 2.0 △ 0.2
第16類 肉、魚または甲殻類、軟体動物、もしくはその他の水棲無脊椎動物の調製品 2,135,504 △ 15.0 1.3 △ 0.2
第42類 革製品、ハンドバッグ 2,074,353 △ 20.4 1.3 △ 0.3
第28類 無機化学品および貴金属、希土類金属、放射性元素または同位元素の無機または有機の化合物 2,051,073 △ 21.4 1.2 △ 0.3
第64類 履物およびゲートル 2,023,200 △ 20.7 1.2 △ 0.3
第76類 アルミニウムおよびその製品 1,668,418 △ 17.7 1.0 △ 0.2

注1:輸出額は中国の通関統計による対日輸入額、輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。
いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
注2:二桁分類で構成比1.0%以上を抽出(輸出12、輸入17)し、金額降順。
注3:太字は2桁分類の金額ベースで上位5位。
資料:表1に同じ

品目別の特徴

  1. 電気機器(第85類、伸び率マイナス1.1%、構成比27.9%、寄与度マイナス0.3)
    全体の39.4%を占める電話機(8517)は前年比0.7%減だった。このうち、主要品目であるスマートフォンなどの携帯電話端末(851712)は、単価の下落により金額が5.4%減となった。一方、5Gなど基地局の整備に使用される基地局通信装置(851761)は2.1倍、テレワークの普及などによりモニターおよびプロジェクターなどの受像機器(8528)は12.8%増となったほか、マイクロホン、ヘッドホンおよびイヤホン(8518)も19.8%増となった。
  2. 機械類(第84類、伸び率3.2%、構成比20.0%、寄与度0.6)は、全体の48.4%を占める自動データ処理機械(8471)が20.8%増と堅調だった。このうち、主要品目であるノートパソコン(847130)はテレワークの拡大や巣ごもり需要を受け、38.9%増と急伸した。一方で、コンピュータおよび周辺機器用部品・付属品(8473)は26.5%減と前年のプラスから大幅な減少に転じた。
  3. 衣類・同付属品(第61類、伸び率マイナス13.2%、構成比4.3%、寄与度マイナス0.6、第62類、伸び率マイナス19.1%、構成比3.9%、寄与度マイナス0.9)は、第61類(メリヤス編みまたはクロセ編みのもの)は13.2%減、第62類(メリヤス編みまたはクロセ編み以外のもの)は19.1%減とともに1割以上の減少となった。第61類、第62類の全世界からの輸入額もそれぞれ12.2%減、16.4%減で、巣ごもりの影響などによる国内の衣料消費の冷え込みが一因とみられる。なお、全世界からの輸入に占める中国の構成比については、第61類が2008年(88.3%)、第62類が2006年(80.8%)にピークを迎えて以降、低下傾向が続いている。2020年は、第61類が58.3%、第62類が53.0%となった。
  4. 紡織用繊維(第63類、伸び率126.9%、構成比3.8%、寄与度2.1)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、不織布マスクなどを含む繊維製品(630790)が前年の4.4倍に急増し、全体の7割を占めた。一方で、ベッドやテーブルなどのリネン用品(6302)は12.3%減となった。
  5. 車両(第87類、伸び率マイナス14.7%、構成比2.2%、寄与度マイナス0.4)については、全体の65.0%を占める自動車部品(8708)は21.0%減だった。車輪やブレーキ、エアバッグ、ハンドル、軌道軸、これらの部品などが軒並み減少した。一方で、自転車(8712)は1.3%増、モーターサイクル(8711)は23.8%増となった。

日本の貿易総額、輸出額、輸入額に占める中国の構成比は過去最高

財務省の貿易統計によると、日本の貿易における中国の構成比は、輸出が22.1%で前年比3.0ポイント上昇した(表4、図1参照、注3)。輸入は25.8%で2.3ポイント上昇した(表4、図2参照)。その結果、貿易総額に占める中国の構成比は23.9%と、前年比2.6ポイント拡大した(図3参照)。中国の構成比は、貿易総額、輸出額でいずれも過去最高、輸入額では過去最高の2016年(25.8%)と並んだ。

日本の対世界貿易において、中国は輸出額で2019年に米国を下回り、第2位だったが、2020年は再び第1位となった。新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受け、日本の対世界輸出が9.1%減、対米国輸出が15.4%減となる中でも、中国の寄与度はプラス(1.0ポイント)だった。また、貿易総額は2007年以降14年連続、輸入額は2002年以降19年連続で第1位となっている

表4:2020年の日本の貿易相手上位5カ国・地域とASEAN、EU(財務省統計)

(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
輸出
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 641,302 △ 9.1 100.0
中国 141,567 5.1 22.1 1.0
米国 118,258 △ 15.4 18.4 △ 3.1
韓国 44,683 △ 3.4 7.0 △ 0.2
台湾 44,421 3.3 6.9 0.2
香港 32,016 △ 4.8 5.0 △ 0.2
ASEAN 92,233 △ 13.2 14.4 △ 2.0
EU 59,186 △ 13.3 9.2 △ 1.3
輸入
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 635,444 △ 11.9 100.0
中国 164,106 △ 3.1 25.8 △ 0.7
米国 69,614 △ 12.2 11.0 △ 1.3
オーストラリア 35,765 △ 21.3 5.6 △ 1.3
台湾 26,784 △ 0.3 4.2 △ 0.0
韓国 26,596 △ 10.1 4.2 △ 0.4
ASEAN 99,891 △ 7.4 15.7 △ 1.1
EU 72,327 △ 10.8 11.4 △ 1.2
総額
国・地域名 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 1,276,746 △ 10.5 100.0
中国 305,672 0.6 23.9 0.1
米国 187,872 △ 14.3 14.7 △ 2.2
韓国 71,279 △ 6.0 5.6 △ 0.3
台湾 71,204 1.9 5.6 0.1
タイ 49,312 △ 11.2 3.9 △ 0.4
ASEAN 192,124 △ 10.2 15.0 △ 1.5
EU 131,512 △ 11.9 10.3 △ 1.2

注1:EUは27カ国として計算。
注2:伸び率は前年比。
資料:表1に同じ

図1:日本の輸出に占める主要国・地域の構成比(グラフ)
日本の輸出に占める主要地域の構成比は、2011年 中国19.7 米国15.3 ASEAN15.0 EU9.6、2012年中国18.1 米国17.5 ASEAN16.2 EU8.5、2013年米国18.5 中国18.1 ASEAN15.5 EU8.5、2014年米国18.6 中国18.3 ASEAN15.2 EU8.8、2015年米国 20.1中国17.5 ASEAN15.2 EU8.8、2016年 米国20.2 中国17.7 ASEAN14.8 EU9.3、2017年米国19.3 中国19.0 ASEAN15.2 EU9.1、2018年中国19.5 米国19.0 ASEAN15.5 EU9.4、2019年米国19.8 中国19.1 ASEAN15.1 EU9.7、2020年中国22.1 中国18.4 ASEAN14.4 EU9.2。この間の日本の輸出額は、2011年 8,235億ドル、2012年 7,984億ドル、2013年 7,149億ドル、2014年 6,908億ドル、 2015年 6,249億ドル、2016年 6,451億ドル、2017年 6,983億ドル、2018年 7,381億ドル、2019年 7,056億ドル、2020年6413億ドルであった。

注:EUは27カ国の値。
資料:表1に同じ

図2:日本の輸入に占める主要国・地域の構成比(グラフ)
日本の輸入に占める主要地域の構成比は、2011年 中国21.5 米国8.7 ASEAN14.6 EU8.6 、2012年中国21.3 米国8.6 ASEAN14.6 EU8.6、2013年中国21.7 米国8.4 ASEAN14.1EU8.6、2014年中国22.3 米国8.8 ASEAN14.3 EU8.7、2015年中国24.8 米国10.3 ASEAN15.1EU10.0、2016年中国25.8 中国11.1 ASEAN15.2 EU11.3、2017年中国24.5 米国10.7ASEAN15.3 EU10.6、2018年中国23.2 米国10.9 ASEAN15.0 EU10.7、2019年中国23.5、米国11.0 ASEAN15.0 EU11.2、2020年 中国25.8 米国11.0 ASEAN15.7 EU11.4だった。この間の日本の輸入総額は、2011年 8560億ドル、2012年8858億ドル、2013年8326億ドル、2014年8130億ドル、2015年6481億ドル、2016年6077億ドル、 2017年6721億ドル、2018年7485億ドル、2019年7207億ドル、2020年6354億ドルだった。

資料:表1に同じ

図3:日本の貿易総額に占める主要国・地域の構成比(グラフ)
日本の貿易総額に占める主要地域の構成比は、2011年 中国20.6 ASEAN14.8 米国11.9 EU10.5、2012年 中国19.7 ASEAN15.3 米国12.8 EU9.8、2013年 中国20.0 ASEAN14.8 米国13.1 EU9.7、2014年中国20.4 ASEAN14.7 米国13.3 EU9.9、2015年中国21.2 ASEAN15.2 米国15.1 EU10.8、2016年 中国21.6 ASEAN15.0米国15.8 EU11.9、2017年中国 21.7ASEAN15.1 米国15.2 EU11.3、2018年中国21.4 米国14.9 ASEAN15.2 EU11.5、2019年中国21.3 米国15.3 ASEAN15.0 EU12.0、2020年 中国23.9 ASEAN15.0 米国14.7 EU10.3 だった。この間の日本の貿易総額は2011年1兆6796億ドル、2012年1兆6843億ドル 、2013年1億5475億ドル、2014年1兆5038億ドル、2015年1兆2730億ドル、2016年1兆2528億ドル、2017年1兆3704億ドル、2018年1兆4866億ドル、2019年1兆4263億ドル、2020年1兆2767億ドル だった。

資料:表1に同じ

2021年1~4月は輸出入ともに堅調

2021年1~4月の日中貿易(双方輸入ベース)をみると、輸出は前年同期比27.1%増の660億7,059万ドル、輸入は18.3%増の608億6,476万ドルで、ともに2桁以上の伸びとなった。前年に新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ反動もあるが、中国国内のインフラ投資や民間投資の急速な増加などを背景に、堅調に推移している。

輸出では、金額ベースでそれぞれ2割以上を占める電気機器(第85類)が21.0%増、機械類(第84類)が35.0%増と大幅に増加し、全体を牽引した。品目別にみると、電気機器のうち、主要品目である集積回路(8542)は17.9%増と押し上げ要因となった。機械類では、半導体デバイス・集積回路製造用の機器(848620)が52.5%増と前年に続く大幅増となったほか、機械(8479)も57.3%と堅調だった。そのほか、光学機器(第90類)が19.4%増となり、このうち、測定用または検査用の機器(9031)をはじめ、光ファイバー(9001)、物理分析用の機器(9027)など主要品目が軒並み2桁以上増加した。

輸入では、金額ベースで3割を占める電気機器(第85類)が26.4%増、2割を占める機械類(第84類)が25.9%増とそれぞれ大幅に増加した。品目別にみると、電気機器のうち、主要品目の電話機(8517)が34.7%増と堅調だった。機械類では、主要品目のノートパソコンなどを含む自動データ処理機械(8471)が33.5%増、エアコン(8415)が33.6%増と3割以上増加した。そのほか、前年に1割以上減少した衣類・同付属品(第61類、第62類)のうち、第61類(メリヤス編みまたはクロセ編みのもの)が4.8%増のプラスに転じた。品目別では、女子用のスーツ、アンサンブル(6104)が11.5%増、男子用のスーツ、ズボン(6103)が33.8%増となった。


注1:
この分析は、日本の対中輸出を中国の輸入統計でみる「双方輸入ベース」となっている。貿易統計は輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。中国の輸入統計には日本を原産とする財が全て計上されていることから、日中間の貿易は、いずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計をみた方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。なお、2019年の日中貿易は2020年4月7日付地域・分析レポート参照。
注2:
財務省貿易統計の円ベース(確々報)では、総額が32兆5,750億円(前年比1.7%減)、輸出が15兆819億円(2.7%増)、輸入が17兆4,930億円(5.2%減)となった。
注3:
この分析では貿易総額、輸出額、輸入額は全て財務省貿易統計に基づいている。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課
方 越(ほう えつ)
2006年4月、ジェトロ入構。展示事業部海外見本市課、金沢貿易情報センターを経て2013年6月から現職。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課
森 詩織(もり しおり)
2006年4月、ジェトロ入構。海外調査部中国北アジア課、ジェトロ広島、ジェトロ・大連事務所を経て、2016年9月から現職。