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「米国中西部スタートアップ」インタビュー(2)ものづくりに特化したアクセラレータに見るシカゴのイノベーション事例(エムハブ)

2019年2月4日

米国・中西部のイノベーション発信地であるシカゴには、映画・音楽、ヘルステック、不動産テックなどの分野に特化した20以上ものイノベーション・アクセラレーターが存在する。そうしたシカゴのアクセラレーターの中でも、「ものづくり」に特化したアクセラレーターの「エムハブ(mHUB)」会員担当であるシェバニ・シャー(Shivani Shah)氏から2018年12月26日に話を聞いた。「米国中西部スタートアップ」インタビューの第2回。


シェバニ・シャー氏(エムハブ提供)
質問:
エムハブの特徴は。
答え:
エムハブは、シカゴで最初の「ものづくり」に特化したワンストップ型のコワーキングスペースである。2016年にシカゴ市のラーム・エマニュエル市長やシカゴの官民連携経済団体であるワールドビジネスシカゴ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (World Business Chicago)といったグループによって計画が始まり、2017年3月に開設した。施設はもともとモトローラのプロトタイプ開発・試験設備があった場所で、6万3,000平方フィート(約5,850平方メートル)の広さがある。エムハブには3DプリンターやCNC旋盤、金属加工、電子部品、レーザー切断、プラスチック射出など、総額500万ドル以上の、ものづくりに必要な設備が整っている。通常、ものづくりをするとなると、自社で設備を整えるか、または製造段階に応じて複数の工場を回ることになる。エムハブではそれが全て1カ所にそろっていて、なおかつ低料金で利用することができる。エムハブ(mHUB)の”m”の文字には「ものづくり(Manufacture)」、「 制作(Make)」、「機械(Machines)」、「市場(Markets)」、 「メンター(Mentor)」、「中西部(Midwest)」、 「メンバー(Members)」、「勢い(Momentum)」 など、さまざまな思いを込めている。

エムハブ内の様子(エムハブ提供)
質問:
会員料金と現在の利用企業数は。
答え:
エムハブの基本的な会員制度は、私たちが「コワーキング」と呼ぶスタイルでは月額335ドルでフリーアドレスのワークスペースを利用できる。固定の机が必要な場合は月額445ドル、チームでの利用の場合は月額1,350ドルからのプランがある。エムハブの会員はワークスペースの利用だけでなく、10種全ての製造ラボや関連ソフトウエアの利用、ラボ研修、起業家向けセミナーなど、さまざまなイベントなどに参加することができる。
質問:
シカゴのエコシステムへの影響は。
答え:
エムハブは2018年8月に、初年度となる2017年の総括レポートを発表した。初年度だけでエムハブのメンバーによって、1,900万ドルの収益、350人以上の雇用創出と235製品のリリースという成果を上げた。2019年までには、さらに大きなコミュニティーになると確信している。
質問:
なぜシリコンバレーやニューヨークではなく、シカゴなのか。
答え:
中西部地域は製造業分野において極めて高い対応力があり、それは昔から長い期間をかけて培われてきた。そのため、製造業を考えると、必然的にシカゴが候補都市の1つとなる。ただし一般の人々にとって、製造業への新規参入はハードルが高く、ここにギャップがある。エムハブはこのギャップを取り除くことで、製造業への参入を容易にした。私たちは、起業家やスタートアップ企業がアイデアからプロトタイプを形作り、プロトタイプから製品を製造し、製品が持続的なビジネスへと形を変える一連の流れをサポートすることによって、革新的な製品開発が継続する環境をつくり上げた。このようにして、私たちはここ、ホームグラウンドのシカゴで、地元経済への大きな影響を与え続けている。
質問:
これまでエムハブが直面した大きな課題は。
答え:
エムハブは急速に成長している。成長はすばらしいことだが、急激な成長に対応し切れていない部分もある。設立1年半でメンバー数は500以上に増加し、この中には300社の法人メンバーが含まれる。利用者数は1,200人にも上る。私たちは増え続けるメンバーを支え続けている。
質問:
中西部には多くの日系企業が進出しているが、日本企業に求めることは。
答え:
エムハブは、個人と産業、国家をまたぐパートナーシップを促進している。私たちは起業家のための最適な条件と成果を生み出すため、多様性を尊重し協力し合うという私たちのミッションにかなう、人、チーム、企業を求めている。また、日本との関係ということであれば、エムハブでは2017年6月と2018年3月に、シカゴ産業科学博物館との協力の下、石川大樹氏による「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン、注)」を開催したこともある。これはロボットを使うことで、技術レベルにかかわらず、子供でも「ものづくり」を楽しんでもらえる良い企画だった。

注:
石川大樹氏発案の技術力が低い人限定ロボットコンテスト。2014年7月に初めて開催された。国内外で注目され、海外25カ国でも開催されている。
訪問企業
アクセラレーター名 エムハブ(mHUB)
所在地 965 W. Chicago Ave., Chicago, IL 60642
主な事業、取り扱い製品・サービス ものづくり特化のコワーキングスペース
ウェブサイト https://mHUBchicago.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
執筆者紹介
ジェトロ・シカゴ事務所 ディレクター
河内 章(かわち あきら)
2006年、ジェトロ入構。デザイン産業課(2010年〜2014年)、ジェトロ仙台(2014年〜2016年)などを経て、2016年4月より現職。米国自動車メーカーと日系サプライヤーの商談支援や、米国企業による日本進出支援、米国・中西部のスタートアップ・イノベーションなどを主に担当している。

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