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2018年の新車販売は市場予測を超える1,727万台(米国)
ジープ人気とテスラの特殊要因が後押し

2019年3月1日

米国の2018年の新車販売台数は前年比0.3%増の1,727万4,277台となった。車種別シェアでは、乗用車がモーターインテリジェンスの1990年調査開始以来過去最低の31.8%、小型トラックが68.2%となった。中でも、クロスオーバーSUV(CUV)が初めて乗用車を上回った。メーカー別では、FCAのジープブランドとテスラの伸びなどが全体を押し上げた。2018年の生産台数は1.8%減少した。小型トラックが1.3%増、乗用車が9.6%減少した。国内の需要に即し、乗用車の減産が目立った。2019年の販売台数に関し、大方の専門家は堅調な景気に支えられて1,680~1,700万台の高い水準になると予測している。

年初の予測を超える前年比増

モーターインテリジェンスの発表(1月2日)によると、米国の2018年の新車販売台数は、前年比0.3%増の1,727万4,277台となった(図1参照)。2018年初に発表された大方の予測である1,680~1,700万台を上回った。四半期ごとにみると、第3四半期(7~9月)は前期比2.9%減と落ち込んだものの、第1(1~3月)、第2(4~6月)、第4四半期(10~12月)はそれぞれ1.9%増、1.8%増、0.3%増と増加した。

CUV販売台数が初の乗用車超え

車種別では、小型トラックが前年比8.0%増と伸びる一方で、乗用車は13.1%減少した(表1参照)。構成比では、乗用車がモーターインテリジェンスの1990年調査開始以来過去最低の31.8%、小型トラックが68.2%となった。中でも、クロスオーバーSUV(CUV)が初めて乗用車を上回る35.2%となり、乗用車からCUVへのシフトがさらに明らかとなった(図2参照)。自動車専門サイトTrue Carの業界インサイト担当バイスプレジデントのエリック・ライマン氏は、SUV人気の理由は、実用性、娯楽性の双方を兼ね備えた機能の充実や、燃費改善も進んでいる点にあると指摘する。また、高齢化も進んでいることから、車高が高く乗り降りが容易な同モデルの人気はさらに増していくだろうとの見方を示した(「ワーズオート」2018年12月3日)。

表1:新車販売台数の内訳(単位:台、%)(△はマイナス値)
分類 2017年 2018年
販売台数 前年比 構成比 販売台数 前年比 構成比
小型乗用車 2,702,534 △ 6.6 15.7 2,300,493 △ 14.9 13.3
中型乗用車 2,690,334 △ 16.3 15.6 2,290,850 △ 14.8 13.3
大型・高級乗用車 925,193 △ 7.4 5.4 896,837 △ 3.1 5.2
乗用車小計 6,318,061 △ 11.1 36.7 5,488,180 △ 13.1 31.8
ミニバン、フルサイズバン 931,821 △ 15.5 5.4 938,389 0.7 5.4
ピックアップトラック 2,822,839 △ 30.9 16.4 2,944,393 4.3 17.0
SUV(スポーツワゴン、CUVを含む) 7,157,715 21.6 41.5 7,903,315 10.4 45.8
クロスオーバーSUV(CUV) 5,366,420 8.0 31.1 6,084,851 13.4 35.2
小型トラック小計 10,912,375 4.5 63.3 11,786,097 8.0 68.2
合計 17,230,436 △ 1.8 100.0 17,274,277 0.3 100.0
出所:
図1に同じ
図2:販売台数推移(全車種、乗用車、CUV)
1990年には128,652台だったCUVは、2018年に 6,084,851まで増加し、初めて乗用車の販売台数である5,488,180台を超えました。

出所:図1と同じ

FCAのジープ人気とテスラの特殊要因に支えられた販売増

主要メーカー別では、GM、フォード、トヨタ、ホンダ、日産、現代が減少する一方で、フィアットクライスラー(FCA)が8.5%増、電気自動車メーカーのテスラが2.9倍(187.6%増)、スバルが5.0%増、フォルクスワーゲンが2.1%増と増加し、全体の伸びを牽引した(表2参照)。

FCAは、CUV「コンパス」、「チェロキー」やSUV「ラングラー」が人気のジープブランドが14万4,705台増加、テスラは同社ラインアップの中で低価格帯の乗用車「モデル3」が8万1,065台増加し、全体を押し上げることとなった。ジープブランドは、大型で力強いモデルが好まれる米国でも、特に最近2桁増が続くなど人気は根強く、またテスラに関しては、1月から連邦政府による税額控除額が半減するという特殊要因もあって、2018年内の駆け込み需要が全体の伸びを後押しした。ちなみに、テスラを除いた販売台数総数の前年比は0.2%減少した。

生産は乗用車減産で前年比減

オートモーティブニュースの発表(1月21日)によると、2018 年の新車生産台数は、前年比1.8%減の1,109万5,593台となった。車種別では、小型トラックが1.3%増となったものの、乗用車が9.6%減少して全体を押し下げた。メーカー別では、テスラが前年比2.5倍(151.2%増)、ホンダが4.5%増、VWが22.2%増と増加する一方で、GMが5.0%減、フォードが3.9%減、日産が10.2%減、現代・起亜が7.7%減、トヨタが1.7%減となるなど、そのほか全社でマイナスとなった。テスラの増加は需要増を受け、組み立て工程の見直しを行ったことよるもの。また、ホンダは人気車種のCUV「CR-V」を、2017年にメキシコ工場からインディアナ工場に移管したことに加え、2018年後半からオハイオ工場でも生産を開始し増産した。一方で、乗用車の販売減を受けて、ホンダの「アコード」、トヨタの「カムリ」といった主力モデルの減産が報じられているほか、GM、フォード、日産などでも2桁ベースで乗用車の生産が減少した。

2019年の販売傾向は変わらず、SUVを基軸とした生産再編も

2019年の販売台数に関し大方の専門家は、車両価格の上昇や、利上げによる自動車ローン金利の上昇が押し下げ要因になる可能性はあるものの、堅調な景気に支えられ、1,680から1,700万台の高い水準に収まると予測している。また生産に関しては、2018年11月に稼働したボルボのサウスカロライナ工場分の生産増に加え、フォードのケンタッキー、ミシガン工場での体制見直しや、トヨタのインディアナ工場での中型SUV「ハイランダー」増産など、人気のSUVを基軸とした新たな生産体制の構築が予定されているほか、GMの一部工場の閉鎖による生産減(2018年11月28日付ビジネス短信記事参照)など、複数の展開が見込まれる。

2018年は後半にかけて、インセンティブを上げて売り切るそれまでの販売傾向が一服した。全米自動車ディーラー協会(NADA)のシニアエコノミストのパトリック・マンジ氏は、メーカーは実際の需要に応じ「自制的な」生産を行ってきたと評価し、2019年もインセンティブに頼らない姿勢に期待すると述べた〔全米自動車ディーラー協会(NADA)プレスリリース2018年12月13日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 〕。

執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所 リサーチャー
大原 典子(おおはら のりこ)
民間企業勤務を経て2013年、ジェトロ入構。自動車産業を柱に、米国の経済および産業の調査・分析を行う。

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