貿易管理制度

最終更新日:2023年01月13日

管轄官庁

経済発展省、連邦税関局、ロシア中央銀行、他。

輸入品目規制

輸入禁止品目、輸入割当対象品目、輸入許可を必要とする品目、適合性検査証明書を必要とする品目がある。

  1. 輸入禁止品目

    輸入禁止は、ユーラシア経済連合条約により認められる非関税措置の1つであり、その適用は「第三国に対する非関税措置に関する議定書」(ユーラシア経済連合条約附属書7)で定められている。輸出入の禁止・割当の対象となり得る品目については、2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号附属書1である「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入の禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」で規定されている。

    2014年8月6日付大統領令第560号「ロシア連邦の安全確保のための個別特別経済措置の適用について」、および同大統領令の実施措置に関する2014年8月7日付連邦政府決定第778号に従い、米国、EU、カナダ、オーストラリア、ノルウェー産の農産品・原材料・食料品の輸入が1年間禁止された。2015年6月25日付連邦政府決定第625号によって、連邦政府決定第778号も改正され、日用食料品で輸入禁止品目が拡大された。また同年8月には、アルバニア、モンテネグロ、アイスランド、リヒテンシュタイン、および条件付きでウクライナ(2016年1月1日から適用)が、禁止措置の対象国に加えられた。同禁止措置は、2022年10月11日付大統領令第725号により、2023年12月31日まで延長された。

    また連邦政府は、貿易に対する国家規制法に定める例外的な場合には、農産物または水産物の輸入を禁止あるいは制限することができる。
    2015年11月28日付大統領令第583号「ロシア連邦の国家安全保障確保及び犯罪その他の違法行為からのロシア国民保護のための措置ならびにトルコ共和国に対する特別経済措置の適用について」、および同大統領令の実施措置に関する2015年11月30日付連邦政府決定第1296号に従い、2016年1月1日より野菜・果物・肉などのトルコ産農産品・食料品17品目の輸入が禁止されたが、2016年10月9日付連邦政府決定第1020号に従い、2016年10月20日より一部の果物が禁止リストから外され、2017年3月9日付連邦政府決定276号および2017年6月2日付連邦政府決定第672号に従ってほとんどの禁止が解除された。2023年1月13日現在、トマトの輸入だけが制限されている。

    2018年12月29日付連邦政府決定1716-83号に従い、ウクライナを生産国または発送国とする、あるいはウクライナ経由で輸入される食料品、ケーブル類などの製品について、輸入禁止が導入された。

  2. 輸入割当対象品目

    輸入割当は、ユーラシア経済連合条約により認められる非関税措置の1つであり、その適用は「第三国に対する非関税措置に関する議定書」(ユーラシア経済連合条約附属書7)において定められている。輸出入の禁止・割当の対象となり得る品目については、2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号により、「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」で規定されている。

    2023年の牛肉、鶏肉等の具体的な輸入割当については、2022年8月23日付ユーラシア経済委員会理事会決定第119号により規定されている。

    2003年12月8日付連邦法第164-FZ号「外国貿易の国家規制について」、2003年12月8日付連邦法第165-FZ号「商品の輸入に関する特別セーフガード措置、アンチダンピング措置、相殺措置について」に従い、連邦政府は特定の輸入品目に関して量的制限を設け、輸入割当を設定することができる。特に、2019年12月3日付ユーラシア経済委員会理事会第209号決定により、2020年1月5日~2025年1月4日までの間、中国およびウクライナを原産国とする特定の亜鉛めっきについて輸入割当が導入された。

  3. 輸入許可を必要とする品目

    「第三国に対する非関税措置に関する議定書」(ユーラシア経済連合条約附属書7)に従い、統一した許認可などのルールが規定された。
    また関税同盟においては、協定に基づき、2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号により、「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入の禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」が作成された。同リストにおいて、植物保護のための薬品、工業廃棄物、貴金属、貴金属の鉱石、オゾン層を破壊するもの、兵器等が輸入禁止、あるいは制限が可能な商品となっている。

    許可の申請・発行手続きは、2014年11月6日付ユーラシア経済委員会理事会決定第199号「個別商品の輸出入の許可の申請手続並びに発行手続について」に制定されている。これらの許可は、商品の種類によって各担当省庁から交付されるが、多くは産業商務省により交付される。ライセンスなどの交付手続について、「特定の商品の輸出ないし輸入に関するライセンス及びその他許可書類の交付の国家サービスの提供に関するロシア産業商務省行政規程」において定められている。輸入許可の対象となる主要品目は、次のとおり。

    1. 植物保護のための薬品
    2. 暗号解読に使われる機器
    3. 爆発性物質
    4. 原子力関連物資、技術、機械とその設置、特別な非原子力物資、放射線を放出する物資(放射性廃棄物を含む)
    5. 工業廃棄物
    6. 琥珀、琥珀製の製品
    7. 貴金属、貴金属の鉱石
    8. 貴金属で覆われた製品
    9. 貴金属から製造されている製品(宝石、時計、ブレスレット他)
    10. 麻薬、向精神薬、毒物
    11. 医薬品、医薬品の原材料
    12. オゾン層を破壊するもの
    13. 本来の目的以外に利用され得る材料、技術、機械(兵器の生産にも利用される可能性のあるもの等)
    14. 兵器もしくは軍事用の機器の製造に使われる可能性のある原材料、その他の資材、機械、技術、科学・技術情報
    15. アルコール類
    16. 兵器
    17. 秘密裏の情報取得を目的に設計された特殊技術設備
    18. その他
  4. 適合性検査証明書を必要とする品目

    適合性については、「ユーラシア経済連合における技術規則に関する議定書」、および「測定法統一のための共通政策の実施に関する議定書」(それぞれユーラシア経済連合条約附属書9と附属書10)により規定されている。
    当該商品の適合性の審査と認定については、2018年12月5日付ユーラシア経済委員会評議会決定第100号に従い、当該決定の規定により作成された「認定機関および試験所(センター)のリスト」に記載された認定機関および試験所(センター)のみが行うことができる。
    また、2022年3月21日~2023年9月1日の期間中、一定の場合において、認証機関の認定を受けずに、申請者が提供した適合証明のみによる審査が認められる(2022年3月12日付353号政府決定「ロシア連邦における許可交付の特例について」)。

    1. 対象商品リスト

      「義務的適合証明の対象となる統一商品一覧および適合申告の対象となる統一商品一覧の承認について」(2021年12月23日付連邦政府決定第2425号、2022年9月1日より発効)により、公認の認証機関による適合証明書を取得すべき商品(「義務的適合証明の対象商品」)リストの作成がなされる一方、公認の認証機関による適合証明は要しないが、独自または公認の第三者が行った実証実験・測定に基づき、適合を証明することを要する商品リストが作成された。

      なお、適合申告の手続きおよび申告書の様式(EACマーク)については、2012年12月25日付ユーラシア経済委員会理事会決定第293号によって承認され、申告人は製造者または販売者であり、もしくは製造者により授権されたユーラシア経済連合の加盟国の法令に従い同国内に登録された法人または事業主である個人に限定されている。
      また、2023年9月1日までの期間中、商品の輸入の際、EACマークの貼付が免除されるが、消費者への販売までにマーキングを行う必要がある(2022年10月17日付ユーラシア経済委員会理事会決定第158号)。

    2. 技術規則に基づく対象品目

      2023年1月現在、2002年12月27日付連邦法第184-FZ号「技術規則について」では、住民の生命・健康、個人や法人の資産、国有・私有資産の保護、環境、植物や動物の生命・健康の保護、消費者に対する詐欺広告の予防を目的として、最小限の基準を定める各種の技術規則を作成することが規定されている。なお、同法においては、輸入品の基準適合証明に関する規定があり、基準適合証明の対象品目は、技術規則に基づいて連邦政府により承認される。

      過去に適用された多くの技術規則は、関税同盟やユーラシア経済連合の下で作成された技術規則によって代替されており、2023年1月現在、ロシア連邦のレベルで計6件の技術規則が適用されている。
      技術規則には、次のようなものがある。

      • たばこに関する技術規則(2008年12月22日付連邦法第268-FZ号)
      • 消防安全に関する技術規則(2008年7月22日付連邦法第123-FZ号)
      • 建物・建設物に関する技術規則(2009年12月30日付連邦法384-FZ号)
      • ガス供給網の安全性に関する技術規則(2010年10月29日付連邦政府決定第870号)
      • 海上輸送措置の安全性に関する技術規則(2010年8月12日付連邦政府決定第620号)等

      なお、関税同盟やユーラシア経済連合の下で作成された技術規則が段階的に適用され、2023年1月現在では52件が策定済み(うち6件未発効)。同技術規則には、次のようなものがある。

      • 幼児・未成年者用製品に関する技術規則(2011年9月23日付関税同盟委員会決定第797号、2012年7月1日より発効)
      • 自動車用ガソリン、飛行機用ガソリン、ディーゼル燃料、船舶用燃料、軽油、ジェット燃料に対する基準に関する技術規則(2011年10月18日付関税同盟委員会決定第826号、2012年12月31日より発効)
      • 爆発性環境用設備の安全性に関する技術規則(2011年10月18日付関税同盟委員会決定第825号、2013年2月15日より発効)
      • 設備・機器の安全性に関する技術規則(2011年10月18日付関税同盟委員会決定第823号、2013年2月15日より発効)
      • 石油の安全性に関する技術規則(2017年12月20日付ユーラシア経済委員会理事会決定第89号、2019年7月1日より発効)
      • 消防・消化設備の要件に関する技術規則(2017年6月23日付ユーラシア経済委員会理事会決定第19号、2020年1月1日より発効)
      • 天然ガスの安全性に関する技術規則(2018年9月14日付ユーラシア経済委員会理事会決定第74号、2022年1月1日より発効)

      また、未発効の技術規則には、次のようなものがある。

      • 化学製品の安全性に関する技術規則(2017年3月3日付ユーラシア経済委員会理事会決定第19号未発効)
      • ミネラル肥料の要件に関する技術規則(2016年11月30日付ユーラシア経済委員会理事会決定第150号未発効)
      • アルコール製品の安全性に関する技術規則(2018年12月5日付ユーラシア経済委員会理事会決定第98号、2024年1月1日より発効予定)
    3. 検疫証明書を要する品目

      特定の植物および動物、植物性・動物性食品、飼料の輸入に当たって、それぞれ検疫局が交付する検疫証明書*と品質証明書(または動物検疫証明書)が必要である。

      * 根拠法:

      • 衛生・動物衛生・植物検疫措置の適用に関する議定書(ユーラシア経済連合条約附属書12)
      • 2014年7月21日付連邦法206-FZ号「植物の検疫について」
      • 「ユーラシア経済連合の税関及び関税地域における検疫対象物及び検疫対象製品に対する統一植物検疫要件の設定について」(2016年11月30日付ユーラシア経済委員会理事会決定第157号)
      • 「ユーラシア経済連合の検疫対象物の統一リストの設定について」(2016年11月30日付ユーラシア経済委員会理事会決定第158号)
      • 「ユーラシア経済連合の税関及び関税地域における植物検疫の確保に関する基準及び規定の設定について」(2016年11月30日付ユーラシア経済委員会理事会決定第159号)
      • 2014年12月15日付農業省規程第501号「検疫検査対象品目リストの承認について」
  5. 2018年2月2日付「ユーラシア経済連合における、識別措置による商品のマーキングに関する協定」に従い、2018年4月28日付連邦政府指示第792-r号により承認された品目(たばこ、タイヤ、香水、写真機、衣類、乳製品等)について義務的なマーキングが導入される。既に2019年3月1日(たばこ)、2019年7月1日(靴類)、2019年12月1日(タイヤ、香水、写真機など)、2021年1月1日(軽工業商品(衣類等))に導入済み、2021年6月1日よりチーズ、2021年9月1日より一部の乳製品、2021年12月1日よりさらに一部の乳製品およびボトリングされた水に対してマーキングが導入された。また、自転車について2023年3月1日より導入される予定。マークのない商品について、輸入、保管、販売などが禁止される。

    また、別途、医薬品についても、2010年4月12日付連邦法第61-FZ号「医薬品の流通について」の改定に従い、2020年7月1日より医薬品に対するマーキングが義務付けられているが、2020年9月末までにロシア国外で製造された医薬品について、その輸入が2021年1月1日まで認められた。

輸入地域規制

国連が経済制裁として貿易取引を規制する国を除き、特にない。

国際社会が制限する場合(国連の経済制裁など)を除き、特に輸入制限はない。輸入制限の例としては、国連安保理事会決議に基づいて制定された大統領令により、2001年5月7日から2002年5月7日まで、リベリアからのダイヤモンド原料の輸入が禁止された。
また、連邦動植物検疫局は、動物疫病などが発生しているおそれのある特定の国に関して、特定の商品の輸入禁止命令を発することができる。

一時的輸入禁止/停止措置

2011年3月11日に発生した東日本大震災、および福島第1原子力発電所が被災した影響により、日本の242の水産加工施設からの輸入については、一時的に停止された(2011年4月6日付連邦動植物検疫監督局第FS-NV-4/3975号書簡)が、2023年1月現在、日本国内の184の水産加工施設からの輸入が許可されている。
このほか、新型インフルエンザの感染拡大や牛海綿状脳症(BSE)の発生などにより、暫定的に輸入禁止措置が導入されることもある。

対ロ制裁導入国に対する特別経済措置

2014年8月6日付大統領令第560号「ロシア連邦の安全確保のための個別特別経済措置の適用について」、および同大統領令の実施措置に関する2014年8月7日付連邦政府決定第778号に従い、米国、EU、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、ウクライナ、アルバニア、モンテネグロ、アイスランド、リヒテンシュタイン、英国産の農産品・原材料・食料品の輸入が禁止されている。2023年1月13日現在、同禁止措置は、2022年10月11日付大統領令第725号と2022年10月17日連邦政府決定第1843号により、2023年12月31日まで延長された。

輸入関連法

貿易取引に関する基本原則は、ユーラシア経済連合条約の一環として、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスで統一した規定や手続きを定める「ユーラシア経済連合関税基本法」、ロシア国内の税関制度(特に税関の構造、関税支払手続など)を定める2010年11月27日付連邦法第311-FZ号「ロシア連邦における税関規則について」(2010年12月に発効)の2つにより規定されている。関税同盟の規定の一部、連邦税関局(旧国家税関委員会)の法令や税法等においても、輸入取引が規定されている。

  1. ユーラシア経済連合条約(2014年5月29日署名)
  2. ユーラシア経済連合関税基本法(2017年4月11日付「ユーラシア経済連合関税基本法に関する条約」により作成、2018年1月1日発効)
  3. 2011年11月27日付連邦法第311-FZ号「ロシア連邦における税関規則について」(2010年12月29日に発効):輸出入手続き一般
  4. 1998年7月16日付国税基本法第1部:関税の支払いに関する基本方針を規定。
  5. 2000年7月19日付国税基本法第2部:輸入品への付加価値税および物品税の課税を規定。
  6. 2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号付属書1「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入の禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」、2016年11月1日付連邦政府決定第1113号「交付済みの許認可のデータ・ベースの制定・管理について」。
  7. 2003年12月8日付連邦法第165-FZ号(2006年12月30日付同法の修正および追加)「商品の輸入に関する特別セーフガード措置、アンチダンピング措置、相殺措置について」:輸入制限措置の発動に関してその根拠および手続きを規定。
  8. 1993年5月21日付連邦法第5003-I号「関税率について」:関税の設定、適用を規定。
  9. 2010年5月20日付関税同盟委員会決定第257号「通関申告書の記入と様式について」および2012年4月26日付関税同盟委員会決定39号「関税同盟委員会決定第257号の修正と追加について」
  10. 2001年2月7日付国家税関委員会規程第131号「ロシア連邦国内への輸入品の付加価値税課税手続きについて」(国税基本法の規定に抵触しない部分のみ適用される)
  11. 2010年10月16日付関税同盟委員会決定第160号「関税価格の申告書の記入の義務、関税価格申告書の様式、関税価格申告書の記入の手続について」関税価格申告書の様式や所定手続を規定。
  12. 2018年8月3日付連邦法第289-FZ号「ロシア連邦における税関規則及び特定のロシア連邦法律の改正について」
  13. その他、個別通関手続きなどの規則を制定する多数の旧国家税関委員会および連邦税関局の規程

輸入管理その他

輸入規制品目に関しては、その輸入の適法性を証明する文書の税関など関係機関への提出がロシア側の輸入者に求められる。また、原産地証明書の提出が義務付けられる場合もある。日本からの輸入については、特に規制はない。

ロシアが加盟する国際条約または国内法に基づき、関税優遇措置を受ける国を原産国とする商品の輸入に関しては、原産地証明書の提出が求められる。原産地証明書がない場合、関税優遇措置は適用されないが、通関は認められる。
また、特定の国を原産国とする特定の品目についてアンチダンピング措置などの保護措置が講じられた場合、当該品目が輸入される際、原産国が保護措置の対象外であることを証明するため、原産地証明書の提出が求められることがある。

輸出品目規制

輸出禁止品目、輸出割当対象品目、輸出許可を必要とする品目、適合性検査証明書を必要とする品目がある。

  1. 輸出禁止品目

    輸出禁止は、ユーラシア経済連合条約により認められる非関税措置の1つであり、その適用は「第三国に対する非関税措置に関する議定書」(ユーラシア経済連合条約附属書7)において定められている。また、2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号により、「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入の禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」が作成された。当該リストにおいて、特定の木材、ボール紙、古紙類、武器、オゾン層を破壊するものなどが、輸出禁止あるいは制限が可能な商品となっている。

    文化遺産と認定されたもの、創出後100年を超える文化財産(ただし、例外あり)については、1993年4月15日付連邦法第4804-I号「文化財の輸出入について」などにより輸出が禁止される。

    なお、2007年12月15日付連邦政府決定第877号に基づき、輸出禁止・規制の対象となり得る品目のリストが承認された。これを受け、2010年8月5日付連邦政府決定第599号「ロシア連邦内からの一部農産品の時限輸出禁止措置の導入について」に従い、同年8月15日から2011年6月30日までの間、穀物類の輸出が禁止された。

  2. 輸出割当対象品目

    輸出割当は、ユーラシア経済連合条約により認められる非関税措置の1つであり、その適用は「第三国に対する非関税措置に関する議定書」(ユーラシア経済連合条約附属書7)において定められている。輸出入の禁止・割当の対象となり得る品目については、2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号付属書1「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入の禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」において規定されている。
    例として、2017年12月12日付連邦政府決定第1520号「ロシア連邦から第三国へ輸出される特定種類の木材の関税割当について」に従い、一定の木材の種類について1年当たりの数量的割当が決定され、当該割当内の木材について通常より低い輸出関税率が適用される。

    また、小麦、ライ麦、大麦について、毎年、2月15日~6月30日までの期間を対象に、輸出割り当てが導入される。2023年2月15日より2023年6月30日までの間、穀物について255万トンの合計輸出割り当てが導入された(2021年12月31日付連邦政府決定第2595号)。

  3. 輸出許可を必要とする品目

    「第三国に対する非関税措置に関する議定書」(ユーラシア経済連合条約附属書7)に従い、輸出許認可などに関する統一のルールが規定された。法令により許可の取得を必要とする輸出品は、次のとおり。これらの許可は、商品の種類によって、各担当省庁が行う。また、ライセンスなどの交付手続について、「特定の商品の輸出ないし輸入に関するライセンス及びその他許可書類の交付の国家サービスの提供に関するロシア産業商務省行政規程」において定められている。

    1. 野生の動物、野生の植物、象牙、角、ひづめ、さんご、ならびに同類品
    2. 医薬用の生野菜、動物
    3. 魚、甲殻類、軟体動物、その他の水中の無脊椎動物、チョウザメや鮭等の卵
    4. 爆発性物質
    5. 暗号解読機器
    6. 原子力関連物資・技術・機械・設備、特別な非原子力物資、放射線を放出する物資(放射性廃棄物を含む)
    7. 鉱物学や古生物学上収集される物、宝石に準じた古生物学的物質、宝石、その他
    8. 貴金属、合金、貴金属から作られた製品、貴金属で覆われた製品、貴金属の鉱石、貴金属の濃縮物、その他
    9. 天然の宝石、真珠、琥珀製品
    10. ロシア国内および大陸棚・排他的水域内にある鉱物資源に関する情報
    11. 麻薬、向精神薬、毒物
    12. 兵器もしくは軍事用の機器の製造に使われる可能性のある原材料、その他の資材、機械、技術、科学・技術情報
    13. 通常であれば平和的に利用されるが、ミサイル、原子力兵器、化学兵器、その他の種類の大量破壊兵器の製造に使われる可能性のある原材料、機械、技術
    14. 木材(特定の種類)
    15. 原油、天然ガス、石油加工物、炭化水素原料
    16. 医薬品、医薬品の原材料(特定の種類)
    17. 特定の無線通信機器
    18. 工業廃棄物
    19. 兵器
    20. オゾン層を破壊するもの
    21. その他

    農業省は、2019年5月23日付農業省令第267号「極東漁場のための漁業規則について」を制定し、漁業資源の乱獲や活ガニの密輸に対する規制を強化している。

    針葉樹種と高級広葉樹種の原木について、2022年1月1日より、ロシア全国の通関箇所が2カ所に制限され、事実上、輸出禁止措置が施行された(2021年7月20日付連邦政府決定第1225号)。

ウクライナ侵攻に伴い導入された対ロシア制裁への対抗策として、2022年3月8日付大統領令第100号「ロシア連邦の安全保障確保のための対外貿易における特別経済措置の適用について」に従い、特定の商品について、2022年12月31日まで(その後2023年12月31日まで延長)の期間中、輸出禁止・輸出制限が導入された。ユーラシア経済連合およびその他一定の地域以外への輸出の禁止の具体的な対象品目について、2022年3月9日付連邦政府決定第311号「2022年3月8日付大統領令第100号の実施の措置について」において規定された。またいわゆる「非友好国」への木材やデュアルユース製品等の禁止の対象品については、2022年3月9日付連邦政府決定第313号「2022年3月8日付大統領令第100号の実施の措置について」において規定されている。このほか、前記の輸出禁止の対象商品について、輸出制限(輸出許可制)の具体的な対象品目のユーラシア経済連合およびその他一定の地域への持ち込みについて、2022年3月9日付第312号「一部の商品のロシア連邦の国外への持ち出しに関する暫定的な許可制の導入について」により具体的な品目のリストが規定されている。

輸出地域規制

国連が経済制裁として貿易取引を規制する国を除き、特にない。

国際社会が制限する場合(国連の経済制裁など)を除き、特に輸出地域に関する制限はない。
国連安保理事会・武器輸出禁止決議に基づき、大統領令により当該輸出規制措置が講じられる。具体的には、リベリア、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、シエラレオネ、ウガンダ等を対象として、当該決定がなされたことがある。

輸出関連法

ユーラシア経済連合条約の一環として、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスで統一した規定や手続きを定める「ユーラシア経済連合関税基本法」、ロシア国内の通関制度(特に税関の構造、関税支払手続等)を定める「ロシア連邦における税関規則について」、連邦法「外国貿易の国家規制」、連邦税関局(旧国家税関委員会)の法令、他。

  1. ユーラシア経済連合条約(2014年5月29日署名)
  2. ユーラシア経済連合関税基本法(2017年4月11日付「ユーラシア経済連合関税基本法に関する条約」により作成、2018年1月1日発効)
  3. 2011年11月27日付連邦法第311-FZ号「ロシア連邦における税関規則について」(2010年12月29日に発効):輸出入手続き一般(ユーラシア経済連合関税基本法に抵触しない部分のみ適用)
  4. 1998年7月16日付国税基本法第1部:関税の支払いに関する基本方針を規定。
  5. 2003年12月8日付連邦法第164-FZ「外国貿易の国家規制の基礎について」
  6. 2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号付属書1「第三国との貿易における、ユーラシア経済共同体枠内の関税同盟加盟国による輸出入の禁止・制限措置の対象となる品目の統一リスト」、および2005年6月9日付連邦政府決定第364号「商品の貿易における許認可制について」:許可が必要な品目や許認可手続きを規定。
  7. 1993年5月21日付連邦法第5003-I号「関税率について」:関税の設定、適用を規定。
  8. 2010年5月20日付関税同盟委員会決定257号「通関申告書の記入と様式について」
  9. 2018年8月3日付連邦法第289-FZ号「ロシア連邦における税関規則及び特定のロシア連邦法律の改正について」
  10. 2022年2月28日付大統領令第79号「アメリカ合衆国及びこれと共同した諸外国並びに国際機関の非友好的な行為に伴う特別経済措置の適用について」
  11. その他、関税同盟の協定、個別通関手続き等の規則を制定する多数の国家税関委員会規程

輸出管理その他

国際基準に基づき、大量破壊兵器等の開発・製造に使われるおそれのある物資、技術、知的財産等の輸出に関して、1999年7月18日付連邦法第183-FZ号「輸出管理について」に従い、特別の輸出管理の枠組みが創設された。なお、具体的な手続きについては、2008年9月15日付連邦政府決定第691号「輸出管理対象である商品、情報、役務、サービス、知的活動の成果(権利)に関する対外貿易取引の許認可の規則の承認」が適用される。