外資に関する規制

最終更新日:2017年03月27日

規制業種・禁止業種

特定産業(軍需工業、旅客航空業、保険業、地下資源の開発など)については、外国企業による事業(活動)が禁止されており、私有化への参加(参入)、外資の出資比率、役員等の国籍要件等に制限がある。

概要

一般的な制限・禁止(外国企業のみならず、国内企業にもおよぶ)に関しては、軍需産業、原子力産業等の「戦略的産業」が挙げられる。私有化が禁止され、あるいは、厳格に制限されるケースが多い。
例として、2003年3月26日付連邦法第36-FZ号「過渡期における電力事業の特例ならびに連邦法『電力事業について』の制定に伴うロシア連邦法の一部廃止について」の第9条に従い、特定企業については連邦政府が保有する資本金の割合を減らしてはならない。2004年8月4日付大統領令第1009号により承認された「戦略的な意義を有する企業および株式会社のリスト」では、私有化が認められない企業(合計で約110社)が特定された。

なお、外国投資について、1999年7月9日付連邦法160-FZ号「ロシア連邦における外国投資について」(外国投資法)第4条1項では、外国投資家には、国内企業に対して与えられている待遇より不利でない待遇を許与しなければならないとされているが、同外国投資法第4条2項では、憲法体制の基礎、公序良俗、国民の健康、第三者の権利および合法的な利益の擁護、国防と国家の安全に必要な程度に限り、別途連邦法で規定を設けることができるとしている。

特定産業の制限

具体的な制限については、2008年4月29日付連邦法第57-FZ号「国防および国家安全保障について戦略的意義を有する事業者への外国投資の手続きについて」において規定されている。この制限は、特定の分野において活動を行う企業と一定の基準に該当する地下資源埋蔵地を使用する企業にかかる。制限分野としては、原子力関連施設・放射性廃棄物等の取扱い、兵器開発・製造、マスメディアなど45項目が規定されている。

なお、閉鎖行政地域(軍需企業等が所在し、特別な管理体制の対象とされる地域)において、外資企業を設立する際には、当該軍需企業等を担当する連邦行政機関および取締当局の承認の取得が必要要件である。

  1. 地下資源関連産業
    地下資源については、ウラニウム、ダイヤモンド、高純度の水晶原石、イットリウム類希土類元素、ニッケル、コバルト、タンタル、ニオブ、ベリリウム、リチウムおよびプラチナ類金属、埋蔵量が7,000万トン以上の油田、同500億立方メートル以上の天然ガス田、同50万トン以上の金および銅鉱脈で、ロシア連邦の内海、領海、大陸棚にある地下資源鉱区は「連邦管轄埋蔵地」として位置づけられている。埋蔵地(陸上埋蔵地や大陸棚・内海・領海の地下資源を合わせておよそ1,300カ所。2009年3月5日にエネルギー省により発表され、現在に至るまで追加が行われてきた)を利用する企業は制限の対象となる。

    制限の内容としては、株式購入等の方法によって上記に該当する企業の経営権を取得するためには特別な事前承認手続きが必要となることである。なお、上記の連邦管轄埋蔵地の利用者はロシア法人でなければならず、さらに、大陸棚にある連邦管轄埋蔵地の利用者は、ロシア連邦の定款資本の持分が50%を超えるロシア法人でなければならない(1992年2月21日付連邦法第2395-I号「資源について」第9条)。

    大陸棚の資源開発に関しては、地下資源の発掘、探査、開発に関する入札への外国企業の参加を制限し、ロシア企業のみを対象とする入札を行うこともある(1995年11月30日付連邦法第187-FZ号「ロシア連邦の大陸棚について」)。
  2. 輸送関連産業
    外国企業が営業することが全面的に禁止されている業種として、ロシア国内の自動車運送事業(乗客・貨物とも)が挙げられる(1998年7月24日付連邦法第127-FZ号「国際自動車貨物事業に関する国家管理ならびにその事業に関する規則違反に対する責任について」第7条)。

    また、外国航空会社がロシアにおいて国内航空運送を行うには、民間航空を管轄する国家機関の特別免許を受けなければならず(1997年3月19日付連邦法第60-FZ号「航空基本法」第63条)、ロシア国内海運については、ロシアを旗国とする船舶のみが行うことができるとされているが(1999年4月30日付連邦法第81-FZ号「商業海運基本」第4条)、連邦政府が締結する国際条約に別の定めがある場合は除外される。

    ただし、例外的に、2012年5月24日付連邦政府決定第504号に定められている場合、連邦政府の特別の許可を得て、外国船籍の船舶も国内海運事業を行うことができる。また、外国法人と外国船籍の船舶は商業活動として漁業を行うことができない(2004年12月20日付連邦法第166-FZ号「漁業および海洋生物資源の保護について」第16条第4項)。
  3. マスメディア等
    1991年12月27日付連邦法第2124-1号「マスメディアについて」第19.1条によれば、外国法人、または、外資系の出資率が50%以上を占めるロシア法人または、二重国籍を有するロシア人は、テレビ・ラジオのチャンネルの設立ならびに定期的に放送されるテレビ・ラジオ・ビデオ番組を制作することができず、また、外国人、無国籍者、二重国籍を有するロシア人、外国法人、外資系の出資率が50%以上を占めるロシア法人は、ロシアの構成主体(州等)の領域の半分以上をカバーし、あるいは、ロシア連邦の人口の半分以上が居住する地域をカバーする放送組織(法人)を設立することができなかった。なお、テレビ・ラジオのチャンネル、定期的に放送されるテレビ・ラジオ・ビデオ番組、これら放送組織(法人)の50%以上の外資への譲渡は禁止されていた。

    同法は2014年9月26日付で改正が行われ2016年1月より発効した。改正後の第19.1条によれば、従来の外資系の規制対象となる出資比率が直接的・間接的を問わず20%超へと引き下げられるとともに、「マスメディア」の定義が従来のテレビ・ラジオ・ビデオ番組に限らず、定期出版される印刷物やインターネット配信情報も含まれることになった。
  4. 建築業
    建築業務に関しては、外国法人・個人がこれを行う場合、ロシアの個人または法人の建築業者との提携が義務付けられている(1995年11月17日付連邦法第169-FZ号「建築業務について」)。
  5. 金融業
    ロシアにおける銀行業務、保険業務、証券業務ならびにその他一部の事業活動においては、事業許可の取得が必要であり、多くの事業許可はロシア現地法人であることを必要条件とする。ただし、外資100%出資のロシア現地法人の設立は、特定の業種を除いて認められている。

    また、銀行業務については、ロシアの銀行が外国において銀行業務の制限を受ける場合、ロシア中央銀行は、当該外国の銀行によるロシア国内の銀行業務についても制限を設けることができる(ただし、ロシアが参加する国際条約において別の規定がある場合を除く)(1990年12月2日付連邦法第395-I号「銀行および銀行業について」第18条)。

事業許可が必要な業種

事業許可の取得が必要となる活動については、2011年5月4日付連邦法第99-FZ号「特定種の事業に関する許可について」にて定められている。

同法が定める事業許可の対象業種は約50業種である(2017年1月現在)。許可対象業種の例として、航空機設計・製造、薬品・医療設備の製造、乗客・貨物輸送等が挙げられる。許可対象業種は年々減少傾向にあり、2009年1月1日に監査活動、2009年6月30日にギャンブル用具の製造およびカジノの運営、2010年1月1日に建物・施設の計画・建築活動における許可制度が廃止された。各対象業種については、連邦政府が資格要件等を規定する許可交付規則を作成し、許可手続については、担当省庁が審査、交付を行う。

同法の適用範囲外においても、銀行業、保険業、アルコール関連業、通信、教育、天然資源利用を含む許可対象業種がある。

許可を交付する省庁は、すべての必要書類が提示されてから45日以内に、許可交付の可否を回答することが義務付けられている。

出資比率

外国投資法において、100%外資出資の現地法人(有限会社や株式会社)の設立が可能である。ただし、特定の産業において、外資の出資比率に制限がある。

ロシアでは、外国資本100%出資の現地法人(株式会社や有限会社、その他)の設立が認められている。ただし、保険業、旅客航空業、軍需工業などの特定の業種においては、外国資本の出資に制限がある。

航空業

外国資本出資の航空会社の設立に当たっては、外資による出資が資本金の49%以下で、社長がロシア国籍を有し、経営管理機関における外国国籍を有する構成員の比率が3分の1を超えないという要件を満たさなければならない(1997年3月19日付第60-FZ号「航空基本法」)。

保険業

保険業務に関しては、ロシアの保険会社に外資が出資する際、連邦保険監督局の事前認可を受けなければならず、外国企業の子会社または外資の出資率が49%以上の保険会社が取り扱うことのできる保険の種類は制限されている(強制保険、生命保険、国家資産保険は取扱うことができない)。

ロシアにおける全保険会社の合計資本金に占める外資保険会社の出資比率が50%に至った場合、外資の出資に対する認可は交付されなくなる(1992年11月27日付連邦法第4015-1号「ロシア連邦における保険業務について」)。2017年1月31日現在当該比率は20.93%である(2016年2月20日付ロシア中央銀行書簡「保険会社への外国出資の比率(クオータ)について」)。

金融業

以前は、中銀からの指導(1993年4月8日付書簡第14号「ロシア国内における外資系銀行の設立の条件について」)により、ロシアにおける銀行の資本金全体に占める外国資本の出資比率は、12%の上限が設けられていた。この規制は、2002年11月4日付中央銀行規則第1204-U号「外資系信用組織の登記の特例および外資による増資の事前許可取得手続に関する規制の第3号の廃止について」に基づき、廃止された。

現状、ロシアの銀行の資本金全体に占める外国資本の上限(クオータ)は、50%と設定されている(1990年12月2日付連邦法第395-I号「銀行および銀行業について」第18条)。
1997年4月23日付ロシア中央銀行規則第02-195号「外国資本出資の銀行の設立の特例ならびに非居住者の資金による銀行の増資にかかわるロシア銀行の事前許可の手続きについて」に従い、銀行への外国投資について、特別の手続きが適用される。

その他

天然ガス供給・輸送用パイプラインの運営等においても出資制限が設けられている。

外国企業の土地所有の可否

外国人は、ロシア人と同様、建物の所有は可能。2001年10月に採択された土地基本法では土地の所有権を外国人にも認めている(農地および大統領令で定める国境隣接地、港湾用地を除く)。ただし、土地基本法の施行規則や登記制度が未整備なことから実際はまだ土地の売買には難しい側面がある。

ロシアでは土地基本法が2001年10月25日付で成立。土地基本法は、土地の取引に関する一般的なルールを定めている。同法は、モスクワ市とサンクトペテルブルク市を含むすべてのロシア領土に適用される。

土地基本法の主な内容は次のとおり。

  1. 土地の所有権者は「国(連邦および連邦構成体)」と「地方自治体(市町村)」と「民間」の3通りに区分。土地に関する権利は、所有権、相続権が付帯した個人の生涯にわたる占有権(同法が発効する前に生じた「相続権が付帯した個人の生涯にわたる占有権」が維持されるが、この権利を新たに取得することはできない)、賃貸権、一定期間の無償利用権、地役権などが定められている。
  2. 個人、法人とも同等の土地購入権が与えられている。
  3. 連邦構成体行政府が所有する土地は、個人や法人に売却することができる。建物の権利を有している個人や法人は、その建物が合法に建てられている土地の私有化を申請する権利を有する。建造用地の売却は、連邦法で私有化が禁止されている場合や連邦構成体行政府の特殊な用途のために所有されている土地である場合を除き、自由に行われる。
  4. 土地は連邦の登記機関に登記することが義務づけられる。
  5. 土地基本法では、外国人にもロシア国民と同様の土地を購入して保有する権利を認めている。

    ただし、同法は、外国人(個人)や外国法人に対して次のような規定を設けている。
    • 外国人(個人)、外国法人は、国境地帯など、大統領が定める特定地域における土地の所有は認められない(土地基本法第15条3項)。所有禁止の対象となっている具体的な地域については、2011年1月9日付大統領令第26号において定めがあり、ウラジオストク市、ハバロフスク市を含む380カ所の市町村または行政区が含まれている。
    • 建物の所有者であって、その建物が合法的に建てられている土地を所有しないものは、当該土地が譲渡されるとき、これの購入または賃借について優先権を有する。ただし、外国人個人・外国法人が上記の優先権を履行する場合、土地基本法に定める制限が適用される。また、大統領は、優先規定を適用しない建物の一覧を別途制定することができる(土地基本法第35条5項)。
    • 外国人(個人)や外国法人には、土地の無償交付は認められない。

土地基本法以外にも、土地の用途や立地によって適用される法規がある。
農地については、外国人(個人)、外国法人、ならびに外国人(個人)・外国法人の出資が50%を超えるロシア法人は、賃借して使用することのみ認められる(農地取引法第3条)。
また、2007年11月8日付連邦法第261-FZ号「港湾について」では、港湾用地は外国人(個人)、外国企業による所有が禁止されている。

資本金に関する規制

会社を設立する際の最低資本金は、公開型株式会社の場合は10万ルーブル、非公開型株式会社と有限会社の場合は1万ルーブル。
株式会社は、登記後3カ月以内に資本金の半分以上を、残りを登記後1年以内に支払う必要がある。一方、有限会社は、登記後4カ月以内に全額を支払う必要がある。
なお、業種によっては、さらに高い最低資本金の要件が設けられている(証券業務、銀行業務、保険業務その他)。

1995年12月26日付連邦法第208-FZ号「株式会社について」(株式会社法)により、公開型株式会社(PAO)を設立する場合の最低資本金は10万ルーブル、非公開型株式会社を設立する場合の最低資本金は1万ルーブルと定められている。
また、1998年2月8日付連邦法第14-FZ号「有限会社について」(有限会社法)により、有限会社(OOO)を設立する場合の最低資本金は1万ルーブルである。
業種によっては、さらに高い最低資本金の要件が設けられているものもある(証券業務、銀行業務、保険業務その他)。

資本金は、金銭、有価証券または金銭的価値のあるその他の権利の対価として支払う。有限会社の資本金は、登記から4カ月以内に支払う必要がある。株式会社の場合、登記後3カ月以内に資本金の半分以上を、残りの分は登記から1年以内に支払う必要がある。現物出資の場合には、出資する資産の価値について、鑑定士による証明書類を要する場合がある。

2017年1月現在、非居住者による出資を外貨で行うことは認められている。

その他規制

優遇税制の適用条件に、現地調達率の規制がある場合あり(国産化率など)。
個人情報の取り扱いに関する法律が2015年9月に改正され、ロシア国民の個人情報に関しては、一定の条件の下、ロシア国内のサーバー等で保存・管理することが必要となった。

  1. 政府調達の制限
    政府調達に関しては、2013年4月5日付連邦法第44-FZ号「国家または地方自治体に提供される商品・役務・サービスの発注に関する契約体制について」第14条により、外国の業者に対して、内国待遇が適用される。ただし、業者の本国において、ロシア企業に対して政府調達に関する制限がある場合を除く。

    また、国防、国内市場の保護、国内経済の発展、ロシア生産者の支援等のために、外国の商品、サービス、役務について政府調達の制限を導入することがある。政府調達の制限には次のようなものがある。
    1. 2014年7月14日付連邦政府決定第656号「機械製造業の特定の品目に対する国および地方自治体の調達への参入禁止の導入について」に従い、ロシア国外で製造された建設機械の政府調達への参入が禁止された。
    2. 2014年8月11日付連邦政府決定第791号「国および地方自治体の調達における外国製の軽工業品の参入および(または)レンタルの禁止について」に従い、同等品がロシア国内で製造されている場合、当該工業品は政府調達に参入することができない。
    3. 2015年2月5日付連邦政府決定第102号「国および地方自治体の調達における特定の外国製医療製品の参入制限の規定について」および2015年11月30日付連邦政府決定第1289号「国および地方自治体の調達における必須医薬品リストの医薬品について外国製医薬品の参入制限および参入条件について」に従い、特定の医療機器と医薬品の公共調達もそれぞれ2015年2月14日と2015年12月10日より制限された。
    4. 2015年11月16日付連邦政府決定第1236号「国および地方自治体の調達における外国製ソフトウェアの参入禁止について」に従い、特別登記簿に登録されたロシア製ソフトウェアと同等クラスの外国製ソフトウェアの発注が原則禁止された。上記禁止の例外として、特別登記簿に登録されたロシア製ソフトウェアが発注スペックを満たさない場合に外国製ソフトウェアの購入が認められる。
    5. 2016年8月22日付連邦政府決定第832号「国および地方自治体の調達における特定の外国産食品の参入制限について」および2016年9月26日付連邦政府決定第968号「国および地方自治体の調達における特定の外国製通信電子機器の参入制限および参入条件について」のそれぞれに従い、特定の食品および通信電子機器の参入についても制限された。

    連邦政府は、国防に関する物資の調達等について、外国産の商品や外国業者が提供するサービスについて禁止・制限を設けることができる。
    また、生産物分与協定(PSA)法(「税制」を参照)には、生産物分与契約の実施に際して、ロシア法人は、請負業者、調達業者、郵送業者等として、優先的に使用される権利がある。
  2. 個人情報の国内管理規制
    企業等が取得した個人データをロシア国内にあるサーバーで保管し処理すること(データローカライゼーション)を義務付ける法律(2014年7月21日付連邦法第242-FZ号「情報・電子通信ネットワークにおける個人情報の処理手続きの適正化に関する一部のロシア連邦法の改正について」)は、ロシア個人情報保護法を含む3つの連邦法の改正法として、2015年9月1日に施行された。同改正法では、ロシア国内の事業者(外資系企業の現法、支店および駐在員事務所を含む)および海外の事業者であっても、ロシア国内向けのウェブサイトを通じて個人情報を収集する者(オペレーター)は、ロシア国民の個人情報をロシア国内で保存、管理しなければならない。また、オペレーターは、個人情報(ロシア国民のものであるか否かを問わない)を処理するサーバーの場所を含む通知を通信・情報技術・マスコミ監督庁(Roskomnadzor)に提出しなければならない場合もある。

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