外資に関する奨励

最終更新日:2017年03月27日

奨励業種

外資に対する奨励業種は特にない。ただし、特定企業に対して、外国政府、国際機関、外国銀行等からの融資にロシア政府保証が付与され、これらが国家予算に組み込まれることがある。

各種優遇措置

外資のみを対象とした奨励措置は存在するが、それ以外にも内外を問わぬ投資奨励措置を導入している。

優先的投資プロジェクトに対する優遇措置

1999年7月9日付連邦法第160-FZ号「ロシア連邦における外国投資について」において、外資プロジェクトに対する優遇措置を適用する条件が規定された。大規模なプロジェクト(外国投資の総額が10億ルーブル以上、または外国の資本出資が1億ルーブル以上のプロジェクトで、「優先的投資プロジェクト」という)については、グランドファーザー条項(新規則制定後もそれ以前の既得権を認める)の適用が定められた(同法第9条)。

すなわち、一定の条件が満たされた場合、輸入関税率、国内税率(ただし付加価値税や物品税を除く)、社会保障給付の引き上げ、または投資家等の税負担の増大につながる国内法の変更は、一定期間において、優先的投資プロジェクトを実施する外国投資家または外資企業に適用しない(原則として、当該投資プロジェクトの投資回収期間までとされているが、この期間は7年を上回ってはならない)(同法第9条)。

しかし、上記の優遇措置を受けるためには、優先的投資プロジェクトは経済発展省で登録を行い、ロシア政府(内閣)により承認される「優先的投資プロジェクトのリスト」に盛り込まれなければならないが、当該登録手続の規則は制定されておらず、政府の「優先的投資プロジェクトのリスト」も作成されていないので、事実上、上記の措置の適用は難しい。

税制上の優遇措置

定款資本への現物出資として輸入される物資については、関税の免税(根拠法:1993年5月21日付連邦法第5003-I号「関税率について」第34条ならびに1996年7月23日付連邦政府決定第883号「外国投資企業の定款<合同>資本金への出資として外国投資家が持ち込む物品にかかる関税および付加価値税の免税について」。しかし、物品税課税対象物は対象外。外資企業への出資の場合のみ。他の要件あり)が認められる。

また、ロシア国内に輸入される技術機器(部品、予備品)について、ロシア政府が指定する品目については、通関時免税扱いとなる(根拠法:国税基本法第150条第7項、2009年4月30日付連邦政府決定第372号「ロシア連邦で生産されていないもので、ロシア連邦へ輸入の際、付加価値税が課されない技術機器(部品、予備品を含む)のリストの承認について」)。

2015年7月16日付連邦政府決定708号「特定産業に対する特別投資契約」では、ロシア政府が輸入代替化を推進する特定産業(医療機器、農業機械等)に関して、ロシア国内生産および改良のための投資に対する助成金や税制上の優遇措置が設けられた。特別投資契約として認定を受けるための最低投資額は7億5,000万ルーブルであり、契約期間は最長で10年とされている。

また、外国人またはロシア国内において駐在員事務所・支店として登記した外国組織を対象に賃貸借契約により事務・住居施設が提供される場合、その提供者は付加価値税の免税を受ける(国税基本法第149条第1項)。相互主義に基づき、一定の国は、この規定の適用から除外され、あるいは適用が制限されているが、日本に関しては制限なしに適用されている(2007年5月8日付外務省・財務省共同書簡第6498/40n号「ロシア国内において店舗・住宅の賃貸に際して、付加価値税の免税を受ける個人または組織が属する国家の一覧の承認について」)。

企業利潤税(法人税)のうちの一部が地方政府の財源となるが、地方政府が軽減できる税率は4%までとする制限が設けられている。

特別経済区

2005年7月22日付連邦法第116-FZ号「ロシア連邦における特別経済区について」により、特別経済区(以下、特区)の制度が導入された。
特区には、工業生産型特区、研究開発型特区、観光・レクリエーション型特区、港湾型特区の4種類がある。特区の設置期間は49年とされている。観光・レクリエーション型特区以外の特区については住宅を置いてならないという制限が設けられている。

工業生産型特区について、区内に事業を行う対象企業(resident、特区内企業)としては営利会社のみ認められ、最低投資額は1億2,000万ルーブル(うち、4,000万ルーブルを最初の3年間に固定資産に投資すべき)。また、工業生産型特区の面積は40平方キロメートルを上回ってはならない。
研究開発型特区について、対象企業は営利会社または個人事業者であり、4平方キロメートルを上回ってはならない。特区内企業は、特区外に支店・代表事務所を置いてはならない。なお、特区内において、天然資源の採掘、乗用車とバイク以外の物品税対象製品の製造、天然資源の加工、鉄・非鉄スクラップの処理事業は禁止されている。

観光・レクリエーション型特区についての対象企業は営利会社または個人事業者であり、上記のような面積の制限の適用はない。

港湾型特区は、対象企業が営利会社であり、海港、国際河川港、国際空港において整備され、この面積は50平方キロメートルを超えてはならず、存続期間は49年である。港湾のインフラ施設の建設または再建工事が予定される場合には、それぞれの場合の最低投資額は、4億ルーブル(うち、4,000万ルーブルを最初の3年間に固定資産に投資すべき)と1億2,000万ルーブル(うち、4,000万ルーブルを最初の3年間に固定資産に投資すべき)を投資しなければならない。

  • 特区における税制上のメリット
    減価償却の加速、資産税(最初の10年間)、土地税(最初の5年間、一部の企業について10年間)の免税がある。また、地方議会により採択される法令により輸送税の減免ならびに企業利潤税(法人税)の減税をすることができる。企業利潤税を減税する場合、本来18%である地方税分は13.5%を上回ってはならない。なお、研究開発型特区(2012年1月1日~2018年1月1日の間)と一部の観光・レクリエーション型特区(2012年1月1日~2023年1月1日の間)については、企業利潤税の連邦税分(2%)が免税される。
  • 特区における関税上のメリット
    観光・レクリエーション型特区以外の特区は、自由貿易区域としての扱いを受ける。すなわち、特区内に持ち込む商品について、輸入税・付加価値税免税、持ち込みに際する割当、その他の貿易法上の措置の不適用がある(ただし、特区から商品をロシア国内外へ持ち出す場合、または、特区内で特区内企業としての資格を有さない者へ譲渡する場合は、輸入税、付加価値税、物品税が課税される)。なお、特区内の対象企業には、いわゆるグランドファーザー条項が適用されている。すなわち、税制上の新規則制定後もそれ以前の既得権を認める(ただし、物品税対象商品に関する法改正を除く)ことになっている。

カリーニングラード州およびマガダン州の特別経済地域

上記の経済特区に加えて、以前より存続しているカリーニングラード州およびマガダン州の特別経済地域では、一定要件を満たした場合、関税免除などの適用を受けることができるが、上記の両特別経済地域は、それぞれ2031年4月1日と2025年12月31日に終了する予定である。
2006年1月10日付連邦法第16-FZ号「カリーニングラード州の特別経済地域および一部の法律の改正について」に基づき、カリーニングラード州の特別経済地域の特区内企業として登記された企業は、自由貿易区域としての扱いを受け、製造に必要な部品の輸入時に発生する付加価値税、輸入関税、通関手数料を免除されるという恩典を受けることができる。また、特区内企業としての登記後の最初の6年間において企業利潤税の免税を受け、7年目から12年目にかけても通常税率が半分に減税される。

イノベーションセンター・スコルコボ

2010年、研究開発の促進策としてイノベーションセンター・スコルコボ(モスクワ郊外)を中心とする奨励体制が整備された。2010年9月28日付連邦法第243-FZ号「『イノベーションセンター・スコルコボについて』の採択に関するロシア連邦法令の改正について」に従い、研究開発のための環境整備の一環としてイノベーションセンター・スコルコボが設置された。一定の要件に該当する研究開発企業は、イノベーションセンター・スコルコボの入居者として公的登記簿に登記され、場合により、付加価値税(VAT)、企業利潤税、資産税、土地税の免税、社会保険料の一部の支払免除などの優遇措置を受けることができる。

地域投資案件の税制上の優遇措置

2014年1月1日より、極東・東シベリアの地域開発の促進を図る目的で地域投資案件の税制上の優遇措置が導入された(2013年9月30日付連邦法第267-FZ号)。具体的には、企業利潤税(20%)の連邦税分(2%)をゼロとし、地方税分(18%)については、当該投資案件として製造した最初の商品の売上が発生した年から5年間は10%未満にし、それ以降の5年間も10%まで優遇することができるものである。また、地域投資案件の当事者は1社のみ、かつ、当該地域を所在地とするロシア法人でなければならないと規定されている。また、地下資源利用税についても税制上の優遇措置が適用される。

地域投資案件制度の対象地域は、沿海地方、ハバロフスク地方、アムール州、イルクーツク州など合計13の州・地方である。地域投資案件は、当該地域内における商品の製造を対象としている(ただし、石油・天然ガスの採掘・加工・輸送、乗用車とバイク以外の物品税対象製品の製造、企業利潤税の税率がゼロである事業を除く)。また、同制度の対象となるのは資本投資額が5,000万ルーブル以上の案件で、この場合、当該地域投資案件の参加者登録後の3年以内に当該額の資本投資を実施する必要がある。また、資本投資額が5億ルーブル以上である場合は、当該額の資本投資を実施する期間が5年以内となる。なお、最低投資額や投資案件の要件について地域ごとに更なる要件を設定することができる。

優先的社会経済発展区域(TOR)

2015年3月30日より発効した、2014年12月29日付連邦法第473-FZ号「ロシア連邦における優先的社会経済発展区域について」では、ロシア連邦政府の決定により、優先的発展区域を設置し、当該地域を対象に一連の優遇措置を適用する体制が創設される。同区域は、上記連邦法の発効後の最初の3年間は、極東地域および経済・社会状況が深刻な地域のみにおいて創設ができるが、3年が経過した後、その他の地域においても創設することが可能となる。
具体的には、同区域は「優先的社会経済発展区域(TOR)」と呼ばれ、従来の経済特区よりも更に進んだ規制緩和や行政手続きの簡素化が図られている(2014年12月31日付連邦法519-FZ号「連邦法473-FZに関連する個別連邦法の改正について」)。

さらに税制面については、企業利潤税に関しては最初の利益が出た年から5年間、連邦税分(2%)をゼロし、地方税分(18%)についても5%以下まで優遇する。資産税および土地税については5年間免除されるとともに、関税については自由貿易区域として免税措置を受けることができる。
また、新型特区内で雇用する労働者に対する社会保障費負担を30%から7.6%に減免する措置を受けることが可能である(2014年11月29日付連邦法380-FZ号「連邦法473-FZの改正に伴う税法典第2部の改正について」)。2017年1月末現在、新型特区はハバロフスク、沿海地方を中心に13カ所が選定されている。新型特区の存続期間は70年である。

ウラジオストク自由港

極東地域への新たな優遇措置として、2015年10月12日より発効した、2015年7月13日付連邦法第212-FZ号「ウラジオストク自由港法」が新たに追加された。同法の対象となる地域は、ウラジオストク市やナホトカ市などの沿海地方南部の20市・地区となっており、TOR同様の規制緩和や税制優遇措置の適用を受けることができる。
また、自由港として通関・検疫のワンストップ化や外国人労働者の受入基準(ビザ、労働許可)の緩和措置が設けられ、人とモノの流れの迅速化と簡素化が図られている(2015年7月13日付連邦法第213-FZ号「ウラジオストク自由港法に関連する個別連邦法の改正について」)。現在、新法施行後間もないこともあり、自由港入居企業に対する選定基準等の実務面については今後明確となっていくものと考えられる。自由港の存続期間は70年である。

その他

特になし

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