プーチン大統領、非友好国企業の活動再開の手続き作成を指示
(ロシア)
調査部欧州課
2025年05月02日
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2025年4月18日、3月18日に行われたロシア産業家企業家連盟(RSPP)の総会での議論を踏まえ、ロシア政府に対し、2022年2月22日以降に撤退や事業を縮小した非友好国(注)に属する企業を対象に、a.ロシアでの事業再開の手順を法律で定めること、b.それらの企業のリストを作成し、常時更新することを2025年5月15日までに行うよう指示した。
大統領の指示は、ロシアから撤退またはロシア事業を縮小した非友好国企業による国内での活動規制を強化することが目的だ。政府は指示を受け、非友好国企業がロシア国内で事業活動を行うための不動産の所有、事業体の株式の処分、企業活動の権利を取得する取引の際の手続きを定める。これに当たり、2022年2月22日以降の当該企業による事業の撤退、縮小、継続の状況を考慮したうえで、国内企業の利益の優先が考慮される。
2022年2月22日以降にロシアでの事業を撤退、縮小した非友好国企業のリストには、事業の撤退や縮小の条件、株主や出資者などの情報などが含まれる。
2025年3月18日に行われたRSPPの総会では、企業と国家の主な協力分野、国家開発目標の達成、国家プロジェクトの実施などの議題が話し合われ、ロシア市場から撤退した西側諸国の企業の復帰の方法についても焦点が当てられた。同連盟のアレクサンドル・ショーヒン会長は、外国企業がロシア連邦に戻ってくる際に国内企業を保護するための仕組みを構築する必要がある、と主張した。デニス・マントゥロフ第1副首相は、撤退した企業の復帰について統一的な方法を定める必要があると応じた。プーチン大統領も総会での演説の中で、「ロシア企業や従業員の利益が常に最優先だ。この立場で、外国企業のロシア市場への復帰の問題を検討する」と述べていた。
RSPPは4月22日、ロシア政府に対して外国企業のロシア事業再開の条件に関する提案を行うため臨時作業部会を設置した。ロシア企業の利益を考慮した外国企業の復帰に関する手順と制度に重点が置かれているという。その他にも、輸入代替、並行輸入、知的財産保護、紛争解決の制度と条件が検討されている。
(注)欧米諸国や日本など、ロシア政府やロシアの個人、法人に対して非友好的行為を行う国・地域。連邦政府指示第430-r号(2022年3月5日付)で規定し、その後数度にわたり改定(追加)している。
(小野塚信)
(ロシア)
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