外資に関する奨励
最終更新日:2023年12月01日
- 最近の制度変更
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2021年4月23日
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2020年7月6日
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2019年12月16日
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奨励業種
特になし。
各種優遇措置
連邦政府および州政府は、企業の経済活動を支援し、オーストラリア経済を活性化するために、さまざまな助成金や補助金、税金上の優遇措置を提供。エネルギー・環境、インフラ、イノベーション、宇宙ビジネス等に関する支援プログラム多数あり。
法人税の優遇 - 研究開発費税額優遇措置(R&D Tax Incentive)
連邦政府は、企業の研究開発(R&D)投資を促進するため、法人税の優遇措置を設けている。オーストラリアの会社法に基づいて設立された法人、オーストラリアで売上のある海外法人、オーストラリアと租税条約を結んでいる国・地域の法人が対象。この制度の適用を受けた企業は、年間売上高2,000万豪ドル未満の場合、直接法人税還付を受けることができる。年間売上高が2,000万豪ドル以上の場合、法人税の相殺を受けることができる。
連邦政府は、2020/2021年度の連邦予算案においてR&D投資促進策の拡充を発表、2021年7月1日に施行した。
- 年間売上高2,000万豪ドル未満の場合、これまでの還付金の上限(400万豪ドル)を撤廃し、「法人税率+18.5%」の還付を受けることができる。
- 年間売上高2,000万豪ドル以上の場合、R&D集約度2%までの対象R&D支出に対しては「法人税率+8.5%」の、集約度2%を超える対象R&D支出に対しては「法人税率+16.5%」の相殺を受けられる。
産業・科学・資源省:研究開発税制優遇措置 “Research and Development Tax Incentive”
政府ビジネスポータル:優遇措置の概要 “Overview of the R&D Tax Incentive”
政府ビジネスポータル:研究開発税優遇コンテンツの最新アップデート “ Latest updates to the R&D Tax Incentive content”
輸入関税の優遇
- 特定製造原料の輸入関税減免プログラム
化学品、プラスチック、紙、金属鉱物、食品包装材などの原材料や中間原料で、特定の最終製品への使用にあたりオーストラリア国内で供給される同等品よりも優れていることが証明できる品目に対する関税を減免する制度。
政府ビジネスポータル:製造への特定のインプット “Certain Inputs to Manufacture(CIM)”
主なプロジェクト別優遇措置
- エネルギー・環境
- 再生可能エネルギー研究・開発支援策:温室効果ガス排出削減ファンド(ERF)
ERFのプロジェクト候補となり得るものは、植林管理、農業、エネルギー消費、廃棄物、交通、石炭・ガス生産、産業プロセスなどの分野。要件に該当するプロジェクトの詳細はクリーンエネルギー規制局のページを要参照。また、ERFが定めたスキームに則り、温室効果ガスを削減または貯留したプロジェクトの事業者は、二酸化炭素換算で1トン当たり1ACCU(オーストラリアン・カーボン・クレジット・ユニット)のカーボン・クレジットを取得することができる。ACCUは、オーストラリア政府に対して、またはカーボン・クレジット市場で企業や投資家に売却でき、事業者は新たな収入源とすることが可能である。
クリーンエネルギー規制局(CER):温室効果ガス排出削減ファンド “Emissions Reduction Fund (ERF)”
- 「国家水素戦略」と水素ハブ
2019年11月、連邦政府は「国家水素戦略」を発表。水素の生産から供給、消費、輸出に至るサプライチェーンの構築を目指している。その一環として、国内各地に「水素ハブ」の展開を計画している。2021年9月には、初期段階の実証や計画を対象とした「水素ハブ開発・設計助成金」(1件当たり50万~300万豪ドル)、より具体的な開発事業を想定した「水素ハブ開発実行助成金」(同3,000万~7,000万豪ドル)の募集を開始した。これらの助成金の募集は2022年10月時点で締め切られている。労働党の新政権は、2022/2023年度予算案でクイーンズランド州のタウンズビルでのグリーン水素拠点の設立に対して7年間で7,190万豪ドルを拠出することを発表するなど、国内の水素産業の成長を支援する方針を発表している。
気候変動・エネルギー・環境・水資源省: オーストラリアの水素産業 “Growing Australia’s hydrogen industry”
- 再生可能エネルギー研究・開発支援策:温室効果ガス排出削減ファンド(ERF)
- インフラ
- 西シドニー空港都市(エアロトロポリス)開発
連邦政府とニューサウスウェールズ州政府は、2026年開港予定の西シドニー空港と防衛・航空・ハイテクなどの企業誘致を進める臨空都市「エアロトロポリス」を核に、今後の発展が見込まれる西シドニー地域を新たな都市圏として整備する国家的なインフラ事業を進めている。連邦・州政府はエアロトロポリスへの企業誘致を進めており、民間からの投資を呼びかけている。
インベストメント・ニューサウスウェールズ(ニューサウスウェールズ州政府企業・投資・貿易省):西シドニー エアロトロポリス “Western Sydney Aerotropolis”
- その他インフラプロジェクト
オーストラリア・ニュージーランド インフラ パイプライン:“Search the Infrastructure Pipeline”
- 西シドニー空港都市(エアロトロポリス)開発
- イノベーション
- ベンチャーキャピタル株式会社パートナーシッププログラム
オーストラリアのベンチャーキャピタル産業を活性化させることを目的に、総資産が2億5,000万豪ドル(Early Stage Venture Capitalの場合は5,000万豪ドル)以下のオーストラリア企業に、1,000万豪ドル以上(Early Stage Venture Capitalの場合は1,000万豪ドル以上2億豪ドル以下)を出資する外国投資家に対して、キャピタルゲイン課税を免除する。
政府ビジネスポータル:ベンチャー キャピタル リミテッド パートナーシップ “Venture Capital Limited Partnerships(VCLP)”
政府ビジネスポータル:アーリーステージのベンチャー キャピタル リミテッド パートナーシップ “Early Stage Venture Capital Limited Partnerships (ESVCLP) ” - ニューサウスウェールズ州起業家支援策(Support for startups)
ニューサウスウェールズ州政府は雇用創出イニシアチブ「ジョブズ・フォー・ニューサウスウェールズ」(JOBS FOR NSW)の柱の1つとして、ベンチャー企業への支援を掲げ、次のプログラムを実施している。- 「ミニマム・バイアブル製品ベンチャーズプログラム」(MVP Ventures Program 2023-2024)
The NSW Industry Development Frameworkで優先分野として位置付けられている分野において、革新的な製品やプロセスの商業化に関するプロジェクトを行うスタートアップや中小企業に対してプロジェクト資金の最大50%を補助。同プログラムは、2027年まで毎年実施される予定。 - 「シドニー・スタートアップ・ハブ」(The Sydney Startup Hub)
2018年2月、シドニー市内中心部のヨークストリートに起業家の「卵」を支援する共同オフィススペースを開設。ビルの11階分の総床面積1万7,000平方メートルのスペースに最大1,800人および500社のスタートアップ事業者を収容可能。
- 「ミニマム・バイアブル製品ベンチャーズプログラム」(MVP Ventures Program 2023-2024)
- ニューサウスウェールズ州「テック・セントラル」(先端技術集積地区)オフィス賃料助成金(Tech Central Scale up Accommodation Rebate)
シドニー市内南部セントラル駅前を中心とした半径500メートル以内の地区において、テクノロジー関連のスタートアップまたは成長途上の企業を対象に、3年間のオフィス賃料(床面積300平方メートル以上)の40%を助成する。助成金の上限は2年間が年間60万豪ドル、3年目が年間30万豪ドルとなっている。オフィスの備品も30%(上限44万豪ドル)を助成する。同プログラムは2023年6月、または予算(総額1,100万豪ドル)がなくなった時点で、募集を終了する。 - ニューサウスウェールズ州「研究開発基金」(R&D Fund)
新型コロナウイルスの感染拡大による保健衛生、社会、経済への影響を解決するため、革新的な技術の研究開発に取り組む中小企業および成長途上の企業を対象に、25万豪ドル~100万豪ドルを助成する。 - ビクトリア州「ローンチビクトリア」(Launchvic)
2016年にビクトリア州政府により設立されたスタートアップ支援機関。 - ビクトリア州「ブレイクスルービクトリア」(Breakthrough Victoria)
2020年に州のイノベーションを加速するために設立された州政府主導の投資ファンド。ヘルスケア、先端製造、農産食品、クリーンテック、デジタルテクノロジーを重点分野としている。
- ベンチャーキャピタル株式会社パートナーシッププログラム
- 宇宙ビジネス
連邦政府は2018年にオーストラリア宇宙庁を立ち上げ、宇宙開発産業の育成に力を入れている。2030年までに同産業の規模を120億豪ドルと現状の3倍に拡大させ、新たに2万人の雇用を創出する計画である。1,950億豪ドルの宇宙インフラ基金を用いて、将来の宇宙における製造業に関する研究(200万豪ドル)、中小企業や研究者を対象とした小型衛星管制システムに関する研究(600万豪ドル)、ロボットおよび人工知能(AI)による宇宙空間における作業の自動化に関する研究(450万豪ドル)など、これまで7つの事業に出資した。
産業・科学・資源省:オーストラリア宇宙庁 “Australian Space Agency”
- その他
農業、食物、医薬、海運、自動車、繊維等の分野については、さまざまな特定産業向けの補助金があり、連邦政府だけでなく、各州、行政区でも外資誘致、技術革新、資源開発などに対して補助金や優遇税制を提供している場合がある。
政府ビジネスポータル:各種政府補助金や優遇税制の検索 “Grants & programs finder“
貿易投資促進庁:各州・準州・首都特別地域の支援を受けることができる投資案件の検索 “Investment promotion assistance available from Australian state and territory governments”
その他
特になし。