ニューサウスウェールズ州政府、国際投資戦略「グローバルNSW」を策定

(オーストラリア)

シドニー発

2019年12月16日

オーストラリアの最大都市シドニーを州都とするニューサウスウェールズ(NSW)州政府は12月4日、海外からさらなる投資を呼び込み、同州経済を強化するための国際投資戦略「グローバルNSW」を立ち上げたことを発表した。

「グローバルNSW」は、シドニーおよびNSW州をオーストラリアの国際ハブとして位置付け、3つの柱「コネクテッド」「スマート」「バイブラント(活気)」の下で、貿易の発展と多様化、ビジネス投資の活性化、イノベーションの促進、産業競争力の強化を目指す。特に、主要な成長産業として、健康、防衛・航空宇宙、アグリビジネス・食品、資源、インフラの各分野に焦点を当てる。

また、戦略の一環として、NSW州が設置する海外事務所を11カ所から21カ所に増設するとともに、既存の主要事務所では、州政府代表(ロンドン)や上級委員(東京、上海、ニューヨーク、シンガポール、ムンバイ)を新たに任命する。

NSW州のグラディス・ベレジクリアン首相は、西シドニー空港都市(エアロトロポリス)計画において、これまで17の覚書(MOU)を締結したことを例に挙げ、「外国投資によって質の高い雇用が創出される」と強調した。また、ジョン・バリラロNSW州副首相兼貿易相は、「NSW州は何十年もの間、観光地として世界的な成功を収めてきたが、今こそ同州を最先端のビジネスやイノベーションの集積地としてアピールする時だ」と力説した。

さらに、ドミニク・ペロテットNSW州財務相は「NSW州の経済発展のためには、中国、東南アジア、インドへの市場拡大と、日本、米国、欧州など先進国市場への輸出品目の多様化が重要だ」として、「メドテック(注)、サイバーセキュリティ、宇宙、次世代製造、量子コンピューティング、ブロックチェーンなどの分野での成長を目指す」と述べた。

(注)医療とIT技術を組み合わせたサービスのこと。

(住裕美)

(オーストラリア)

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