税制

最終更新日:2020年07月17日

法人税

連邦・州レベルで、それぞれ課税される。米国外の親会社、株主、投資家や特許保有者への配当、賃貸料、利子、特許料の支払いに関しては、源泉徴収される(日米租税条約に基づく軽減税率については「二国間租税条約」の項参照)。

一般的に、米国での事業投資を行う場合には現地法人を設立する。親会社である外国法人は、在米現地法人への出資に関することのみに責任を限定できる。現地法人には、通常の米国企業と同様に納税義務が生じる。その他、国外親会社への配当金や(融資を受けた場合の)金利支払に関しては源泉徴収される。税金には、連邦法人税と州、地方自治体の3つがある。
米国外の親会社は、株主あるいは融資者として受け取った配当金、金利、株の売却利益などの税申告を年度ごとに行い、連邦税および州税を含む地方税を納付する義務がある。

連邦法人税

連邦法人税は、2017年12月にトランプ大統領が署名した税制改革法案(Tax Cuts And Jobs Act)により、2018年1月1日より一律21%となった。税制改革に伴う税制変更の詳細については、内国歳入庁のウェブサイト参照。

内国歳入庁(IRS) "Tax Reform外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"内の"Tax Cuts and Jobs Act"を参照。

なお、税制改革により、2018年から法人代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax:AMT)は廃止された。
代替ミニマム税(AMT)とは、高所得者、高所得企業にも一定の税負担を求めるという趣旨の下、高所得者の税控除、優遇措置を制限するために1969年に創設された制度。納税者は、各種控除を考慮して算出した通常の所得税額と、各種控除を排除して一定の計算方式で算出したAMT税額とを比較し、高額な方を支払う。

  1. 内国法人(連邦法、州法に基づいて設立・組織された法人)

    税制改革により外国での所得を含む全世界所得が課税対象となる「全世界所得方式」が見直された。法人段階の利益と、留保利益の株主配当のそれぞれの段階で課税される。

  2. 外国法人(米国法によらないで設立・組織された法人)
    1. 事業所得
      日米租税条約により、米国内の「恒久的施設(支店、事務所、工場、作業所、倉庫など)」に帰属しないものについては非課税。
      IRS "Instructions for Form 1120-F外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
    2. 非事業所得
      外国法人が得る利子、配当、ロイヤルティーなどの投資収入総額に対しては、30%の税率が適用される(租税条約により軽減される)。

州法人税(法人所得税、またはフランチャイズ税)

州の法人税率は州ごとに異なる。高い税率を設定している州や地方自治体もあれば、テキサス州やネバダ州、ワシントン州のように州法人所得税の存在しない州もある。ただし、州法人所得税が存在しない、または税率が極端に低い州では、売上税や固定資産税、あるいはその両方が高い場合が多い。

州別法人税率:Tax Foundation "State Corporate Income Tax Rates外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
各州政府:IRS "State Government Websites外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

二国間租税条約

日米租税条約、日米社会保障協定、税務にかかわる環太平洋4カ国間における相互協議など。

日米租税条約

日米両国政府は2019年8月、日米租税条約の改正議定書を発効させるための批准書を交換した。日米間の租税条約は1955年4月に最初の日米租税条約が発効した。その後、1972年に従来の租税条約が発効し、2004年、2019年に改正された。
戦略的同盟国家という経済的に緊密な日米二国間関係を前提に、投資交流を促進するために投資利得に関する源泉地国課税を大幅軽減するとともに、それにともなう脱税防止を規定している。2019年の改正の要点としては、源泉地国免税の拡大、相互協議手続きにおける仲裁制度の導入、徴収共助の拡充が挙げられる。

日米租税条約の下、米国外の親会社などへの支払いに対しては、次の軽減税率が適用される。

  1. 親子間配当
    1. 持株割合50%以上:免税
    2. 持株割合10%以上50%未満:5%
  2. ポートフォリオ配当:10%

日本財務省:アメリカ合衆国との租税条約を改正する議定書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
内国歳入庁(IRS) "Japan - Tax Treaty Documents外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

日米社会保障協定

2005年10月に、米国で働き社会保障税を納めた日本人が米国の社会保障(年金)を受給できる資格要件が大幅に緩和された。
同協定は、日米両国で働くことで日本と米国の両方で年金制度に二重加入を余儀なくされる、あるいは、米国で働いた期間が不十分なために、米国の社会保障税を納めたにもかかわらず受給できないという状態を改善することを目的としている。
同協定が締結された結果、両国の年金制度に二重加入する必要もなくなり、また、米社会保障税の納税期間の長短に関係なく、日本に帰国した後、ある一定年齢に達した時に米国の年金を受給できるようになった。
同協定によって、両国での加入期間を通算することで受給資格を満たせるようになり、両国の年金制度に加入した期間に応じた年金をそれぞれの国から受給できる。

社会保障局(SSA) "U.S.-Japanese Social Security Agreement外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
外務省 "日・米社会保障協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

その他税制

法人に関わる税:雇用関係税、売上税、消費税、固定資産税、不動産譲渡税、他。
所得税(個人):連邦個人所得税、州所得税など。
会計報告に伴う義務(サーベンス・オクスレー法)。

法人に関わる税

雇用関係税

従業員の雇用に際し、雇用主には各種の連邦雇用関係税が課税される。雇用主は、従業員に対する給与・俸給から、所得税相当額を源泉徴収し、定期的に連邦政府に納入する。その他、社会保障税および失業保険税も課税される。

売上税(Sales Tax

商品が売買される際に購入者に課せられる税。州政府が管轄であり、連邦政府からは課せられない。課税対象商品や非課税商品、すべての売上税率は各州や地方自治体が自由に決定し、税率は0~7.25%と州によって異なる。商品やサービスを提供する場合、購入者から売上税を徴収し、州や地方自治体の当局に申告、納付する。従って、売上税を購入者から徴収するような商品やサービスを提供する者は、売上税徴収業者として当該州に登録する義務がある。
売上税は州と地方自治体の管轄であるため、納税に関する諸手続きは千差万別だが、一般的には、四半期ごとに締め、翌月の15日や20日あるいは末日までに申告することが多い。
各州および自治体の売上税率一覧:Federation of Tax Administrators "Tax Rates/Surveys - State Sales Taxes外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  • 米国売上税統一化プロジェクト(Streamlined Sales Tax Project
    米国の売上税の制度・税率は州ごとに異なり、複数の州で事業を行う企業は、各州で売上税の登録を行い、回収、納税、申告を行わなければならない。この問題を解決すべく、全米州知事会と全米州議会議員連盟のイニシアチブの下、売上税制度の統一化を図る「Streamlined Sales Tax Project」が進んでいる。まず18州の合意を得て、2005年10月1日にスタートし、売上税、使用税の施行統一が図られることになった(税率の統一ではない)。現在、当イニシアチブに参加する44州のうち、24州(本加盟:23州、準加盟:1州)で本件に関する法案が可決されている。それらの州では、州ごとに行っていた登録が、一度に一括登録できるようになった。

    "The Streamlined Sales Tax Governing Board外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
    "Streamlined Sales Tax State Members外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

消費税(Excise Tax

連邦と州レベルで特定の品目に課せられる消費税(物品税)。対象品目は、タバコ、アルコール飲料、トレーラー、タイヤ、石油製品など。税率はそれぞれ異なる。嗜好品に対する課税という発想に基づいている。

連邦消費税:IRS "Excise Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
州消費税:Federation of Tax Administrators "Tax Rates/Surveys - State Excise Taxes外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

固定資産税

固定資産税の主な対象は、不動産や動産、無体財産に分類される。不動産はすべての州で課税(税率は様々)されるが、動産と無体財産については州によって大きく異なり、機械や装置、線路などに課税する州もあれば、動産や公益施設には課税しない州もある。固定資産税は、市場価値に税率を掛けて四半期ごとに徴収される場合が多い。

家賃収入に対する課税

家賃収入(賃貸所得)がある場合、不動産物件の所有者の国籍、あるいは個人か法人かに関わらず、連邦と州の税金が課せられる。

州税では、各州の税制が大きく異なるため、それぞれの州の税法に準拠して納税する義務がある。
IRS "Nonresident Aliens - Real Property Located in the U.S. 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

移転価格税制

親子会社間のように、同一の利害関係人により直接・間接に支配されている関連企業間の取り引きに関し、その価格の操作により課税所得の調整を行う場合、それは「移転価格」とされ、税務当局が適当な取引価格に修正したうえで、必要に応じ追加課税を行う。

所得税(個人)

個人所得税には、連邦個人所得税と州所得税がある。

連邦個人所得税

  1. 連邦個人所得税率は次のとおり(2020年、単身の場合の目安)。
    課税所得帯 税率
    0~9,875ドル以下 10%
    9,875ドル超~40,125ドル以下 987.50ドル+12%
    40,125ドル超~85,525ドル以下 4,617.50ドル+22%
    85,525ドル超~163,300ドル以下 14,605.50ドル+24%
    163,300ドル超~207,350ドル以下 33,271.50ドル+32%
    207,350ドル超~518,400ドル以下 47,367.50ドル+35%
    518,400ドル超 156,235.00ドル+37%
  2. 居住者と非居住者の2種類に分けられ、給与から源泉徴収される場合は、個人が翌年4月15日までに当該年の確定申告をし、源泉徴収されない場合は、四半期ごとの予定納税に加え、翌年4月15日までに確定申告する義務がある。特に日本から米国に派遣される就労者の場合には、居住者か非居住者かが重要となる。それぞれの定義は次のとおり。
    1. 居住者
      • 当該暦年中に米国永住権を取得している者。
      • 当該暦年中に31日以上米国に滞在し、当該暦年を含め過去3年間に計183日以上米国に滞在している者。ただし、当該暦年を1とし、前年を3分の1、前々年を6分の1として、それぞれの当該暦年の米国滞在日数にそれらを乗じて合計した日数が米国滞在日数として扱われる。また、継続する12カ月間の米国滞在日数が183日を超えると、居住者扱いとなる。ただし、学生(Fビザ)や学術分野での交換訪問者(Jビザ)、非語学または各種学校留学生(Mビザ)、実務研修者(Qビザ)は、既述の居住者定義に当てはまったとしても非居住者として扱われる。
    2. 非居住者
      既述の居住者の定義に当てはまらない者。非居住者でも、Form 1040NRまたはForm 1040NR-EZを使って免税申請をIRSに提出する義務がある。
      IRS "Topic 851 - Resident and Nonresident Aliens外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

州所得税

納税者は、連邦所得税の他、州政府と地方自治体にも所得税を納付する義務があり、毎年4月15日を期限に前年の分を確定申告しなければならない。ほとんどの場合、州政府への確定申告書類と地方自治体への書類は兼用できる。

ビザ・ステータスと所得税

米国にいる外国人の所得税は、当該外国人が「居住者」か「非居住者」かによって課税の有無、また税金の種類、税率が異なる。「居住者」か「非居住者」かは、ビザの種類によって決まる。

  1. 居住者扱い:永住権(グリーンカード)保持者
  2. 非居住者扱い:Aビザ(外交官)、Gビザ(国際機関職員)、Fビザ(学生)、Jビザ(交流訪問者)、Mビザ(専門学校生)、Qビザ(文化交流訪問者)。
    ただし、AビザとGビザの場合、勤務先から受ける給与は非課税ながら、それ以外の所得には課税される。
  3. 滞在日数で居住者か非居住者かが決まる:Bビザ(短期商用、観光)、Eビザ(貿易商・投資家)、Hビザ(一時的専門職就労者)、Iビザ(報道関係者)、Kビザ(婚約者)、Lビザ(管理職)、Oビザ(特殊技能者)、Pビザ(芸能人、芸術家、スポーツ選手)、Rビザ(宗教関係者)。
    税法上、次の2つの条件を満たすと居住者として扱われる。
    • 任意の年(1~12月)における米国滞在日数が31日を超える。
    • 任意の年の滞在日数と前年の滞在日数の3分の1と前々年の滞在日数の6分の1の合計が183日を超える。

    IRS "Topic 851 - Resident and Nonresident Aliens外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

勤務州と居住州が異なる場合の州所得税

すべての所得には、当事者の居住地に関係なく連邦所得税が課せられるが、州所得税や地方自治体所得税については、それぞれの税制による。ただし、アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコタ、テキサス、ワシントン、ワイオミングの7州では所得税がない。また、ニューハンプシャーとテネシーの2州では、投資所得(例えばキャピタル・ゲイン)だけが課税対象になっている。

Federation of Tax Administrators "Tax Rates/Surveys - State Income Taxes外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

勤務州と居住州が異なる場合の州所得税は、当事者本人が「居住者」であるか「非居住者」であるかを州財務省に申告する必要がある。例えば、勤務地がニューヨーク州で居住地がニュージャージー州の場合、勤務地に対しては「非居住者」として給与所得を課税対象所得として申告し、居住州に対しては「居住者」として申告する。その際、居住州には、内国歳入庁(IRS)に申告した所得額を報告し、それと同時に、勤務州で納税した額を「他州税額控除」として申告することで控除を受ける。

会計報告に伴う義務(サーベンス・オクスレー法)

概要

サーベンス・オクスレー法(Sarbanes-Oxley Act of 2002:以下SOX法)は米国証券取引委員会(SEC)に登録する企業とその連結対象子会社に対し、企業会計や財務報告の透明性と信頼性を高めることを規定した法律。
2001年12月にエネルギー大手エンロン、2002年6月には通信大手ワールドコムが経営破綻し、巨額の粉飾決算をはじめとする不正会計が明るみに出た。いずれも史上最大規模の倒産事件だったため、多くの投資家が被害を受け、米国の企業会計への不信感を招いた。
同法は、こうした企業会計の不正事件の再発防止を狙いとしている。外部からの監査だけでは不正や違法行為を防止することは困難なため、企業内部の管理体制の強化を求めるもの。

同法は第404条「経営者による内部統制の評価(Management assessment of internal control)」で、内部統制の責任は経営者にあり、財務報告書の作成過程を精査し、財務諸表のミスや不正を防ぐことを定めている。「内部統制」とは、業務の有効性・効率性、財務諸表の信頼性、関連法規の順守に関して、合理的に保証することを目的とした、取締役会、経営者およびその他の構成員によって遂行される1つのプロセスを指す。内部の管理体制や書類手続きに不備があった場合は、経営陣が厳しく責任を問われる。企業側には業務プロセスを隅々まで文書化し、独立した監査法人による会計監査が義務付けられている。
SOX法の導入後、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)が強化され情報開示が進み、監査法人との役割分担も明確になるなど、一定の収穫はあった。

見直し、再定義への動き

SECは2006年12月13日、同法第404条の適用改善のために、定義があいまいだった事柄についてガイドラインを策定した。時価総額で7,500万ドル未満の小規模企業と新規公開企業に対し第404条の適用開始時期を遅らせ、一定の準備期間を与えるなどの追加的な緩和措置を発表した。本ガイダンスは2007年5月に承認された。

米国証券取引委員会(SEC)
"Sarbanes-Oxley Act of 2002.外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
"Commission Guidance Regarding Management’s Report on Internal Control Over Financial Reporting Under Section 13(a) or 15(d) of the Securities Exchange Act of 1934PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(954KB)"