ハワイ州で全米初の気候変動対策のグリーンフィー法成立、2026年から宿泊税引き上げ

(米国)

ロサンゼルス発

2025年05月29日

米国ハワイ州のジョシュ・グリーン知事(民主党)は5月27日、気候変動対策として、全米初の気候対策税(グリーンフィー)を制定する法案(S.B.1936)に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。グリーンフィーの徴収によって、環境管理や災害軽減、持続可能な観光のために安定した財源を得て、気候変動の影響に対するレジリエンス(回復力)の構築を目指す。

同法によって、2026年から州の滞在宿泊税(TAT)を現行の10.25%から11%に0.75ポイント引き上げる。別途、州内各郡が3%のTAT課税を適用しており、これに一般物品税も課税されるため、旅行者は宿泊施設に約19%の税金を支払うこととなる。これは全米で最も高い税率の1つとされる。

また、観光業界全体の公平性を担保し、全ての観光客がハワイの長期的な回復力と健全な発展に貢献できるように、これまでTAT対象外だった同州に寄港するクルーズ船も、新たに課税対象となる。

グリーン知事は2023年8月に同州マウイ島で発生した大規模な山火事(2023年9月19日記事参照)や、同州および全米での自然災害の増大を受けて、2024年に気候変動諮問チームを設立していた。同チームの主要な提言は、気候変動の緩和と災害へのレジリエンス強化のための専用財源の確立で、その財源としてTATが提案され、同法につながった。

グリーンフィーは年間1億ドルの収入を生み出すと見込まれており、州政府は収入が確定次第、具体的なプロジェクトを議会と協力して承認していく予定だ。グリーン知事は「ハワイの生態系、文化、経済の健全性を維持する上で、自然資源が果たす重要な役割を認識し、ハワイは再び自然資源の保護の最前線に立つ。次の災害の発生を待って行動を起こすことはできない。私たちは今、レジリエンスを構築しなければならず、グリーンフィーは、未来のための資源を確保するために必要な資金を提供する」と述べている。

(堀永卓弘、クリストファー・ベイカー)

(米国)

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