日本からの輸出に関する制度

清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する清涼飲料水のHSコード

2009:
果実または野菜のジュース(ぶどう搾汁を含み、発酵しておらず、かつ、アルコールを加えていないものに限るものとし、砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない。)
2201:
水(天然または人造の鉱水および炭酸水を含むものとし、砂糖その他の甘味料または香味料を加えたものを除く)
220210:
水(鉱水および炭酸水を含むものとし、砂糖その他の甘味料または香味料を加えたものに限る)

具体的な製品の内容により異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

関連リンク

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。
米国の食品安全基準に違反していないことの証明または米国側でのサンプル検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

米国に輸入される清涼飲料水の安全は、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が管轄しています。日本から清涼飲料水を輸入するためには、食品施設登録と事前通知などが必要となります。

FDA食品施設登録
バイオテロ法上、米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造・加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者またはエージェントは、施設を日本からの輸出を行う以前に、FDAに登録することを義務付けられています。さらに食品安全強化法上、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。
FDA向け事前通知
食品の発送前に事前通知を提出する必要があります。(21 CFR 1.279(c))
また、次のカテゴリーに入る清涼飲料水については別途手続きが必要です。米国に輸出する前に、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否も含め、確認してください。
密封容器(レトルトパウチ、缶詰、瓶詰など)入りの低酸性缶詰食品(常温流通)と酸性化食品(常温流通)
  • 水分活性が0.85より高く、pHが4.6より高い、密封・常温で流通する食品は、低酸性缶詰食品として、連邦規則集21CFR Part108および113が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式Form FDA 2541、またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設(FCE:Food canning Establishment)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541d、もしくは2541f、2541gの適切なフォームでFDAに提出しなければなりません。
  • 水分活性が0.85より高く、酸または酸性食品を加えることによりpHを4.6以下の酸性状態にした加工食品を密封・常温で流通する場合は、酸性化食品として、連邦規則集21CFR Part108および114が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541eでFDAに提出しなければなりません。

低酸性缶詰食品または酸性化食品を米国に輸入するためには、製造者は輸入製品について、FCEとSID(製品固有の番号:Submission Identifier)の両方を取得する必要があります。FCEとは、缶詰食品工場としての登録番号を指し、またSIDとは、各製品の殺菌工程をFDAに提出し問題ないことを確認してもらうことを指します。なお、一貫して冷蔵または冷凍で保存・流通させる場合は、FCE登録や製造工程情報の提出は不要です。

また、FDA(Center for Food Safety and Applied Nutrition Office of Food Safety / Multi-Commodity Foods / Food Processing Evaluation Team)に確認したところでは、砂糖などの栄養成分を全く含まないボトル入りの飲料水は密封容器(レトルトパッケージや缶詰など)入りの低酸性缶詰食品(常温流通)と酸性化食品(常温流通)規制の対象外です。

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3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年7月

日本からの清涼飲料水の輸出にあたっては、動植物検疫は課されていません。

関連リンク

その他参考情報
農林水産省から入手できる主な情報

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

食品規格は、連邦規則集21CFR Part 146において缶入り果実ジュース、Part 165において飲料のグループが規定されています。ジュースHACCP規則(21CFR Part120)によると、ジュースとは、1種類以上の果物または野菜から絞られた、または抽出された液体、1種類以上の果物または野菜の可食部のピューレ、またはそのような液体かピューレの濃縮物と定義されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年7月

清涼飲料水の原材料として含まれる可能性のある果実や野菜などの青果物に関する米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)と米国食品医薬品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬限度(MRL)の承認と登録、FDAは、食品についてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および農作物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、米国に輸入される青果物とその加工品は、その基準を満たしている原材料を使用していなければなりません。なお、一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、「関連リンク」の「その他参考情報」にある農林水産省の「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」や連邦規則集40CFR Part180で確認してください。連邦規則集での確認方法はEPAのウェブサイトを参照してください。

また、許容量を超えて農薬成分が残留している青果物、およびEPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留している青果物を使用した加工物は、米国に輸入することができないため、日本から米国向けの清涼飲料水(果実や野菜が含まれているもの)の輸出にあたっては、農薬の使用可否、そして残留する農薬の許容値について事前に確認しておく必要があります。清涼飲料水中に含まれる加工された青果物に、許容量が設定されている農薬成分が残留している場合には、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません

  1. 加工前の青果物における残留農薬が許容量を超えていない。
  2. 現行適正製造規範(CGMPs)に基づく製造が行われ、残留農薬ができる限り取り除かれている。
  3. 加工品の残留農薬が、加工前の原料における許容量を超えていない。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1. 有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、例えばアフラトキシンについて「一般食品」においては20ppbと設定しています。

なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

また、FDAが鉛の上限を定めている個別の製品カテゴリーがあります。例えば、ボトル入り飲料水については5ppb、子供がよく消費するジュースやキャンデーについても、ジュースは50ppb、キャンデーは0.1ppmを上限としています。

ボトル入り飲料水については連邦規則により許容されている重金属やその他の成分についての上限値が定められています。

2. トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。公表されている直近のデータは2018年から2020年に行ったサンプリングによるもので、次のような結果となっています。ここでは、例としていくつかの清涼飲料水について取り上げます。

ボトル入りのりんごジュースに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 1.1 4.4 2.6
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 170 57
検出なし 2.7 1.4
マンガン 350 2300 1003
亜鉛 77 410 199
ボトル入り・箱入りのオレンジジュースに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
280 410 350
検出なし 検出なし N/A
マンガン 230 300 263
亜鉛 350 470 417
ボトル入りの水(ミネラルウオーター・スプリングウオーター)に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 1.8 0.47
カドミウム 検出なし 0.083 0.0076
検出なし 1700 71
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 3.5 0.65
亜鉛 検出なし 9.4 0.35
鉛:
FDAは、子供が頻繁に消費する食品を中心に(キャンデーやジュース)、鉛についてのサンプル調査を長年にわたって実施しています。FDAは1970年代から鉛の含有量の削減について働きかけており、最近のデータでは2歳児が摂取する鉛の量は1979年と比較して90%減少しているというデータもあります。

3. その他

米国では連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示にかかわる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’有害物質にさらされる’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告も認められません。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上に及び、そのリストも年に2~3回は更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

米国に輸入される清涼飲料水に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻パート170 から189(21CFR Part170~189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、または食品添加物申請(Food Additive Petition:FAP) をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、後述の「5.食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻パート70~82(21CFR Part70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については、日本をはじめEUやアジアの主要国では食品添加物として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では食品添加物として使用することはできません。

また、FDAは、トランス脂肪酸の原因となる部分水素化油脂(Partially Hydrogenated Oils:PHOs)について「安全と認められる(generally regarded as safe: GRAS)食品」ではないとし、2018年6月18日までに添加物として承認を受けていないかぎり、使用を禁止しました。これを受け、食品事業者は、PHOsを使用しない代替材料への切り替え、またはPHOsの使用継続許可に関する食品添加物申請(food additives petition)を提出することが求められています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

-食品の製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます(食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21U.S.C.348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物に定義しています。なお、梱包などの資材を構成している成分が溶出し食品に移るかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質((1)を参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知((2)を参照)が必要です。

1. 食品接触物質の規制の適合確認

次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDA への食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集 21CFR Part174~179)
  • GRAS (連邦規則集 21CFR Part182,184,186)
  • 1958 年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集 21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 21 CFR Part170.39)
※PFAS
PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質のクラス・ファミリーで、非粘着性およびグリース、耐油性、耐水性の特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取り始めています。
また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州が既にその州で食品包装のPFASを禁止し始めているため注意が必要です。
※フタル酸エステル類
FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと他の2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、21CFRparts175~178の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。
連邦レベルのFDAのみならずミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しているため注意が必要です。

2. FDA への食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification)

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDA に通知しなければなりません(連邦規則集 21CFR Part170.100)。通知から120 日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については関連リンクの「申請フォーム FDA3480」を参照してください。

3. 食品包装用リサイクルプラスチック

米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触用品におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、

  • PCR材料からの汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触製品に現れるかもしれないこと、
  • PCR材料は食品接触用途として規制されていないかもしれないこと、
  • PCRプラスチック中のアジュバントは食品接触用途としての規制を順守していないかもしれないことの3点です。

リサイクルプラスチックから作られた食品接触物品の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべての既存の仕様を満たすことを保証する責任があります。従って、リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス - 食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry - Use of Recycled Plastics in Food Packaging: Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDA は食品接触物品の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)法により規制されています。清涼飲料水を商業目的で米国に輸入するには、CBPおよびFDAが定める表示を行わなければなりません。一般的に表示しなければならない項目は次のとおりであり、表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、FDAのガイダンス資料を確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel):
  1. 食品名称/識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel):
  1. 原材料名(2種類以上の原材料〔添加物を含む〕が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければなりません。アレルギー物質を使用している場合には、その原材料名を明確に表示しなければなりません。表示が義務付けられているアレルギー物質は乳、卵、魚(例えば、ヒラメ、タラ)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、エビ)、ナッツ(例えば、アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナッツ、小麦および大豆に加えの8種類の食品群です。2023年1月1日からゴマについてもアレルギー表示が義務化され、全部で9種類となります。魚、甲殻類、ナッツについては、その種も明記する必要があります。
  2. 栄養成分表示
  3. 製造業者、包装業者、流通業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国

なお、4.栄養成分表示について、2016年7月26日に改正法が施行されました。改正のポイントは次のとおりです。

  • 消費者に見てほしいサービングサイズやエネルギー量(カロリー)の文字をより大きく太字にして強調すること。
  • 栄養素表示に”added sugars”を新たに追加すること。
  • ビタミンA、ビタミンCの代わりにビタミンDとカリウムの表示を追加すること。

また、全米バイオ工学食品情報開示基準(National Bioengineered Food Disclosure Standard : NBFDS)により、いわゆる遺伝子組み換え食品の情報開示が義務付けられています。USDAの農産物マーケティング局(AMS)は、バイオ工学(BE:bioengineered)の技法を用いて生産されうる穀物・食品、つまりNBFDSの対象となるBE食品リストを作成しています。このリストは、BE食品の研究開発の進展により今後さらに追加・更新される可能性がありますが、2022年7月時点のリストには表示規制対象のBE食品としてりんご(アークティック種)、キャノーラ、トウモロコシ、パパイヤ(リングスポット抗ウイルス性)、パイナップル、大豆、テンサイなどが含まれており、バイオ工学技術を用いて作られた品種を原材料に使用している場合には開示義務があります。

また米国では容器の材質が合成樹脂の場合、米国プラスチック産業界(SPI)によって定められた樹脂識別コード(RIC)があり、製造者に広く採用されています。プラスチックの適切なリサイクルと廃棄を支援する分類システムで、連邦レベルでは義務付けられていませんが州レベルでは義務付けている州もあります。なお、2008年以降はASTMインターナショナルがこのコードを管理しています。ASTMインターナショナルとは、当初は米国材料試験協会として設立され、国際的な合意規格を策定している非営利団体です。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
米国連邦規則集
その他参考情報
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連邦取引委員会(FTC)から入手できる情報
米国農務省から入手できるお主な情報
ASTMから入手できる情報
ジェトロから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2022年7月

ジュースHACCPなどの義務

米国に輸入される清涼飲料水の安全性は、FDAが所管しています。米国に清涼飲料水を輸出する製造/加工、梱包、保管する施設は、食品の衛生および安全性を確保することを目的とし、米国連邦規則集第21巻パート117(21CFR Part117)で定められる現行適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice In Manufacturing, Packing or Holding Human Food:CGMP)に従った衛生管理を行う必要があります。

また、2011年1月に成立した食品安全強化法(Food Safety Modernization Act:FSMA)第103条により、米国で消費される食品を製造/加工、梱包、保管する施設は、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。輸入業者も、第301条により、外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)として、輸入食品に対する安全検証活動に応える必要があります。さらに、2019年7月以降は、第106条に基づき「意図的な食品不良事故の防止(食品防御)」にも対応する必要があります。適用対象や要件などの詳細は、ジェトロの「食品安全強化法に関する情報」で確認してください。

ジュースHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:危害分析要因・重要管理点)規則では、ジュース加工業者が、加工する製品に合理的に発生する可能性がある食品安全上の危害を特定し、その危害を管理する計画を策定することを要求します。ジュースHACCP規則の対象となるジュースは、1種類以上の果物または野菜から絞られた、または抽出された水性液体、1種類以上の果物または野菜の可食部のピューレ、またはそのような液体またはピューレの濃縮物です。さらに、ジュースHACCP規則は、特定のジュース製品輸入業者に、輸入製品がジュースHACCP規則に従って加工されていることを保証することを支援するよう意図されている要件を順守することを求めています。

なお、常温流通される密封容器入りの低酸性食品と酸性化食品の場合はFCEとSIDの取得が必要になります。詳細は、「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

ボトル入り飲料水/炭酸清涼飲料水のためのガイダンス文書および規制情報など

食品医薬品局(FDA)と環境保護庁(EPA)は、どちらも飲料水の安全性に責任を負っています。 EPAは公共の飲料水(水道水)を規制し、FDAはボトル入り飲料水を規制しています。

FDAは、食品安全プログラムのもと、ボトル入り飲料水製品および加工工場を監視・査察しています。FDAが工場を査察する際には、工場の製品水と業務用水が認可された水源から得られたものであることの確認、洗浄・消毒手順の検査、ボトリング作業の検査、企業が水源水と製品水の汚染物質の分析を行っているかどうかの判定を行います。

その他、近年、新しいタイプのフレーバーおよび栄養素を添加した水飲料が登場していますが、これらのボトル入り飲料水は、ラベルで「水」という用語が強調表示されている場合、ボトル入り飲料水の要件を満たす必要があります。 さらに、これらの飲料に添加されるフレーバーと栄養素は、該当するすべてのFDA安全要件に準拠している必要があり、ラベルの原材料リストに表示されている必要があります。

ボトル入り飲料水/炭酸清涼飲料水の規制情報などについてはFDAのウェブサイト(ボトル入り飲料水/炭酸清涼飲料水のためのガイダンス文書および規制情報)にまとまっていますので、最新の情報を確認してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
米国連邦規則集
合衆国法典
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ジェトロから入手できる主な情報
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