税制

最終更新日:2023年10月26日

法人税

外資企業の法人税は20%。欠損は次年度以降に繰り越すことができる。

法人税

法人所得税法の改正(2000年4月10日)により、特定のプロジェクトに対する免税期間は廃止された。
ただし、改正法の発効以前に成立したプロジェクトについては、旧法が適用される(農業・工業プロジェクトに対しては10年間、その他のプロジェクトに対しては5年間が免税)。

新所得税法(2004年4月30日公布、2004年7月30日施行)では、外国企業に対する法人税は、一律20%となった。課税対象所得は、事業活動による収入、報酬、利益であり、キャピタルゲインを含む臨時収入もこれに含まれる。

ジェトロ:『所得税法』および『所得税法施行規則』(日本語仮訳)

ジェトロ:調査レポート「サウジアラビア税務ガイド(2022年2月)

ザカート(喜捨税)

サウジアラビアを含むGCC諸国の企業(地場企業)に対しては、ザカートと呼ばれる喜捨税が課せられる。
ザカートとして徴収された税金は、イスラム教徒の義務である喜捨の精神に基づき、イスラム諸国の災害に対する支援など、他者の支援・救済のために用いられる。
ザカートの税率は、ヒジュラ暦の年度のザカート基準額に基づき、2.5%が課税される。ザカート納付者の会計年度がグレゴリオ暦に準拠している場合、2.5%をヒジュラ暦の当該年度の日数に分割し、グレゴリオ暦による年度の日数を乗じることによってザカートが計算される。ただし、修正後利益は例外であり、あらゆる会計年度について 2.5%の税率が適用される。詳細は「サウジアラビア税務ガイド(2022年2月)」を参照。当該年の利益だけではなく、自己資本や剰余金・準備金など、その他の要素も考慮して算出される。

外国企業と地場企業で合弁企業を設立した場合には、利益の合計のうち、外国企業の持ち分に対して20%の法人所得税、地場企業の持ち分に対してザカートが課せられ、合計額が該当の合弁企業の法人所得税となる。

二国間租税条約

日本との間では、2011年9月に二国間租税条約が発効し、2012年1月以降の二重課税分については、ザカート・所得税局に対し、還付申請が行えることとなった。

日本との租税条約

正式名称「所得に対する租税に関する二重課税の回避および脱税の防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府との間の条約」は、2008年10月に交渉が開始され、2010年11月15日に署名、2011年9月1日に、日本国内での必要な国内手続きがすべて完了し、発効に至った。
本条約により、サウジアラビアにおいて、2012年1月1日以降に日本企業が支払う源泉徴収税額と、2012年1月1日以降に開始される各課税年度の租税については、二重課税分の還付の請求が可能となった。

本条約は、日本において、次のものに適用される。

  1. 源泉徴収される租税に関しては、2012年1月1日以後に租税を課せられる額
  2. 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、2012年1月1日以後に開始される各課税年度の所得
  3. その他の租税に関しては、2012年1月1日以後に開始される各課税年度の租税

参考
外務省:日・サウジアラビア租税条約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
外務省:日・サウジアラビア租税条約・条文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(318KB)
財務省:サウジアラビア王国との租税条約のポイント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

なお、ザカート・所得税局によれば、日本企業がサウジアラビアにおける二重課税額の還付を要求する場合には、請求権者(日本企業)は次の必要書類等を添付し、ザカート・所得税局に対して過払い額の返還請求状を提出することができる。

  • 支払いの受取人(非居住者、日本の税務当局など該当する団体)からの過払い税の返還を要求するレター
  • 受益者(在サウジアラビア日系企業)が当該国の居住者であること、および支払いが当該国の税制に基づくことを証明する、管轄税当局が発行した証明書
  • 源泉徴収税が支払われたことを示す書式のコピーや銀行発行のレシート

サウジアラビアの租税条約締結国

締結国は、次のとおり。
ベネズエラ、キプロス、ブルガリア、メキシコ、カザフスタン、ロシア、ヨルダン、エジプト、トルクメニスタン、エチオピア、タジキスタン、スウェーデン、北マケドニア、ポルトガル、キルギス、ハンガリー、アゼルバイジャン、アルジェリア、ルクセンブルク、マルタ、ウクライナ、アイルランド、チェニジア、チェコ、ポーランド、ルーマニア、オランダ、マレーシア、韓国、ベトナム、フランス、シリア、シンガポール、南アフリカ共和国、トルコ、ベラルーシ、バングラデシュ、英国、アイルランド、パキスタン、イタリア、ウズベキスタン、ギリシャ、日本、インド、オーストリア、中国、スペイン、香港、ジョージア、アラブ首長国連邦、アルバニア、コソボ、ガボン、スイス

ザカート・税・税関庁(ZATCA) "Tax and Customs Agreements外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

その他税制

個人所得税はないが、5%の付加価値税(VAT)が2018年1月1日に導入され、2020年7月に15%に引き上げられた。

個人所得税

なし(外国人に対する個人所得税も、1975年以降廃止されている)。

消費税

2018年1月1日に5%の付加価値税(VAT)を導入。2020年7月に15%に引き上げられた(軽減税率なし)。

外国人に対する人頭税

サウジアラビアで就労する外国人に対する人頭税(1人当たり月間700リヤルまたは800リヤル、企業内のサウジアラビア人従業員と外国人比率によって金額が異なる)が課されている。
2017年7月からは、従業員の扶養家族に対しても課税されている。1人当たり月間100リヤルだった課税金額は段階的に引き上げられ、2020年より1人当たり月間400リヤルとなった。
なお、この外国人の人頭税は、2019年10月1日から5年間の時限措置として、MISAライセンス上、“Industry” ライセンスを保有する企業の外国人は、課税対象外となっている。

ジェトロの記事:2017年7月19日付「外国人従業員の扶養家族への課税を開始-国内経済への影響を懸念する声も-

源泉徴収税

サウジアラビアに恒久的施設を有しない非居住者が、サウジアラビアを源泉とする所得を得た場合は、源泉徴収税の課税対象となり、次に掲げる税率に基づいて、所得総額に源泉徴収税が課税される。以前は、ザカート・税・税関庁(ZATCA)がイカーマ(Iqama)を持っていない、または海外で働いている従業員個人への支払いを源泉徴収税の対象と見做していたが、現在はステータスに関係なく、すべての従業員への支払いを源泉徴収税の対象としないとしている。

  • マネジメント・フィー:20%
  • ロイヤルティーまたは利益:15%
  • 賃貸料、航空券代金または航空もしくは海上貨物運賃、国際電気通信サービス料金:5%
  • その他支払い:15%

ザカート・税・税関庁(Zakat, Tax and Customs Authority外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

移転価格税制

サウジアラビアにおける移転価格税制はOECDガイドラインに沿っており、2018年度から、関連当事者間取引を行う法人税を支払う法人に適用される。関連当事者との取引がある企業は、ローカルファイル(LF、注1)、マスターファイル(MF、注2)を保持し、税務申告書とともにディスクロージャーフォームを提出しなければならない。

ジェトロ:調査レポート「サウジアラビア税務ガイド(2022年2月)

(注1)関連者間取引における独立企業間価格を算定するための詳細な情報。
(注2)多国籍企業グループの組織・財務・事業の概要等、多国籍企業グループの活動の全体像に関する情報。

日・サウジアラビア租税条約

日本は同条約に基づき、租税額は当該所得額の10%を超えないものとする。

外務省「日・サウジアラビア租税条約」第11条第2項PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(318KB)を参照。