所得税法

【法令・規則名称】
所得税法
【発布者・機関】
国王(所管:ザカート・所得税局)
【発布日】
ヒジュラ暦1425年1月15日(西暦2004年3月6日)
【施行日】
ヒジュラ暦1425年6月13日(西暦2004年7月30日)

【法令・規則名称】
所得税法施行規則
【発布者・機関】
国王(所管:ザカート・所得税局)
【発布日】
ヒジュラ暦1425年1月15日(西暦2004年3月6日)
【施行日】
ヒジュラ暦1425年6月13日(西暦2004年7月30日)

法令・規則の概要

所得税法(以下「本法」という)と所得税法施行規則(以下「本法施行規則」という)は、サウジアラビア(以下「サウジ」という)における自然人と法人に対する所得税に関する事項を規定している。

非サウジ人が持分を保有する法人とサウジ国内の各種投資ファンドは、本法と本法施行規則に従い、所得税課税の対象となる。所得税課税は、商工業省(Ministry of Commerce and Industry;MoCI)と、ザカート・所得税局(Department of Zakat and Income Tax;DZIT)により管理されている。

所得税は、原則として課税年度に実現した利益に対し20%の均一の税率を課すものとされている。賃金など特に除外されている所得を除き、原則としてサウジ国内において生じたすべての所得に対して適用される。

本法第2条と本法施行規則によれば、以下の者が所得税課税に服するとされる。

  1. 非サウジ国籍の出資者が持分を有しているサウジ居住者(以下「居住者」という)である資本会社(株式会社(Joint Stock Company;JSC)、有限責任会社(Limited Liability Company;LLC)または株式合資会社(a company limited by shares)をいう)。
  2. サウジにおいて事業を行っている居住者である非サウジ国籍の自然人。
  3. 恒久的施設を通じサウジにおいて事業を行っている非居住者。
  4. サウジを源泉とする課税所得を有する非居住者。
  5. 天然ガスの投資分野に従事している者。
  6. 石油と炭化水素資源の生産事業に従事している者。

なお、サウジにおいて直接または恒久的施設を通じて事業を行っている者とサウジを源泉とする課税所得を有する者を除き、自然人は本法における課税対象者とされていない。また、非サウジ国籍の出資者が持分を有している資本会社ならびに天然ガスの投資分野または石油および炭化水素資源の生産事業に従事している者を除き、居住者である法人は本法における課税対象者とされていない(ただし、別途ザカート税の課税対象者となり得る)。

課税標準と税率に関しては、本法第5条と第6条に定められる。

サウジ国内で天然ガスの投資分野に従事している者に課せられる天然ガス投資税にかかわる税率は、納税義務者の天然ガス投資事業活動の累計年間キャッシュフローに対する内部収益率に基づき決定され、当該税率が次課税年度における税率となる。税率は、内部収益率が8%以下の場合には30%、内部収益率が20%以上の場合には85%と定められており、累進課税となっている。

納税義務者の権利義務について、納税義務者は、過納額の還付をその支払がなされた課税年度から5年以内に請求する権利を有し(本法第72条参照)、純営業損失を損失が発生した年の翌年以降の課税年度に繰り越すことができ(同第21条参照)、税務当局による税額査定に関する査定通知書の受領日から60日以内に、査定税額に対する不服を税務当局に申し立てることができる(同第66条参照)。また、納税義務者は、税務当局に対して納税義務者についての登録義務を負い(同第57条参照)、商業帳簿と会計記録を保管する義務を負い(同第58条参照)、他の者との間で取り交わした契約に関する情報を税務当局に提供しなければならず(同第61条参照)、税金の前納(同第70条参照)と源泉徴収義務(同第68条参照)を負う。

※本資料は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の委託を受けた西村あさひ法律事務所が、ジェトロの事前承諾の下、サウジアラビア所在の法律事務所の協力を得て作成したものです(法令等のアラビア語版による原典は参照しておりません。本資料に含まれる情報は仮訳の部分を含みます)。本資料は、2010年2月10日までに収集した情報のみに基づいております。従って、本資料に含まれる情報について、最新性・正確性・完全性が担保されていない可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
※本資料は、ジェトロまたは西村あさひ法律事務所による法律的意見・見解・助言等を示すものではありませんので、本資料のみに依拠せず、別途専門家から助言を受けてください。