外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用
最終更新日:2021年11月30日
- 最近の制度変更
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2022年5月19日
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2022年5月12日
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2022年5月10日
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2022年3月10日
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2021年3月31日
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外国人就業規制
外国人の就労が認められない業務分野はない。
労働者人口の9割以上が外国人であるUAEには、外国人の就労が認められない分野はない。
在留許可
UAE国内で就業を予定する外国人は、UAE入国前に労働許可および雇用ビザを取得し、入国後に居住ビザ等を取得する。
1986年連邦法No.12(労働法。1980年連邦法No.8の修正法)の規定により、自営業や専門職以外の外国人労働者は、スポンサーがないと労働に従事できない。スポンサーになれるのは、政府機関、UAE国民、同国に設立されている企業・団体のうちのいずれか。
UAEで働く外国人は、UAE人的資源・自国民化省から労働許可を取得し、次いで内務省(窓口は各首長国の居住外事総局(General Directorate of Residency and Foreigners Affairs))から雇用ビザを取得する(雇用主を通じ、入国前に取得可能)。入国後、血液検査等の健康診断を受け、保健省または各首長国の保健当局(ドバイであればドバイ保健局)から健康証明書を取得する。次いで、連邦アイデンティティ・市民権庁(Federal Authority For Identity and Citizenship)よりIDカード(Emirates ID)および人的資源・自国民化省が発行する労働者カードを取得する。その後、内務省(各首長国の居住外事総局)が発行する居住ビザを取得する。なお、投資家の場合は、投資家ビザとなる。
労働許可と居住ビザの有効期間は、原則として2年間(雇用ビザは最初の入国時のみ必要)。ただし、Jafza、Dafza等のフリーゾーン企業で働く従業員には、3年間の労働許可と居住ビザが発給される。また、2019年以降、所定の条件を満たす投資家や起業家、専門技術者(医者、科学者等)については、最長10年間のビザが発給されるようになった。
2017年12月より、UAE国内の企業は次のとおり分類され、このカテゴリーの分類によって労働許可取得料(原則2年更新)が異なる。労働許可取得料は、UAEを含むGCC(湾岸協力会議)加盟国の国籍所有者を雇用する際には免除される。
各カテゴリーの定義は次のとおり。
- カテゴリー1:自国民化パートナーズクラブのメンバー、ユースプロジェクト・サポート機関のメンバーなど
- カテゴリー2A:技能労働者の割合が40%以上かつ同一国出身者の割合が50%以下
- カテゴリー2B:技能労働者の割合が10%以上40%未満かつ同一国出身者の割合が50%以下
- カテゴリー2C:技能労働者の割合が5%以上10%未満かつ同一国出身者の割合が50%以下
- カテゴリー2D:技能労働者の割合が5%未満または同一国出身者の割合が50%以上
- カテゴリー3:労働法違反を1つ以上犯した企業
カテゴリー | 技能労働者 | 低熟練工 | ||||
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新規取得者 | UAE国内での転職者 | 既存労働許可の更新者 | 新規取得者 | UAE国内での転職者 | 既存労働許可の更新者 | |
カテゴリー1 | 150 | 75 | 150 | 250 | 150 | 250 |
カテゴリー2A | 250 | 100 | 250 | 1,000 | 350 | 900 |
カテゴリー2B | 350 | 200 | 450 | 1,700 | 750 | 1,250 |
カテゴリー2C | 550 | 350 | 550 | 2,000 | 1,000 | 1,650 |
カテゴリー2D | 750 | 350 | 650 | 2,400 | 1,200 | 2,200 |
カテゴリー3 | 1,800 | 1,000 | 1,500 | 3,750 | 1,800 | 3,000 |
(注)料金は2021年11月現在
2016年1月1日より、新規雇用者の入国または居住ビザの資格変更前(UAE国内での転職の場合)に、人的資源・自国民化省の指定の雇用内定通知を作成し同省へ提出が求められるようになった。入国後、内定通知を踏まえた雇用契約書の作成および提出も必要である。詳細については、ジェトロ「法務関連ビジネス情報」のページ内「UAE労働省の新省令:雇用契約の新書式(2016年3月)」を参照。
2016年6月末より、ドバイでは健康保険への加入が義務付けられた。これによりドバイに所在する事業者は、居住ビザのスポンサーになっている従業員などに対してドバイ保健局の基準に適合した保険を提供しなくてはならず、こうした保険に加入しない従業員には、居住ビザの取得・更新が行われなくなった。詳細については、ジェトロ「法務関連ビジネス情報」のページ内「ドバイ健康保険加入義務化の最新状況(2015年7月)」を参照。
なお、アブダビに所在する事業者にも従業員などの健康保険の加入が義務付けられているが、他首長国に所在する企業にはそうした義務はない。
2018年10月より、労働者カードの取得時に雇用保険への加入が義務付けられた。詳細はジェトロの記事「UAE、雇用時の銀行保証金の撤廃に伴う新保険を導入(2018年11月6日付)」を参照。
現地人の雇用義務
特定業種の企業に対し、あるいは企業の規模に応じて、UAE国民の雇用義務がある。
周辺国同様、労働力の自国民化政策(Emiratization)を進めるUAEには、同政策を所管する人的資源・自国民化省(Ministry of Human Resources & Emiratization:MOHRE)があり、次のような業種別の自国民雇用義務を規定する。
- 従業員数50人以上の輸入・卸売・小売等の流通業(Trading):全従業員に占める自国民の割合を、2%にする。
- 保険業:同じく5%にする。
- 銀行業:同じく4%にする。
なお、前記業種に加え、従業員100人以上の企業では、ビザ発行等の手続きを行う渉外担当社員(PRO)は、UAE国民でなければならないとされる。
2019年にMOHREは航空、通信、銀行、保険、不動産開発などの分野において2022年までに2万人分の自国民雇用創出を目指すと発表した。
ただし、本政策は、実際には弾力的に運用されており、これまでのところ、雇用義務を満たさなくても業務停止等の処罰は適用されていないが、業種や募集する職種によっては従業員雇用時に自国民の雇用の検討を求められることもある。
なお、多くのフリーゾーンでは入居企業は自国民雇用義務を免除されている。
当地報道などによると、2017年におけるUAE国民労働者の割合は、3.38%となっている。
その他
雇用・労務に関する法制度は、主に連邦労働法で定められているが、一部フリーゾーンは異なる法体系に属している。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部で特別措置が定められた。
雇用・労務に関する法制度
UAEにおける雇用・労務に関する法制度は、どの首長国においても連邦労働法が適用される。首長国やフリーゾーンによっては、独自の労働に関する規則が定められている場合もあるが、連邦労働法の範囲内で策定されている。
ただし、ドバイ首長国のドバイ国際金融センター(Dubai International Financial Centre : DIFC)と、アブダビ首長国のアブダビグローバルマーケット(Abu Dhabi Global Market : ADGM)は、他のエリアと異なる法体系に属し、法律や裁判所も独自のものを有し、労働法についても、連邦労働法と異なる法律が存在する。
ジェトロ:「アラブ首長国連邦における雇用及び労務に関する法制度(776KB)」
新型コロナウイルス感染拡大下における雇用問題
2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、多くの企業では経営上の課題から、雇用問題が顕在化している。ドバイ首長国と一部のフリーゾーンでは、労働法制に関して特別措置を定めている。
ジェトロ「法務関連ビジネス情報」ページ内「COVID-19下における従業員の雇用問題について(2020年6月)」を参照。