外国企業の会社設立手続き・必要書類
最終更新日:2022年05月13日
- 最近の制度変更
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2019年7月4日
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外国企業の会社設立手続き・必要書類
UAEには多くの法人形態があるが、外国企業の設立に適した主な会社形態は、有限責任会社(Limited Liability Company:LLC)、支店、駐在員事務所、フリーゾーン企業(Free Zone Establishment:FZE、Free Zone Company:FZCO)の4種類。
LLC、支店、駐在員事務所については、フリーゾーン内外のどちらでも設立可能であるが、設立手続きや管轄官庁は異なる。フリーゾーンについての詳細は「外資に関する奨励 各種優遇措置」を参照。
フリーゾーン外の法人設立について、2020年9月の商事会社法改正により、2021年6月以降、従来まで原則必須要件とされていた51%以上の現地資本の参加は、産業分野によっては不要となった。しかし、同法の運用状況には首長国ごとに差があり、会社設立にあたっての手続きも明確化されていない状況。
各法人形態の特性や認められる事業範囲等については、次の資料を参照。
ジェトロ:アラブ首長国連邦(UAE)における外国企業の拠点形態(511KB)
※2019年7月作成の資料。前述のとおり、出資比率については変更がなされているので注意。
フリーゾーン外
ドバイ首長国を例として、フリーゾーン外(オンショア・外国資本比率49%以下)での会社設立の手続きおよび必要書類を挙げると次のとおり。2021年6月以降に認められた外資100%での会社設立に係る必要書類については依然として不明瞭な点があるため、当局に事前に確認が必要。
有限責任会社(Limited Liability Company:LLC)
- ドバイ政府経済開発局(DE)の事業分類リストより、設立する会社の事業分野を特定する。
- DEに商号を仮登録する。
- DEから事前承認を取得する。必要書類は次のとおり。
- 所定の申請書
- 商号の予約証明書
- ライセンスを受ける人の身分証明書コピー
- (申請者がUAE在住外国人の場合)申請者のUAE在住ビザコピーおよびビザ・スポンサーからの異議なし証明書(NOC)
- 会社定款
- 事業計画書
- LLC設立を決定した親会社取締役会の決議書 ※
- マネージングディレクターの任命書 ※
- 親会社の登記証明 ※
- 親会社の定款 ※
- 親会社のライセンス(UAE企業の場合)
- 「実質的支配者」に関する開示書類(「その他」の項目参照)
※書類はアラビア語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受ける必要がある。
- 会社定款の作成
- オフィス等の不動産賃貸契約
- DEから最終承認とライセンスを取得する。必要書類は次のとおり。
- 所定の申請書
- 事前承認書
- 事前承認取得時の必要書類一式
- 全株主およびマネージャーのパスポートコピー
- (申請者がUAE在住外国人の場合)ビザ・スポンサーからの異議なし証明書(NOC)
- ドバイ不動産登録庁(RERA)の認証済みの事務所賃貸契約書コピー
- 会社定款(公証人の証明を受けたもの)
※これらに加え、業種によっては所管機関からの許認可が必要な場合がある。
支店、駐在員事務所
- DEの事業分類リストより、設立する会社の事業分野を特定する。
- DEに商号を仮登録する。
- 経済省の承認を取得する。必要書類は次のとおり。
- 所定の申請書
- 親会社の登記証明(登記簿謄本/抄本)
- 支店/駐在員事務所設立を決定した親会社取締役会の決議書
- 申請代行者に対する委任状
- サービス代理人(スポンサー)のパスポートおよび住民票コピー(該当する場合)
- 公証人の証明を受けたスポンサー契約書
※書類はアラビア語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受ける必要がある。
- DEから事前承認を取得する。必要書類は次のとおり。
- 所定の申請書
- 商号の予約証明書
- 経済省の承認書
- ライセンスを受ける人の身分証明書コピー
- (申請者がUAE在住外国人の場合)申請者のUAE在住ビザコピーおよびビザ・スポンサーからの異議なし証明書(NOC)
- スポンサーのパスポートおよび身分証明書コピー(該当する場合)
- 支店/駐在員事務所設立を決定した親会社取締役会の決議書 ※
- 支店/駐在員事務所代表者に対する委任状
- 親会社の会社定款 ※
- 親会社の登記証明(登記謄本/抄本)※
- 親会社のライセンス(UAE企業の場合)
- 「実質的支配者」に関する開示書類(「その他」の項目参照)
※書類はアラビア語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受ける必要がある。
- オフィス等の不動産賃貸契約
- サービス代理人(スポンサー)との契約(該当する場合)
- DEから最終承認と商業ライセンスを取得する。必要書類は次のとおり。
- 所定の申請書
- 事前承認書
- 事前承認取得時の必要書類一式
- 全株主およびマネージャーのパスポートコピー
- (申請者がUAE在住外国人の場合)ビザ・スポンサーからの異議なし証明書(NOC)
- ドバイ不動産登録庁(RERA)の認証済みの事務所賃貸契約書コピー
- スポンサー契約書(公証人の証明を受けたもの。該当する場合)
※これらに加え、業種によっては所管機関からの許認可が必要な場合がある。
- 経済省の外国企業登記簿に登録する(手数料1万ディルハム)。登録には、銀行保証金5万ディルハムが必要。登録は、毎年更新する必要がある(更新手数料1万ディルハム)。新規登録時の必要書類は次のとおり。
- ライセンスコピー
- 支店代表者に対する委任状※
- 銀行保証書
※アラビア語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受ける必要がある。
※外国企業の支店または駐在員事務所の場合は、UAE国民または100%UAE資本の法人による「サービス代理人」(Service Agent。一般に「スポンサー」と呼ばれる)が必要であったが、外資規制撤廃とともに不要となった。関連法は2020年連邦法第26号、2021年連邦法第32号(会社法の改正)。従って、スポンサー関連資料は原則不要。ただし、専門的職種の個人事業体(医療サービス、法律コンサルタント等)はスポンサーが依然必要とされている。
フリーゾーン内
ジェベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)を例として、フリーゾーン内(オフショア)での設立手続きおよび必要書類を挙げると次のとおり。
フリーゾーン企業(FZE、FZCO)
- 次の書類を提出する。
- 申請書
- 事業計画書
- EHS(環境・健康・安全対策)申請書・EHS関連基準遵守書
- (申請者がUAE在住外国人の場合)現地スポンサーからの異議なし証明書(NOC)
- 代表者、役員のパスポートコピー
- 親会社の登記証明(登記簿謄本/抄本)※
- 親会社の会社定款 ※
- FZE、FZCO設立とその代表者を決定した取締役会の決議書 ※
- 代表者の署名鑑(JAFZAの証明を受けたもの)
- 「実質的支配者」に関する開示書類(「その他」の項目参照)
※英語に翻訳し、公証人役場、在外UAE大使館の認証を受ける必要がある。
- JAFZAがこれらの書類の審査・事業認可を行い、承認した後メールで連絡する(関連機関への申請は、基本的にJAFZAが代行するが、追加で申請者が認可を得なければならない場合もある)。
- オフィス・土地区画・ショールーム・倉庫から物件を選択する。
- 登録手数料、賃貸料等を支払った後、企業の概要や事業活動、賃貸物件等に関する詳細を記述したリース概要書に署名し、提出する。
- ライセンスが発行される。
外国企業のフリーゾーン内の支店
- 次の書類を提出する。
- 申請書
- 事業計画書
- EHS(環境・健康・安全対策)申請書・EHS関連基準遵守書
- 現地スポンサーからの異議なし証明書(NOC)(UAE居住者のみ)
- 代表者のパスポートコピー
- 親会社の登記証明(登記簿謄本/抄本)※
- 親会社の会社定款 ※
- 支店設立とその代表者を決定した取締役会の決議書 ※
- 代表者の署名鑑(JAFZAの証明を受けたもの)
- 「実質的支配者」に関する開示書類(「その他」の項目参照)
※英語に翻訳し、公証人役場、在外UAE大使館の認証を受ける必要がある。
- JAFZAがこれらの書類の審査・事業認可を行い、承認した後、メールで連絡する(関連機関への申請は基本的にJAFZAが代行するが、追加で申請者が認可を得なければならない場合もある)。
- オフィス・土地区画・ショールーム・倉庫から物件を選択する。
- 登録手数料、賃貸料等を支払った後、企業の概要や事業活動、賃貸物件等に関する詳細を記述したリース概要書に署名し、提出する。
- ライセンスが発行される。
場合によっては、並行して次の手続きを行う必要がある。
従業員のスポンサー手続き
- ライセンスが発行された後、Web上のDubai Tradeポータルサイトから雇用ビザ申請をし、パスポートその他必要書類をJafza14ビルのビザセクションカウンターに提出する。
※ビザ申請費用は、あらかじめDubai Tradeポータルサイトに入金しておく必要がある。 - Jafzaから登録してある携帯電話にメールで通知を受けた後、メディカルセンターでX線検査・血液検査およびEmirates IDの指紋登録を行う。
- ビザが発行された後、Emirates IDカードは郵送で送付される
事務所・工場等の建設
建物の建設または機械の設置が必要な場合、現地登録コンサルタントを通じて詳細な計画と電力供給申請を提出する。建設許可が発行されたら、コンサルタントの監督とJAFZAによる定期点検の下、現地登録の工事業者が工事を行う。建築物が完成した後、JAFZAに対し敷地内の検査を要請し、問題がなければ建築物完成証明書が発行され、電力が供給される。同様に、機械設置後には適正稼働証明書が発行される。
製造業の登録
JAFZAは、経済省による国家工業ライセンスの取得を希望する企業に対して、次の手順で行政手続きを行う。
- 当該企業がJAFZAへ申請書およびプロジェクト提案書を提出する。
- JAFZAが同省へ同提案書を提示し、企業に代わって手続きを進める。提案が原則認められると、同省が暫定承認を行い、JAFZAが企業に対し国家工業ライセンスを発行する。
- 製造の準備が整うと、JAFZAが同省による工場点検を手配する。工場の稼働していること、製品がライセンスにより許可されていること、同省による点検が行われたこと、等が確認された後、同省から登録番号を記載した証明書が発行され、当該企業が登録された旨経済省に通知される。さらに経済省がGCC事務局へ通知すると、GCC事務局がGCC諸国の関税当局へ通知書を転送する。
- 登録が完了すると、経済省は企業の要請に応じて随時原産地証明書を発行する。
外国企業の会社清算手続き・必要書類
法務関連ビジネス情報ページを参照。
ジェトロ「法務関連ビジネス情報」のページ内「アブダビおよびドバイにおけるオンショア(国内)での法人清算処理と登録解除(2016年1月)」および「ドバイJAFZおよびDAFZでの会社清算(2016年2月)」を参照。
その他
現地での資金調達は、通常、UAEの商業銀行から行う。資金借入れ企業が中央銀行へ報告書を提出する義務はない。
2020年8月以降、法人に関する「実質的支配者」の情報開示が求められており、会社設立の際にも開示書類の提出が必要となる。
2020年8月以降、一部の例外を除き、UAEに拠点を置くすべての法人(支店も含む)について、その実質的支配者(Ultimate Beneficial Ownership)の情報開示が求められるようになった。会社設立の際にも同情報の開示書類の提出が必要となる。
その概要は次の資料を参照。
ジェトロ:アラブ首長国連邦(UAE)における実質的支配者規制(767KB)
ドバイにおける開示書類に関しては、ドバイ経済開発局がフォーマット(Declaration of the Beneficial Owner)(224KB)を公開している。