日本からの輸出に関する制度 菓子の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する菓子のHSコード

1704 : 砂糖菓子(ホワイトチョコレートを含むものとし、ココアを含有しないものに限る。)180620:ココア粉を除くチョコレートその他のココアを含有する調製品(塊状、板状または棒状のもので、その重量が2キログラムを超えるものおよび液状、ペースト状、粉状、粒状その他これらに類する形状のもので、正味重量が2キログラムを超える容器入りまたは直接包装にしたものに限る)
190531:パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品(ココアを含有するかしないかを問わない。)のうちスウィートビスケット(クリスブレット、ワッフル、ウエハース、ラスク、トースト、あられ、せんべいを除く) 1905.90 :あられ、せんべいその他これらに類する米菓

調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、英国は、EU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。また、英国では、多くのEU規制が引き継がれます。なお、北アイルランドは、英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英包括的経済連携協定(以下、日英・EPA)を享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載していますので、北アイルランド議定書などに関してはジェトロレポート「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」およびジェトロビジネス短信を確認してください。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年12月

EU離脱に関する規則

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、混合食品の分類や輸入時に添付すべき書類などについて、注意が必要です。
なお、調査時点では、菓子に関して、英国独自の輸入禁止(停止)や制限品目の存在は確認されていません。

また、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(グレートブリテン)にかかる規制について記載し、北アイルランド議定書に関してはジェトロレポート「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」または、ジェトロビジネス短信を確認してください。

放射性物質規制

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、英国への輸入に際して一部政府作成の放射性物質検査証明書が必要な食品がありますが、菓子類は、産地証明を含め、規制対象から除外となっています。ただし、輸入国においてサンプリング検査が行われる場合があります。

動物由来食品および動物性加工食品

本稿で言及する菓子は対象外の場合が多いですが、動物由来食品および動物性加工食品を輸出するには原則として、残留物質モニタリング計画(動物由来加工製品の原料となる種/商品)を有し、当該動物性原材料が当該動物性原材料の英国への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」由来であり、かつ「英国/EU HACCP認定施設(漁船・市場・と畜場含む)」を経由・同施設で加工される必要があります。

混合食品

英国では、加工された動物性食品(動物由来加工製品Processed products of animal origin)(注1)と植物性原材料(植物由来製品 Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(欧州委員会維持決定2007/275/EC Article2)、特別な規制を設けています。
混合食品に関してEUで2021年4月21日から適用されている新規則と英国の規則は異なるため、注意が必要です。特に、混合食品の分類と輸入時の添付書類については、留意が必要です。
原材料に、植物性原材料のほかに、肉加工品(肉エキス・肉パウダーなどを含む)、乳製品(乳糖を含む)、卵、魚介類(えび粉、かつおエキスなど)、はちみつなどの動物性原材料を含む菓子類は、混合食品に該当します。混合食品に該当する場合、原材料として含まれる動物性原材料の種類、割合、温度安定性によって、課せられる規制・必要な証明書、日本からの輸出の可否が異なります。具体的には、英国/EUへの輸出認定国判定、動物検疫、政府発行の衛生証明書、「英国/EU HACCP認定施設」での加工証明(輸出検疫証明書上の記載)の確認が必要となります。
英国への輸出が認められた第三国のリストに日本が掲載されている品目(その状態を以下「第三国リスト掲載国」という)は牛肉、肉加工品、鶏肉、水産養殖物、乳、卵、ゼラチンおよびコラーゲン(牛肉および魚介由来に限る)となります。

(参考)動物性加工食品/混合食品/HACCP認定要件に関する概念図
表1 日本の残留モニタリング計画承認状況
動物種 残留物質モニタリング計画の承認状況
ウシおよびウシ科動物(Bovine)
羊・山羊(Ovine/caprine) ×
豚(Porcine)
ウマ科動物(Equine) ×
鶏・家禽類(Poultry)
水産養殖物(Aqua-culture)
乳(Milk)
卵(Eggs)
ウサギ(Rabbit) ×
野生の狩猟獣(Wild game) ×
飼育の狩猟獣(Farmed game) ×
ハチミツ(Honey) ×
表2 日本の第三国リスト掲載品
動物種 第三国リスト掲載品目(動物を除く)
生鮮肉 加工品
生鮮の牛肉 (Bovine animals) 〇 *1
豚(Porcine) × 〇 *1
鶏・家禽類(Poultry) 〇 *1
水産養殖物(Aqua-culture)
生きたコイ科の魚/冷凍された一部の水産品

水産養殖物の加工品
乳(Milk) 〇(生乳・初乳) 〇(乳製品)
卵(Eggs)
英国における混合食品の分類
  1. 「肉類を含む」または「動物性原材料の割合が50%を超える」混合食品については、当該動物性原材料に関する「第三国リスト掲載国」(例:チキンエキスを含む混合食品の場合、鶏肉に関する「第三国リスト掲載国」)で製造される必要があり、
  2. 前述に該当しない混合食品(肉類を含まず、動物性原材料の割合が50%以下の混合食品)については、「第三国リスト掲載国で製造される必要はない(例:ミルクチョコの場合、原料の乳製品が「第三国リスト掲載国」に由来していれば、ミルクチョコそのものは乳製品に関する「第三国リスト掲載国」で製造する必要はない)。
また、混合食品そのものの製造は、「英国/EU HACCP認定施設」で行われる必要はない。
ただし、未加工動物性食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する場合は、「英国/EU HACCP認定施設」で行われることが必須となります。
なお、一部の混合食品の輸入に関しては、「英国/EU HACCP認定施設」由来である証明の貼付が義務ではありませんが、「英国/EU HACCP認定施設」での加工自体が免除されているわけではなく、検疫当局の求めにより「英国/EU HACCP認定施設」に関する情報を提示する必要があることに留意が必要です。
2021年11月時点では、日本に肉製品についてこれらの条件を満たす認定工場がないため、肉エキスをはじめとする日本産の肉加工品を原材料に含む混合食品を英国に輸出することはできません(ケーシングに関する英国/EU HACCP認定施設は厚生労働省のウェブサイトで確認することができます)。
肉加工品を原材料に使用しておらず、それ以外の動物性原材料(乳製品、卵、魚介類)を使用している場合、(1)原材料に占めるこれらの動物性原材料の割合が50%未満で、(2)安定していて(注2)、(3)原材料の乳・卵・魚介類が第三国リスト掲載国で加工されている場合、または欧州委員会維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコードの混合食品は、衛生証明書の添付が不要で、必要情報を含めた商業文書を添付することで、英国へ輸出ができます(ANNEX IIの混合食品については、商業文書添付の必要性は明記されていない)。本ページの定義品目であるCNコード190590の一部(1905 90 10, --20, --30, --45, --55, )もこれに含まれるため、例えば、かつおエキスなどを含むクラッカーなどは衛生証明書を添付することなく輸出が可能です。
ただし、「英国/EU HACCP認定施設」での加工自体が免除されているわけではなく、検疫当局の求めに応じて、必要情報を提示する義務があることに注意が必要です。
はちみつについては、日本は「第三国リスト掲載国」ではないため、英国に輸出することができません。
(注1)「加工」とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となる。ヒトの消費を目的とした動物由来製品とは、維持規則 (EU)2019/626 第3条~第22条および維持規則 (EC)853/2004に記載されており、ゼラチンや昆虫なども含まれます。 (注2)「安定している」とは、次の条件をすべて満たすことを指します(維持委員会決定 2007/275/EC Article6 (1)(a))。(1)常温保存が可能または製造過程で原材料の中心部が熱処理や調理などの完全なプロセスにより未加工製品が変性している、(2)ヒトの食用であることが明記されている、(3)清潔な容器に密封されている、(4)加盟国の公用語(英語)で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
維持決定2007/275/EC ANNEX IIに記載されるCNコードの一例
CN 1704, 1806 20 , 1806 31 , 1806 32 , 1806 90 11 , 1806 90 19 , 1806 90 31 , 1806 90 39 , 1806 90 50 次の条件を満たすチョコレートや菓子
  • 乳製品・卵製品(日本産など第三国リスト掲載国産)の含有割合が50%未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • ヒトの食用であることが明記されている
CN 1905 10 , 1905 20 , 1905 31 , 1905 32 , 1905 40 , 1905 40 10 , 1905 90 10 , 1905 90 20 , 1905 90 30 , 1905 90 45 , 1905 90 55 , 1905 90 60 , ex 1905 90 90
*1905 90は乾燥してサクサクしたものに限る
次の条件を満たすパンやビスケットなど
  • 乳製品・卵製品の使用割合が合計20%未満からなる
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • ヒトの食用であることが明記されている

なお、政府発行の衛生証明書などの必要書類については、「輸入規則」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を、動物検疫に関しては、「3.動植物検疫の有無」の項を参照してください。

混合食品の分類フローチャート
混合食品の分類フローチャート

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年12月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある点に留意してください。

例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、混合食品の分類や輸入時に添付すべき書類などについて、注意が必要です。

英国に輸入する前に必要な手続き(EORI番号の取得など)に関しては、「輸入手続き」の「1.輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」に記載していますので確認してください。

原産地証明書

日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)の適用を受けるには、原産地証明(日本原産の証明)が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。詳細は税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。
輸出側としては、日英・EPA に定める義務を履行できる者である限り「輸出者自己申告」ができ、財務省関税局・税関「日英・EPA 自己申告および確認の手引き(2020年12月)」に記載されているとおり、同 EPA 第 3 章 附属書 3-Eに規定された原産地に関する申告文を日本語または英語で、インボイスその他の商業上の文書上に記載することとなっています。

申請の際に記載する「輸出者参照番号」とは、日本で登記された企業およびその他の組織に国税庁が割り当てた13桁の法人番号にあたります。(輸出者が登録番号を有しない場合には、記入欄空欄で可。)
その他、詳細はジェトロ「日英・EPA解説書:日英・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月)」を参照してください。

政府発行の衛生証明書

「輸入規制」の「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項に記載のとおり、牛肉エキスなどの肉加工品や肉製品を原材料に使用している菓子の場合は、第三国リスト掲載国の英国/EU HACCP認定施設で加工(注1)されていることが必要となり、さらに輸出の都度、維持規則(EU)28/2012 ANNEX Iに掲載の政府発行の衛生証明書が必要となります。肉以外の動物性原材料(乳製品・卵・魚介類)いずれか1種類を50%以上含有する場合や乳製品を含有し、安定していない(注2)場合も政府発行の衛生証明書が必要となります。
日本の第三国リスト掲載品目に関しては、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項で確認することができます。

その他、維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されているCNコード(混合食品)または維持実施規則(EU)2019/2007のANNEX Iに掲載されている動物性食品および混合食品も公的検査の対象となります。
この場合、輸入(英国)側で、貨物が到着する24時間前までに電子システムIPAFFS経由で、「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を国境検疫所に事前通知し、国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域書」が発行されます。空白や不完全がある場合、関係当局は署名をしないとされています。様式は、英国政府のウェブサイトにおいて確認することができます。

一方、同項目のフローチャートのとおり、加工された動物性食品と植物性原材料の両方を含む食品「混合食品」において、1)動物性原材料(乳製品、卵、魚介類)の使用割合が50%未満で、2)安定している(注2)、3) 原材料の乳・卵・魚介類が認定第三国リスト掲載国で加工されている場合、衛生証明書の添付が不要で、必要情報を含めた商業文書を添付することで、英国へ輸出ができます。
欧州委員会維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載される「動物検疫の対象外となる混合食品」に記載される場合も同様です。例えば、本稿の対象品目である190531や1905 90の場合、前述の1)、2)、3)を満たし加工された乳・卵製品が20%未満からなる場合(例えば、少量の「かつおエキス」や少量の卵を含むせんべいなど)、衛生証明書の添付が不要です(1905 90 90に関しては乾燥したクラッカー状のものである必要があります)。

維持決定2007/275/EC ANNEX IIに記載されるCNコードの一例
CN 1704, 1806 20 , 1806 31 , 1806 32 , 1806 90 11 , 1806 90 19 , 1806 90 31 , 1806 90 39 , 1806 90 50 次の条件を満たすチョコレートや菓子
  • 乳製品・卵製品(日本産など第三国リスト掲載国産)の含有割合が50% 未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • ヒトの食用であることが明記されている
CN 1905 10 , 1905 20 , 1905 31 , 1905 32 , 1905 40 , 1905 40 10 , 1905 90 10 , 1905 90 20 , 1905 90 30 , 1905 90 45 , 1905 90 55 , 1905 90 60 , ex 1905 90 90
*1905 90は乾燥してサクサクしたものに限る
次の条件を満たすパンやビスケットなど
  • 乳製品・卵製品の使用割合が合計20%未満からなる
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • ヒトの食用であることが明記されている

前述のケース以外にも、例えば肉以外の動物性原材料(乳製品・卵・魚介類)それぞれの含有率は50%未満であっても、全体の動物性原材料の含有率が50%以上の混合食品や、肉類・乳製品不使用で動物性原材料(卵・魚介類)の使用割合は50%未満だが、安定していない混合食品の場合、動物性原材料が英国/EU HACCP認定施設で加工された旨を証明する商業文書の提出が必要となり、証明できない場合は輸出ができません。

なお、英国においては、当該混合食品が英国の規制でカバーされていない(いわゆる隙間事例に該当する)と判断された場合には、個別のライセンスの取得を求められる場合があります。個別のライセンスは、動植物衛生庁のウェブサイトから申請様式をダウンロードし、必要事項を記載のうえ、荷揚げ地がイングランドの場合は動植物衛生庁に、スコットランドまたはウェールズの場合は各地域政府に提出することにより、取得することができます。

(注1)『加工』とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となる。

(注2)『安定している』とは、次の条件をすべて満たすことを指します(委員会決定 2007/275/EC Article6 (1)(a))。

(1)常温保存が可能または製造過程で原材料の中心部が熱処理や調理などの完全なプロセスにより未加工製品が変性している、(2)ヒトの食用であることが明記されている、(3)清潔な容器に密封されている、(4)加盟国の公用語(英語)で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年12月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、移行期間終了時点のEU法は、原則的に英国国内法体系に直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。

日本から英国に米菓を輸出する場合は、特別な検疫上の措置は求められません。植物検疫証明書の取得も不要です。ただし、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項のフローチャートのとおり、肉エキスなど動物性原材料を含んでいる場合、英国への輸出が不可能であったり、可能であっても動物検疫を要したりする場合があります。
使用されている動物性原材料が、日本国内の英国/EU HACCP認定施設から由来しているか、英国、EUまたはその他の国の認定施設から由来している必要があります。

ただし、2021年11月時点では、日本に肉製品についてこれらの条件を満たす認定工場がないため、肉エキスをはじめとする日本産の肉加工品を原材料に含む混合食品を、英国に輸出することはできません。(ケーシングに関する英国/ EUHACCP認定施設は厚生労働省のウェブサイトで確認することができます。)

「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項で説明のとおり「混合食品」に関しては、衛生証明書の添付が不要で、商業文書の添付で英国向けに輸出することができます。

なお、英国においては、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項に記載のとおり、個別のライセンスの取得を求められた場合は、所定の様式によりライセンスを申請し、取得する必要があります。

英国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、英国市場に上市されるすべての製品に対して同水準の品質を保証するという観点から、消費者に新鮮な状態で供給される農産物や水産物を中心に取引規格(marketing standard)が定められています。農産物については、維持規則(EU)No 1308/2013により、青果物を中心にいくつかの製品・セクターの取引規格が定められていますが、菓子類に関する食品規格は定められていません。

ただし、EU域外から輸入される食品については、維持規則(EC)No 178/2002に基づき英国が求める食品に関する要件またはそれと同等と認められた要件(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)に適合している必要があるため、注意が必要です。 英国の食品の食品衛生要件に関しては、維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)と維持規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、所管当局に通知する義務があります(維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(維持規則(EC)No 396/2005)。MRLは、当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの下限値が適用されます。

なお、菓子のような加工食品や混合食品についても本規制の対象となりますが、加工食品に適用されるMRLは調査時点で設定されていません。ただし、原材料として使用するコメなどについては設定されたMRLを順守する必要があります。

すべての食品に対するMRLは、「GB MRL register(英国農薬データベース)」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。その他、詳細はジェトロ調査レポート「EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)」も参照してください。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語))外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国安全衛生庁 the Health and Safety Executive (HSE)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 396/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁 食品の残留農薬(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国安全衛生庁 the Health and Safety Executive (HSE):農薬(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、維持規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(維持規則 (EEC) No315/93 Article 1(1))。これらの最大規定値を超えるものは原材料としても使用できないとされています。(維持規則(EC)1881/2006第3条)

米菓が該当すると想定される汚染物質の上限値を抜粋すると、次のとおりになります。
なお、アフラトキシンについては、最も毒性の強いアフラトキシンB1単独での上限値と、B1・B2・G1・G2の総量の上限値がそれぞれ定められています。
なお、EUにおいては、2021年8月31日から新たに「塩」「香辛料・スパイス」に含まれるカドミウムと鉛の基準値が設定されましたが、英国では調査時点で、「塩」「香辛料・スパイス」に課される基準値は確認されていません。

汚染物質の上限値(米菓)※ただし網羅版ではないため原文を確認のこと
物質名 上限値 対象品目
硝酸塩 200 mg NO3/kg 乳幼児向けの穀物ベース加工食品
アフラトキシン B1:2.0μg/kg すべての穀物および穀物加工品※1
アフラトキシン B1,B2,G1,G2の総量:
4.0 μg/kg
すべての穀物および穀物加工品※1
アフラトキシン B1:0.1μg/kg 乳幼児向けの穀物ベース加工食品
オクラトキシンA 3.0μg/kg 穀物加工品およびヒトが直接消費する穀物を含む、未加工穀物から作られるすべての製品※2
オクラトキシンA 0.5μg/kg 乳幼児向けの穀物ベース加工食品
デオキシニバレノール 500μg/kg パン、ケーキ類、ビスケット、穀物菓子および朝食用シリアル
デオキシニバレノール 200μg/kg 乳幼児向けの穀物ベース加工食品
ゼアラレノン 50μg/kg パン、ケーキ類、ビスケット、穀物菓子および朝食用シリアル(トウモロコシ由来の菓子および朝食用シリアルを除く)
ゼアラレノン 20μg/kg 乳幼児向けの穀物ベース加工食品(トウモロコシ由来のものを除く)
0.05 mg/kg 湿重量 乳幼児向けの穀物ベース加工食品
カドミウム 0.04 mg/kg 湿重量 乳幼児向けの穀物ベース加工食品
スズ 200 mg/kg 湿重量 飲料を除く保存食品
50 mg/kg 湿重量 保存食品としての乳児用食品および乳幼児向けの穀物ベース加工食品(乾燥され粉末化されたものを除く)
無機ヒ素 0.3 mg/kg ライスワッフル、ライスウエハース、ライスクラッカー、米粉ベースの菓子
ダイオキシン ダイオキシン類の総量 0.1pg/湿重量 乳児および幼児用の食品
ダイオキシン ダイオキシンおよびダイオキシン様PCBの総量 0.2pg/湿重量 乳児および幼児用の食品
ダイオキシン PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153 およびPCB180の総量(ICES-6)1.0 n g/湿重量 乳児および幼児用の食品
ベンゾピレン、ベンズアントラセン、ベンゾフルオランテン、クリセン ベンゾピレン単独:1.0μg/kg
ベンゾピレン、ベンズアントラセン、ベンゾフルオランテン、クリセン合計:1.0μg/kg
乳幼児向けの穀物ベース加工食品
エルカ酸 50g/kg 植物油が添加された食品(乳児用調製食品および乳児用栄養補給調製食品を除く)
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製食品および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品
過塩素酸 0.01mg/kg
0.02mg/kg
穀物ベース加工食品
乳児用食品

チョコレート菓子(※ココアパウダーを除く)に適用されうる汚染物質の上限値

※ただし網羅版ではないため維持規則(EC)1881/2006の原文を確認のこと

カドミウム 0.1 mg/kg 湿重量 カカオの総乾重量が30%未満のミルクチョコレートからなる製品
0.3 mg/kg 湿重量 カカオの総乾重量が50%未満のチョコレート
および
カカオの総乾重量が30%以上のミルクチョコレート
0.8 mg/kg 湿重量 カカオの総乾重量が50%以上のチョコレート

また、英国では特定の食品のアクリルアミドの含有量基準値が定められており、事業者は基準値を上回らないための方策を取る必要があります。アクリルアミドは、食品に自然に含有する特定のアミノ酸と糖類が、高温での加熱(120℃以上)により化学反応を起こし、形成されると考えられており、2018年4月11日からポテトチップス、クラッカー、クッキー、ビスケット、穀粉ベースのシリアル、焼き菓子、乳幼児向けビスケットなどの基準値が引き下げられました。ただし、この基準値とは、全般的な事業遂行上の指標として活用するためのものであり、上限値という意味ではありません。

菓子に関するアクリルアミドの含有量基準値
維持規則(EU)2017/2158のANNEX IVに記載される品目 ㎍/kg
ビスケット・ウエハース 350
ばれいしょを原料とするものを除くクラッカー 400
クリスプブレッド 350
ジンジャーブレッドパン 800
本カテゴリーのこれらの製品と同様な製品 300
ビスケットとラスクを除く乳幼児用の穀類加工品 40
乳幼児用ビスケットおよびラスク 150

その他、英国では、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止または厳しく制限されています。2019年6月から、旧規則(EC) 850/2004は維持規則(EU) 2019/1021により改正されており、同規則ANNEX1に記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されます。

詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 食品の汚染物質について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EEC)No 315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) No 2019/1021 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) 2017/2158(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁 汚染物質(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
ジェトロ EU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」PDFファイル(528KB)
農林水産省 「食品中のアクリルアミドに関する情報」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、英国政府および欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。食品酵素のポジティブリストについては、調査時点ではポジティブリストが完成されていないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません

なお、日本と異なり、英国におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「濃度限度(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が各製品の該当する食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかについても確認する必要があります。

英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC) 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わずに食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。 ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合、本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids)
  • 植物の健康に関する共同体ルール(EU加盟当時の植物衛生関連規則のこと)に従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 維持指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • 維持規則(EC) No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと
食品香料 維持規則(EC) 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
”flavouring”というそのままの表示、あるいは具体的な香料の名称または香料の説明(description)で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 維持規則(EC) 1332/2008 植物、動物、微生物、またはそれらに由来する製品から得られる製品、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売時の説明(description)を考慮して表示

前述のとおり、食品添加物には「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められています。英国に本稿で対象の菓子などを輸入しようとする場合、維持規則(EC)1333/2008において、穀物ベースのクラッカーやクッキーは「7.2. Fine bakery wares」のカテゴリーに、モチなどコメ加工品・事前調理品は「6.7.Pre-cooked or processed cereals」のカテゴリーに該当し、当該食品添加物の使用可否とその許容含有量についても確認する必要があります。
例えば、日本で赤色着色料として使用されているクチナシ、ベニバナ、紅麹などは英国での使用は許可されていません。また、日本で甘味料として使用されるステビアは英国での使用が許可されていません。

ただし、維持規則(EC) 1333/2008ANNEX II に記載されていない場合でも、ANNEX IIIに掲載されている添加物やキャリアは、使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)として使用することが可能です。

また、維持規則(EU)2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する維持規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は、天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。
また、食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。

英国においては、鉄(Iron)、ナイアシン(ビタミンB3)、チアミン(ビタミンB1)の小麦粉への栄養強化が義務化されています。また、葉酸が胎児の神経管欠損症(NTDs:neural tube defects)を低減すると考えられており、妊娠可能な女性の葉酸レベルを引き上げることを目的として、2019年に葉酸の小麦粉添加の義務化を提案・コンサルテーションを募集したうえで審議が行われました。結果的に「非全粒小麦粉(non-wholemeal wheat flour)」に対しても葉酸を添加することを義務化する予定と2021年9月に結論付けています。ただし、調査時点では、既に市場にあり葉酸レベルが強化されている小麦粉の添加量より多くすることはないとしています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または、通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品を「食品接触素材(FCM:Food Contact Material)」と呼んでいます。維持規則(EC) 1935/2004により、すべての食品接触素材は、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています。

また、維持規則(EC) 2023/2006において、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

食品接触素材に関する主な規制
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 維持規則(EU) 10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
維持規則(EC) 450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC) 282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。
維持規則(EU) 2018/213:BPA(ビスフェノールA)
維持規則1895/2005/EC:エポキシ樹脂
維持指令93/11/EEC: ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

なお、イングランド向け、ウェールズ向け、スコットランド向け、北アイルランド向けの食品接触材の地域ごとの規則が制定されています。詳細は、関連リンクの「根拠法等」をご参考ください。

英国において、食品接触素材に関する独自規制は調査時点で確認されていません。

その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制はジェトロのポータルサイト英国の「花き」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 450/2009(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令(EC)No 2007/42(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令(EEC)No 84/500 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
維持規則(EC)282/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2018/213 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令93/11/EEEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年食品接触素材・物品に関する規則(イングランド)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年食品接触素材・物品に関する規則(ウェールズ)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年食品接触素材・物品に関する規則(スコットランド)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年食品接触素材・物品に関する規則(北アイルランド)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁 食品接触材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国基準庁 食品接触材の規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(579KB)
ジェトロ 海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)
欧州委員会 食品接触材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州(貿易・投資相談Q&A)

6. ラベル表示

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、ラベル表示についても、英国独自の国内法も別途設けられることが、保険医療法案により示唆されており、今後、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国独自のラベル表示規則

英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除く)内で販売する商品は、2022年10月1日までにラベル表示を英国の規則に基づき変更する必要があることとされています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除く)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることは可能です。北アイルランドについては、アイルランド/北アイルランド議定書に基づき北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとされているものの、英国政府は事業者に新たな規則に対応するための時間が必要だと認識しているとされています。英国政府は北アイルランドの農業・環境・農村地域省と地域議会と連携して、北アイルランド市場でのラベル表示要件の実施手法について検討を行っています。識別マーク、FBO住所、英国(北アイルランド)原産表示に関する実施手法はラベル表示の変更点に沿いながら、適切でリスクに基づいたものになるとしています。

EU維持規則で規定されるラベル表示規則

英国では、食品のラベル表示は、維持規則(EU)No 1169/2011で規定されています。ただし、英国の保険医療法案により同規則を修正することが示唆されているため、今後、EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

調査時点で、英国で流通する食品全般(最終消費者向けおよび調理施設(レストラン、食堂など)向けの輸入食品を含む)には維持規則(EU)No 1169/2011が適用されており、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。

菓子を輸出する場合、同規則Article 9およびEU維持指令2011/91/EUに基づき次の項目を表示する義務があります。なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。

英国におけるラベル表示に関する規則
項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
  1. 法的名称:英国の法律、規則などで定められた名称。
  2. 慣習的名称:英国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  3. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすいほかの製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
原材料リスト 単一原材料、食品の名称と同一(茶など)の場合は不要です。
食品添加物を添加した場合、原則として、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品酵素は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。
ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリアー)などについては維持規則(EU)No 1169/2011の第20条を参照してください。
アレルギー物質 表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットルあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記する必要があります。
特定原材料の分量 次の場合には、原材料の分量を表示する必要があります。
  • 当該原材料が食品の名称に使用されているまたは消費者にとって通常、当該食品名と関連があると解される場合
  • 当該原材料がラベル上で言葉・写真・図で強調されている場合
  • 当該原材料がある食品を特徴づけ、名称や見た目が類似するほかの製品と区別するのに必須な場合
正味量

重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。 文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。

公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、維持指令76/211/EEC により、次表のとおり規定されています。
公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
表示されている正味量が関連するEU維持規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g eマーク
図:eマーク
賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ’use by’ date)を表示する必要があります。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。また、開封後の食品の適切な保存または使用を可能にするために、必要に応じて保存条件や消費期限を表示することができます。例:「冷暗所で保管」
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(FBO,英国内事業者でない場合は、英国への輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示 次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
栄養表示は原則として、当該食品が販売されている状態の栄養素を記載することが必要ですが、調理後の栄養素を表示することが適切な場合で、調理方法について詳細な記載がある場合には、調理後の状態の栄養素を記載することも可能です。
製造ロット番号
(EU維持指令2011/91/EU)
英国内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。

食品のラベルに使用される言語は、英語となり、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(維持規則(EU)No 1169/2011 Article 15)。

Appendix
  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80 cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上

補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起)

その他、維持規則(EU)No 1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務があります。 例えば、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充てんしたガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規制ANNEX III)。

グルテンフリー食品
実施維持規則(EU) 828/2014により、グルテン含有量が20mg/kg以下である場合には「gluten-free」の表示が可能です。その際には、「gluten-free」の表示とともに「suitable for people intolerance to gluten(グルテン不耐症のヒト向け)」または「suitable for coeliacs(セリアック病患者向け)」の文言を付すことも可能です。
遺伝子組換え食品
維持規則(EC) 1829/2003により、認可を受けた遺伝子組換え作物のみが英国内での流通・販売を認められており、遺伝子組換え作物を含む食品を流通させる場合には遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。遺伝子組換え食品を含む場合、原材料リストの当該原材料の直後に「genetically modified(遺伝子組換え)」または「produced from genetically modified (name of the ingredient)(遺伝子組換え(原材料名)から作られた)」という文言を括弧書きで表示しなければなりません。原材料がカテゴリー名で表示されている場合は、原材料リストに「contains genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)を含む)」または「contains (name of ingredient) produced from genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)から製造された(原材料名)を含む)」という文言を表示しなければなりません。これらの表示は、少なくとも原材料リストと同じ大きさのフォントで印刷されていることを条件に、原材料リストの脚注に記載することができます。
新規食品
維持規則(EU) 2015/2283により、英国で新規食品を市場に出すための規則が定められています。原材料として新規食品を使用する場合には、新規食品の認可リストを確立する実施維持規則(EU) 2017/2470に規定される新規食品の特定の表示要件に従う必要があります。
栄養・健康に関する強調表示
維持規則(EC) 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(英国リスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素など・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には、注意が必要です。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国保健省(DHSC)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 安全・基準局 (OPSS Office for Product Safety and Standards)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 828/2014(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則76/211/EEC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)1829/2003(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2015/2283(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/2470(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国保健省(DHSC)消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 包装済み食品 : 重量と測定の規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 栄養・健康に関する強調表示のガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 2021年1月1日からの飲食物のラベル表示の変更について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 Your Europe: e-mark(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)
ジェトロ 新食品ラベル表示規則(1169/2011)の適用に関する Q&A(仮訳)(2014年3月)PDFファイル(1.0MB)
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)

7. その他

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

  1. 英国外から輸入される食品については、維持規則(EC)No 178/2002に基づきEU維持規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。
  2. 英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、所管当局に通知する義務があります(維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

英国の食品の食品衛生要件に関しては、維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)と維持規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)一般食品法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国の輸入業者として必要な情報

英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。
その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の「1. 英国の輸入にかかる通関手続き」を確認してください。

EORI番号について
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入しています。そのため、英国において、輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。 GB EORI番号は、英国で輸出入通関手続きを行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイト(Get an EORI number: https://www.gov.uk/eori)を参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。
英国において、米菓の輸入に際して輸入ライセンスなどの特別な要件は定められていません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

日本から英国に菓子を輸入する際に、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document C88フォーム))
    英国外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施維持規則(EU) 2016/341 Appendix B1および英国政府のサイトに記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration)
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は維持規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
    有機製品の場合、英国の有機輸入検査認証(COI)の原本を、貨物の到着前までに湾岸保健地方管理局(PHA)に送付する必要があります。裏書きされたCOI(原本あるいはコピー)なしで有機委託貨物が到着した場合、その委託貨物は有機として通関できません。
  6. 当該動物性原材料が英国への輸入が認められた第三国産のものであることおよび英国/EU HACCP認定施設で加工されたことを示す商業文書や衛生証明書
    詳細は「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項または「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を確認してください。

なお、動物由来成分を含む食品を輸入する場合、公的管理の維持規則(EC)2017/625により、貨物の到着1日前までに電子システムIPAFFS経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。

また、発行された日英包括的経済連携協定(日英・EPA)の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明書については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

日本から英国に菓子を輸入する場合、特別な検疫上の措置は求められません。

ただし、維持規則(EU)2017/625第44条および第47条に基づき、通常国境管理所で公的管理の対象とならない製品も、リスクに応じた適切な頻度で定期的に英国の食品衛生基準に適合しているか どうかのサンプリング検査をし、書類検査または、同一検査あるいは現物検査が実施される場合があります。

検査に要した費用は請求されます。

また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回した場合は、英国政府は発送国の当局に対し必要な調査と是正を要請します。

なお、動物由来食品に加え、動物性加工食品あるいは肉加工品など(肉エキスを含む)の動物性原料を含む混合食品(米菓など)を輸入する場合は、動物検疫の対象となります。動物検疫の対象については、「輸入規制」の「施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に詳細を記載しています。政府発行の衛生証明書、英国/EU認定工場(英国/EU HACCP)での加工証明(輸出検疫証明書上の記載)の確認などが求められます。

動物検疫の検査は、維持規則(EU) 2017/625第47条および維持実施規則(EU)2019/2007に規定されているとおり、国境管理所(BCP Border Control Post)で実施されます(個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除く)。
このため、英国に輸出される動物性由来の食品は、必ず、国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは英国政府および英国動植物衛生庁(APHA)のウェブサイトで確認することができます。

維持実施規則(EU)2019/2007のリスト掲載される国境検疫対象の動物由来食品および混合食品の場合、貨物が到着する24時間前までに電子システムIPAFFS経由で、「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を国境検疫所に事前通知する必要があります。国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域書」が発行されます。空白や不完全な記載がある場合、関係当局は署名をしないとされています。様式は英国政府のウェブサイトで確認することができます。

動物検疫の手続きなどについては、維持規則(EU)2017/625および関連規則に規定されていますが、a)文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、b)同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)、c)現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。a)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、c)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から共通検疫入国証が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。

いずれの検査についても、要した費用は請求されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国で販売される食品は、維持規則(EC)No 178/2002に基づき英国が国内法体系に組み込んでいるEU規制が求める衛生基準(動物衛生、動物福祉、植物衛生、環境を考慮し、公正な貿易も包括した、高度なレベルでの人々の生命と健康、消費者の利益の保護の追求のためのもの。リスク分析、予防原則、消費者得利益の保護、人々への意見募集と情報提供を基準とする。)などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

この衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)、維持規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)、維持規則 (EU) 2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

また、動物性食品を使用する菓子や混合食品などの輸入に関しては動物由来成分の「英国/EU HACCP認定施設」での製造の証明(原料食肉証明書上の記載など)衛生認可の取得などが必要となる場合があります。ただし、調査時点で、日本に食肉製品についての「英国/EU HACCP認定施設」が存在しないため、日本産の肉加工品を原材料に含む混合食品を英国に輸出することはできません。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)一般食品法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

5. その他

調査時点:2021年11月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年11月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、次の表のとおりです。

日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。
(離脱)法なお、米菓やビスケットを含むHSコード1905の製品の品目別原産地規則について、日EU・EPAでは非原産材料の重量要件が含まれていましたが、日英・EPAではこの要件が撤廃されています。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

主な関税コードと関税率
UKGTコード/品目 関税率
通常 日英
EPA適用
1704 90 30
砂糖菓子のうち、ホワイトチョコレート
20.0% 非課税
(0%)
1905 31 11
パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品(ココアを含有するかしないかを問わない。)のうちスウィートビスケット(クリスブレット、ワッフル、ウエハー、ラスク、トースト、あられ、せんべいを除く)で、一部をチョコレートまたはカカオなどの調製品で完全/部分的にコーティングされた85g以下の個包装されたもの
8.0% 非課税
(0%)
1905.40.10
ラスク
1905.40.90
トーストしたパンおよびそれに類似するトーストした製品(ラスクを除く)
8.0% 非課税
(0%)
1905.90.80
パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットおよびパン製造者によるその他の製品のうち、ショ糖、転化糖、異性化糖の重量が5%未満のもの(クリスプブレッドやジンジャーブレッドや類似品、スウィートビスケットやワッフルやウエハースや類似のトースト製品、パン、聖餅(communion wafers)、医薬用の空の薬包(cachet)、封緘紙、ライスペーパーと類似品を除く。)
8.0% 非課税
(0%)

2. その他の税

調査時点:2021年11月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)や物品税が課されることがあります。

ただし、CNコード1905.40.9000に該当する米菓の販売にVATは課されません。また、CNコード1905.90.8000に該当する伝統的なパンやベーカリー製品にはVATが課されませんが、チョコレートや甘味料でコーティングされたビスケットなどは20%のVATが課されます。VATについては、英国政府の関税検索サイトで確認することができ、維持指令2006/112ECで定められています。

関連リンク

関係省庁
英国歳入関税庁 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持指令2006/112/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 関税検索サイト(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. その他

調査時点:2021年11月

なし

その他

調査時点:2021年12月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。また、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

有機食品に関する規制

2021年1月1日以降、英国で有機食品を取引する場合、英国の規則(イングランド、ウェールズ、スコットランド)を順守する必要があります。
英国に有機食品を輸入する場合、英国の有機認証団体から認可を受け、その詳細を商品のラベルに記載することが必要です。また、2021年1月1日以降、EUの有機規則で要求される要件を満たした場合のみ、英国向けの食品にも、EUの有機ロゴを使用することができます。英国に認可を受けた日本に所在する有機認証団体のリストは、関連リンクから確認することができます。

ただし、英国はEU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイス(以下、EU等という)の有機認証の同等性を2023年12月31日まで認めています。このため、この期間はEU等で要求される要件を満たし、有機認証されている食品は、英国で有機食品として登録することが可能です(EUの有機認証食品をEUから英国に輸入する場合、2022年7月1日までは検査認証(COI certificate of inspection)も不要)。

日本の特定の有機JAS食品は、調査時点で、英国との間で同等性が認められており、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)に有機食品として輸出することができます。紙ベースの有機食品の輸入検査認証(COI)が必要となります。しかし、すべての食品に対して同等性が認められているわけではありません。詳細については、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)にお問い合わせください。輸出入手続きや様式などは、日本の農水省のサイトで掲載している関連情報(仮訳)でも確認することができます。

英国に有機食品を輸入する際、EUの TRACESシステムは利用できませんが、北アイルランド向けの有機食品についてはEUの TRACESシステムを経由する必要があります。こちらの詳細は、ジェトロポータルサイトEUの「有機食品に関する規制」の項で確認することができます。

英国で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、維持規則(EC)No 834/2007および維持規則(EC)1235/2008で規定されています。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)No 834/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)1235/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 有機食品のラベル規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国輸出向け第三国の有機製品認可団体のリスト」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「有機登録認定機関一覧 」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(148KB)
農水省「EU加盟国、スイス、英国の証明書を発行する機関の名称及び住所」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)181KB
農水省「日本と英国の有機同等性について(令和4年1月25日版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農水省「GB 検査証明書(CoI)記載要領(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)142KB
農水省「よくある質問: 第三国からグレートブリテン(GB)への有機製品の 輸入(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)218KB
農水省「手引き : 移行期間終了時の第三国からグレート ブリテン(GB)への有機製品の輸入 (仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)144KB
農林水産省 有機食品の検査認証制度 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会農業農村開発総局 Import/Export: Trade in organic products(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 欧州における有機食品規制調査(2018年3月)
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)(2.9MB)

遺伝子組換え作物に対する規制

英国では、維持規則(EC)No 1829/2003に基づき、認可を受けた遺伝子組換え作物のみ(大豆、とうもろこし、綿実、菜種、テンサイ)が英国での販売・流通を認められており、流通させる場合には遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。
認可を受けた遺伝子組換え体のリストは、欧州委員会ウェブサイトで検索が可能です。

原材料に日本で遺伝子組換え作物の流通・使用が認められている原材料(大豆・トウモロコシなど)を使用している場合には、次の英国と日本の規制の違いについて留意する必要があります。

  1. 日本では、遺伝子組換え作物のDNAおよびタンパク質が加工工程で除去される食品(しょうゆや植物油など)については、たとえ遺伝子組換え作物を原料としていても遺伝子組換えの表示義務がありません。しかし、英国では、最終食品におけるタンパク質・DNAの存在の有無にかかわらず、原材料に遺伝子組換え作物を使用した場合には、その旨の表示義務(原材料名の後ろに‘genetically modified’と記載、または、‘produced from genetically modified ○○(原材料名)’と記載)があります。
  2. 日本では、遺伝子組換え農産物が食品などの主な原材料(原材料の上位3位以内で、かつ全重量の5%以上を占める場合)ではない場合には、遺伝子組換えについての表示義務がありません。しかし、英国では、食品添加物を含む加工食品のすべての原材料について、遺伝子組換え作物を原材料に使用している場合は、表示義務があります(例えば遺伝子組換え由来の大豆レシチンやコーンスターチなど)。
  3. 日本では、遺伝子組換えではない原材料について、許容される遺伝子組換え体の「意図せざる混入」の割合は5%未満となっていますが、英国では、同割合は0.9%未満となっているため、これを超える場合は遺伝子組換え作物使用の表示が必要です。
  4. 日本では、表示可能面積が30cm2以下の加工食品については、遺伝子組換え表示義務の対象外となっていますが、英国では、最大包装面積が10 cm2以上の食品には、遺伝子組換え表示の義務があります。また、最大包装面積が10 cm2未満の包装食品や非包装食品についても、遺伝子組換え作物を原材料に使用している場合には、食品陳列棚の近傍に常に見えるかたちで表示する義務があります。
  5. 日本では『遺伝子組換え不分別』の概念がありますが、英国の規制には当該概念がありません。遺伝子組換え作物を使用もしくは遺伝子組換え作物を飼料の原料としている場合は表示が必要です。
  6. 食品成分として使用した遺伝子組換え微生物(酵母エキスなど)にも遺伝子組換え作物使用の記載義務があります。

英国で適用される維持EU規制上は、遺伝子組換え作物の混入が偶発的な意図せざるものであり、混入割合が当該原材料の0.9%未満であれば、「GM(O)-Free」などの表示を任意で行うことが可能です。ただし、「遺伝子組換えでない(GM(O)-Free, Non-GM(O)s)」の表示について、EU加盟国および英国での共通規制はなく、各国法で定めることができるため、英国外でも製品を上市する場合には注意が必要です。一方、英国の国内法では「「GM(O)-Free」の表示について独自規制は規定されていませんが、プライベートスタンダードで定められている事例が多いため、取引先の基準に則る必要があります。

詳細は欧州委員会が実施したGM(O)-Freeの表記に関する報告書でも確認ができます。