花きの輸入規制、輸入手続き
英国の輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2024年12月
輸出する植物が、ワシントン条約規制対象種であるかどうかに関しては、事前に経済産業省のウェブサイトで確認してください。
なお、英国はEUを離脱しましたが、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、2020年末の移行期間終了後も、移行期間終了時点のEU法がEU維持法として原則的に英国国内法体系に直接組み込まれ(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)2021年1月1日から、その一部および呼称の変更をした新たな植物検疫規則『2020年 植物衛生EU離脱規則(修正)No. 1527』(以下『新植物検疫規則No. 1527』)を施行しています。本新規則の付属書6に英国への輸入が禁止されている植物および植物製品などが記載されています。なお、北アイルランドは、本規則を適用せず、継続してEUの植物検疫規則を適用することになります。
日本産の植物に関連する「新植物検疫規則No. 1527」の付属書の内容
- 別紙1付属書1
- :英国検疫有害生物一覧別紙2付属書2 A:暫定検疫有害生物一覧
- 別紙3付属書3
- :保護区域の英国検疫有害生物一覧と英国の保護区域EU隔離病害虫(英国を含む)
- 別紙4付属書4
- :規制されている英国非検疫有害生物(非隔離病害虫)一覧およびそれらに相当する栽培に利用される植物
- 別紙5付属書5
- :栽培に利用される特別の植物における規制されている英国非検疫有害生物の生存を防ぐための要件
- 別紙6付属書6
- :特定の第三国から輸入が禁止されている植物および植物製品等
- 別紙7付属書7
- :第三国から特別な条件を満たすことで、輸入が認められる植物および植物製品等
- 別紙9付属書10
- :特別な条件を満たすことで、保護区域への輸入が認められる植物および植物生産物等
- 別紙10付属書11
-
:それぞれ特定の第三国から植物検疫証明書の添付を必要とする植物および植物製品等
- パートA:植物検疫証明書の添付が必要な植物および植物製品等
- パートB:植物検疫証明書の添付が必要なその他の植物
- パートC:植物検疫証明書の添付が免ぜられる植物
- 別紙11付属書13
- :英国での移動に植物パスポートの添付が必要な植物および植物製品等
※ 植物製品:植物に由来し、未加工もしくは植物ではなくなる程度に簡単な処理が施された製品
※検疫有害生物: 当該域内に全く存在しない病害虫 (例:Xanthomonas citri pv. Citri(柑橘かいよう病))または局所的で、管理下にある病害虫(例:Xylella fastidiosa(ピアス病菌))。発見されると即座に撲滅される対象となる検疫病害虫 (隔離病害虫)。
別紙6付属書6のPART Aに記載されている、英国への輸入が禁止されている植物は次のとおりです。それぞれに対象となる産地の範囲が定められており、日本産が輸入禁止の対象とされているのは1、2、4 、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、20です。なお、この対象は2021年7月現時点では、EU規則からの変更はありません。
- モミ属、ヒマラヤスギ属、ヒノキ属、ビャクシン属、カラマツ属、トウヒ属、マツ属、トガサワラ属、ツガ属など(果実および種子を除く)
- 葉付きのクリ属およびコナラ属(果実および種子を除く)
- 葉付きのヤナギ属(果実および種子を除く)
- クリ属の樹皮
- コナラ属の樹皮(コルクガシを除く)
- サトウカエデの樹皮
- ポプラの樹皮
- 栽培用のボケ属 (カリン)、マルメロ属、サンザシ属、リンゴ属、サクラ/スモモ属(Prunus)、ナシ属、バラ属などの植物(葉、花および果実のない休眠状態のものを除く)
- 栽培用のマルメロ属、リンゴ属、サクラ/スモモ属(Prunus)、ナシ属とこれらの交配種、およびオランダイチゴ属(種子を除く)
- ブドウ属(青果を除く)
- カンキツ(ミカン)属、キンカン属、カラタチ属およびこれらの交配種(青果と種子を除く)
- 栽培用のカナメモチ属(葉、花および果実のない休眠状態のものを除く)
- ナツメヤシ属(青果と種子を除く)
- 種子を除く栽培用の一部のイネ科植物
- ばれいしょの塊茎、種芋
- 15のばれいしょの塊茎以外の栽培を目的としたばれいしょまたはその交配種の匍匐茎(ほふくけい)または塊茎形成種
- 15および16以外の、ばれいしょおよびその交配種の塊茎
- 15,16および17以外の、栽培用のナス科植物(種子を除く)
- 全部または一部が固形の有機物からなる土
- これまで、農作や植物栽培で使用されていない、ピートやココヤシ繊維を除く、 全体または一部が固体有機物からなる土を除く培養資材
さらに、同規則PART Bにはリスク評価のために一時的に第三国からの輸入が禁止されている栽培用植物が記載されています。
イチジク、アカシア属、イチイ属、イボタノキ属、カエデ属、カキ属、カバノキ属、キョウチクトウ属、クリ属、クルミ属、コナラ属、シナノキ属、ジャケツイバラ属、スイカズラ属、ソケイ属、トネリコ属、ナナカマド属、カワラケツメイ属、ニレ属、ネムノキ属、ハシバミ属、ハマカズラ属、ハリエンジュ属、ハンノキ属、バンレイシ属、ブナ属、マンサク属、ミズキ属、メギ属、ヤナギ属、ワニナシ属、リンゴ属、サクラ/スモモ属の栽培用植物(種子、盆栽および組織培養体を除く)
この対象は2021年7月現時点では、EU規則からの変更はありません。
前述の「新植物検疫規則No. 1527」PART A の1. のうち、日本産のマツ属(Pinus L.)、ヒノキ属(Chamaecyparis Spach)、ビャクシン属(Juniperus L.)の盆栽については、EU維持実施規則(EU)2020/1217で定められた特別な条件を満たす場合は英国への輸出が可能となっています。なお、マツ属については、既に検疫条件が定められていた日本産のゴヨウマツ(Pinus parviflora Sieb. & Zucc.)の盆栽に加え、2020年10月1日から日本産のクロマツ(Pinus thunbergii Parl.)の盆栽についても輸出が可能となりました。
なお、ビャクシン属に関しては、輸入可能期間なども定められており、11月1日~3月31日となっています。 必要な書類や入国後の検疫隔離検査、およびライセンスなどの詳細は、植物・植物製品関連の規制の「7.その他」を参照してください。
その他、特別な条件により輸入が認められる要項を規定している付属書7の1により、栽培用植物を輸出する場合に、植え付け時に使用が認められる培養資材は
a) 有機物を含まず、植物の栽培やいかなる農業用途においても用いられていないもの、ピートまたはココヤシ繊維を材料とした英国隔離病害虫の除去のために適切な処理を施したものあるいは無菌環境の試験管や容器で栽培されているもの、
b) (i) 汚染源から限りなく離すなど地面から物理的に隔離されていること、英国隔離病害虫が混入していない清浄な水を使用していること、および英国隔離病害虫が付着していないことを保証する必要があります。
さらに、「(ii) 輸出までの2週間以内に培養資材の土を英国隔離病害虫が混入していない清浄な水で完全に洗い流すこと、植え替えの際は a)の要件を満たし、植え付け後は b)の状態を保つ必要があります。
これらは、EU規制を引き継いだものですが、これらのほかに英国独自の規制があります。
2020年4月1日から、英国では、Xylella fastidiosa(ピアス病菌)の宿主植物のうち次の植物について、輸入禁止となりました。
コーヒーノキ属(Coffea)、ヒメハギ属 ポリガラ・ミルティフォリア(Polygala myrtifolia) の植物およびその他のオリーブ(Olea europaea)、アーモンド(Prunus dulcis) 、ラウァンドゥラ属(Lavandula)、キョウチクトウ(Nerium oleander)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)を含む高リスク宿主植物。 日本産の盆栽にかかる特別な条件に関しては、「植物・植物製品関連の規制」の「7.その他」に記載していますが、原典は『新植物検疫規則No. 1527』付属書7または英国政府のウェブサイトのガイドラインを確認するか、植物防疫所にお問い合わせください(品目によっては、そもそも英国の定める条件を日本国内で満たすことが不可能であり、日本からの輸入は認められない場合もあり得ます)。
種苗等の海外持出制限
出願品種の保護が図られないおそれのある国への当該出願品種の種苗等の流出を防ぐため、 当該品種の出願者(育成者)が品種登録出願と同時に、いわゆる「海外持出制限の届出(種苗法第21条の2第1項第1号)」をした場合、出願者が当該品種の保護が図られないおそれがない国として指定する国(指定国)を除き、種苗等の国外への持ち出しが制限されます。
なお、「指定国なし」と届出のある登録出願品種は全ての国に対しての持ち出しに制限があります。
品種ごとの詳細は、関連リンクの「公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会 流通品種データベース」にてご確認ください。
また、登録品種の種苗等を育成者権者の許諾なく海外に持ち出す行為は禁止されており、損害賠償、刑事罰の対象となる場合があります。
詳細は、関連リンクの「農林水産省 種苗法の改正について」及び「農林水産省利用制限届出の手引き」を参照してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
英国政府「厳格に英国の植物や木材を保護するための新管理」(英語)
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
英国政府 第三国由来植物・植物製品輸入要件ガイダンス(英語)
-
経済産業省「ワシントン条約規制対象種の調べ方」
-
経済産業省「ワシントン条約規制対象貨物の輸出承認手続き」
- 根拠法等
-
2018年EU離脱法(英語)
-
2020年EU(離脱協定)法(英語)
-
実施規則 (EU) 2020/1217 (英語)
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
-
種苗法
- その他参考情報
- ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
-
農林水産省「種苗法の改正について」
-
農林水産省「品種登録ホームページ」
-
農林水産省「利用制限届出の手引き」
(1.7MB)
-
公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会「流通品種データベース」
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2021年7月
植物などを英国に輸入する前に必要な手続き(EORI番号の取得やPEACHへの事前登録・通知など)に関しては、輸入手続きの「1.輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」に記載していますので確認してください。その他、輸入規制の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に記載の「特例により輸入が認められている盆栽」の輸入後は、ライセンスを取得したほ場における検疫検査が必要となります。詳細は、植物・植物製品関連の規制の「7. その他」を参照してください。
- 植物検疫証明書
-
英国に到着するすべての植物・植物製品など(一部の果物を除く)は、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)の添付が必要なため、輸出前に日本側での植物検疫検査が必須となります。植物検疫証明書の取得には、日本政府発行の植物検疫検査合格証明書が必要です。詳細は最寄りの植物防疫所に問い合わせてください。
なお、本稿で定義する品目は該当しませんが、植物検疫証明書が不要となる果実および植物は『新植物検疫規則No. 1527』の別紙10付属書11パートCに記載されており、EU規則と一部異なっているため注意が必要です。
日本から英国へ輸出する場合の検疫証明書の様式モデルについては、最寄りの植物防疫所に問い合わせてください。 - 栽培地検査証明
- さらに一部の盆栽に関しては、1シーズンに6回、2年間にわたる栽培地検査証明が必要です。検査の適期を逃さないよう栽培地検査の受検申請を行い、輸送届の提出、植物輸出検査申請を経て合格証明の発給を受けなくてはなりません。詳細は、植物・植物製品関連の規制「7. その他」を参照してください。
- 原産地証明書
- 2021年1月1日、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)が発効されました。日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。書式などに関しては税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。その他、詳細はジェトロ「日英・EPA解説書:日英・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月改訂)」を参照してください。
- その他輸出に必要な書類
- そのほか、日本から英国に花きを輸出する際には、通常の船積み書類(輸出申告書、インボイス、パッキングリスト、シッピング・インストラクション(船積依頼書)、委任状、ブッキングリスト、海上貨物保険の申込書など)が必要です。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
原産地規則ポータル「原産地証明手続」
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- その他参考情報
-
ジェトロ「原産地証明ナビ」
- ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
- ジェトロ 日英EPA関連情報
- ジェトロ「日英・EPA解説書:日EU・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月)」
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2021年7月
英国へ到着するすべての植物は、植物検疫の対象となり、日本から輸出する場合は一部の果実と植物を除き、植物防疫所が発行する植物検疫証明書の添付が必要です。2020年 植物衛生EU離脱規則(修正)No. 1527の別紙10付属書11パートCに記載されている青果や植物に関しては免除されますがEU規則と一部異なっているため留意してください。
植物検疫証明書の取得には、日本政府発行の植物検疫検査合格証明書が必要となります。日本の植物防疫所が発行するため、輸出前に最寄りの植物防疫所で輸出前検査をする必要があります。品目によっては、そもそも英国の定める条件を日本国内で満たすことが不可能であり、日本からの輸入は認められない場合もあり得るため、まずは最寄りの植物防疫所に確認してください。
なお、輸出貨物は、植物検疫証明書の発給から14日以内に発送されなければなりません。
さらに、特例措置により輸入が認められている日本産の盆栽の輸入については、植物・植物製品関連の規制「7. その他」に記載のとおり栽培地検査などの特別な条件を満たしていなければなりません。また、英国到着後、認可ほ場での検疫検査をクリアすることが必要となります。
英国側での植物検疫に関しては、輸入手続き 「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
4. その他
調査時点:2021年7月
新植物防疫規則(2020年 植物衛生EU離脱規則(修正)No. 1527)により変更となった呼称(すべてを網羅しているわけではありません。)
英国規則 2020年 植物衛生EU離脱規則(修正)No. 1527 |
EU規則(EU) 2019/2072および(EU) 2016/2031 |
参考 |
---|---|---|
GB | Union | |
pest-free area GB pest-free area PFA |
protected zone PZ |
保護区域病害虫無発生地域 |
UK plant | plant | |
GB quarantine pests | Union quarantine pests | 検疫有害生物隔離病害虫 |
CD territory またはGreat Britain |
Union territory | |
GB regulated non-quarantine pests | Union regulated non-quarantine pests | 規制されている非検疫有害生物(非隔離病害虫) |
UK plant passport | plant passport | 植物パスポート |
関連リンク
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - 根拠法等
-
実施規則(EU)2019/2072(英語)
-
規則 (EU) No 2016/2031(英語)
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- その他参考情報
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
英国の植物・植物製品関連の規制
1. 製品規格
調査時点:2021年7月
なし
関連リンク
- 根拠法等
-
欧州議会理事会規則 (EU) 1308/2013(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
2. 残留農薬
調査時点:2021年7月
なし
3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)
調査時点:2021年7月
なし
4. 食品添加物
調査時点:2021年7月
なし
5. 包装規制
調査時点:2021年7月
第三国から英国 への貨物の輸入に用いられる木材梱包材(パレットや木箱など)に関しては、維持規則(EU) 2016/2031第43 条に規定されるとおり、隔離病害虫の侵入およびまん延の経路となる可能性があることから、植物衛生措置の国際規格 no.15「ISPM15」の要件を満たしている必要があります。
詳細は、横浜植物防疫所「植物検疫措置に関する国際基準ISPM 15国際貿易における木材こん包材の規制(仮訳)」または一般社団法人 全国植物検疫協会のウェブサイトでも確認することができますが、国際的に承認されている処理(樹皮を除去した木材に適用される熱処理、臭化メチル処理、フッ化スルフリル処理など)を施し、植物衛生措置の国際規格 no.15 「ISPM15」(『国際貿易における木製梱包材の規制ガイドライン』の付属書 1)に規定される処理が施されたことを証明するIPPC(国際植物保護条約)のロゴスタンプが刻印されている必要があります。
「ISPM15」スタンプについては同書の付属書2に規定されています。IPPCのシンボル、国コード、生産者もしくは処置実施者コード、実施された処理のコード(例:熱処理は HT、臭化メチル処理は MB など)からなり、マークは判読可能で、耐久性があり、移動不可能で、手書きであってはならないとされています。また、赤色やオレンジ色も避けるよう規定されています。
これらの規定は、次のものには適用されません。
- 厚みが6 ミリメートル以下の薄い木材からなる梱包材
- 接着剤、熱もしくは圧力、またはそれらの組み合わせで製造された合板、パーティクルボード、配向性ストランドボード、またはベニヤといった加工木材ですべてが作製された梱包材
- EU域内(英国を含む)の取引で使用されている木製梱包材
なお、日本における輸出用木材梱包材の生産者や消毒認定業者に関しては、全国植物検疫協会のウェブサイトで確認できます。

「ISPM15」スタンプの一例
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
植物防疫所
-
全国植物検疫協会
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
植物防疫所「植物検疫措置に関する国際基準ISPM 15国際貿易における木材こん包材の規制」
- 根拠法等
-
規則(EU) 2016/2031 (英語)
- その他参考情報
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
6. ラベル表示
調査時点:2021年7月
『新植物検疫規則No. 1527』の42に基づき、盆栽の流通の際、輸出検疫に合格した盆栽は封印し、登録園番号を梱包および植物検疫証明書上の「Additional declaration」の欄に記載する必要があります。
さらに、『新植物検疫規則No. 1527』の付属書13に記載されている植物や植物生産物などを第三国から英国へ輸入し、英国国内で流通させる際には、英国の植物パスポート(UK Plant Passports)ラベルを添付する必要があります。
植物パスポートを必要とする植物は英国 環境・食料・農村地域省 (DEFRA)のサイトでも確認することができますが、盆栽を含む、樹皮のあるマツ目(Pinales)やクリ属(Castanea)の木材や植物製品、すべて植栽用植物(種子を除く)、3mを超えるトガサワラ属(Pseudotsuga) 、モミ属(Abies)カラマツ属(Larix)トウヒ属(Picea )マツ属(Pinus )モミ属(Abies)で伐採または倒木(果物、種子、葉を除く)その他一部の木材や植物製品にもUK植物パスポートが必要とされます。
すべての植栽用植物とは、植え付けられていないものであっても、植栽の意図のある植物、一部挿し木など生きている部分をもつ植物や土壌から隔離された植物で植替え目的の場合も含みます。
植物パスポートは専門事業者により発行されますが、植物パスポートの取得方法については、輸入手続きの「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。
英国の植物パスポートのフォーマットは次のとおりです。
ラベルの大きさ、枠線の有無、フォントなどは自由ですが、形は四角で、肉眼で読める大きさで印字されている必要があります。
英国向け | 保護地域(PFA)向け |
---|---|
右上に英語で「UK Plant Passport」 | 右上に英語で「UK Plant Passport -PFA」 |
病害虫からの保護地域または機関の学術名またはコード(図中9) | |
A 植物(種)の学名や生物分類名 | |
B 専門事業者の(英国内)登録番号(GBは不要) | |
C 最終消費者向け直接販売の栽培用植物には不要 追跡(識別)コード (例)ロット番号やシリアル番号、インボイス番号など 必要な場合にはバーコード、二次元コード、ホログラム、ICチップなど追跡コードを補完するもの |
|
D 英国(北アイルランドを含む)が原産国*1の場合には2桁の国名コード「GB」*1(図中7) 日本が原産国の場合には2桁の国名コード「JP」*2(図中8) |
|
E 北アイルランド産の植物を英国へ移動する場合に関しては英国政府のサイトを確認してください。 |

図:(左)英国内の植物パスポートのモデル(右)保護区域(PFA)への導入および保護区域内での移動のための植物パスポートのモデル
なお、輸入される木製梱包材(厚さが6 mm以上のパレットや木箱など)が植物衛生措置の国際規格「ISPM15」の基準に従って承認された処理を受けたことを示す「ISPM15」スタンプに関しては、前述の「5.包装規制」に記載しています。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) ガイダンス: 植物パスポートの発行(英語)
-
英国 環境・食料・農村地域省 (DEFRA) ファクトシート: 植物パスポートの移行後(英語)
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- その他参考情報
-
英国政府 Importing and exporting plants and plant products from 1 January 2021(英語)
-
英国 環境・食料・農村地域省 (DEFRA) ガイダンス: 植物パスポートの必要な植物と木材
-
英国政府 Import plants and plant products from non-EU countries (英語)
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
7. その他
調査時点:2021年7月
日本産の盆栽については、病害虫などのまん延防止のため、輸出国での栽培地検査や消毒などが規定されています。
輸入規制の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に示した輸入禁止品目に該当しない日本産の盆栽については、『新植物検疫規則No. 1527』の付属書7の42項に規定する次の条件【A】を満たすことの裏付けとなる植物検疫証明書がある場合に、英国への輸出が可能となっています。
また、一定の期間「特例措置」とされているヒノキ属(Chamaecyparis Spach)、ビャクシン属(Juniperus L.)マツ属の一部 (ゴヨウマツ(Pinus parviflora Sieb. & Zucc.)ならびに日本産のほかのマツ属に接ぎ木されたゴヨウマツ、クロマツ(Pinus thunbergii Parl.) および日本産のほかのマツ属に接ぎ木されたクロマツ)については、本条件【A】に加え、EU維持実施規則(EU)2020/1217に規定される条件【B】を満たすことで、英国への輸出が可能となっています。(重複するものについては、【B】の条件が優先されます)これらは英国到着後、認可ほ場での隔離検疫検査が実施されます。
なお、ヒノキ属、ビャクシン属および一部のマツ属(ゴヨウマツ、クロマツ)の特例措置を利用した英国への輸入可能期間は次のとおりです
- ヒノキ属
- :2020年10月1日〜2023年12月31日
- ビャクシン属
- :2023年12月31日までの毎年11月1日〜翌3月31日
- マツ属 (ゴヨウマツ、クロマツなど)
- :2020年10月1日〜2023年12月31日
- 【A】『新植物検疫規則No. 1527』の付属書7の42項に規定される「種子を除く自然にあるいは人工的に成長を抑制された植付目的の植物」に関する条件
- 出荷前の少なくとも2年間、植物防疫所に公的登録された盆栽園で栽培管理すること。
- 盆栽園での栽培管理の間、地面から50cm以上離れた棚に置かれた鉢で栽培すること。
- 非ヨーロッパ国で未発生のサビ病に関して適切な措置が実施されており、実施した措置の内容が植物検疫証明書に記載されていること。
- 英国隔離病害虫の有無に関して、隣地に生育する植物も含めて年間少なくとも6回の植物防疫所による栽培地検査が実施されること。
- 栽培地検査で英国隔離病害虫の寄生および付着のないことを確認のうえ、寄生が確認された場合は当該植物を除去すること。
- 培地(天然または人工を問わない)はくん蒸または熱処理による消毒をすること。
-
培地は英国隔離病害虫の寄生・付着がない状態を維持し、出荷前2週間以内に次のいずれかの措置をとること。
- 栽培土を除去・洗浄し、根を裸の状態にする。
- 栽培土を除去・洗浄し、くん蒸または熱処理により消毒された培地に植え替える。
- 培地から英国隔離病害虫を除去するための適切な措置をとり、実施した措置の内容と実施日を植物検疫証明書に記載する。
- 輸送容器は公的に封印され(officially sealed)、輸出検査に合格した盆栽の登録園番号が植物検疫証明書に記載されていること。
- 【B】EU維持実施規則(EU)2020/1217のANNEXで規定する特定条件(ヒノキ属、ビャクシン属、ゴヨウマツあるいはクロマツなど)
-
自然にあるいは人工的に成長を抑制されたヒノキ属およびビャクシン属の植物。また、マツ属の場合は、ゴヨウマツあるいはクロマツの種に完全に属する植物であるか、その他のマツ属の種にゴヨウマツあるいはクロマツが接ぎ木された植物であること。後者の場合、根には新芽が一切含まれていないこと。
- 植物は英国に輸出される前に、植物防疫所に登録されたほ場(以下「登録ほ場」という。)で少なくとも2年間栽培管理されること。
- ビャクシン属については、その輸入前の直近2年間に登録ほ場およびその隣接地帯で栽培されているボケ属、サンザシ属、マルメロ属、ビャクシン属、リンゴ属、カナメモチ属、ナシ属の植物について、少なくとも年に6回、検疫対象病害虫の付着について、植物防疫所による検査を実施すること。なお、検疫対象病害虫とは、本EU維持実施規則(EU)2020/1217のANNEX Point4 に規定されているものをいう(以下同じ。)。
- また、マツ属とヒノキ属の植物については、登録ほ場およびその隣接地帯で栽培されているマツ属とヒノキ属の植物について、少なくとも年に6回、検疫対象病害虫の付着について植物防疫所による検査を実施すること。
- 検査の際に検疫対象病害虫が発見された場合は、その旨を記録し、英国当局から要請があった場合は記録簿を提出できるよう保存すること。検疫対象病害虫が発見された登録ほ場は、登録を取り消される(当該登録の取り消しについては英国当局にただちに通知され、再登録は翌年にならなければ行えない)。
-
英国に輸出される前に少なくとも2年間、次の条件を満たしていること。
- 地面から少なくとも50cm以上離れた棚の上に置かれた鉢で栽培するか、ネマトーダ(線虫類)が侵入できないよう、コンクリートの床の上に置かれた鉢で栽培していること。
- 前述の検査の際に検疫対象病害虫が発見されず、登録ほ場の登録が取り消されていないこと。
- なお、これらの植物がマツ属に属する場合で、ゴヨウマツとクロマツ以外の台木に接木する場合は、健全なものであり、植物防疫所によって認められた供給元の台木を使用していること。
- それぞれの植物に、登録ほ場が特定でき、植え付けた年を識別できる特定のラベルや標識を付すこと。当該ラベルは、植物防疫所に通知されたものであること。
- 登録ほ場を出てから輸出の船積みまでの間、輸送車両の密閉などにより、植物体の識別が追跡可能である(トレーサビリティである)こと。
- 植物および当該植物に付着あるいは一体化した培地に関して、植物防疫所が発行した植物検疫証明書を添付することにより、前述の【A】(『新植物検疫規則No. 1527』の付属書7の42項)が順守されていることを証明する。植物検疫証明書には、登録ほ場の名前、前述の植え付けた年を識別できる特定のラベル、最後に施した処理の詳細と発送通知、さらに、Additional Declarationの欄に「This consignment meets the conditions laid down in Commission Implementing Regulation (EU) 2020/1217」と記載する。
- 受託品の責任を負うオペレーターは、英国に到着する前に、PEACH経由で必要情報を事前通知(各ロットの少なくとも植物および培地のタイプ、数量、輸入申告日、輸入検疫中に植物を保管する認可された場所)する必要があります。
-
入国後、輸入通関前に認定された隔離施設(ほ場)で次の期間、隔離栽培・検査の対象となる。
- マツ属、ヒノキ属については、少なくとも3カ月以上
- ビャクシン属については、4月1日から6月30日まで
- 隔離検疫中に検疫対象病害虫が発見された場合、当該盆栽を含むロットはすべて当局または専門事業者の監視のもと、ただちに廃棄される。
- 英国での隔離検疫中に検疫対象病害虫が発見された場合、日本の当該登録ほ場の登録は取り消される。また、英国当局はその旨を日本の植物防疫所に通知する。
- 隔離期間中に検疫対象病害虫が存在しないことが明らかになった盆栽は、英国植物パスポートが発行され、当該植物パスポートが添付されている場合にかぎり、英国内で移動させることができる。
植物パスポートは、隔離検疫をクリアすれば自動的に発行されるわけではありません。植物パスポートのラベル表示の詳細は、食品関連の規制の「6. ラベル表示」の項を参照してください。植物パスポートの登録番号の取得方法については、輸入手続きの「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。
なお、その他のマツ属(Pinus L)およびベイマツ(Pseudotsuga menziesii)の盆栽に関する緊急措置に関しては、輸入関税等の「3.その他」の項を確認してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
植物防疫所
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
実施規則 (EU) 2020/1217(英語)
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- その他参考情報
-
Issuing plant passports to move regulated plant material in Great Britain(英語)
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
英国での輸入手続き
1. 輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)
調査時点:2021年7月
- 英国の輸入業者として必要な情報
-
英国へ植物を輸入の際に使用するEORI番号の取得およびPEACHシステムの利用にあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。
その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の「1英国の輸入にかかる通関手続き」で確認することができます。 - GB EORI番号の取得
-
英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI(Economic Operators Registration & Identification number)番号が必要となります。
GB EORI番号は、商品を英国に輸出入する(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。 GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイトを参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。 - PEACHへの事前登録(事業者の事前登録)
- 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)の添付が必要とされる植物・植物製品(一部の植物や青果を除くほとんどの植物)を英国に輸入する場合、輸入者はPEACH (Procedure for Electronic Application for Certificates from the Horticultural marketing inspectorate) への事前登録が必要です。PEACHシステム経由で、PHSI (Plant Health and Seeds Inspector)に飛行機の到着前に、事前通知する必要があります。PEACHシステムの登録には「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントが事前に必要です。
- 英国植物パスポート発行に関する事前登録
-
盆栽や「新植物検疫規則No. 1527」の 附属書13 に記載されている一部の植物を日本から英国へ輸入し、国内で流通させる際には、英国の植物パスポート(UK Plant Passports)とよばれるラベルを添付する必要があります。旧制度では特定の栽植用植物についてのみ植物パスポートが求められていましたが、新制度の下ではすべての栽植用植物に対して、英国内での移動に際し、遠隔販売を含め、植物パスポートが要求されるようになっています。植物パスポートを必要とする植物は英国 環境・食料・農村地域省 (DEFRA)のサイトで確認することができますが、英国動植物衛生庁 (APHA)に問い合わせできます。
なお、APHAに認可された「専門事業者」は、生産地や保管倉庫などで管轄品目の植物パスポートを自身で発行する権限が認められています。専門事業者(Professional Operator)とは、植物、植物製品、その他のものに関する専門的な活動を実施し、「隔離病害虫を発見した場合、ただちに関係当局に通知する」など、法的責任を有する事業者を指し、登録が義務付けられています(無料)。なお、英国においては、当該植物・植物製品を直接小売りに卸す場合、英国植物パスポートの発行できる権限を当局に申請する必要があります(有料)。費用については、英国政府のウェブサイトで確認することができます。
その他、「専門事業者」や「植物パスポート」に関連する規制に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」で確認することができます。 - 認可ほ場のライセンス取得(有料)
- 禁止されている一部の盆栽を特例により輸入するにあたり、入国後の隔離検疫を行うほ場は最低2カ月前に、APHAに連絡し、ライセンスを取得し、申請書を取り寄せる必要があります。条件に見合った施設を備える事業者は、検査官 (PHSI : Plant Health and Seeds Inspector)により合格と認められた場合、APHAよりライセンスが発行されます。費用に関してはAPHAのウェブサイトで確認することができます。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
英国政府「植物検疫検査のガイダンス」(英語)
-
英国政府 Get an EORI number(英語)
- "
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) 「PEACHによる事前通知のユーザーガイド」(英語)
- "
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) 専門事業者登録申請書(英語・無料)
449KB
-
APHA コンタクト先(英語)
-
英国政府「植物の移動にかかる植物パスポートに関するガイダンス」(英語)
- "
-
英国政府「禁止されている植物などの移動にかかるガイダンス」(英語)
- "
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) (英語)
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- その他参考情報
-
ジェトロ移行期間終了後の英国ビジネス関連制度(2021年3月)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) ガイダンス: 植物パスポートの発行(英語)
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) PEACH登録システム
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
-
英国政府「禁止されている植物などの移動にかかるガイダンス」(英語)
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2021年7月
日本から花きを輸入するにあたっては、次の書類が必要になります。
- 通関申告書(単一管理文書(SAD : Single Administrative Document))
EU域外の第三国(英国に対する日本)とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は欧州委員会実施規則(EU)2016/341 Appendix B1に記載されています。 - インボイス(商業送り状)
- パッキングリスト(包装明細書: P/L)
- 価格申告書(Customs Value Declaration)
CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADと併せて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。 - 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
- 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)
2021年1月1日、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)が発効しました。日英・EPAの特恵税率の適用を受けるには、原産地証明が必要となりますが、税関のウェブサイト「原産地ポータル」で確認することができます。
3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2021年7月
盆栽を含め植物の輸入時には、公的管理の対象となるため、英国の国境管理所(BCP: Border Control Post)において、書類検査、リスクに応じて同一性検査(添付書類とのチェック)、あるいは現物検査(サンプリング検査など)が行われます。なお、国境管理所(BCP)で実施される輸入品に対する公的管理(輸入検疫)には、関係当局より、当該公的管理の対象となった事業者(輸入品の場合は当該貨物に責任を有する者)に対して一定の手数料が課されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回した場合は、英国当局は第三国の発送国の当局に対し必要な調査と是正を要請します。
国境管理所での公的管理の結果、当該貨物が公的管理の対象法令などに適合していることが確認された場合に、関係当局により最終化(finalize)されます。
前述のとおり、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を必要とする場合、受託品の責任を負うオペレーターは、英国に到着する前に、PEACH経由で必要情報を事前通知する必要があります。
特例により輸入を許可された盆栽は、入国後、輸入通関前に認可隔離施設(ほ場)で一定の期間、隔離栽培・検疫検査の対象となります。
- マツ属、ヒノキ属については、少なくとも3カ月以上
- ビャクシン属については、4月1日から6月30日まで
本隔離期間中に、前述の検疫対象病害虫が付着していないことが検査官 (PHSI Plant Health and Seeds Inspector)により確認される必要があります。隔離検疫中に検疫対象病害虫が発見された場合、当該盆栽を含むロットはすべて当局または専門事業者の監視のもと、ただちに廃棄されます。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) (英語)
-
英国の国境管理所BCP(Border Control Post)
-
英国政府「第三国産植物・植物製品の英国への輸入ガイダンス」(英語)
-
2020年 植物衛生EU離脱規則(修正) No. 1527 (英語)
- その他参考情報
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
4. 販売許可手続き
調査時点:2021年7月
すべての植え付けを目的とした植物その他一部の植物製品や木材の販売、遠隔販売を含めた英国内の移動に、英国の植物パスポートが必要となりました(種子や個人使用など一部例外を除く)。盆栽や「新植物検疫規則No. 1527」の 附属書13に記載された植物や植物製品は英国の植物パスポート取得の対象となります。主に、種子以外のすべての栽植用の植物(苗、球根、塊茎など)、一部の樹木や木材からなる植物製品、一部の種子などが対象となります。切花は対象となりません。ラベルについては植物・植物製品関連の規則の「6. ラベル表示」を参照してください。
さらに、輸入手続きの「1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等」で説明したとおり、APHAに認可された「専門事業者(Professional Operator)」は、生産地や保管倉庫などで管轄品目の植物パスポートを自身で発行する権限が認められています。専門事業者(Professional Operator)とは、植物、植物製品、その他のものに関する専門的な活動を実施し、「隔離病害虫を発見した場合、ただちに関係当局に通知する」など、法的責任を有する事業者を指します。
なお、植物・植物製品を直接小売りに卸す場合、英国植物パスポートを自身で発行できる権限をAPHAに申請する必要があります(有料)
その他、英国植物パスポートを自身で発行できる権限を当局に申請する必要があるかどうかは、経緯や事業形態により変わってくるため、APHAに問い合わせてください。
(Apha_srsfmailbox@apha.gov.uk)
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) 専門事業者登録申請書(英語・無料)
449KB
-
英国政府「植物の移動にかかる植物パスポートに関するガイダンス」(英語)
-
英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)「植物パスポートについて(植物生産者・取引業者向け)」
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) (英語)
- その他参考情報
-
英国動植物衛生庁 (APHA) ガイダンス: 植物パスポートの発行(英語)
-
英国動植物衛生庁 植物パスポートが求めれる植物及び植物製品のリスト(英語)
(68KB)
-
英国動植物衛生庁 保護区域と保護区域の検疫害虫およびコードリスト(英語)
(212KB)
-
英国環境・食料・地域省(DEFRA) 専門事業者登録申請書(英語・無料)
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
5. その他
調査時点:2021年7月
なし
英国内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2021年7月
英国の関税はThe UK Global Tariff (以下「UKGT」)として、英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。
なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。
日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。
CNコード/品目 |
関税率 ( UKGT) |
関税率 (日・英 EPA適用 ) |
---|---|---|
0601.10.9000 休眠しているりん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎で、ヒヤシンス属、スイセン属、チューリップ、グラジオラスを除く |
4.0% | 0% |
0601.20.3000 生長しまたは花が付いているラン科、ヒヤシンス属、スイセン属、チューリップのりん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎 |
8.0% | 0% |
0602.10.9090 (0601.20を除く)生きている植物(根を含む)、挿穂、接ぎ穂およびきのこ菌糸のうち、根を有しない挿穂および接ぎ穂 |
0% | 0% |
0602.30.0010 しやくなげ(接ぎ木してあるか否かを問わない。) |
0% | 0% |
0602.30.0090 つつじ属(接ぎ木してあるか否かを問わない。) |
0% | 0% |
0602.40.0010 バラの裸苗など |
0% | 0% |
CNコード/品名 |
関税率 (UKGT) |
関税率 (日・英 EPA適用 ) |
---|---|---|
0602.90.4700 根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋外植物で、林木、苗木、若木、根がむき出しのもの以外の針葉樹または常緑植物 |
0% | 0% |
0602.90.4800 根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋外植物で、林木、苗木、若木、根がむき出しのもの、針葉樹、常緑植物以外の樹木、灌木、低木 |
0% | 0% |
0602.90.9110 根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋内植物で、サボテン、苗木、若い植物を除く、花または花芽をつけた高さ1メートル以下の鉢植え |
0% | 0% |
0602.90.9190 根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋内植物で、サボテン、苗木、若い植物、高さ1メートル以下の鉢植えを除く、花または花芽をつけたもの |
0% | 0% |
0602.90.9990 根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋外植物で、サボテン、苗木、若い植物、花または花芽をつけたもの、高さ1メートル以下の鉢植え以外のもの |
0% | 0% |
CNコード/品目 |
関税率 (UKGT) |
関税率 (日・英 EPA適用 ) |
---|---|---|
0603.11.0000 生鮮のバラの切り花 |
8.0% | 0% |
0603.19.1000 グラジオラスの切り花 |
8.0% | 0% |
0603.19.2000 キンポウゲ属の切り花 |
8.0% | 0% |
0603.19.7010 プロテア属の切り花 |
8.0% | 0% |
0603.19.7020 バンクシア属、ギンヨウジュ属、ブルニア属、レンギョウ属の切り花 |
8.0% | 0% |
0603.19.7090 バラ属、カーネーション、らん、グラジオラス属、キンポウゲ属、キク属、ユリ属、プロテア属、バンクシア属、ギンヨウジュ属、ブルニア属、レンギョウ属を除く生鮮の切り花または花芽(花束や装飾に適したもの) |
8.0% | 0% |
関連リンク
- 関係省庁
-
英国政府 関税データベース(英語)
-
税関
-
農林水産省(輸出・国際ページ)
-
植物防疫所(英国の検疫条件)
-
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)
-
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)
-
税関 原産地規則ポータル
-
税関 EPA原産地規則マニュアル
(1.7MB)
- "
-
税関「日英包括的経済連携協定」
- "
-
英国政府 関税検索ページ(英語)
- その他参考情報
- ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
- ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
-
ジェトロ「原産地証明ナビ」
- "
-
ジェトロ「日英EPA解説書」
- "
2. その他の税
調査時点:2021年7月
英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)が課されます。なお、VATに関しては英国政府 関税データベースでも検索ができますが、盆栽や切り花その他植物の販売については、20%または0%のVATが課されます。
3. その他
調査時点:2021年7月
なし