日本からの輸出に関する制度

花きの輸入規制、輸入手続き

英国の植物・植物製品関連の規制

1. 製品規格

調査時点:2021年7月

なし

関連リンク

根拠法等
欧州議会理事会規則 (EU) 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。

2. 残留農薬

調査時点:2021年7月

なし

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2021年7月

なし

4. 食品添加物

調査時点:2021年7月

なし

5. 包装規制

調査時点:2021年7月

第三国から英国 への貨物の輸入に用いられる木材梱包材(パレットや木箱など)に関しては、維持規則(EU) 2016/2031第43 条に規定されるとおり、隔離病害虫の侵入およびまん延の経路となる可能性があることから、植物衛生措置の国際規格 no.15「ISPM15」の要件を満たしている必要があります。
詳細は、横浜植物防疫所「植物検疫措置に関する国際基準ISPM 15国際貿易における木材こん包材の規制(仮訳)」または一般社団法人 全国植物検疫協会のウェブサイトでも確認することができますが、国際的に承認されている処理(樹皮を除去した木材に適用される熱処理、臭化メチル処理、フッ化スルフリル処理など)を施し、植物衛生措置の国際規格 no.15 「ISPM15」(『国際貿易における木製梱包材の規制ガイドライン』の付属書 1)に規定される処理が施されたことを証明するIPPC(国際植物保護条約)のロゴスタンプが刻印されている必要があります。
「ISPM15」スタンプについては同書の付属書2に規定されています。IPPCのシンボル、国コード、生産者もしくは処置実施者コード、実施された処理のコード(例:熱処理は HT、臭化メチル処理は MB など)からなり、マークは判読可能で、耐久性があり、移動不可能で、手書きであってはならないとされています。また、赤色やオレンジ色も避けるよう規定されています。

これらの規定は、次のものには適用されません。

  • 厚みが6 ミリメートル以下の薄い木材からなる梱包材
  • 接着剤、熱もしくは圧力、またはそれらの組み合わせで製造された合板、パーティクルボード、配向性ストランドボード、またはベニヤといった加工木材ですべてが作製された梱包材
  • EU域内(英国を含む)の取引で使用されている木製梱包材

なお、日本における輸出用木材梱包材の生産者や消毒認定業者に関しては、全国植物検疫協会のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できます。

「ISPM15」スタンプの一例

「ISPM15」スタンプの一例

関連リンク

関係省庁
農林水産省(輸出・国際ページ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫所(英国の検疫条件)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁 (APHA) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
植物防疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
全国植物検疫協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 「2021年1月1日以降の植物・植物製品輸出入ガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫所「植物検疫措置に関する国際基準ISPM 15国際貿易における木材こん包材の規制」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU) 2016/2031 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
ジェトロ EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)

6. ラベル表示

調査時点:2021年7月

『新植物検疫規則No. 1527』の42に基づき、盆栽の流通の際、輸出検疫に合格した盆栽は封印し、登録園番号を梱包および植物検疫証明書上の「Additional declaration」の欄に記載する必要があります。

さらに、『新植物検疫規則No. 1527』の付属書13に記載されている植物や植物生産物などを第三国から英国へ輸入し、英国国内で流通させる際には、英国の植物パスポート(UK Plant Passports)ラベルを添付する必要があります。

植物パスポートを必要とする植物は英国 環境・食料・農村地域省 (DEFRA)のサイトでも確認することができますが、盆栽を含む、樹皮のあるマツ目(Pinales)やクリ属(Castanea)の木材や植物製品、すべて植栽用植物(種子を除く)、3mを超えるトガサワラ属(Pseudotsuga) 、モミ属(Abies)カラマツ属(Larix)トウヒ属(Picea )マツ属(Pinus )モミ属(Abies)で伐採または倒木(果物、種子、葉を除く)その他一部の木材や植物製品にもUK植物パスポートが必要とされます。
すべての植栽用植物とは、植え付けられていないものであっても、植栽の意図のある植物、一部挿し木など生きている部分をもつ植物や土壌から隔離された植物で植替え目的の場合も含みます。

植物パスポートは専門事業者により発行されますが、植物パスポートの取得方法については、輸入手続きの「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。

英国の植物パスポートのフォーマットは次のとおりです。
ラベルの大きさ、枠線の有無、フォントなどは自由ですが、形は四角で、肉眼で読める大きさで印字されている必要があります。

植物パスポートの様式整理表
英国向け 保護地域(PFA)向け
右上に英語で「UK Plant Passport」 右上に英語で「UK Plant Passport -PFA」
病害虫からの保護地域または機関の学術名またはコード(図中9)
A 植物(種)の学名や生物分類名
B 専門事業者の(英国内)登録番号(GBは不要)
C 最終消費者向け直接販売の栽培用植物には不要
追跡(識別)コード (例)ロット番号やシリアル番号、インボイス番号など
必要な場合にはバーコード、二次元コード、ホログラム、ICチップなど追跡コードを補完するもの
D 英国(北アイルランドを含む)が原産国*1の場合には2桁の国名コード「GB」*1(図中7)
日本が原産国の場合には2桁の国名コード「JP」*2(図中8)
E 北アイルランド産の植物を英国へ移動する場合に関しては英国政府のサイトを確認してください。
保護区域への導入および保護区域内での移動のための植物パスポートのモデル

図:(左)英国内の植物パスポートのモデル(右)保護区域(PFA)への導入および保護区域内での移動のための植物パスポートのモデル

なお、輸入される木製梱包材(厚さが6 mm以上のパレットや木箱など)が植物衛生措置の国際規格「ISPM15」の基準に従って承認された処理を受けたことを示す「ISPM15」スタンプに関しては、前述の「5.包装規制」に記載しています。

7. その他

調査時点:2021年7月

日本産の盆栽については、病害虫などのまん延防止のため、輸出国での栽培地検査や消毒などが規定されています。
輸入規制の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に示した輸入禁止品目に該当しない日本産の盆栽については、『新植物検疫規則No. 1527』の付属書7の42項に規定する次の条件【A】を満たすことの裏付けとなる植物検疫証明書がある場合に、英国への輸出が可能となっています。
また、一定の期間「特例措置」とされているヒノキ属(Chamaecyparis Spach)、ビャクシン属(Juniperus L.)マツ属の一部 (ゴヨウマツ(Pinus parviflora Sieb. & Zucc.)ならびに日本産のほかのマツ属に接ぎ木されたゴヨウマツ、クロマツ(Pinus thunbergii Parl.) および日本産のほかのマツ属に接ぎ木されたクロマツ)については、本条件【A】に加え、EU維持実施規則(EU)2020/1217に規定される条件【B】を満たすことで、英国への輸出が可能となっています。(重複するものについては、【B】の条件が優先されます)これらは英国到着後、認可ほ場での隔離検疫検査が実施されます。

なお、ヒノキ属、ビャクシン属および一部のマツ属(ゴヨウマツ、クロマツ)の特例措置を利用した英国への輸入可能期間は次のとおりです

ヒノキ属
:2020年10月1日〜2023年12月31日
ビャクシン属
:2023年12月31日までの毎年11月1日〜翌3月31日
マツ属 (ゴヨウマツ、クロマツなど)
:2020年10月1日〜2023年12月31日
【A】『新植物検疫規則No. 1527』の付属書7の42項に規定される「種子を除く自然にあるいは人工的に成長を抑制された植付目的の植物」に関する条件
出荷前の少なくとも2年間、植物防疫所に公的登録された盆栽園で栽培管理すること。
盆栽園での栽培管理の間、地面から50cm以上離れた棚に置かれた鉢で栽培すること。
非ヨーロッパ国で未発生のサビ病に関して適切な措置が実施されており、実施した措置の内容が植物検疫証明書に記載されていること。
英国隔離病害虫の有無に関して、隣地に生育する植物も含めて年間少なくとも6回の植物防疫所による栽培地検査が実施されること。
栽培地検査で英国隔離病害虫の寄生および付着のないことを確認のうえ、寄生が確認された場合は当該植物を除去すること。
培地(天然または人工を問わない)はくん蒸または熱処理による消毒をすること。
培地は英国隔離病害虫の寄生・付着がない状態を維持し、出荷前2週間以内に次のいずれかの措置をとること。
  • 栽培土を除去・洗浄し、根を裸の状態にする。
  • 栽培土を除去・洗浄し、くん蒸または熱処理により消毒された培地に植え替える。
  • 培地から英国隔離病害虫を除去するための適切な措置をとり、実施した措置の内容と実施日を植物検疫証明書に記載する。
輸送容器は公的に封印され(officially sealed)、輸出検査に合格した盆栽の登録園番号が植物検疫証明書に記載されていること。
【B】EU維持実施規則(EU)2020/1217のANNEXで規定する特定条件(ヒノキ属、ビャクシン属、ゴヨウマツあるいはクロマツなど)
自然にあるいは人工的に成長を抑制されたヒノキ属およびビャクシン属の植物。また、マツ属の場合は、ゴヨウマツあるいはクロマツの種に完全に属する植物であるか、その他のマツ属の種にゴヨウマツあるいはクロマツが接ぎ木された植物であること。後者の場合、根には新芽が一切含まれていないこと。
  • 植物は英国に輸出される前に、植物防疫所に登録されたほ場(以下「登録ほ場」という。)で少なくとも2年間栽培管理されること。
  • ビャクシン属については、その輸入前の直近2年間に登録ほ場およびその隣接地帯で栽培されているボケ属、サンザシ属、マルメロ属、ビャクシン属、リンゴ属、カナメモチ属、ナシ属の植物について、少なくとも年に6回、検疫対象病害虫の付着について、植物防疫所による検査を実施すること。なお、検疫対象病害虫とは、本EU維持実施規則(EU)2020/1217のANNEX Point4 に規定されているものをいう(以下同じ。)。
また、マツ属とヒノキ属の植物については、登録ほ場およびその隣接地帯で栽培されているマツ属とヒノキ属の植物について、少なくとも年に6回、検疫対象病害虫の付着について植物防疫所による検査を実施すること。
検査の際に検疫対象病害虫が発見された場合は、その旨を記録し、英国当局から要請があった場合は記録簿を提出できるよう保存すること。検疫対象病害虫が発見された登録ほ場は、登録を取り消される(当該登録の取り消しについては英国当局にただちに通知され、再登録は翌年にならなければ行えない)。
英国に輸出される前に少なくとも2年間、次の条件を満たしていること。
  • 地面から少なくとも50cm以上離れた棚の上に置かれた鉢で栽培するか、ネマトーダ(線虫類)が侵入できないよう、コンクリートの床の上に置かれた鉢で栽培していること。
  • 前述の検査の際に検疫対象病害虫が発見されず、登録ほ場の登録が取り消されていないこと。
  • なお、これらの植物がマツ属に属する場合で、ゴヨウマツとクロマツ以外の台木に接木する場合は、健全なものであり、植物防疫所によって認められた供給元の台木を使用していること。
  • それぞれの植物に、登録ほ場が特定でき、植え付けた年を識別できる特定のラベルや標識を付すこと。当該ラベルは、植物防疫所に通知されたものであること。
登録ほ場を出てから輸出の船積みまでの間、輸送車両の密閉などにより、植物体の識別が追跡可能である(トレーサビリティである)こと。
植物および当該植物に付着あるいは一体化した培地に関して、植物防疫所が発行した植物検疫証明書を添付することにより、前述の【A】(『新植物検疫規則No. 1527』の付属書7の42項)が順守されていることを証明する。植物検疫証明書には、登録ほ場の名前、前述の植え付けた年を識別できる特定のラベル、最後に施した処理の詳細と発送通知、さらに、Additional Declarationの欄に「This consignment meets the conditions laid down in Commission Implementing Regulation (EU) 2020/1217」と記載する。
受託品の責任を負うオペレーターは、英国に到着する前に、PEACH経由で必要情報を事前通知(各ロットの少なくとも植物および培地のタイプ、数量、輸入申告日、輸入検疫中に植物を保管する認可された場所)する必要があります。
入国後、輸入通関前に認定された隔離施設(ほ場)で次の期間、隔離栽培・検査の対象となる。
  • マツ属、ヒノキ属については、少なくとも3カ月以上
  • ビャクシン属については、4月1日から6月30日まで
本隔離期間中に、前述の検疫対象病害虫が付着していないことが検査官 (PHSI Plant Health and Seeds Inspector)または専門事業者により確認される必要がある。
隔離検疫中に検疫対象病害虫が発見された場合、当該盆栽を含むロットはすべて当局または専門事業者の監視のもと、ただちに廃棄される。
英国での隔離検疫中に検疫対象病害虫が発見された場合、日本の当該登録ほ場の登録は取り消される。また、英国当局はその旨を日本の植物防疫所に通知する。
隔離期間中に検疫対象病害虫が存在しないことが明らかになった盆栽は、英国植物パスポートが発行され、当該植物パスポートが添付されている場合にかぎり、英国内で移動させることができる。

植物パスポートは、隔離検疫をクリアすれば自動的に発行されるわけではありません。植物パスポートのラベル表示の詳細は、食品関連の規制の「6. ラベル表示」の項を参照してください。植物パスポートの登録番号の取得方法については、輸入手続きの「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。

なお、その他のマツ属(Pinus L)およびベイマツ(Pseudotsuga menziesii)の盆栽に関する緊急措置に関しては、輸入関税等の「3.その他」の項を確認してください。

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)

調査時点:2021年7月

英国の輸入業者として必要な情報
英国へ植物を輸入の際に使用するEORI番号の取得およびPEACHシステムの利用にあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。
その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の「1英国の輸入にかかる通関手続き」で確認することができます。
GB EORI番号の取得
英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI(Economic Operators Registration & Identification number)番号が必要となります。
GB EORI番号は、商品を英国に輸出入する(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。 GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイトを参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。
PEACHへの事前登録(事業者の事前登録)
植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)の添付が必要とされる植物・植物製品(一部の植物や青果を除くほとんどの植物)を英国に輸入する場合、輸入者はPEACH (Procedure for Electronic Application for Certificates from the Horticultural marketing inspectorate) への事前登録が必要です。PEACHシステム経由で、PHSI (Plant Health and Seeds Inspector)に飛行機の到着前に、事前通知する必要があります。PEACHシステムの登録には「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントが事前に必要です。
英国植物パスポート発行に関する事前登録
盆栽や「新植物検疫規則No. 1527」の 附属書13 に記載されている一部の植物を日本から英国へ輸入し、国内で流通させる際には、英国の植物パスポート(UK Plant Passports)とよばれるラベルを添付する必要があります。旧制度では特定の栽植用植物についてのみ植物パスポートが求められていましたが、新制度の下ではすべての栽植用植物に対して、英国内での移動に際し、遠隔販売を含め、植物パスポートが要求されるようになっています。植物パスポートを必要とする植物は英国 環境・食料・農村地域省 (DEFRA)のサイトで確認することができますが、英国動植物衛生庁 (APHA)に問い合わせできます。
なお、APHAに認可された「専門事業者」は、生産地や保管倉庫などで管轄品目の植物パスポートを自身で発行する権限が認められています。専門事業者(Professional Operator)とは、植物、植物製品、その他のものに関する専門的な活動を実施し、「隔離病害虫を発見した場合、ただちに関係当局に通知する」など、法的責任を有する事業者を指し、登録が義務付けられています(無料)。なお、英国においては、当該植物・植物製品を直接小売りに卸す場合、英国植物パスポートの発行できる権限を当局に申請する必要があります(有料)。費用については、英国政府のウェブサイトで確認することができます。
その他、「専門事業者」や「植物パスポート」に関連する規制に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」で確認することができます。
認可ほ場のライセンス取得(有料)
禁止されている一部の盆栽を特例により輸入するにあたり、入国後の隔離検疫を行うほ場は最低2カ月前に、APHAに連絡し、ライセンスを取得し、申請書を取り寄せる必要があります。条件に見合った施設を備える事業者は、検査官 (PHSI : Plant Health and Seeds Inspector)により合格と認められた場合、APHAよりライセンスが発行されます。費用に関してはAPHAのウェブサイトで確認することができます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年7月

日本から花きを輸入するにあたっては、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書(SAD : Single Administrative Document))
    EU域外の第三国(英国に対する日本)とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は欧州委員会実施規則(EU)2016/341 Appendix B1に記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration)
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADと併せて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  6. 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)

2021年1月1日、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)が発効しました。日英・EPAの特恵税率の適用を受けるには、原産地証明が必要となりますが、税関のウェブサイト「原産地ポータル」で確認することができます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年7月

盆栽を含め植物の輸入時には、公的管理の対象となるため、英国の国境管理所(BCP: Border Control Post)において、書類検査、リスクに応じて同一性検査(添付書類とのチェック)、あるいは現物検査(サンプリング検査など)が行われます。なお、国境管理所(BCP)で実施される輸入品に対する公的管理(輸入検疫)には、関係当局より、当該公的管理の対象となった事業者(輸入品の場合は当該貨物に責任を有する者)に対して一定の手数料が課されます。

また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回した場合は、英国当局は第三国の発送国の当局に対し必要な調査と是正を要請します。
国境管理所での公的管理の結果、当該貨物が公的管理の対象法令などに適合していることが確認された場合に、関係当局により最終化(finalize)されます。

前述のとおり、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を必要とする場合、受託品の責任を負うオペレーターは、英国に到着する前に、PEACH経由で必要情報を事前通知する必要があります。

特例により輸入を許可された盆栽は、入国後、輸入通関前に認可隔離施設(ほ場)で一定の期間、隔離栽培・検疫検査の対象となります。

  • マツ属、ヒノキ属については、少なくとも3カ月以上
  • ビャクシン属については、4月1日から6月30日まで

本隔離期間中に、前述の検疫対象病害虫が付着していないことが検査官 (PHSI Plant Health and Seeds Inspector)により確認される必要があります。隔離検疫中に検疫対象病害虫が発見された場合、当該盆栽を含むロットはすべて当局または専門事業者の監視のもと、ただちに廃棄されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年7月

すべての植え付けを目的とした植物その他一部の植物製品や木材の販売、遠隔販売を含めた英国内の移動に、英国の植物パスポートが必要となりました(種子や個人使用など一部例外を除く)。盆栽や「新植物検疫規則No. 1527」の 附属書13に記載された植物や植物製品は英国の植物パスポート取得の対象となります。主に、種子以外のすべての栽植用の植物(苗、球根、塊茎など)、一部の樹木や木材からなる植物製品、一部の種子などが対象となります。切花は対象となりません。ラベルについては植物・植物製品関連の規則の「6. ラベル表示」を参照してください。

さらに、輸入手続きの「1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等」で説明したとおり、APHAに認可された「専門事業者(Professional Operator)」は、生産地や保管倉庫などで管轄品目の植物パスポートを自身で発行する権限が認められています。専門事業者(Professional Operator)とは、植物、植物製品、その他のものに関する専門的な活動を実施し、「隔離病害虫を発見した場合、ただちに関係当局に通知する」など、法的責任を有する事業者を指します。

なお、植物・植物製品を直接小売りに卸す場合、英国植物パスポートを自身で発行できる権限をAPHAに申請する必要があります(有料)

その他、英国植物パスポートを自身で発行できる権限を当局に申請する必要があるかどうかは、経緯や事業形態により変わってくるため、APHAに問い合わせてください。
(Apha_srsfmailbox@apha.gov.uk)

5. その他

調査時点:2021年7月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年7月

英国の関税はThe UK Global Tariff (以下「UKGT」)として、英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。

なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。

日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。

日英・ EPAにおいてりん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎・チコリーが該当する主なCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率
( UKGT)
関税率
(日・英 EPA適用 )
0601.10.9000
休眠しているりん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎で、ヒヤシンス属、スイセン属、チューリップ、グラジオラスを除く
4.0% 0%
0601.20.3000
生長しまたは花が付いているラン科、ヒヤシンス属、スイセン属、チューリップのりん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎
8.0% 0%
0602.10.9090
(0601.20を除く)生きている植物(根を含む)、挿穂、接ぎ穂およびきのこ菌糸のうち、根を有しない挿穂および接ぎ穂
0% 0%
0602.30.0010
しやくなげ(接ぎ木してあるか否かを問わない。)
0% 0%
0602.30.0090
つつじ属(接ぎ木してあるか否かを問わない。)
0% 0%
0602.40.0010
バラの裸苗など
0% 0%
日英・ EPAにおいて「盆栽」が該当する主なCNコードと関税率
CNコード/品名 関税率
(UKGT)
関税率
(日・英 EPA適用 )
0602.90.4700
根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋外植物で、林木、苗木、若木、根がむき出しのもの以外の針葉樹または常緑植物
0% 0%
0602.90.4800
根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋外植物で、林木、苗木、若木、根がむき出しのもの、針葉樹、常緑植物以外の樹木、灌木、低木
0% 0%
0602.90.9110
根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋内植物で、サボテン、苗木、若い植物を除く、花または花芽をつけた高さ1メートル以下の鉢植え
0% 0%
0602.90.9190
根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋内植物で、サボテン、苗木、若い植物、高さ1メートル以下の鉢植えを除く、花または花芽をつけたもの
0% 0%
0602.90.9990
根を含む生きた植物、挿し木、キノコの菌糸のうち、屋外植物で、サボテン、苗木、若い植物、花または花芽をつけたもの、高さ1メートル以下の鉢植え以外のもの
0% 0%
「切り花」が該当する一部のCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率
(UKGT)
関税率
(日・英 EPA適用 )
0603.11.0000
生鮮のバラの切り花
8.0% 0%
0603.19.1000
グラジオラスの切り花
8.0% 0%
0603.19.2000
キンポウゲ属の切り花
8.0% 0%
0603.19.7010
プロテア属の切り花
8.0% 0%
0603.19.7020
バンクシア属、ギンヨウジュ属、ブルニア属、レンギョウ属の切り花
8.0% 0%
0603.19.7090
バラ属、カーネーション、らん、グラジオラス属、キンポウゲ属、キク属、ユリ属、プロテア属、バンクシア属、ギンヨウジュ属、ブルニア属、レンギョウ属を除く生鮮の切り花または花芽(花束や装飾に適したもの)
8.0% 0%

2. その他の税

調査時点:2021年7月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)が課されます。なお、VATに関しては英国政府 関税データベースでも検索ができますが、盆栽や切り花その他植物の販売については、20%または0%のVATが課されます。

3. その他

調査時点:2021年7月

なし