日本からの輸出に関する制度 菓子の輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する菓子のHSコード
1704 : 砂糖菓子(ホワイトチョコレートを含むものとし、ココアを含有しないものに限る。)
180620:ココア粉を除くチョコレートその他のココアを含有する調製品(塊状、板状または棒状のもので、その重量が2キログラムを超えるものおよび液状、ペースト状、粉状、粒状その他これらに類する形状のもので、正味重量が2キログラムを超える容器入りまたは直接包装にしたものに限る)
190531:パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品(ココアを含有するかしないかを問わない。)のうちスウィートビスケット(クリスブレット、ワッフル、ウエハース、ラスク、トースト、あられ、せんべいを除く)
1905.90 :あられ、せんべいその他これらに類する米菓 2105:アイスクリームその他の氷菓(ココアを含有するかしないかを問わない。)
調査時点で最新の情報を記載していますが、2019年12月14日から2021年4月にかけて混合食品含め、植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度に移行中のため、関連規則は常に変更される可能性がある点に留意してください。 また、新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。 混合食品の移行期間の暫定措置に関しては委任規則(EU) 2021/1329を確認してください。
関連リンク
- 根拠法等
-
規則(EEC)No 2658/87(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
委任規則(EU) 2021/1329(英語)
- その他参考情報
-
財務省貿易統計
- ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
EUの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2021年10月
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、EU域内への輸入に際して一部政府作成の放射性物質検査証明書が必要な食品がありますが、あられ、せんべいなどの菓子類は、産地証明を含め、規制対象から除外となっています。ただし、輸入国においてサンプリング検査が行われる場合があります。
- EUへの輸出認定国判定(残留モニタリング承認)
- 動物由来食品および動物性加工食品を輸出するには、原則として、当該動物性原材料のEU域内への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」となったうえで(残留モニタリング承認)、「EU HACCP認定取得施設(漁船・市場・と畜場含む)」由来、または加工が行われる必要があります。
- 混合食品
- 一方、EUでは、加工された動物性食品(動物由来加工製品Processed products of animal origin)(注1)と植物性原材料 (植物由来製品 Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(欧州委員会決定2007/275/EC Article2)、特別な規制を設けています。原材料に肉加工品(肉エキス・肉パウダーなどを含む)、乳製品(乳糖を含む)、卵、魚介類(えび粉、かつおエキスなど)また、はちみつなどの動物性原材料を含む菓子類も、「混合食品」となる場合があります。詳細は本ポータルサイト「EU」の「混合食品」で確認することができますが、未加工動物性食品からの加工は、原則として「EU認定施設」で行われることが必須となります。ただし、動物性加工済み原料の調達は「EU認定施設」に由来する必要がありますが(Eの識別マークが貼付)、混合食品を製造する施設には調査時点では認定は不要です。
- ただし、未加工動物性食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する場合は、「EU認定施設」で行われることが必須となります。
-
これらのことから、原材料として含まれる動物性原材料の種類、生産工程(レシピ)により、課せられる規制・必要な証明書、日本からの輸出の可否が異なります。具体的には、EUへの輸出認定国判定(残留モニタリング承認)、第三国リスト掲載、「EU認定施設(EU HACCP)」での加工証明、動物検疫の有無、政府発行の衛生・公的証明書、の確認が必要となります。
詳細は、ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」および「混合食品のEU への入域に関する決定木(仮訳)」で確認することができます。
動物種 | 残留物質モニタリング計画の承認状況 |
---|---|
ウシおよびウシ科動物(Bovine) | 〇 |
羊・山羊(Ovine/caprine) | × |
豚(Porcine) | 〇 |
ウマ科動物(Equine) | × |
鶏・家きん類(Poultry) | 〇 |
水産養殖物(Aqua-culture) 魚(鮮魚)・二枚貝など |
〇 |
水産養殖物(Aqua-culture) 魚の派生品・甲殻類 |
× |
乳(Milk) | 〇 |
卵(Eggs) | 〇 |
ウサギ(Rabbit) | × |
野生の狩猟獣(Wild game) | × |
飼育の狩猟獣(Farmed game) | × |
ハチミツ(Honey) | ×※1 |
※1ただし、認定第三国のはちみつを使用して混合食品を製造して、EUへの輸出は可能
動物種 | 第三国リスト掲載品目(動物を除く) | |
---|---|---|
生鮮肉 | 加工品 | |
生鮮の牛肉 (Bovine animals) | 〇 | 〇 *2 |
豚(Porcine) | × | 〇 *2 |
鶏・家きん類(Poultry) | 〇 | 〇*2 |
水産養殖物(Aqua-culture) |
○(鮮魚) 二枚貝は冷凍したもののみ 活魚は鯉のみ |
〇 水産養殖物の加工品(キャビア等派生品を除く) |
乳(Milk) |
〇 (生乳・初乳) |
〇 (乳製品) |
卵(Eggs) | 〇 | 〇 |
ケーシング | 〇(有蹄類と鶏) |
*2 ゼラチン・コラーゲン含む
さらに、規則(EU)2019/625のリストに掲載されている混合食品か否かで、課される規則や必要書類が変わってきます。リストは本ポータルサイト「EU」の「混合食品」でも確認することができます。 規則(EU)2019/625に記載される一部の混合食品 (本稿で対象としているCNコード1704, 1806, 1905, 2105,を含む)のすべての動物性原料が「第三国リスト掲載国」由来である場合のみEU市場に上市できるとされています。
前述の表および委任規則(EU) 2021/2315のとおり、はちみつについては、日本は認定第三国ではないため、日本産のはちみつを原材料に使用している混合食品は、EUに輸出することができません。ただし、ほかの認定第三国やEU産のはちみつを原材料に使用した場合は、日本で製造した混合食品をEUへ輸出することができます。
また、同じ名称の食品であっても、原材料の性質や製造工程(レシピ)により、混合食品か動物由来食品かを識別する必要があります。それによって、必要な認可や証明書が異なるため、注意が必要です。例えば、殻付き卵と生乳から製造するクレープは、加工済み卵製品(動物性食品)ですが、加工済み液卵と加熱処理された生乳から製造するクレープは、混合食品とされています。殻付き卵とバター、チョコレートから製造したチョコレートムースは、加工済み卵製品(動物性食品)ですが、加工済み乾燥全卵(パウダー)とバター、チョコレートから製造したチョコレートムースは混合食品とされています。商品ごとの詳細は、税関に確認してください。
「加工」とは加熱、くん製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となります。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
-
農林水産省「EUにおける新たな混合食品規制への対応について」
- 根拠法等
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
規則(EC)No 854/2004(英語)
-
決定 2007/275/EC(英語)
-
規則(EU) 2019/759 (英語)
-
実施規則 (EU) 2019/2007 (英語)
-
規則(EU)2019/625 (英語)
-
規則 (EU)2019/626 (英語)
-
決定2011/163/EU (英語)
-
実施規則(EU) 2021/404(英語)
-
実施規則(EU) 2021/405(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
委任規則(EU) 2021/800 (英語)
- その他参考情報
-
農林水産省「証明書や施設認定の申請」(欧州連合等)
- ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
-
ジェトロ「混合食品のEU への入域に関する決定木(仮訳)」
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2021年10月
- EU (HACCP)施設の認定登録
- 「輸入規制」の「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項に記載のとおり、EU輸出向けの動物由来食品および動物性原材料を使用した加工食品(混合食品を含む)を輸出するには、原則として、当該動物性原材料が「EU認定施設(漁船・市場・と畜場含む)」由来、または加工が行われている必要があります。この施設はEUの貿易システム(TRACES)に登録されています。調査時点では、EUの識別マークが貼付された、動物性加工済み原料から混合食品を製造する施設には、認可は求められていません。ただし、EU向け食品は食品衛生に関する規則(規則(EC) 852/2004)に定められた衛生基準と同等の基準を満たす必要があります。
- 日本国内で動物由来加工製品のEU向け輸出認定を取得するためには、「農林水産物及び食品の輸出証明書の発行等に関する手続規程」の別紙として、食品の種類ごとに定められている取扱要綱に規定された手続きに従う必要があります。
- 政府発行の公的証明書 (動物由来食品)
- EU域内への輸出時に一部の動物由来食品は、EU認定工場で加工されたことを証明する公的証明書(動物衛生証明書および動物衛生/公的証明書など)が必要となる場合があります。(食品として安全かという公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の一方または両方の観点からの証明)。原則、規則(EU)2019/625第13条に記載されているCNコード(本稿で対象としているCNコード2105を含む)の動物由来食品には、政府発行の公的証明書が必要となります。公的証明書の様式は実施規則(EU) 2020/2235に規定されています。証明書の入手方法については農林水産省のウェブサイトを確認してください。
- その他、国境管理所(Border Control Posts:BCP)における公的管理(いわゆる輸入検疫)の対象となる具体的なCNコードは、実施規則(EU) 2021/632のANNEXに規定されています。詳細は、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を確認してください。
- 混合食品に必要な公的証明書または自己宣誓書(私的証明書)
- 規則(EU)2019/625に記載される一部の混合食品 (本稿で対象としているCNコード1704, 1806, 1905, 2105を含む)に関しては、動物性原料の識別マークの有無(EU認可施設由来の要否)や後述の生産国要件の準拠を確認のうえ、カテゴリー・製品別に添付書類を入手する必要があります。 国境管理所(Border Control Posts:BCP)における公的管理(いわゆる輸入検疫)の対象となる具体的なCNコードは、実施規則(EU) 2021/632のANNEXに規定されています。詳細は、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を確認してください。
分類 | 混合食品の生産国要件 | 施設のEU認可の要否 | 添付書類 | |
---|---|---|---|---|
混合食品 カテゴリーA :温度管理が必要 |
混合食品に含まれるすべての動物由来加工原料について、第三国リスト規定されていること ※1 | 例:冷蔵の出汁入りみそ、冷凍和菓子 |
動物性加工原材料はEU認可施設に由来する必要あり ※3 |
公的証明書※4 肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品: 動物検疫所 (輸出検疫証明書) 水産製品のみを含む混合食品:農林水産省輸出・国際局 (衛生証明書) |
混合食品 カテゴリーB :温度管理が不要で肉製品※1を含む。 |
混合食品に含まれる肉製品について、第三国リスト規定されていること ※2 | 例: 肉エキスを含むラーメンスープ |
動物性加工原材料はEU認可施設に由来する必要あり ※3 |
公的証明書※4 肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品: 動物検疫所 (輸出検疫証明書) |
混合食品 カテゴリーC :温度管理が不要で肉製品※1を含まない。 |
混合食品に含まれるか否かを問わず、肉製品、水産食品、乳製品(および初乳ベース)、卵製品のいずれかが第三国リスト規定されていること※2 |
例: 出汁の素 肉エキスなどを含まないめんつゆ 和菓子など |
動物性加工原材料はEU認可施設に由来する必要あり ※3 |
自己宣誓書※5を添付 (輸入者) |
動物性加工食品 | かまぼこ | EU認可施設で製造 | 公的証明書 |
※カテゴリーAの混合食品は委任規則 (EU) 2020/692の関連要件を満たすこと
※カテゴリーBとカテゴリーCの(常温保存の)混合食品に含まれる乳製品は(EU) 2020/692のANNEX XXVII の処理を卵製品は同規則のANNEX XXVIIIに記載される処理が必要
※1 肉エキスも肉製品に入る。なお、ゼラチン、コラーゲン、高度精製品は対象外
※2 実施規則(EU) 2021/404または実施規則(EU) 2021/405に規定される第三国リスト
※3 動物性加工原料から最終製品(混合食品)を製造する施設には施設認定は不要
※4 実施規則(EU) 2020/2235 ANNEX III 第 50 章に規定される動物衛生・公的証明書(COMP)
※5 実施規則(EU) 2020/2235 付属書 ANNEX Vに規定される自己宣誓書(Privat Attestation)
なお、液体状のチョコレートの品質を維持するために特定の温度で輸送する場合は、0度を下回らない限り「常温保存可能な混合食品」に区分される。
自己宣誓書(私的証明書Privat Attestation)については、「輸入手続き」の「2.輸入通関手続き(通関に必要な書類)」の「輸入する際に必要な書類」の項および本ポータルサイト「EU」の「混合食品」のページで確認することができます。しかし、国境で公的管理を免除される対象品目の混合食品であっても、肉製品、乳製品、水産製品、卵製品のいずれかは、「第三国リスト掲載国」由来である旨など、必要な情報を求められる場合があります。また、国境ポストでの公的管理が免除されると定められているいるだけであり、仕向け地や、EU市場、倉庫などで公的管理が実施されることはあります。
混合食品の移行期間の暫定措置に関しては委任規則(EU) 2021/1329を確認してください。
関連リンク
- 根拠法等
-
規則(EU)28/2012(英語)
-
決定 (EC)2007/275(英語)
-
規則(EU) 2019/759 (英語)
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委任規則(EU) 2021/1329(英語)
-
実施規則(EU) 2020/2235 (英語)
- "
- その他参考情報
-
農水省「EUにおける新たな混合食品規制への対応について
- "
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2021年10月
「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項のとおり、未加工動物性食品、加工済み動物性食品、および「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項のリスト内のカテゴリーAまたはカテゴリーBの混合食品には、動物検疫 (輸出検疫証明書)と動物衛生証明書のいずれかあるいは両方が必要となります。
- カテゴリーAまたはカテゴリーBの混合食品の場合
-
第一に、公衆衛生の観点から、使用されている動物性原材料が日本国内のEU認定施設から由来しているか、EUまたは海外の認定施設に由来している必要があります。
そのうえで、動物衛生の観点から、カテゴリーAまたはカテゴリーBの混合食品の場合で、動物性加工済原料として、肉製品、乳製品、卵製品を使用している場合には、農林水産省動物検疫所に輸出検査申請をし、公的証明書(輸出検疫証明書)の交付を受ける必要があります。
カテゴリーAで水産製品のみを使用している混合食品の場合は、農林水産省輸出・国際局に衛生証明書の交付申請を行い、衛生証明書の交付を受ける必要があります。 -
輸入先(EU)における動物検疫(衛生)に関して、詳細は「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を確認してください。
なお、EUに輸出される動物性由来食品は、必ず国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
植物防疫所
- 根拠法等
-
指令2000/29/EC(英語)
-
規則(EU)No 28/2012(英語)
-
決定 (EC)2007/275(英語)
- その他参考情報
-
植物防疫所 輸入規則等詳細情報 欧州連合(EU)
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農水省「EUにおける新たな混合食品規制への対応について」
- ジェトロ 動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月/2019年5月更新)
EU内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2021年10月
EUは域外共通関税制度の下で、域外からの輸入品の関税率は域内各国で一律となっています。
関税および統計的分類表ならびに共通関税率に関する欧州理事会規則(EEC)No 2658/87では、共通関税を設定するために合同関税品目分類表(CN)とよばれる物品の分類表を設定しており、これはHSコードに相当します。そのため、当該合同関税品目分類表のCNコードの中から該当する品目の関税率を特定する必要があります。
また、2019年2月から、日本からEUへの輸出品は、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)の適用対象となります。「日EU・EPA」適用後の関税率は、「米菓が該当することが想定される主な関税コードと関税率」の表のとおりです。
「日EU・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日EU・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者または代理人(通関業者など)のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関する詳細は、税関のポータルサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により、税関当局に照会することができます。
CNコード/品目 | 関税率 | |
---|---|---|
通常 | EPA適用 | |
1704 90 30 砂糖菓子のうち、ホワイトチョコレート※ |
9.10% + 45.10 EUR / 最大100 kg ~18.90% + 16.50 EUR / 100 kg |
非課税 0 % |
1905 31 11 パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品(ココアを含有するかしないかを問わない。)のうちスウィートビスケット(クリスブレット、ワッフル、ウエハー、ラスク、トースト、あられ、せんべいを除く)で、一部をチョコレートまたはカカオなどの調製品で完全/部分的にコーティングされた85g以下の個包装されたもの |
9.00% + EA (農産物agricultural component)MAX 24.20% +ADSZ※(加糖追加税additional duty on sugar contents) |
非課税 0 % |
1905.40.9000 ラスク、トーストしたパンおよびそれに類似するトーストした製品 |
9.70% +EA (農産物agricultural component) 乳脂肪、乳製品、ショ糖、ブドウ糖およびデンプンの含量に応じた課税 |
非課税 (0%) |
1905.90.8000 パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットおよびパン製造者によるその他の製品のうち、その他 |
9.00% +EA (農産物agricultural component)乳脂肪、乳製品、ショ糖、ブドウ糖およびデンプンの含量に応じた課税(最大20.7%まで) +小麦粉の含量に応じた課税(ADFM) |
非課税 (0%) |
2105.00.99 アイスクリームその他の氷菓(ココアを含有するかしないかを問わない。)のうち乳脂肪分を7%以上含むもの |
7.90% + 54.00 EUR / 最大100 kg 17.80% + 6.90 EUR / 100 kg |
5.10% + 35.10 EUR / 最大100 kg 11.60% + 4.49 EUR / 100 kg |
その他、関税率は、欧州委員会通商総局が提供する「Access2Markets」や税制・関税同盟総局が提供する「TARIC Consultation」などで検索できます。さらに、日EU経済連携協定(EPA)の原産地ルールや税率に関しても、「Access2Markets」で確認することができます。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 税制関税同盟総局(英語)
- 根拠法等
-
規則(EEC)No 2658/87(英語)
-
規則(EEC)No 1273/2011(英語)
-
実施規則(EU) 2020/383(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
欧州委員会Access2Markets (英語)
-
欧州委員会TARIC Consultation (英語)
-
欧州委員会 関税検索サイト(英語)
-
農林水産省 日EU・EPAにおけるEU側の農林水産物に関する合意内容
(1.3MB)
-
税関「原産地規則ポータル」
-
税関 EPA原産地規則マニュアル
(1.7 MB)
-
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)
(454KB)
-
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)
(481KB)
-
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」
(722KB)
-
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」
(711KB)
-
ジェトロ「日EU・EPA解説書」
(9.93 MB)
- ジェトロ「原産地証明ナビ|EPA/FTA、WTO」
2. その他の税
調査時点:2021年10月
EUへの輸入には、輸入関税に加え、各国が独自に定める付加価値税(VAT)や物品税が課されます。これらの税率は国によって異なるため、最終消費国ごとに確認する必要があります。なお、VATに関する共通システムに関しては、欧州理事会指令2006/112において規定されています。
フランスにおいて、VATは5.5% または20%が課税されます。例えば、CNコード1905.40.9000、1905.90.8000ともにチョコレートの含有量が50%未満のパン類、非砂糖菓子、チョコレートに分類されるものなどは5.5%、これに分類されない1905類は20%となります。2105.00.99に分類される乳脂肪分を7%以上含むアイスクリーム20%となります。
ドイツは7%、オランダは9%、イタリアは10%のVATが課税されます。
関連リンク
- 根拠法等
-
指令2006/112(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
3. その他
調査時点:2021年10月
なし
その他
調査時点:2021年10月
有機食品に関する規制
EU域内で有機食品を第三国より輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および 規則(EC) No 1235/2008で規定されています。新公的管理の規則(EU)No 2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が2022年1月1日より適用される予定でしたが、コロナ渦の影響で、規則 (EU) 2020/1693により2022年1月1日からの適用に延長されています。
調査時点で、日本の有機JAS制度は、EUの有機制度との同等性を有するとみなされており、EU域内で「有機」として販売が可能な国のリスト(第三国リスト)に掲載されているため、同リストに掲載された有機JAS登録認定機関が発行する証明書を添付することにより、有機食品としてEU加盟諸国に輸出することが可能です。輸出時には当該証明書を、有機JAS食品に添付しなければなりません。なお、当該証明書は、2017年10月19日からTRACESシステムを用いて電子的に提出することが義務付けられており、証明書を発行する登録認定機関がTRACESに登録されている必要があります。
有機JAS認定を取得した食品をEU域内へ「有機」として輸出する場合には、日本産の有機JAS認定を取得した原材料だけでなく、EU規制および有機JAS制度と同等の水準にあると認められた有機認証制度を有する国(EU加盟国、米国、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、アルゼンチン)産の有機認証原材料も使用可能です。
また、食品に「organic」などの語句を表示してEU域内で販売する際には、有機JAS登録認定機関の認証機関コード番号もラベル表示に記載しなければなりません。また、任意でEUの有機ロゴ(ユーロリーフ)を使用することもできますが、日本から輸入した有機JAS認定食品の場合は「non-EU Agriculture」の表示もあわせて記載する必要があります。生産国が日本のみの場合は、「non-EU」を国名で代替・補足することも可能です。

図:EUの有機ロゴ(ユーロリーフ)
なお、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および欧州委員会規則(EC)No 889/2008に基づき、EU域内に有機食品を輸入・流通させるにあたっては、EU側の輸入者・販売者にも当局への登録、査察の受け入れ、証明書の保持などの義務が義務付けられています。このため、輸出に際してはEU域内の相手方事業者がこれらの要件を満たす事業者であるかどうかについて確認を行うことも必要です。
日本の有機JAS制度はEUの有機制度との同等性が認められていますが、日本の有機JAS制度においては一部農薬(無機銅など)の使用が認められており、かつ残留農薬基準が日本よりEUのほうが低く設定されている場合があります。その場合は有機JAS農産物であってもEUの残留農薬基準を満たさない可能性があることについて留意が必要です。
なお、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および欧州委員会規則(EC)No 889/2008に基づき、EU域内に有機食品を輸入・流通させるにあたっては、EU側の輸入者・販売者にも当局への登録、査察の受け入れ、証明書の保持などが義務付けられています。このため、輸出に際してはEU域内の相手方事業者がこれらの要件を満たす事業者であるかどうかについて確認を行うことも必要です。
前述のとおり、新公的管理の規則(EU)No 2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が今後適用されると有機の第三国との同等性の規則が失効されることが示唆されています。規則 (EU) 2020/1693によると、EU有機と日本の有機JASの同等性の失効期限は2026年12月31日までとなっているため、有機JAS制度を利用したEUへの有機食品の輸出ができなくなる可能性があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
欧州委員会農業農村開発総局(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 834/2007(英語)
-
規則(EC)No 889/2008(英語)
-
規則 (EC) 1235/2008 (英語)
-
規則(EU)No 2017/625 (英語)
-
規則 (EU) 2018/848 (英語)
-
規則 (EU) 2020/1693(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
農林水産省 有機JASに基づく有機食品の輸出入方法などの変更について
(79KB)
-
農林水産省 有機食品の検査認証制度
-
農林水産省 有機登録認定機関一覧
(149KB)
-
欧州委員会農業農村開発総局 Import/Export: Trade in organic products(英語)
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欧州委員会 TRACES(英語)
- ジェトロ 欧州における有機食品規制調査(2018年3月)
調査時点:2021年10月
遺伝子組み換え作物に対する規制
EUでは、欧州議会・理事会規則(EC)No 1829/2003に基づき、認可を受けた遺伝子組み換え作物のみ(大豆、とうもろこし、綿実、菜種、テンサイ)がEU域内での販売・流通を認められており、流通させる場合には遺伝子組み換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。
認可を受けた遺伝子組み換え体のリストは、欧州委員会ウェブサイトで検索が可能です。
米菓の原材料に日本で遺伝子組み換え作物の流通・使用が認められている原材料(大豆・トウモロコシなど)を使用している場合には、次のEUと日本の規制の違いについて留意する必要があります。
- 日本では、遺伝子組み換え作物のDNAおよびタンパク質が加工工程で除去される食品(しょうゆや植物油など)については、たとえ遺伝子組み換え作物を原料としていても遺伝子組み換えの表示義務がありません。しかし、EUでは、最終食品におけるタンパク質・DNAの存在の有無にかかわらず、原材料に遺伝子組み換え作物を使用した場合には、その旨の表示義務(原材料名の後ろに‘genetically modified’と記載、または、‘produced from genetically modified ○○(原材料名)’と記載)があります。
- 日本では、遺伝子組み換え農産物が食品などの主な原材料(原材料の上位3位以内で、かつ全重量の5%以上を占める場合)ではない場合には、遺伝子組み換えについての表示義務がありません。しかし、EUでは、食品添加物を含む加工食品のすべての原材料について、遺伝子組み換え作物を原材料に使用している場合は、表示義務があります(例えば遺伝子組み換え由来の大豆レシチンやコーンスターチなど)。
- 日本では、遺伝子組み換えではない原材料について、許容される遺伝子組み換え体の「意図せざる混入」の割合は5%未満となっていますが、EUでは、同割合は0.9%未満となっていることから、これを超える場合は遺伝子組み換え作物使用の表示が必要です。
- 日本では、表示可能面積が30cm2以下の加工食品については、遺伝子組み換え表示義務の対象外となっていますが、EUでは、最大包装面積が10 cm2以上の食品には、遺伝子組み換え表示の義務があります。また、最大包装面積が10 cm2未満の包装食品や非包装食品についても、遺伝子組み換え作物を原材料に使用している場合には、食品陳列棚の近傍に常に見えるかたちで表示する義務があります。
- 日本では『遺伝子組み換え不分別』の概念がありますが、EU規制には当該概念がありません。遺伝子組み換え作物を使用もしくは遺伝子組み換え作物を飼料の原料としている場合は表示が必要です。
- 食品成分として使用した遺伝子組み換え微生物(酵母エキスなど)にも遺伝子組み換え作物使用の記載義務があります。
「遺伝子組み換えでない(GM(O)-Free, Non-GM(O)s)」などの表示については、EUの共通規制はありません。従って、EU規制上は、遺伝子組み換え作物の混入が偶発的な意図せざるものであり、混入割合が当該原材料の0.9%未満であれば、「GM(O)-Free」などの表示を任意で行うことが可能です。
ただし、加盟国によっては、GM(O)-Free表示に関して独自の規制を課していることがあるため、注意が必要です。スウェーデンとベルギーにおいては、GM(O)-Freeなどの表示はガイドラインにより禁止されています。また、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリアなど一部の加盟国においては、国内法やガイドラインによりGM(O)-Freeに関する表示ができる場合のルールや使用できる文言、ロゴが独自に定められています。これらの国・地域でGM(O)-Freeに関する表示をする場合には、各国・地域の規制を確認する必要があります。
例えばフランスでは、デクレにより植物食品に「非遺伝子組み換え(sans OGM )」と記載する際は、偶発的または技術的な回避できない事情で、遺伝子組み換え農産物の混入率が0.1%未満である必要があります。ただし、EUで対象となっている遺伝子組み換え種に限ります。
動物性食品において、遺伝子組み換え農産物の混入0.1%未満の飼料で育てた畜産由来の未加工品の場合(卵・生乳を除く)は「nourri sans OGM (<0.1 %)」、卵・生乳を含む遺伝子組み換え農産物の混入0.1%未満の飼料で育てた畜産由来の材料からなる加工品には「issu d’animaux nourri sans OGM (<0.1 %)」と記載することができます。また、遺伝子組み換え飼料の0.9%未満の混入の場合「nourri sans OGM (<0.9 %)」、あるいは「issu d’animaux nourri sans OGM (<0.9 %)」と記載できると規定されています。特定のロゴは定められていません。
関連リンク
- 関係省庁
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欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
- 根拠法等
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規則(EC)No 1829/2003(英語)
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規則(EC)No 1830/2003(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
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欧州委員会 遺伝子組み換え作物に関する検索サイト(英語)
- ジェトロ 遺伝子組換え食品規制調査 -EU-(2016年3月)
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EUにおけるGM-Free食品表示の現状と共通規則の必要性に関する調査(英語)
(4.0 MB)
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EUにおけるGM-Free食品表示の現状と共通規則の必要性に関する調査 ケーススタディ(英語)