税制

最終更新日:2026年08月03日

法人税

法人税率は25%。

法人税率は25%(業種によって特別税率があり、一般金融機関は30%)。外資のみを対象とした軽減税率などはない。
課税対象所得には、キャピタル・ゲイン、受取配当金、受取利子が含まれる。

  1. 新規設立企業や中小企業・マイクロ企業向け軽減税率
    1. 経済活動を行う新設法人には、初めて利益を計上した年度とその翌年度に15%の軽減税率が適用される。
    2. 2026年度は、前年度の純売上高が100万ユーロ以上1,000万ユーロ未満の中小企業については23%が適用される。また、前年度の純売上高が100万ユーロ未満のマイクロ企業について、課税所得のうち5万ユーロまでは19%、その超過分は21%の税率が適用される。中小企業の税率は2027年度22%、2028年度21%、2029年度以降20%へ段階的に引き下げられる。マイクロ企業についても、2027年度以降は5万ユーロまで17%、超過分20%へ引き下げられる。

    新設法人向け15%税率は企業グループの構成会社には適用されないため、日系企業のスペイン子会社には適用できない場合がある。一方、中小・マイクロ企業向けの軽減税率は、企業グループに属することのみを理由に適用対象外となるものではなく、原則として企業グループ全体の純売上高に基づき適用可否が判断される。

  2. 最低法人税率の導入

    直前12カ月間の純売上高が2,000万ユーロ以上の納税者、または税務連結制度を適用するグループについては、税額控除などを適用した後の税額が、原則として所定の調整後課税標準の15%を下回ることができない。
    これにより、研究開発・技術革新や映画・映像制作、障害者の雇用などに関する税額控除を当該年度に全額利用できない場合がある。未使用額は各税額控除制度に定める要件および期限に従い、翌年度以降に繰り越すことができる。なお、新設法人(15%軽減税率適用法人)の最低法人税額は10%となる。

  3. グローバル・ミニマム課税
    2022年12月にEUで採択された理事会指令2022/2523に基づき国内法を整備し、2024年から、直前4事業年度のうち2年度以上で、グループ全体の連結純売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業および大規模国内グループ(子会社を含む)に対し、国・地域別の実効税率が15%に達するよう補完税を課す制度が導入された。
    また、2025年10月には、申告担当法人の届け出(Modelo 240)、情報申告(Modelo 241)および税額の申告・納付(Modelo 242)の各様式が承認され、初回提出は2026年から開始された。
  4. 特別税率
    0%(年金基金)、1%(不動産投資会社・団体・基金など)、10%(特定の基金など)、20%(協同組合)、25%(相互保険会社、労災共済保険組合、信用協同組合・地方貯蓄協同組合など)、30%(銀行・信用機関、炭化水素分野の調査・採掘活動に従事する団体など。ただし、精製業など一部の業種は25%)
  5. 金融費用の控除制限
    1. 2012年から、グループ会社間の株式購入、または資本金・自己資本の出資を実行するためのグループ内金融費用について控除を受けるためには、当該融資に関する経済的理由が必要となった。
    2. 純金融費用控除は営業利益の30%または最大100万ユーロのいずれか大きい方に制限されている。未控除分は無期限で繰り越し可能。また純金融費用が控除枠を下回る場合、未使用の限度枠は翌5年間繰り越すことができる。
    3. 2024年度以降、EUの租税回避対策指令(ATAD)に適合し、純金融費用の控除枠限度額の算定に用いる「営業利益」から、法人税の課税標準に恒久的に参入されない収益、費用、または所得が除外されることになった。
  6. 自己資本増加による課税標準の減額
    2015年から、企業の自己資本の充実を促す資本化準備金制度が導入されている。自己資本が増加した場合、一定の要件の下、その増加額の20%を課税標準から減額できる。平均従業員数を2%以上増加させた場合は、その増加率に応じて減額割合が23%、26.5%または30%に引き上げられる。自己資本の増加額および従業員数は原則として3年間維持し、減額額と同額の処分制限付き準備金を区分計上する必要がある。減額上限は原則として適用前の正の課税標準の20%で、直前12カ月間の純売上高が100万ユーロ未満の場合は25%。上限超過などにより適用できなかった額は、その後2年間繰り越すことができる。
  7. 特定設備投資に対する自由償却
    電気自動車・充電設備および再生可能エネルギーによる自家発電・利用への投資を促進する税制優遇として、対象設備の自由償却制度が設けられている。
    1. 特定車両および充電設備
      事業に使用する新品の燃料電池車(FCV・FCHV)、電気自動車(BEV・REEV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)、および新設の電気自動車用充電設備で、2024~2026年に開始する課税期間中に稼働を開始したものは、自由償却の対象となる。充電設備については、登録済みの認定設置業者が作成した所定の技術資料と、自治州当局の確認を受けた電気設備証明書が必要となる。
    2. 再生可能エネルギー設備
      2022年10月20日以後に納税者へ引き渡され、2023~2026年に稼働を開始した、再生可能エネルギーによる電力の自家消費設備、または化石燃料設備を代替する自家消費用の再生可能熱設備は、50万ユーロを上限として自由償却の対象となる。適用には、稼働した課税期間の開始後24カ月間、直前12カ月の平均雇用水準を維持し、設備の種類に応じた証明書類を備える必要がある。建築技術基準により設置が義務付けられる再生エネルギー設備は原則として対象外。ただし、設備の定格出力が法定最低値を上回る場合は、超過出力に比例する設備費部分が対象となる。

二国間租税条約

2021年5月に日西新租税条約が発効し、源泉所得税は2022年1月1日から適用されている。配当は議決権の10%以上を12カ月以上保有する場合は免税、その他は原則税率5%(損金算入される配当は10%)。ロイヤルティーに対する源泉税率や利子に対する源泉税率は免税。

出所:国税庁(源泉所得税の改正のあらまし外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(198KB)

  1. スペインと二重課税防止条約を締結している国
    アイスランド、アイルランド、アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、アルゼンチン、アルバニア、アルメニア、アンドラ、イスラエル、イタリア、イラン、インド、インドネシア、ウクライナ、ウズベキスタン、ウルグアイ、英国、エクアドル、エジプト、エストニア、エルサルバドル、オーストラリア、オーストリア、オマーン、オランダ、カザフスタン、カタール、カナダ、カボベルデ、韓国、キプロス、キューバ、ギリシャ、キルギス、クウェート、ジョージア、クロアチア、コスタリカ、コロンビア、サウジアラビア、ジャマイカ、シンガポール、スイス、スウェーデン、スロバキア、スロベニア、セネガル、セルビア、タイ、タジキスタン、チェコ、中国、チュニジア、チリ、デンマーク、ドイツ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴ、トルクメニスタン、トルコ、ナイジェリア、日本、ニュージーランド、ノルウェー、パキスタン、パナマ、パラグアイ、バルバドス、ハンガリー、東ティモール、フィリピン、フィンランド、ブラジル、フランス、ブルガリア、米国、ベトナム、ベネズエラ、ベラルーシ、ペルー、ベルギー、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボリビア、ポルトガル、北マケドニア(旧マケドニア)、マルタ、マレーシア、南アフリカ共和国、メキシコ、モルドバ、モロッコ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク、ロシア
  2. 二重課税防止条約締結の合意には至っているが、最終署名がされていない国
    シリア、ナミビア、バーレーン、モンテネグロ

出所:財務・公共省(Convenios de Doble Imposición (26-05-2025)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他税制

スペイン法人が一定の要件を満たす国内外の子会社から受け取る配当および株式譲渡益は、原則として95%が法人税の課税対象から除外される。外国法人株式保有会社(ETVE)制度を選択した場合、免税対象となる国外所得を非居住者株主へ配当する際、原則としてスペインの源泉税は課されない。

国内外子会社からの配当・株式譲渡益の免税

スペイン法人が一定の要件を満たす国内外の子会社から受け取る配当および株式譲渡益は、一般制度として原則95%が法人税の課税対象から除外される。課税枠5%のみに法人税率が適用されるため、一般税率25%が適用される場合、当該配当などにかかるスペインでの実質的な法人税負担は1.25%となる。本措置は、持ち株会社や後述するETVEに限らず、通常のスペイン法人にも適用される。

配当・株式譲渡益の免税に必要な主な要件は以下のとおり。

  1. 直接・間接の出資比率が5%以上であること。
  2. 1年以上継続保有すること(配当については、受領後に保有を継続して要件を満たすことも可能)。
  3. 国外子会社の場合、スペイン法人税と同一または類似の外国法人税が名目税率10%以上で課されていること。ただし、情報交換条項を含む租税条約をスペインと締結している国の居住法人については、本要件を満たすものとみなされる。非協力的国・地域に所在する法人からの所得などについては、原則として同措置の適用外。

なお、免税対象となる子会社株式の譲渡損や国外の恒久的施設(PE)の損失は、原則として損金算入されないが、子会社の消滅またはPEの事業廃止に伴う損失については、一定の例外が認められる。

外国法人株式保有会社(ETVE)制度

ETVE制度を選択した場合、国外子会社などから得た免税対象所得を日本などの非居住者株主(親会社)へ再配当する際、原則としてスペインの源泉税は課されない。
また、非居住者株主がETVE株式を譲渡した場合、または株主の離脱・ETVEの清算が行われた場合、その所得のうち、免税対象となる国外子会社または国外のPEの利益・価値増加に対応する部分は、原則としてスペイン源泉所得とみなされない(株主が非協力的国・地域の居住者である場合を除く)。既存の現地法人も、所定の要件を満たし税務当局へ届け出ることで、新会社を設立せずに本制度を選択できる。

ETVE制度を選択するための主な要件は以下のとおり。

  1. 外国法人株式の管理・運営を目的とし、これに必要な人的・物的体制を有すること。
  2. ETVEの資本を構成する株式または出資持分が記名式であること。

なお、日西租税条約により、日本の親会社が配当の実質的受益者であり、配当支払法人の議決権の10%以上を、配当を受ける権利が確定する日を含む12カ月間保有するなど、条約上の要件を満たす場合、ETVE制度を選択していない通常のスペイン法人からの配当についても、スペインの源泉税は免除される。

法人税以外に課せられる主な公租公課(地方税など)

  1. 市町村税
    1. 経済活動税
      スペイン国内で事業活動、専門職活動または芸術活動を行う個人・法人などに課される税で、利益の有無にかかわらず、活動の実施自体が課税対象となる。農業、従属的な牧畜業、林業および漁業は対象外だが、独立した事業として行う牧畜業は課税対象となる。
      ただし、個人、スペインで新たに事業を開始した者は、新規事業開始後最初の2課税年度は免税措置が設けられている。また、原則として純売上高が100万ユーロ未満の法人なども免税となる。
    2. 固定資産税
      土地・建物などの不動産について、その所有権、用益権、地上権または公的機関から付与される、公有不動産または公共施設を利用・運営する行政上のコンセッションなどを有する者に課される税。課税標準は原則として不動産の固定資産評価額であり、都市不動産、農村不動産および特殊不動産の区分に応じて、各市町村が税率を定める。
    3. 地価増加税
      都市部の土地の所有権の移転、または当該土地に対する用益権などの設定・移転に伴って生じる土地の価値の増加に対して課される税。売買、贈与、相続などに伴う名義人変更の際に課税される。
    4. 建設設置工事税
      建築許可が必要な場合に加え、責任申告または事前通知が必要となる建設、設備設置および工事について、その実質的な施工費を課税標準として課される税。税率は各市町村が定めるが、上限は4%である。
      (例)マドリード市の場合、税率は工事費用の3.75%。
      納税義務者は原則として、対象不動産の所有者であるか否かにかかわらず、工事費用を負担する個人または法人。工事を別の者が実施する場合には、許可申請者や施工者などが代替納税義務者となることがある。
  2. 州税
    1. 相続・贈与税
      相続、贈与または生命保険金などにより無償で財産を取得した個人に課される税。国の基準税率は7.65~34%だが、実際の税負担は自治州ごとの減額・税額軽減により大きく異なる。例えば、マドリード州やアンダルシア州では、配偶者・直系親族間の相続・贈与について、原則として算定税額の99%が軽減される。
      なお、納税者が法人の場合は、法人税の枠内で課せられる。
    2. 財産移転・法律行為文書税(ITP/AJD)
      有償財産移転、会社取引、法律行為文書の3区分からなり、税率は取引の種類および自治州により異なる(一般税率は、不動産が6~13%)。納税義務者も取引の種類により異なり、有償財産移転では原則として財産・権利の取得者となる。なお、会社取引区分では、会社の設立、増資および株主などによる資本増加を伴わない出資は免税とされている。
      VAT課税取引は原則として有償財産移転税の対象外だが、VAT免税となる一定の不動産取引は同税が課される。中古の事業用不動産などでは、一定の要件を満たせば、売り主がVAT免税を放棄してVAT課税とすることができる。

移転価格税制

スペイン現地法人と日本本社などの国外関連者との取引は、独立した第三者間で同様の条件により合意される価格、すなわち独立企業間価格で評価しなければならない。納税者は、採用した価格算定方法や比較可能性分析などを記載した移転価格文書を作成・保管し、税務当局の求めに応じて提出する必要がある。

文書化・情報申告義務

移転価格文書は、グループ全体に関するマスター・ファイルと、スペイン法人の取引に関するローカル・ファイルから成る。
また、同一の関連者との取引総額が年間25万ユーロを超える場合などには、法人税申告とは別に関連者間取引に関する情報申告書を提出する。特定取引については同種取引が10万ユーロを超える場合、同一種類・同一算定方法の取引額が売上高の50%を超える場合にも申告義務が生じる。

  1. 国別報告書
    事業年度開始前12カ月間のグループ全体の純売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループでは、原則として最終親会社などが、国・地域別の売上高、利益、納税額、従業員数などを記載した国別報告書(CbCレポート)を提出する。
    日本の最終親会社が日本でCbCレポートを提出し、日西間の自動的情報交換を通じてスペイン税務当局に提供される場合、スペイン子会社による同レポートの提出は原則として不要。ただし、スペイン子会社は、レポートの提出主体とその居住国をスペイン税務当局へ通知する必要がある。親会社所在国に同等の制度または自動的情報交換の取り決めがない場合などには、スペイン子会社に提出義務が生じることがある。
  2. マスター・ファイル、ローカル・ファイル
    前述の報告書とは別に、関連者間取引に係る移転価格文書として、グループ全体に関するマスター・ファイルおよびスペイン法人に関するローカル・ファイルを作成・保管し、税務当局の求めに応じて提出する必要がある。グループの純売上高が4,500万ユーロ未満の場合、マスター・ファイルは原則として不要であり、ローカル・ファイルの記載内容も簡略化される。各文書に記載する主な事項は次のとおり。
    1. マスター・ファイル(グループの連結売上が4,500万ユーロ以上の場合)
      1. 企業グループの組織、法的な事業構造
      2. グループの活動
        • グループが事業活動を行う市場
        • グループの総収益の10%超の有形財・サービスについて、バリュー・チェーンと関連する収益源
        • グループ関連会社の機能、リスクおよび資産
        • グループが採用する移転価格政策
        • 組織再編や企業買収、資産のライセンス
      3. 無形資産
        • R&D戦略、無形資産のライセンス、無形資産の所有者
        • 会社間の取引高
        • ライセンス契約および費用分担契約
        • その他の関連する無形資産の譲渡
      4. 資金調達
        • グループの資金調達源の概要
        • 会社間の資金調達活動に参加する関連会社の特定
        • 債券発行国
        • 会社間の資金調達に適用される移転価格政策の説明
      5. 財務諸表
        グループの連結財務諸表および事前合意制度(APA)適用のリスト
    2. ローカル・ファイル
      1. 納税者情報
        • 組織図を含む組織・経営構造と、スペイン関連会社の企業報告で連結される関連会社のリスト
        • 事業活動および戦略だけでなく、組織再編、重要な無形資産取引にかかる関連情報
        • 競合他社の情報
      2. 関連会社間の取引情報
        • 関連会社間取引の概要、特徴および取引高
        • 関連会社間取引に参加する取引相手の情報
        • 機能分析および比較可能性分析
        • 採用する移転価格算定方法
        • 関連会社間のサービス・チャージ算定に使用される費用配分の要因
        • 既に合意された事前合意制度(APA)
      3. 財務・経済データ
        • 財務諸表
        • 移転価格算定方法を適用するために使用した財務データと年次財務諸表との関係
        • 経済分析の比較対象に使用された財務データ
罰則規定

移転価格文書を作成・提出しない場合、または記載が不完全・虚偽で、税務当局による価格更正が行われない場合、原則として個別データ1件につき1,000ユーロ、データ群1件につき1万ユーロの罰金が科される。罰金の上限は、取引額の10%または純売上高の1%のいずれか低い額となる。
文書の不備や、申告価格と文書上の市場価格との不一致により税務当局が移転価格に基づく課税調整を行った場合は、原則として更正額の15%の罰金が科される。適切な文書を備え、申告価格が当該文書と一致している場合は、税務当局による価格更正のみを理由とする移転価格上の罰則は原則として科されない。

電子インボイス制度

スペインでは、事業者・専門職間(B2B)の取引について、構造化電子形式による請求書の発行、送付および受領を義務付ける電子インボイス制度が導入される。同制度は、企業間取引のデジタル化に加え、請求書の支払状況を把握し、支払遅延を抑制することを目的としている。
事業者は、スペイン国税庁が提供する公的な電子インボイス・システムまたは所定の要件を満たす民間プラットフォームを利用できる。また、請求書の受領者には、支払完了または請求書の拒否に関する情報を電子的に通知する義務が課される。
適用開始時期は、制度の技術的詳細を定める財務省令の施行日を起点として、直前暦年の取引高が800万ユーロを超える事業者は12カ月後、その他の事業者および個人事業主は24カ月後となる。2026年7月時点では同省令が確定していないため、具体的な適用開始日は未定。