外国企業の会社設立手続き・必要書類
最終更新日:2026年08月03日
外国企業の会社設立手続き・必要書類
スペインの会社形態には、株式会社、有限会社、合名会社、合資会社などのほか、支店、駐在員事務所がある。外国企業がスペインに進出する場合、株式会社、有限会社、支店、駐在員事務所のいずれかの形態が一般的である。
現地法人の定義
- スペインの会社形態には、株式会社、有限会社、合名会社、合資会社などのほか、支店、駐在員事務所がある。外国企業がスペインに進出する場合は、株式会社、有限会社、支店、駐在員事務所のいずれかの形態が一般的である。
- 株式会社と支店は、商法上の取り扱いは異なるが、税法上ではほぼ同等に取り扱われる。
- 駐在員事務所は通常、情報収集や市場調査などの準備的、補助的活動に限定される。これを超える活動を行い、日西租税条約上の恒久的施設(PE)に該当する活動など(取引仲介など)を行っていると判断された場合には、PEに帰属する利益について課税対象となる可能性がある。
現地法人設立の手続き(日系企業の子会社設立の場合)
- 申請に必要な主要書類
- 現地法人の社名が、スペイン国内の他社と重複していない旨の調査とその証明
- 現地法人設立、発起人(1人)および設立手続き実務を行うスペイン国内の弁護士などに対する委任状(アポスティーユ手続きが必要)
- 現地法人の発起人または取締役が外国人個人の場合は外国人識別番号(NIE)、外国法人の場合はスペインの税務識別番号(NIF)の取得
- 親会社の登記簿謄本(アポスティーユ手続きが必要)
- 国内銀行による資本金払込済証明書
- 現地法人の定款
- 設立資本税免税届
- 税務番号取得申請書
- a.~h.までの書類を添付し、現地法人設立、発起人、現地法人取締役の任命、資本金額、定款内容などの決定事項が含まれた法人設立公証を証書化する。
- 外国投資届(外貨持ち込みの通知)
- 提出先
a.~i.の書類は、スペインの公証人の下で認証手続きを行った後に、現地法人の所在地を管轄する法務局(登記所)に提出する。
また、g.設立資本税免税届は州政府徴税局へ、h.税務番号取得申請書は国税当局へ、併せて申請する。
さらに、j.外国投資届は、経済・商業・企業省の投資登録簿(Registro de Inversiones)に提出する。会社設立後は、株主総会議事録台帳の整備、社会保険庁への会社登録、経理帳簿の整備、種々の税務申告などのコンプライアンスが発生する。
- 申請から登記完了までの期間
申請から登記完了までには、申請時期にもよるが、約1~3カ月を要する。
設立公正証書の作成後、設立手続き中の会社として暫定税務識別番号(暫定NIF)を取得し、一定の税務・事業手続きを開始できる。商業登記完了後、必要書類を税務当局に提出し、確定NIFを取得する。 - 最小資本金
- 株式会社:6万ユーロ
- 有限会社:1ユーロ
ただし、資本金が3,000ユーロに満たない場合、以下の規則が適用される。- 毎年度の利益の少なくとも20%に相当する額を法定準備金に充当しなければならず、資本金と法定準備金の合計額が3,000ユーロになるまで法定準備金に繰り入れる。
- 会社清算時に、会社財産が債務の返済に不足する場合、株主は3,000ユーロと引受済資本金との差額について連帯責任を負う。
- 株主が1人の場合、「一人会社」とされ、特別な運営規定がある。
- 取締役
- 株式会社
- 通常は複数の取締役を置く。1人でも可能。
- 取締役が複数の場合、通常は第1回取締役会議において、その中から代表取締役を選出するのが一般的。
- 有限会社
有限会社の取締役の要件は、株式会社とほぼ同じ。
- 株式会社
- 社外会計監査人の選任
次の要件のうち、少なくとも2つについて2年連続で満たす場合、あるいは新規設立、組織再編、合併の結果、1年でも2つ以上の要件を満たす場合には、外部監査義務が発生する。
なお、国内上場企業、金融・保険業のほか、1事業年度に累計60万ユーロを超える公的補助金または助成金を受給した企業は、次の条件に関わらず、外部監査が義務付けられている。- 売上高が570万ユーロ超
- 総資産が285万ユーロ超
- 従業員数が50人超
社外会計監査人の任命は、当該年度中における株主総会での決議が必要。
また、監査人の新規契約期間は、3年以上9年以下とされている。新規契約期間が過ぎた後は、株主総会における1年から3年までの更新決議が必要。
なお、有限会社における外部監査人の要件は、株式会社とほぼ同じ。
スタートアップの新規設立手続き
2022年に施行された企業設立・成長法(法18/2022)により、有限会社の最低資本金が1ユーロに引き下げられたほか、会社設立情報センター・ネットワーク(CIRCE)を通じたワンストップ電子手続きの利用促進により、設立手続きの簡素化が進められた。その後、有限会社について、現金出資のみの場合には、原則としてオンラインによる設立手続きが可能となった。
一方、新興企業エコシステム促進法(法28/2022、通称「スタートアップ法」)は、一定の要件を満たす革新的なスタートアップ企業を対象に、税制優遇や行政手続きの簡素化などの支援措置を定めている。
外国企業の会社清算手続き・必要書類
スペイン会社法上の株式会社の清算手続きは、解散と清算の2つに大別される。
- 会社の解散
株主総会における会社の解散決議に関する議事録などを作成する。
解散決議では取締役会が解散され、清算人が任命される。
これらの手続きや決議を公証証書化し、商業登記を行う。登記所は商業官報で解散公告を公表する。
会社を解散した後、清算人は会社の債務完済を目指す。会社が支払い不能に陥った場合には、倒産法に基づく倒産手続きの申し立てなどが必要となる。 - 会社の清算
次のa.およびb.の文書を公証証書化し、商業登記所を通じて商業官報に清算公告を出す。- 債務が完済された時点での、株主総会による会社清算貸借対照表(B/S)の承認議事録を作成する。
- 清算人が清算取引報告書、最終資産の譲渡提案書を作成する。
投資回収のための為替管理局提出用文書D1B様式を作成する。
清算時に資産が残る場合には、売掛金の債務者に対し債権者変更通知レターを発行、土地建物の株主への名義変更などを行う。
商法上、会社は全ての文書について、6年間の保管義務を負う。 - 解散・清算同時決議
清算される会社の貸借対照表に債務がなく、株主に返還される資産のみが計上されている場合、前記の手続きに従って株主総会による解散・清算の同時決議をとることができる。 - 税務上の要件
商業登記手続きに加え、次のような税務上の要件がある。- 会社清算に伴う直接税
- 会社清算時の最終課税期間は、会社の商業登記抹消日に終了する。最終法人税申告は、当該課税期間の終了後6カ月を経過した日から25暦日以内に提出する。今までの事業における課税対象所得以外に、清算会社から株主に譲渡される資産については、時価評価に基づくキャピタル・ゲインに対して課税される。
- 必要な場合、株主に関わるスペインでの直接税についての申告が必要。
- 会社清算に伴う間接税
会社の清算時に移転された資産・権利に対し、1%の資本移転税が課税される。 - その他、清算に伴う税務当局への登録抹消、事業税支払い手続き、その他税金清算。
このほか、会社の解散・閉鎖では、労働者の解雇や解雇金に関する事前合意が重要である。
有限会社の解散・清算手続きも株式会社と似ている。
支店の閉鎖に関しては、商法上の要件は簡易であるが、営業上、労務上、税務上は、事業の継続・非継続によって債権・債務の清算を行う。 - 会社清算に伴う直接税
その他
現地での資金調達に関しては、一般企業と同様、国内外資金、通貨、調達額についての規制、上限はない。グループ内金融費用の控除制限措置が導入され、国外関連会社からの資金調達には注意が必要である。
スペイン「税制」の項を参照。





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