関税制度

最終更新日:2023年12月21日

管轄官庁

財務省(MOF)、税関総局(GDC)

財務省(Ministry of Finance:MOF外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

28 Tran Hung Dao Street, Hoan Kiem District, Hanoi, Vietnam
Tel:84-24 2220 2828
E-mail:support@mof.gov.vn

税関総局(General Department of Custom:GDC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

No9, Duong Dinh Nghe street, Yen Hoa, Cau Giay, Hanoi, Vietnam
Tel:84-24 3944 0833 (ext:8613)
E-mail:webmaster@customs.gov.vn

(参考)ジェトロ:各省市の地元税関局リストPDFファイル(138KB)

関税率問い合わせ先

税関総局(GDC)

「管轄官庁」を参照。

税関総局(GDC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)ウェブサイト「Tariff search」からも関税率は入手可能。

関税体系

2016年9月に新しい輸出入税法(107/2016/QH13)が施行された。

主な関連法令

法律54/2014/QH13:税関法
法律107/2016/QH13:輸出入税法
政令08/2015/ND-CP:税関手続きの適用とガイダンス
政令59/2018/ND-CP:政令08/2015/ND-CPの一部条項の修正および補足
政令134/2016/ND-CP:輸出入税法の施行細則
政令18/2021/ND-CP:政令134/2016/ND-CPの一部条項の修正および補足
公文書2687/TCHQ-TXNK:政令18/2021/ND-CPの適用ガイドライン
政令26/2023/ND-CP:輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率と品目、混合税・上限税率と品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令
政令126/2020/ND-CP:租税管理法38/2019/QH14の一部規定の細則(2020年12月5日施行予定)
政令91/2022/ND-CP:政令126/2020/ND-CPの修正および補足
通達38/2015/TT-BTC:輸出入品に課せられる税関手続きと、税関監督と検査、輸出税、輸入税
通達39/2018/TT-BTC:通達38/2015/TT-BTCの一部条項の修正および補足
通達39/2015/TT-BTC:輸出入品の税金計算と通関価額の規定
通達06/2021/TT-BTC:輸出入品の租税管理に対する租税管理法の一部規定の細則

  1. 課税対象品(輸出入税法107/2016/QH13第2条)
    1. ベトナムの国境ゲートと国境検問所を越えて輸出入される貨物
    2. 国内市場から非関税区へ輸出される貨物、非関税区から国内市場へ輸入される貨物
    3. On the Spotで輸出入される貨物、輸出や輸入、流通権を行使している企業より輸出入される貨物
      ※c.についての詳細は政令134/2016/ND-CPの第2条第3項(On the Spot輸出入は政令08/2015/ND-CPに従う)、同4項(EPE企業の輸出入)
    4. 次の物品は輸出入税の課税対象とならない。
      1. 通過貨物
      2. 救援活動や無償援助貨物
      3. 保税区から海外へ輸出される貨物、海外から保税区へ輸入され、保税区内で使用される貨物、保税区から他の保税区へ移送される貨物
      4. 輸出の際に資源税として国家に納められる分の石油
  2. 納税義務者(輸出入税法107/2016/QH13第3条)
    1. 輸出入貨物の荷主
    2. 輸出入者から委託を受けた受任者
    3. ベトナムの国境ゲートと国境検問所を越えて、輸出貨物と輸入貨物を所持してベトナムへ入る者または離れる者、貨物の発送や受領をする者
    4. 納税義務者の代理として納税が認められた納税義務者の保証人と他の団体で次を含む。
      1. 納税義務者により輸入および輸出関税の支払を委任された代理店
      2. 納税義務者を代表して納税する郵便事業または国際速達事業の事業者
      3. 信用機関またはその他の信用機関に関する法令に基づき保証または納税義務者に代行して納税を提供している機関
      4. 物品が個人への贈答品である場合、または所有者の到着または出発の前後に送られる荷物の物品所有者に委任された者
      5. 代行して納税することを委任された企業の支店
      6. その他の法令の規定に基づき納税者を代行して納税をすることを委任された者
    5. 国境地帯の居住者から免税標準内の範囲で貨物を購入、運送する者が、当該貨物を生産・消費に使用せず、国内市場に販売した場合のその者、もしくは、法令の規定に基づき国境に存在する市場において輸出入貨物の取り扱いを許可された外国商人
    6. 非課税対象、免税対象である輸出入貨物を有する者で、後に当該貨物が法令の規定により課税対象となった場合のその者
    7. その他、法令の規定に基づく場合
  3. 納税通貨

    原則として、納税通貨はベトナムドンである(租税管理法38/2019/QH14第7条)。

品目分類

HSコード、AHTNコード

  • HSコード
    ASEAN以外の国とは世界税関機構(WCO)の商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約(Harmonized Commodity Description and CodingHarmonized System:HS))に基づくHSコード分類を使用。
  • AHTNコード
    ASEAN諸国とは、ASEANが採用している統一関税分類(AHTNコード)を使用。

関税の種類

標準関税、優遇税、特別優遇税

  1. 輸出関税
    輸出関税率は、輸出関税率表(政令26/2023/ND-CP付録I)に規定される。
  2. 輸入関税
    ベトナムの輸入関税には、標準関税率、優遇関税率、特別優遇関税率の3種類がある。
    1. 標準関税率
      優遇税率および特別優遇税率に該当しないその他の輸入貨物については、標準関税率が適用される。標準関税率は、2023年5月31日付決定15/2023/QD-TTgにおいて規定される。決定15/2023/QD-TTg付録の中に列挙されていない場合、当該物品の標準関税率は、優遇税率の150%となる。当該物品の優遇税率が0%の場合には、政府は輸出入税法107/2016/QH13第5条第3項により、同法第10条に規定される原則に基づき標準税率を決定する(決定15/2023/QD-TTg第3条第1項)。
    2. 優遇税率
      優遇税率は、ベトナムとの間で最恵国待遇の関係を結んでいる通商国からの輸入貨物、およびベトナムとの間で最恵国待遇の関係を結んでいる国からの原産地条件を満たす非関税地域から国内市場への輸入貨物に適用される(輸出入税法107/2016/QH13第5条第3項b)。特定の物品の優遇税率は、政令26/2023/ND-CP付録Ⅱに規定されている。国内の関税法令により個別に優遇税率が規定される。協定税率(MFN)はこれに当たる。
    3. 特別優遇税率
      特別優遇税率は、ベトナムとの間で特別優遇輸入関税に関する協定を締結する国・地域からの輸入品、およびベトナムとの間で特別優遇輸入税に関する協約を締結する国・地域からの原産地条件を満たす非関税地域から国内市場への輸入貨物に適用される(輸出入税法107/2016/QH13第5条第3項c)。

課税基準

輸出の課税標準額は、FOB価格(保険料および運賃を除く、出港地本船渡し価格)。
輸入の課税標準額は、CIF価格(保険料および輸入港までの運賃を含む価格)。

  1. 輸出入税額の計算(輸出入税法107/2016/QH13第5条第1項、第8条第2項)
    輸出入税額は、税関申告書登録時点における貨物の課税価格および税率に基づき計算される。
  2. 課税価格
    輸出入税の算出のための課税価格は、税関法に従った税関価値である(輸出入税法107/2016/QH13第8条第1項)。
    1. 輸出貨物の課税価格は、国際保険料および運搬費を除く輸出港に到着した時点における物品の購入価格である(政令59/2018/ND-CP第1条第8項で修正する政令08/2015/ND-CP第20条第1項、1a項)。
      輸出貨物の課税価格は次のように決定される。
      1. 輸出国境ゲートにおける貨物の販売価格は、売買契約またはその他の関連するコマーシャル・インボイスにおいて合意した価格、および当該貨物価格に含まれていない範囲において輸出貨物に関連する費用を関連書類に基づき加算した価格である。
      2. 税関価値データベースに蓄積された同一または類似の輸出貨物の購入価格を、(課税価格を決定しようとする)貨物の輸出申告が登録された日から最も近い時の出国国境ゲートにおける販売価格に換算した価格。
      3. ベトナム市場における同一または類似の価格を、(課税価格を決定しようとする)貨物の輸出申告が登録された日から最も近い時の出国港における販売価格に転換した価格。
      4. 政令59/2018/ND-CP第1条第8項によると、輸出貨物の価格は、政令08/2015/ND-CP第22条第1項に従って税関当局によって収集、統合および分類され、出国港における販売価格に転換された後に計算される。
    2. 出境ゲートは次のように決定される。
      1. 航空および航海輸送方法に関しては、出境ゲートとは、税関申告書に記載された船積港または貨物が輸送手段に積載される場所を意味する。
      2. 鉄道輸送方法に関しては、出境ゲートとは、税関申告書に記載された国際的複合一貫輸送の鉄道ターミナルの積載地を意味する。
      3. 陸送および内陸水路輸送に関しては、出境ゲートとは、売買契約書またはその他の関連書類に記載され、それを越えて貨物がベトナム国外に輸出される場所を意味する。
    3. 輸入貨物の課税価格は、GATT1994年の関税および貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定の適用に基づき、またはベトナムが署名した国際的コミットメントに従って、最初の入境ゲートに入ったときに現実に支払われるべき物品価格である(政令59/2018/ND-CP第1条第8項)。
      最初の入境ゲートとは次のように決定される。
      1. 航空および海上輸送に関して、初回入境ゲートとは、船荷証券において特定される荷降港を意味する。
      2. 鉄道輸送に関して、初回入境ゲートとは、税関申告において特定される国際的複合一貫輸送の鉄道ターミナルを意味する。
      3. 陸送および内陸水路輸送に関しては、初回入境ゲートとは、税関申告において特定される物品がその場所を通じてベトナムの領域内に輸入される場所を意味する。

対日輸入適用税率

日本からの輸入品に適用される優遇関税率は、商工省発行の1999年5月22日付決定0616/1999/QD-BTMに基づく。特別優遇関税率は、2009年10月に日越経済連携協定(JVEPA)が発効した。また、AJCEP(日本・ASEAN包括的経済連携協定)が2008年12月に発効し、カンボジア、ラオス、ミャンマーおよびベトナムは、それぞれの経済発展に応じて、関税撤廃・削減のスケジュールが決定されている。
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)が2018年12月30日に日本、2019年1月14日にベトナムで発効した。2022年1月1日に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効した。

優遇関税率(MFN)

日本からの輸入品に適用される優遇関税率(ベトナムに最恵国待遇を付与している国からの輸入品に適用)は、商工省発行の1999年5月22日付決定0616/1999/QD-BTMに基づく。

日越経済連携協定(JVEPA)

関税の撤廃・削減、サービス貿易の自由化および関連分野の連携強化を図ることにより、日本・ベトナム間の貿易の拡大、投資活動の促進および経済関係全般の強化に貢献する。ベトナムにとって初の二国間EPA(経済連携協定)になった。

2009年10月に日越経済連携協定(JVEPA)が発効し、ベトナム側は輸入額の約88%に相当する品目を10年以内に関税撤廃した。また約93%の品目を16年以内に関税撤廃する。工業製品は10年以内に平均税率を6.51%(2009年)から0.4%(2019年)に引き下げた。電気製品では、フラットパネルおよびDVD部品は2年以内、デジタルカメラは4年以内、カラーテレビは8年以内に、それぞれ関税を撤廃。農林水産品の多くの品目は即時、一部は10年以内に関税を撤廃した。2022年12月30日付政令124/2022/ND-CPに基づき、現行の税率が規定されている。

外務省:
日・ベトナム経済連携協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1.協定の概要「日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.44MB)

日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)

2003年10月、日本・ASEAN包括的経済連携枠組みを締結。2005年4月に交渉を開始し、2007年11月に交渉が妥結。2008年4月14日にはASEAN10カ国、および日本による署名を完了した。これは、日本にとって初の複数国とのEPAである。

日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)締結国
発効日 締約国
2008年12月1日 日本、シンガポール、ベトナム、ミャンマー、ラオス
2009年1月1日 ブルネイ
2009年2月1日 マレーシア
2009年6月1日 タイ
2009年12月1日 カンボジア
2010年7月1日 フィリピン
2018年3月1日 インドネシア

2017年12月27日付政令160/2017/ND-CPに基づき、現行の税率が規定されている。
物品貿易では、日本側は10年以内に輸入額の93%を関税撤廃した。農産品は、これまでの二国間で関税撤廃に応じた品目をそのまま譲許。ASEAN先行加盟6カ国は、10年以内に貿易額の90%(品目ベースで90%)を関税撤廃した。ベトナムについては90%の品目を発効から15年以内に、CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)は85%の品目を、18年以内にそれぞれ撤廃する。

2020年6月26日、ベトナム政府は、AJCEP第一改正議定書の承認に関する決議101/NQ-CPを発出した。その後、2020年7月21日、外務省より国際条約の発効に関する通知48/2020/TB-LPQTが発出され、これにより2020年8月1日をもって、第一改正議定書は、日本、ラオス、ミャンマー、シンガポール、タイおよびベトナムの間で正式に発効した。なお、ブルネイについては、2020年8月21日に国内手続が完了した旨の通告を行ったため、2020年10月1日に同議定書が発効した。

環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)

オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11カ国が参加する自由貿易協定。2018年3月8日にチリにおいて署名され、同年12月30日、国内批准手続を完了したメキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの6カ国間で協定が正式に発効した。2019年1月14日には、ベトナムでも発効。
CPTPPの発効により、加盟国はベトナムからの輸入品に対する関税を、品目ベースで78~95%即時撤廃し、関税撤廃期間が終了するまでに97~100%撤廃する。一方、ベトナム側は輸入税につき、協定発効後直ちに品目ベースで65.8%に対する関税を撤廃し、4年目からは86.5%、5年目からは97.8%の関税を撤廃する。

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定

ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国が参加する経済連携協定。2020年11月に署名され、2022年1月1日に日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランドの10カ国について発効。その後、同年2月1日に韓国、同年3月18日にマレーシア、2023年1月2日にインドネシア、同年6月2日にフィリピンにて発効。

特恵等特別措置

ATIGA(ASEAN域内共通効果特恵関税)により、2018年1月に関税を削減・撤廃する品目のすべてでASEAN域内の関税撤廃が完成した。

ASEAN域内におけるASEAN自由貿易地域協定(AFTA)の取り組みに加え、近年、ASEANに対するASEAN域外国の経済連携のアプローチが急速に活発化している。ベトナムはASEAN加盟国として、これら取り組みの中でATIGAなどに基づく特別優遇税率を適用している。

ATIGA(ASEAN域内共通効果特恵関税)

ASEAN諸国から輸入する品目の関税については、2018年1月1日に原則撤廃された(ただし、永久適用外品目、臨時適用外品目および留保品目に該当する品目はその限りではない)。2022年12月30日付政令126/2022/ND-CPに基づき、現行の優遇税率が規定されている。
優遇税率が適用される輸入商品は、法令に規定されたATIGA適用対象商品となり、原産地証明書(フォームDと呼ばれている)を付帯し、ASEAN諸国から直接輸送された場合に適用される。認定された輸出者等条件を満たす場合は、自己証明(Self-Declaration)により特恵関税を認め、原産地証明書(フォームD)の提出を免除している。
なお、ATIGAより優遇率の高い税率の法令、協定が適用される場合は、そちらを適用させることが認められる。
2020年7月23日、ベトナム政府は、2019年1月22日付けで署名されたATIGA第一改正議定書の承認に関する決議110/NQ-CPを発出した。外務省は、決議110/NQ-CPに従い、外交上の手続を行うことになっている。
詳細は、ジェトロの「ASEANの締約するFTA活用マニュアル」を参照。

ASEAN地域と非ASEAN地域のFTA

ASEAN加盟国であるベトナムでは、ASEANと中国、韓国、日本、インド、オーストラリア、ニュージーランド、香港との間で締結された協定に基づき、特別優遇税率が適用される。「ASEAN韓国包括的経済協力枠組協定(AKFTA)」、「ASEAN中国包括的経済協力枠組協定(ACFTA)」、「日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)」、「ASEANインド自由貿易地域(AIFTA)」、「ASEANオーストラリア・ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)」、「ASEAN香港自由貿易協定(AHKFTA)」、「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」。
詳細は、ジェトロの「ASEANの締約するFTA活用マニュアル」を参照。

二国間協定、多国間協定等

ベトナムは、日本(VJEPA「日越経済連携協定」)、チリ(VCFTA「ベトナム・チリ自由貿易協定」)、ユーラシア経済連合(VN-EEU FTA「ベトナム・ユーラシア経済連合自由貿易協定、EEU:ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギス)、韓国(VKFTA「ベトナム・韓国自由貿易協定」)の締結された二国間または多国間協定に基づき、特別優遇税率が適用される。

また、ベトナムは2018年11月12日にTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定:CPTPP)をオーストラリア、カナダ、日本、メキシコ、ニュージーランド、シンガポールの6カ国に続き批准し、2019年1月に発効した。2022年12月30日以降、当該協定に対応する優遇関税率は同日付政令115/2022/ND-CPにより定められる。

AHKFTA(「ASEAN・香港自由貿易協定」)は2017年11月に調印され、香港とラオス、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナムの5カ国との間で2019年6月11日に発効し、2021年2月12日までに香港とすべてのASEAN加盟国間で発効した。投資協定(IA)は6月17日に発効した。優遇税率適用に必要な国内法令整備について、2018年8月16日、財務省は2019年から2022年のAHKFTAの優遇関税率を規定する政令の起草を開始し、2020年1月5日、当該優遇関税率について定める政令07/2020/ND-CPを制定し、2020年2月20日に施行された。2022年12月30日以降、同日付政令123/2022/ND-CPが施行され、これにより政令07/2020/ND-CPが失効した。

EUとの間の協定(EVFTA「EU・ベトナム自由貿易協定」およびEVIPA「EU・ベトナム投資保護協定」)は2015年12月に交渉妥結し、2019年6月30日に署名がなされ、2020年3月、欧州議会がEVFTAを批准し(EVIPAについては、今後EU加盟各国でそれぞれ批准手続が行われる)、ベトナム国会も2020年6月8日開催の国会において両協定の批准を承認した。2020年8月1日、EVFTAが正式に発効し、これに伴いベトナム政府は、EVFTAの優遇関税率を定める2020年9月18日付政令111/2020/ND-CPを制定し、同日付で施行された。2022年12月30日以降、同日付政令116/2022/ND-CPが施行され、これにより政令111/2020/ND-CPが失効した。
詳細は「WTO・他協定加盟状況」を参照。
他の協定に対応する優遇関税率も2022年末の各政令により、2022年~2027年に向けて制定された。
詳細は次の項目「関税制度の関連法」を参照。

関連法

輸出入関連基本法、手続きガイドラインなど。

関連法についての詳細は、PDFファイルを参照。
ジェトロ:関税制度の関連法PDFファイル(197KB)

関税以外の諸税

付加価値税(VAT)と特別消費税(ET)。

税制 その他税制」を参照。

付加価値税(VAT)

ベトナムにおける付加価値税は、物品およびサービスの取引額に対して課税される間接税であり、物品およびサービスの輸入に対しても課税される。ただし、付加価値税法13/2008/QH12(その後の改正を含む)に従って規定される物品およびサービスを除く。輸入貨物およびサービスに係るVATの納税義務者は、これらを輸入する組織および個人となる。
物品輸入の場合の課税標準は、通関時の輸入品の価格に輸入関税および特別消費税を加算した額である。税率は非課税、0%、5%、10%となっている。

特別消費税(ET)

国会発行2008年11月14日付の特別消費税法27/2008/QH12(その後の改正を含む)に基づき、タバコや酒類、24席以下の乗用車、125cc以上の二輪または三輪のバイク、飛行機、ヨット、ガソリン、90,000 BTU以下の空調機、カードなどの物品や、ダンスホール、マッサージ、カジノ、ジャックポット、スロットを含む当たり付きゲーム機およびその他の類似の機械、賭博、ゴルフ事業、宝くじ事業などのサービスに対して、課税価額に各税率を乗じて課税される。寄付や再輸出を目的とする輸入貨物、貨物や旅客の輸送目的の飛行機やヨットなどは免税される。
納税義務者は、課税対象物品の生産者、輸入者、課税対象サービスの提供者である。また、課税対象物品を生産者から輸出目的で購入後、実際にはベトナム国内へ販売した場合の当該販売者も、納税者に該当する。

その他

輸出入関税の免除、貿易情報ポータルサイトについて。

輸出入関税の免除

輸出入税法107/2016/QH13第16条に基づき、次の場合に該当するものは、輸入税または輸出税が免除される。詳細については政令134/2016/ND-CP第5条から31条をあわせて参照のこと。なお、税関総局が2018年10月に発行した公文書5826/TCHQ-TXNKによれば、企業が輸出製品の製造のために用いる原材料を輸入し、On the spot exportにより製品を輸出した場合、当該企業はその輸出について輸入税の免除とはならない。

  1. ベトナムが加盟する国際条約に基づく基準内でベトナムにおいて外交特権および特典を付与された外国組織および個人の輸出入貨物、入出国者の免税携行品基準内貨物、免税店で販売するために輸入される貨物
  2. 外国組織または個人およびベトナム組織または個人間において基準範囲内で移転される財産、贈答品
    財産または贈答品の数量および価値が非課税控除の範囲を超える場合、超過数量または価格は課税されるものとする。ただし、受領組織が国家予算によって設立され、かつ当局から受領許可を取得した場合、または人道的、慈善的目的による提供の場合を除く。
  3. 国境地域居住者により購入、交換された貨物のうち、貨物リストに記載され、かつ国境地域居住者の製造または消費に使用するための範囲内の貨物
    非課税控除の範囲内で購入または輸送されるが、国境居住者による製造または消費に使用されない貨物、国境市場における販売を許諾された海外取引者による輸出入貨物には課税される。
  4. ベトナムが加盟した国際的条約に基づき輸出入関税が控除される貨物
  5. 貨物の価格または納税すべき税額が最低額よりも低い貨物
  6. 輸出製品の加工のために輸入される原材料・部品、加工品に据え付けるために輸入される完成製品、輸出加工品

    輸出関税の対象となる国内原材料から製造される輸出加工製品は、製品に組み込まれる国内原材料価格分が課税対象となる。加工のために輸出され、その後輸入される物品は、加工製品に組み込まれている輸出された原材料価格分は輸出入税を免除される。天然資源、鉱物または天然資源もしくは鉱物に加えたエネルギー費を加えた価値が製品原価の51%を占める製品は免税されない。

  7. 輸出貨物製造のために輸入する原材料、供給品、部品
  8. 非関税区域で製造、加工、再利用および組み立てられた製品で国内市場に輸入されるときに、輸入原材料または部品を使用していない貨物
  9. 再輸出のために一時的に輸入された物品、または再輸入のために一定期間一時的に輸出された物品。次を含む。
    1. 見本市、展示会、製品紹介、スポーツまたは芸能イベントまたはその他の参加のために一時輸入・再輸出もしくは一時輸出・再輸入される貨物、検査・研究および開発のために一時輸入・再輸出される機械および装置、特定期間の業務上の使用または海外商人のための加工に利用するために一時輸入・再輸出もしくは一時輸出・再輸入される機械、装置および職業用道具。ただし、投資プロジェクト、建設、建築物建設組立、製造のため一時輸入・再輸出することを許可された機械、装置、器具、車両を除く。
    2. 外国船舶または航空機の取替または修理のために一時的に輸入される機械、装置、部品、予備部品、外国に所在するベトナムの船舶または航空機の取替または修理のために一時的に輸出される機械、装置、部品、予備部品、ベトナムの港に停留中の外国船舶または航空機に提供するために一時的に輸入、再輸出される貨物
    3. 保証、修理または代用のために一時的に輸入または輸出される製品
    4. 輸出品または輸入品を運搬するために一時的に輸入または輸出する車両
    5. 一時的に輸入し、期限または延長された期限までに再輸出される製品、保証または一時的に輸入される物品に対して支払われる輸入関税に相当するは保証金を提供する信用機関
  10. 非商業的製品
    少量の見本、見本に代わる写真、ビデオ、模型、少量の広告出版物
  11. 次を含む、投資法に規定された投資優遇の対象となる法人の固定資産の輸入
    1. 機械および設備、機械および設備の組立または操作のために使用される部品、パーツ、予備部品、機械および設備もしくは機械および設備のパーツ、部品、アクセサリー製造のための原材料
    2. 製造プロジェクトに直接使用される技術分野専用の運搬手段
    3. 国内で製造することができない建設資材

    本項に特定される輸入品に対する輸入関税の免除は、新たな投資プロジェクトおよび拡張プロジェクトに適用される。

  12. 国内で生産することができない植物種で権限を有する当局の規定に従い輸入する動物品種、肥料、殺虫剤
  13. 国内では製造することができず、投資優遇の対象となる投資プロジェクトの製造に資する原材料および部品、または投資法に規定される特に困難な地域におけるハイテク企業、科学技術企業、科学技術組織は製造開始から5年間は輸入税免除の対象となる。

    ジェトロ:投資優遇分野、業種の一覧/投資優遇の適用対象となる地区一覧PDFファイル(650KB)

    本項に規定される輸入関税の免除は採掘プロジェクトには適用されない。天然資源または鉱物にエネルギー費を加えた合計価格が製品価格の少なくとも51%となる製品の製造プロジェクト、特別消費税の対象となる物品/サービスの製造または販売のプロジェクト

  14. 優先される医療機器の製造または組立の投資プロジェクトにおいて国内製造をすることができない原材料および部品の輸入は、製造開始から5年間輸入税免税となる。
  15. 次を含む石油分野に資する輸入貨物
    1. 石油活動に必要な機械、装置、部品、輸送手段。再輸出のために一時的に輸入されるものを含む。
    2. 機械および装置の組立または操作のための部品、パーツ、予備部品、機械および装置の製造のための原材料、石油活動に必要となる機械および装置の部品、パーツ、予備部品
    3. 国内で製造することができない石油分野のために必要な供給物
  16. 投資法に規定される優遇の対象となる造船プロジェクトおよび造船所は、次の貨物が免税を受ける。
    1. 造船所の固定資産を構成する輸入貨物(機械および装置、機械および装置の組立、操作のための部品・パーツ・予備部品、機械、装置、部品、パーツ、機械および装置の予備部品の製造のための原材料、造船に直接資する技術分野の輸送手段、国内で製造することができない建築資材)
    2. 国内で製造することができない造船に資する輸入される機械、装置、原材料、供給物、部品、半製品
    3. 輸出用船舶
  17. 紙幣、硬貨の印刷および鋳造に使用する輸入される機械、装置、原材料、供給物、部品、パーツ、予備部品
  18. 国内で製造することができない、情報技術製品、デジタル・コンテンツ、ソフトウエアの製造に使われる輸入される機械、供給物、部品
  19. 次を含む、環境保護に資する輸出品および輸入品
    1. 国内で製造することができない、回収、運搬、排水処理、廃棄物処理、排出ガス、環境検査および分析、再生可能エネルギーの製品、環境汚染の処理、環境の緊急事態への対応に資する輸入される機械、装置、器具、供給物
    2. 廃棄物の再利用および処理により生産される輸出貨物
  20. 国内で製造することができない教育に直接資する輸入貨物
  21. 国内で製造することができない輸入される専門機械、装置、部品、共有物、科学調査、技術開発、技術開拓、科学技術企業および科学的刷新に資する科学物質
  22. 輸入される国防安全に直接資する専門製品、ただし車両は国内で製造することができないものに限る。
  23. 社会安全の保証、災害、疫病およびその他の特別状況からの復帰に資する輸出品および輸入品

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2017年7月、ベトナム税関総局は、ベトナムにおける貿易に関する法律や手続きを明確にするため、ポータルサイトを開設した。本サイトは、ベトナム語と英語で、貿易に関する法律や行政手続き、手数料などが掲載されている。