RCEP閣僚会合、2027年の一般的な見直しに向けた取り組みの重要性を確認

(日本、韓国、中国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

ジャカルタ

2025年10月09日

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の加盟国は9月25日、マレーシア・クアラルンプールで開催された第4回RCEP閣僚会合後に共同メディア宣言を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。同会合では、インドネシアのディア・ロロ・エスティ商業副大臣と日本の武藤容治経済産業相が共同議長を務めた。

声明では、「世界経済情勢の中で、自由かつ公平な貿易とルールに基づいた多国間貿易体制を支持するため、RCEP協定の履行を強化する方法を議論した」と強調した。また、2027年に予定されている協定の「一般的な見直し」に向けた取り組みの重要性を確認したほか、RCEP協定における義務と不整合な措置を取らないこと、ルールに基づく自由で開かれた市場を維持し、不必要な貿易障壁を取り除き、全ての者のために貿易・投資円滑化の強化に対するコミットメントを継続することを確認した。

会合では、日本が実施した「電子商取引分野のルールに関する対話(以下、RCEP電商対話)」を歓迎するとともに、電子商取引の利用促進に向けた取り組みの継続を関係当局に促した。現在、香港、チリ、バングラデシュ、スリランカがRCEPへの新規加盟を申請しているところ、今回の会合ではRCEP合同委員会による加入作業部会の作業指針(TOR)の採択も歓迎された。

また、同声明では、RCEP合同委により「RCEPステークホルダー・エンゲージメントのガイドライン」が採択されたことを歓迎するとともに、2025年8月23日に開催された第10回RCEP合同委において、RCEP加盟国の産業界代表で構成される「RCEPビジネス諮問評議会(RBAC)」との初の協議(注)が実施されたことにも言及した。

写真 RCEP閣僚会合の様子(ASEAN事務局提供)

RCEP閣僚会合の様子(ASEAN事務局提供)

RCEP電商対話を日本が初開催

RCEP閣僚会合に先立つ8月29日、日本の経済産業省は第2回RCEP電商対話を開催した。日本から電子情報技術産業協会(JEITA)が登壇し、越境データの事例として、同会が事務局を務めるサプライチェーンにおけるカーボンデータの可視化などに取り組む業界横断イニシアチブ「グリーン×デジタルコンソーシアム」を紹介した。また、RCEP電商章の将来的な改正議論で考慮すべき要素として、生成AI(人工知能)を含む新たな技術に関する条項のほか、製造業のサプライチェーンに不可欠なデータフリーフロー(データの自由な流通)、データのローカライゼーション要求の禁止、ソフトウエアや音楽、ゲームなどのデジタル製品における電子的送信に対する関税不賦課に関する条項の導入を提言した。

(注)同協議で、RBACからは、中小企業などのキャパシティービルディングによるRCEPの利用率向上、ASEANタリフ・ファインダーをASEAN域外でも利用可能にすること、原産地証明書のデータ交換方式による電子化による貿易手続きの円滑化が提言された。ジェトロは、東アジアビジネス評議会(EABC)と共同で実施した調査結果を報告した。

(大滝泰史、ティアラ・ダルマシャンティ)

(日本、韓国、中国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

ビジネス短信 d3ed71fe2a513a9b