改正ATIGA、再製造品の域内流通促進を目指す、2027年半ば発効へ
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
ジャカルタ発
2025年11月17日
ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)は11月4日、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)改正交渉の結果について産業界向けの説明会を開催した。説明会では、10月25日にASEAN加盟国間で署名が開始された「ATIGA改正第2議定書」の具体的な改正点について、改正ATIGA貿易交渉委員会の議長を務めるアルパナ・ロイ・シンガポール貿易産業省局長が説明した。
今回の改正により、7つの新たな章・規定が導入されたほか、原産地規則が大幅に自由化され、透明性や税関手続きのデジタル化を含む分野で、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定のコミットメントを上回る見込みだ。具体的には、(1)物品貿易の章における再製造品に関する規定、(2)零細中小企業、(3)経済技術協力、(4)人道危機状況における貿易、(5)貿易と環境、(6)サプライチェーン連結性、(7)透明性に関する章が新設された。
主要な改正点は次のようになる見込み。
- 原産地規則(PSR):衣類(HS61-63)、電気機器(HS85)、化学品(HS28-29)を含む458のタリフラインにわたるPSRの緩和。電気機器・化学品については、域内付加価値(RVC)基準が引き下げられる見込み。
- 原産地証明手続き:RVC基準を用いて原産性を証明する場合における、ATIGAの原産地証明書(CO)であるフォームD/電子フォームのFOB価格表示要件の撤廃。システム故障時における、ハードコピーCOやスキャンしたPDFCOの受け入れ。
- 再製造品に関する規定:再製造品の定義は、主にHS84から90に分類される物品(例外あり)のうち、新品時と同様の耐用年数を有し、あるいは新品と類似の性能を有すること、また、当該物品に新品時に適用されるものと同様の工場保証を有することとされた。ASEAN加盟国は、域内における再製造品の流通を阻害する可能性のある非関税障壁の撤廃を約束し、生産コストの減少のために再製造業者が域内のネットワークを活用できることを目指すとしている。また、同規定はブルネイ、マレーシア、シンガポールについては発効と同時に即時適用され、インドネシア、フィリピン、タイについては発効から5年目以降、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムは同7年目以降にそれぞれ議論を開始し、2年以内に結論を得るとされた(ただし、適用開始の繰り上げも可能)。
本協定は、全10加盟国が署名を完了してから18カ月後に発効する。2025年10月末時点で、6カ国(マレーシア、インドネシア、ブルネイ、フィリピン、シンガポール、タイ)が署名済み、2カ国(カンボジア、ラオス)が国内における批准手続中、2カ国(ミャンマー、ベトナム)は2025年12月に署名予定だ(2025年10月27日、「アンタラ」)。2025年中に全ての加盟国の署名が完了すれば、2027年半ばに発効する見込み。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
ビジネス短信 218fc0b2c0dd3ee7




閉じる
