外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2016年11月10日

外国人就業規制

2016年2月3日付で政府は、ベトナムで就労する外国人労働者に関する労働法の一部の詳細規定および実施ガイダンスに関する政令11/2016/ND-CPを発行した。その主な内容は以下のとおりである。


外国人労働者の雇用予定者の確認兼報告
雇用者は、ベトナム人労働者で代替できない業務に関する外国人労働者の雇用予定人数を確認し、外国人労働者が就労する省または市の人民委員会委員長に報告書を提出する必要がある。また、当該報告書を実行する過程において、外国人労働者の雇用予定を変更したい場合、当該省または市の人民委員会委員長に報告する必要がある。

提出時期については、現時点で具体的なガイドラインがないが、失効した通達03/2014/TT-BLDTBXHの書面により、雇用者(請負業者は除外)は外国人労働者の採用予定日から少なくとも30日前に、当該省または市の人民委員会委員長に報告する必要がある。また、承認された後、外国人労働者の雇用予定人数を変更したい場合、新規・追加・代替採用予定日から少なくとも30日前に、当該省または市の人民委員会委員長に報告する必要がある。しかし、具体的なガイドラインがないため、地方労働管理機関に直接確認する必要がある。
省または市の人民委員会委員長は、企業の報告書を検討し、文書で外国人労働者の雇用を承認する。



労働許可書免除の対象者
  1. 有限会社の出資者もしくは所有者
  2. 株式会社の取締役
  3. 国際機関あるいは非政府組織の在ベトナム駐在員事務所所長またはプロジェクトの代表者
  4. 販促活動のために、ベトナムに3カ月未満滞在する外国人
  5. 企業の生産または営業活動に影響する可能性がある、ベトナムで既に就労している外国人労働者およびベトナム人労働者には解決できない技術的な問題に対処する目的でベトナムに3カ月以内滞在する外国人
  6. ベトナム弁護士法に従って弁護士免許を取得している外国人弁護士
  7. ベトナムのWTO加盟時に規定された者
  8. 世界貿易機関(WTO)とベトナムとの間で合意されたサービスに係る特定コミットメント11業種(注)における企業内人事異動による場合であって、当該企業により12カ月以上前に採用され、ベトナム現地法人に勤務する、ベトナム現地法人を設立した外国企業の管理者、代表取締役社長、専門家である外国人労働者。
    注:経営サービス、通信サービス、建設サービス、流通サービス、教育サービス、環境サービス、ファイナンスサービス、医療サービス、観光サービス、文化エンターテインメント、運輸サービスを含む。
  9. ベトナムおよび外国の権限機関によって締結された政府開発援助(ODA)に関する国際条約の規定あるいは合意内容に従うODAプログラム・プロジェクトのための専門的および技術的なコンサルティングサービスの提供、また、プログラム・プロジェクトの研究、構築、審査、評価、管理、実施を行う外国人労働者。
  10. 法律に従って、外務省が発行したベトナムにおけるメディア・プレス許可書を有する外国人労働者。
  11. 外国の機関・組織により、ベトナムにおける外国の外務代表機関または国際組織が管理するインターナショナル・スクールで教授・研究するために派遣された外国人労働者もしくはベトナム教育訓練省によりベトナムにおける教育・訓練機関で教授・研究する目的を認められた外国人労働者。
  12. ベトナムにおける外国の外務代表機関または国際組織により認められたボランティア。
  13. 専門家、管理者、代表取締役社長、技術的な労働者の職位としてベトナムに従事し、1回の勤務期間が30日以下および年間の勤務期間の合計が90日以下の外国人労働者。
  14. 中央レベルまたは省レベルの機関・組織が法律に従って締結した国際合意に基づいてベトナムで就労する外国人労働者。
  15. ベトナムにおける機関、組織、企業の実習に関して合意した外国における学校・教育機関で勉強している生徒、学生。
  16. ベトナムにおける外国の代表機関で就労しているスタッフの親族(要外務省の許可取得)。ただし、ベトナム社会主義共和国が加盟した国際条約に別の定めがある場合はこの限りでない。
  17. 政府機関、政治組織、政治社会組織に就労するための公用パスポートを有する外国人労働者
  18. 首相が労働傷病兵社会省の要請によって決定するその他外国人労働者



外国人の労働許可証取得の条件
ベトナム国内で就業する外国人は、次の条件を満たさなければならない。

  1. 行為能力があること
  2. 職務遂行上、健康面において必要な要件を満たしていること
  3. 管理者、社長、専門家、技術者であること
    管理者・社長、専門家および技術者の要件は下表のとおり。
    役職 専門条件

    管理者・

    社長

     企業法4条18項に基づく企業の管理者(注)または組織・機関の代表もしくはその代理

    (注)会社の管理者および私人企業の管理者をいい、合名社員、社員総会の会長、社員総会の構成員、会社の会長、取締役会の会長、取締役、社長または総社長および会社の定款の定めに基づき会社の名義で会社の取引を締結する権限を有するその他の管理職の地位にある個人をいう。

    専門家

    ・外国の組織・機関・企業により専門家と認定された者
    または

    ・大卒以上(あるいは相当)の学位、またはベトナムで就労しようとする仕事・職位に該当する分野において少なくとも3年の勤務経歴を持つ外国人労働者

    技術者

    技術分野またはその他専攻において1年以上学び、その専攻分野において3年以上の勤務経歴を持つ外国人労働者

  4. ベトナムおよび海外において犯罪歴のないこと
    外国人が初めてベトナムに勤務する場合、外国の当局が発行した司法履歴書(無犯罪証明書)もしくは犯罪者および刑事責任を追及されている者でない証明書の提出が必要となる。司法履歴書(無犯罪証明書)もしくは犯罪者または刑事責任を追及されていない者の書類の提出日における証明書の有効期限が証明書に記載された日付から6カ月以内であること。
    ベトナムに居住している外国人労働者の場合は、ベトナム当局が発行した司法履歴書(無犯罪証明書)のみを提出してもよい。
  5. 管轄機関から、外国人労働者の雇用について文書で承認されていること



労働許可書(ワークパーミット)
管轄機関の承認済みの外国人労働者の使用報告書を有していること。
外国人労働者がベトナムに勤務する予定日の15日前に、企業は労働許可書を申請しなければならない。
ベトナム労働許可書/ビザの取得手続きPDFファイル(2.8MB)


外国人従業員の健康保険
社会保険法46/2014/QH13によると、労働者がベトナム企業と3カ月以上の有期限または無期限労働契約を締結し、給与を支払われる企業の従業員・管理者・幹部・職員・社員(以下「労働者」という)は、ベトナム国内で健康保険拠出の対象となる(第12条)。よって、ベトナム企業と3カ月以上の有期限・無期限労働契約を締結した外国人労働者は、ベトナム国内で健康保険拠出の対象となる。

健康保険の最大料率は、社会保険料の納付根拠である月給の6%であり、その内雇用主負担分が3分の2、従業員負担分が3分の1である。社会保険法の規定による出産休暇の女子従業員に対して、健康保険基金への社会保険庁負担部分は出産前の契約給与の6%となる。
外国人労働者は3カ月以上の有期限契約・無期限労働契約を1つ以上持つ場合には、契約給与の一番高い給与が健康保険料の計算根拠となる(健康保険法第1条7項による)。

実際に外国人労働者でも既に健康保険加入手続きを行っている場合もあるようだが、手続きは各地方によって異なる。また、詳細なルール(例えば、外貨建ての給与の場合の為替レート等)も健康保険を管理する各地方社会保険機関によって異なる。そのため、手続きを行う際には、事前に管轄の社会保険機関に確認する必要がある。

 

在留許可

外国人は、ベトナムへの出入国にあたり、ベトナムの認可当局が発行したビザを提示する必要がある(日本人については、観光あるいは商用でベトナムに15日以内滞在する場合、ビザ取得は免除)。目的により、シングルビザもしくは最長5年のマルチ(複数回入国)ビザがある。また、就労、商用、投資、親族訪問、教育、報道関係者ビザを持っている外国人は、一時在留証明書を取得することができる。有効期間は労働許可書、ビザの有効期間と同様で1~5年であり、この期間中はビザの取得が免除される。


在留許可(ビザ)
2014年6月16日に、ベトナム国会は、ベトナムにおける外国人の入国・出国・通過・滞在に関する法律47/2014/QH13を発行し、本法は2015年1月1日より有効となった。2015年1月1日以降、ベトナムのビザ規定の概要は以下のとおりである。

  1. ビザ免除
    ビザ免除の対象者は次のとおり規定されている。
    ・ベトナムが加盟している国際条約の内容により免除される場合
    ・ベトナム一時在留許可証、滞在許可証カード(テンポラリー・レジデンスカード、下段参照)の所有者
    ・特別な経済地域に入国する場合
    ・外国の管轄機関により発給されたパスポートまたは国際通行許可書を保持する外国に居住するベトナム人、およびそのベトナム人の配偶者、子弟。ベトナム国民の配偶者、子弟である外国人は、政府の規定に従ってビザは免除される。
    上記のとおり、日本国籍の入国者であれば、今後もパスポートの種類を問わず、15日以内の滞在で以下の条件を満たす場合、ビザは免除される。しかし、30日以内にベトナムに再入国する場合はビザを申請する必要がある。

  2. 乗継の条件
    ・パスポートもしくは国際通行許可書を所持していること
    ・第三国へ行く旅程に適合する手段のチケットを所持していること
    ・第三国入国のビザを取得済みであること。ビザ免除の場合はその限りでない。

  3. 外国人は、外国でベトナム現地法人、オフィス、他の組織の保証なしで本人がベトナム大使館でビザを申請する場合、最長1カ月のビザのみ申請することが可能である。

  4. ビザの目的の変更は認められない。これにより生じ得る影響は次のとおり。
    例えば、観光(DL)ビザで入国後、労働許可書(ワークパーミット)を取得した上で、就労目的の一時在留許可証(テンポラリー・レジデンスカード)を取得してそのままベトナムに滞在することはできない。ただし、就労目的でベトナムに入国する外国人が現地法人または事務所の保証でビザを取得し、入国後労働許可書を取得し、一時在留許可証に変更することは可能である。

  5. ビザの種類は前法令の10種類から入国目的に応じて27種類に変更された。

  6. ビザ申請手続き
    ベトナムにおける社会組織、企業、その他のベトナム法令に従う法人、外国企業の支店、外国の経済組織・文化組織・その他の専門組織の駐在員事務所は、招聘・保証申請を行う前に、出入国管理当局へ書面にて通知するとともに次の書類を提出しなければならない。
    a. 組織設立許可書もしくは設立に関する認可機関の決定書の謄本(要公証)
    b. 組織の印鑑、法的代表者の署名のある登録書

    上記の通知は1度のみ行われ、変更が生じた場合には追加通知を行う。
    出入国管理当局は、ビザ発給申請書を受領した日から5営業日以内に審査し、招聘・保証の機関、組織、個人に回答するとともに、在外国ベトナムビザ発給機関へ通知する。
    招聘・保証の機関、組織、個人は、出入国管理当局より書面による回答を受けた後に、外国人に対し、在外国のベトナムビザ発給機関にてビザ取得手続きを行うよう通知する。



一時在留許可証(テンポラリー・レジデンスカード)

  1. 一時在留許可証の発行対象
    a. ベトナムにおける公館、領事館、国連所属国際組織の代表機関、政府間代表機関などのメンバーである外国人、またそのメンバーの任期中に帯同する夫婦、18歳未満の子供および家事使用人に対してはNG3の一時在留許可証が発給される。
    b. LV1、LV2、ĐT、NN1、NN2、DH、PV1、LĐ、TT のビザが発給された外国人は、ビザと同じ記号の一時在留許可証が発給される。一時在留許可証の有効期間は、ビザ、労働許可書の有効期間と同様の1~5年であり、この有効期間中はビザの取得が免除される。
     
  2. 一時在留許可証の有効期間
    a. ベトナムで働く外国弁護士および投資家の場合は最長5年間
    b. 外国商人の駐在員事務所の所長の場合は最長3年間
    c. 就労の場合は、労働許可書の有効期間に合わせて発行され、最長で2年となる。
    ただし、発行される一時在留許可証の有効期限は、最長でも、パスポートの満期日から遡って30日となる(ベトナムでの外国人の出入国、経由、居住法第38条1項)。

  3. 労働者および外国出資者のための一時在留許可証発行申請の手続き
    申請書類は次のとおり。
    a. 招聘・保証の機関、組織、個人の申請書
    b. 写真添付の一時在留許可証発給申請書
    c. パスポート
    d. ベトナムにおける外国人の入国、出国、乗継、居住に関する法の第36条に該当する証明書。労働者の場合、労働許可書または労働許可書免除証明書、出資者の場合、投資登録証明書、企業登録証明。

    出入国管理当局または外務省の管轄機関は、必要な申請書類を受領してから5営業日以内に、一時在留許可証発給の検討、決定を行う。

現地人の雇用義務

ベトナムにおいて従業員を雇用する場合には、雇用時の最低賃金、従業員の公的保険料納付、労働関連法令などに留意する必要がある。2011年10月より、国内企業と外資系企業の最低賃金が統一された。


最低賃金および基準賃金
原則毎年、政府は各地域の生活水準に基づき最低賃金を決定する。現在ベトナム現地企業および外資系企業に適用される最低賃金は、2016年1月1日に施行された政令122/2015/NĐ-CPPDFファイル(158KB)に規定されている。2016年1月1日より発効し、かかる最低賃金は同日よりの適用されている。 
詳細は別添のとおり。
最低賃金比較PDFファイル(172KB) 

また、基準賃金と呼ばれる異なる概念が存在する。これは、政府に勤務する公務員の給与、手当およびその他の利益の水準を決定するのに用いられるものである。また基準賃金は、後述のとおり公的保険料の算定とも関連する。現在適用される基準賃金は、政令47/2016/ND-CPに規定されており、2016年5月1日以降121万ベトナムドンとされている。


公的保険

  1. 公的保険の種類
    公的保険料に関する規定は、社会保険、健康保険および雇用保険料の積立の管理ならびに社会保険手帳および健康保険カードの管理について規定するベトナム社会保険庁長官の決定959/QD-BHXHに集約されている。
    公的保険の種別および料率は、下表のとおりである。
    種別 雇用者負担分 労働者負担分 合計
    社会保険 18% 8% 26%
    健康保険 3% 1.5% 4.5%
    雇用保険 1% 1% 2%
    合計 22% 10.5% 32.5%

    雇用者:
    ・雇用者は労働者負担分の保険料を徴収し、合計金額をベトナム社会保険庁に納付する。
    ・労働契約の当事者である雇用者は、労働者に給与とともに自らが負担すべき社会保険料および雇用保険料と同額を支払う。他方、すべての雇用主は労災保険料を支払う義務を負う。

    労働者:
    ・各労働者は、ベトナム社会保険庁より発行された社会保険手帳を保有する。社会保険手帳には、労働者の公的保険料支払の履歴が記録される。各労働者は、健康保険カードを保有し、健康保険カードは、健康保険を受給する際に使用される。
    ・2つ以上の労働契約に基づき異なった雇用者の下で勤務する労働者は、最初の労働契約に基づき社会保険および健康保険料を、最も賃金の高い労働契約に基づき雇用保険料を支払う。

  2. 社会保険に関する法令
    社会保険に関しては、社会保険に関する法律58/2014/QH13(社会保険法)、社会保険法の施行に関するガイドラインを規定する政令115/2015/ND-CPおよび決定959が規定する。社会保険法は、法律71/2006/QH11に代わるものとして2014年11月20日に公布され、2016年1月1日より施行された(ただし、第2.1b号および2.2項は例外として2018年1月1日より施行される)。同法における変更内容の留意点は別添のとおり。
    新社会保険法の留意点PDFファイル(284KB) 

    社会保険法、政令115および決定959によれば、社会保険に加入できる者は次のとおりである。
    a. 社会保険への強制的な加入対象となるベトナム人の労働者
    ・3カ月間以上の労働契約に基づき勤務するベトナム人の労働者
    ・1カ月~3カ月間の労働契約に基づき勤務するベトナム人の労働者(2018年1月1日より適用)
    b. 労働許可書、実務証明書(Practicing Certificate)または実務許可書(Practicing License)に基づき、ベトナムで勤務する外国人の労働者(2018年1月1日より適用)
    c. 組織および個人を含む雇用者で、労働契約に基づき労働者を雇用する者
    d. 任意の社会保険への加入の適用を受ける者

    政令115によれば、社会保険料算定の基礎は労働者の月給とされ、具体的には次のとおり。
    a. 2016年1月1日~2017年12月31日:労働契約に基づく基本給および基本給に基礎を置く手当(その詳細は通達59/2015/TT-BLDTBXHに規定される)
    b. 2018年1月1日以降:労働契約に基づく基本給、基本給に基礎を置く手当およびその他のあらゆる支払。
    ただし、社会保険料算定の基礎の最高金額は、基準賃金の20倍(2,420万ベトナムドン)である。

  3. 雇用保険に関する法令
    雇用保険に関しては、雇用に関する法律38/2013/QH13(雇用法)、雇用法の施行に関する細則を規定する政令28/2015/ND-CPおよび決定959が規定する。
    2015年1月1日以降、雇用保険に加入する者は次のとおりである。
    a. 3カ月間以上の労働契約に基づき勤務するベトナム人の労働者
    b. 組織および個人を含む雇用者で、3カ月間以上の労働契約に基づき労働者を雇用する者
    雇用保険料算定の基礎は、社会保険料と同様(労働契約に基づく基本給および基本給に基礎を置く手当)である。他方、雇用保険料算定の基礎の最高金額は、適用される最低賃金の20倍となる。

  4. 健康保険に関する法令
    健康保険に関しては、健康保険に関する法律25/2008/QH12および健康保険に関する法律を変更し補足する法律46/2014/QH13(健康保険法)、健康保険法の一部の条項の施行に関する補則を規定する政令105/2014/ND-CPならびに決定959が規定する。
    2015年1月1日以降、健康保険に加入する者は次のとおりである。
    a. 3カ月間以上の労働契約に基づき勤務するベトナム人および外国人の労働者
    b. 組織および個人を含む雇用者で、3カ月間以上の労働契約に基づき労働者を雇用する者
    c. その他の組織および個人で、健康保険法に規定される者
    健康保険料算定の基礎は、社会保険料と同様(労働契約に基づく基本給および基本給に基礎を置く手当)である。また、健康保険料算定の基礎の最高金額は、基準賃金の20倍(2,420万ベトナムドン)である。

  5. 労災保険に関する法令
    2016年7月1日以前は、労災保険は社会保険の一部であり、雇用者が労働者のためにこれを支払っていた。2016年7月1日以降、労働安全および衛生に関する法律84/2015/QH13および労働安全および衛生に関する法律の労災保険に関する条項の施行に関する細則を規定する政令37/2016/ND-CPが発効し、これにより雇用者が1%を負担すると規定されたが、これは社会保険料に含まれており、雇用者および労働者が支払うべき公的保険料率の合計は変更なく、従前どおりである。

    労災保険に加入する者は次のとおりである。
    a. 社会保険への強制的な加入対象となるベトナム人の労働者
    ・3カ月間以上の労働契約に基づき勤務するベトナム人の労働者
    ・1カ月~3カ月間の労働契約に基づき勤務するベトナム人の労働者(2018年1月1日より適用)
    b. 労働許可書、実務証明書(Practicing Certificate)または実務許可書(Practicing License)に基づきベトナムで勤務する外国人の労働者(2018年1月1日より適用)
    c. 組織および個人を含む雇用者で、労働契約に基づき労働者を雇用する者
    労災保険料算定の基礎は、社会保険料と同様(労働契約に基づく基本給および基本給に基礎を置く手当)である。また、労災保険料算定の基礎の最高金額は、基準賃金の20倍(2,420万ベトナムドン)である。

  6. 公的保険の支払義務違反に対する行政処分
    社会保険および雇用保険の不払に対する罰則は、政令95/2013/ND-CP第26条に規定される。強制的な社会保険または雇用保険の一部を支払わなかった場合、雇用者には保険料の12~15%の罰金が課される(ただし、7,500万ベトナムドンを超えないものとされる)。強制的な社会保険または雇用保険の全部を支払わなかった場合、雇用者には保険料の18~20%の罰金が課される。
    健康保険の不払に対する罰則は、政令176/2013/ND-CPの第57条に規定される。違反した不払の金額により、雇用者には30万~3,500万ベトナムドンの罰金が課される。

 

その他

労働法関連


労働法の改正
国会は2012年6月18日に、労働法10/2012/QH13を発行し、2013年5月1日より施行された。加えて、政府は2015年1月12日に労働法の一部内容の詳細と施行ガイドラインとなる政令05/2015/ND-CPを発行した。
詳細は下記も参照。
「ベトナムのビジネス関連法規・通達~労務~」

労働組合
労働組合とは労働者を代表する組織で、会社の労働者に対する権利の保障、または企業に対する人材採用、賃金制度、労働安全・衛生、労働災害、社会保険・健康保険などに関する法令が遵守されているか否かを監督する。会社は従業員からの希望があれば労働組合設立の支援、協力をしなければならない。労働組合は、会社に5人以上の従業員がいる場合に設立することができる。設置しない場合は、各地方上部労働組合が当該企業の暫定的な労働組合執行委員会を選出し、企業に勤務する労働者の法的権利および利益について企業と調整を行う。

  1. 労働組合に係る費用
    2013年1月1日より有効となる改正労働組合法12/2012/QH13により、雇用主(組織、企業)および組合メンバーである従業員の納付率は下表のとおり。
    納付者 納付率 計算根拠
    雇用主 2% すべての従業員の公的保険料の算定の基礎となる賃金の総額 
    組合メンバーである従業員 (労働組合費) 1% 公的保険料の計算根拠となる月給
    このうち、従業員から徴収した40%、雇用主が支払った35%は地方の上部労働組合へ納付される。

  2. 組合活動を行う労働者の権利保護
    外資系企業にて組合活動を行う労働者の権利・義務は、他の一般的な労動者と同様である。非専従で組合活動を行う労働者は、就業時間の一定時間(労働組合の長および副長については月24時間、その他の幹部については月12時間)を労働組合活動に使用することができ、また組合活動中の賃金も全額支払われると定められている。この時間は、企業規模および雇用主、企業内労働組合執行委員会および他の労働者との合意により延長できる。労働組合基金により賃金を支払われる専任労働組合の活動者は、企業規則もしくは労働協約に沿った諸権利と福利厚生を、他の労働者と同様に享受することができる。雇用主が、企業内労働組合の執行委員会の委員である者に対し、解雇、労働契約の一方的解除を決定する際には、同組合執行委員会の同意を得なくてはならない。

  3. ストライキ
    ストライキとは、労働争議を解決するために、労働者が任意で一時的に仕事を停止することを指す。違法とみなされるストライキとして、その原因が労働争議ではない場合や、参加者が同じ会社で働くものではない場合などが挙げられる。
    適法なストライキの実施には、労働組合執行委員会あるいは労働者の代表者がストライキ決定書の選定、および要求書を作成する必要がある。また、要求に同意し、要求書に署名する労働者の比率は、最低50%でなければならない。さらに、ストライキの5日前に、労働組合執行委員会あるいは労働者の代表者が上記のストライキ決定書および要求書を会社、省レベルの労働局および上部労働組合に提出する必要がある。

    なお、ストライキの発生前後で、次の行為が禁止されている。
    ・他の従業員の妨害、ストライキへの参加の強制
    ・企業の機械、設備の破壊または損壊
    ・公共安全の侵害
    ・ストライキを準備する労働者に対して労働契約書の終了または労働規律処分
    ・ストライキを主導しまたはこれに参加した者に対して報復措置を採ること、不法行為、その他の違反行為を行うためにストライキを利用すること



退職・解雇

  1. 退職
    企業で12カ月以上勤続した労働者が退職する場合は、雇用主は基本給に付属手当てがあればそれを含めて、勤続1年につき半月分の退職手当を支払う責任を負う。ただし、次の場合、労働者は退職手当を受けることができない。
    ・労働者が法令に従って定年に達し、社会保険給付を受給する資格を満たした場合
    ・労働者が労働契約を違法に一方的に解除し、または解雇予告期間を遵守しなかった場合
    ・労働者が就業規則に従って懲戒解雇された場合

    退職手当、失業手当、違法な一方的労働契約解約への賠償、労働災害への賠償、職業病への賠償を計算するための基礎となる給料は、労働契約に記載された給料となる。また、これは上記事象発生前の連続する6カ月間の平均の給料を指す。

  2. 解雇
    ベトナム労働法に基づき、解雇は次の状況でのみ実施が可能である。
    ・従業員が窃盗、汚職、賭博、故意に人を傷つける行為、職場内での麻薬の使用、雇用者の経営・技術上秘密の漏洩、知的所有権の侵害行為を行い、雇用者の資産、利益に重大な損害をもたらす行為、または特別重大な損害をもたらす恐れがある行為を行った場合
    ・昇給期間延長処分の制裁を受けながら、制裁期間中に再犯した場合、または免職の制裁処分を受けながら、再犯した場合
    ・正当な理由なく、当事者が1カ月に計5日間または1年に計20日間無断欠勤した場合

    上記の重大な損害とは、その地域で適用される政府が公布した10カ月分の最低賃金を超える額である。
    また、上記の場合により解雇された労働者は、退職手当を受けることはできない。
    一方、事業再編等により、12カ月以上勤続した労働者が仕事を失った場合、雇用主は、新しい職場で引き続き雇用するために、彼らを再訓練する義務を負う。新しい仕事に就くことができず、労働者を解雇しなければならない場合は、勤続期間1年につき1カ月分の給与に相当する失業手当を支払わなければならない。ただし、失業手当は、最低でも給与の2カ月分と規定されている。

  3. 退職手当/失業手当
    1年以上勤続し、1年以上失業保険料を納付した従業員が退職する場合、企業からの退職手当ではなく、社会保険機関から失業手当を受給することが認められている。ただし、企業が従業員の失業保険を負担していなかった期間(例えば、試用期間、女性従業員の産休等)がある場合、従業員は当該期間については退職手当の支払を受けることができる。

  4. 女性従業員に関する特有の規定
    女性従業員に対しては、別途特別の規定があるため、休息時間を設定する際は注意が必要となる。
    女性従業員は、出産前後に合計6カ月の有給休暇を取得することができる。双子以上(双子、三つ子等)が生まれた場合は、2人目の子から1人当たり30日間の有給休暇を追加取得することができると定められている。出産休暇完了後、女子従業員は必要があれば、会社との合意により無給休暇を取得し、休暇を延長することができる。
    このほか、女性労働者は生理期間中、1就業日当たり30分の休憩を取得することができ、生後12カ月未満の子供を養育中の女子労働者は、1就業日当たり60分の休憩を別途取得が可能。この休憩時間は勤務時間に含まれる。
    また、妊娠した女性労働者は、就業の継続が胎児に悪影響があるとの医師の診断書があれば、賠償なしで、労働契約を一方的に解除する権利を有する。この場合、女性労働者の企業への指定予告期限は、医師の定める期限による。ただし、雇用主は、企業閉鎖の場合を除き、結婚、妊娠、出産休暇または満1歳未満の子供を育児中の女性従業員の解雇や、一方的に労働契約を解約してはならないと定められている。
    雇用主は、妊娠7カ月目を超える女性従業員、12カ月未満の子供を養育中の女性従業員に対し、時間外労働、深夜労働、遠隔地勤務をさせてはならないと定められている。

  5. 外資系企業および外国・国際機関で就業する労働者の賃金テーブルと給与支払名簿
    労働傷病兵社会福祉省は2013年5月14日、企業の給与に関する政令49/2013/ND-CPを発行した。
    この政令は、企業の賃金テーブルと給与支払名簿の詳細に関するガイダンス規則を規定しており、2013年5月1日より発効した。それによると、企業は従業員のために賃金テーブル、給与支払名簿、技術等級、資格、専門的技能に関する補助制度を確立する義務がある。こうした制度は労働契約やその他の関連する契約書の締結、あるいは給与およびその他従業員給付の支給を行う際の基準となる。次の原則に従う必要がある。
    ・賃金テーブルの隣り合う各給与等級の差異は5%以上とする。
    ・職業訓練を修了した従業員に適用される給与表や給与支払名簿の最低給与水準は、政府が規定した法定最低賃金を最低でも7%上回るものとする。
    ・有害または危険な仕事の給与水準は最低でも5%、また、特に有害または危険な仕事の給与水準は最低でも7%、通常就労条件の賃金を上回るものとする。

 

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