ジェトロ、異文化理解を踏まえたベトナム現地人材マネジメント・育成セミナー開催

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2025年11月19日

ジェトロは11月6日、「ベトナムにおける異文化理解を踏まえた現地人材マネジメント・育成」をテーマとしたウェビナー​を開催した。講師にはジェイエーシーリクルートメントコリアの加藤将司代表(前同社ベトナム法人代表)と、西村あさひホーチミン事務所の大矢和秀弁護士が登壇し、異文化理解をベースとした現地人材のマネジメントや、現地化の推進に伴うリスクとその対策について、事例を交えながら解説した。現地進出日系企業を中心に約150人が視聴した。

加藤氏は、ベトナムの歴史と世代別の特徴を解説しつつ、現地の日系企業で働くベトナム人への調査結果に基づき、「ベトナム人は日本人の現地文化への理解不足や、現地スタッフに対する不誠実さに不満を抱えている。日本人の上司に対して、相談しやすい関係性や、トップダウン型の意思決定、明確な説明を求めている」と述べた。そのほか、異文化理解のフレームワークとして活用される「カルチャーマップ」(注)を用いた日本とベトナムの比較や、採用のトレンドなどについても説明した。

大矢氏は、ベトナム子会社で生じやすい不正事例の原因や特徴として、日本と異なるコンプライアンスへの意識や、ベトナム語という言語の壁により日本人に理解できない範囲で完結してしまう点などを挙げた。不正事例だけでなく、情報漏出やコンプライアンス違反についても、実例を挙げながら対応策を説明した。いずれの場合も、現地化を推進する上では事前の予防策が最も重要と述べた。

参加者からは「和を重んじる日本型組織文化と、関係性を基盤とするベトナム型コミュニティー文化との対比が非常に示唆に富んでいた」といった声や、ベトナム人の気質と日本人のマネジメントに対する、特に若い世代の率直な感想もあった。また、実際の組織運営で起こり得るトラブルや法令違反など、かなり現実的な具体的事例も示され、ベトナムでの会社運営を検討するに当たって有用なヒントが得られた」という意見や、「日系企業だからという甘えは許されないのだという意見に身が引き締まる思いがした。もっと現地スタッフを理解し、協力していきたいと思えた」といった感想も寄せられた。

写真 ウェビナーの様子(ジェトロ撮影)

ウェビナーの様子(ジェトロ撮影)

(注)異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とする経営学者エリンメイヤー氏の書籍や同氏が開発したビジネスでの異文化理解ツール。​ビジネスでの異文化理解に特化し、「評価」や「リーダーシップ」といった文化の違いが生まれやすい「7つのマネジメント領域」に沿って、文化による差異を視覚化し、解説している。

(村瀬拓哉)

(ベトナム、日本)

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