貿易管理制度

最終更新日:2024年09月30日

管轄官庁

シンガポール税関(Singapore Customs)。ただし、輸出入ライセンスの取得等が必要な品目については、品目ごとに所管する省庁・政府機関が異なる。

シンガポール税関(Singapore Customs外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

所在地:55 Newton Rd. #10-01 Revenue House
Singapore 307987
Tel:(65) 6355-2000(コールセンター)
E-mail:customs_documentation@customs.gov.sg

  1. 主な業務内容
    関税・その他諸税(GST、輸入管理品目の一部に課される内国物品税等)などの徴収、保税貨物の管理・監督、不法行為(密輸、脱税等)の取り締まり、貿易関連手続き(輸出入審査、特恵関税申請の審査等)、戦略物資の管理など。
  2. 貿易手続き等に関する窓口
    輸出入政策および輸出入手続きは、シンガポール税関(Singapore Customs)が窓口となる。ただし、輸出入が禁止あるいは管理される品目があり、それぞれ監督省庁が異なる。また、管理品目を輸出入する場合、当該監督省庁から事前にライセンスを取得することが義務付けられている(後述の「貿易管理制度」下の「輸入品目規制」、「輸出品目規制」の項を参照)。

関連ウェブサイト:

輸出入管理品目への該当性

輸出入管理品目への該当性については、シンガポール税関のHS・CA製品コード検索ページ(HS/CA Product Code Search外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にて検索が可能。調べたい品目のHSコード、管轄官庁(CA)コードまたは、品目名を入力し検索すると、当該品目が管理対象であれば、輸入、輸出、輸送の各項目別に、管轄機関名、問い合わせ先が掲載されている。

輸入品目規制

輸入禁止品目は、チューインガム、爆竹など。輸入管理品目は、化学品などがあり、事前登録および輸入ライセンスの取得が義務付けられている。

輸入禁止品目

次の品目は、それぞれの所轄省庁の下で輸入禁止品目と定められている。

  1. シンガポール税関(Singapore Customs
    • チューインガム(歯科治療・薬用チューインガムを除く)
  2. 内務省シンガポール警察(Singapore Police Force:SPF)ライセンス・取締部(武器・爆薬)(Police Licensing & Regulatory Department (Arms & Explosives)
    1. ピストル型/リボルバー型のライター
    2. 爆竹
  3. 国立公園庁(National Parks Board:NParks
    1. サイの角(加工品、未加工品、粉末等を含む)
    2. 絶滅危惧種の野生動物とその製品
  4. 情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority of Singapore:IMDA)
    禁止された通信機器などは次のとおり。
    1. スキャニングレシーバ
    2. 軍用通信機器
    3. 電話用音声変換器
    4. 無線通信機器のうち周波数帯域880~915MHz 、925~960MHz、1900~1980MHz、2110~2170MHzで操作される機器(ただし、IMDAにより認可された携帯電話機または他の機器を除く)
    5. 無線通信ジャミング装置(操作周波数帯域を問わない)
    6. 猥褻な物品、出版物、ビデオテープ、ビデオCD
    7. シンガポールの治安を脅かす扇動的・反逆的物品
  5. ヘルスサイエンス庁、たばこ規制部門(Tobacco Regulation Branch, Health Science Authority:HSA)
    1. 噛みたばこ(葉の噛みたばこ、板状たばこ、ねじり巻き、細刻み)
    2. たばこ類似品(電子たばこ、加熱式たばこ)および、たばこ類似品を構成するもの
    3. 水たばこ
    4. 無煙シガー(葉巻)、無煙シガリロ(葉巻)、無煙紙巻たばこ
    5. 溶解性たばこ、ニコチン
    6. インプラントもしくは注射によって局所的に身体に注入する、ニコチンまたはたばこを含む器具
    7. たばこもしくはニコチンを構成成分とし、電子ニコチン送達システムもしくは加熱式たばこによって服用される溶液もしくは物質
    8. 嗅ぎタバコ(鼻)
    9. 嗅ぎタバコ(口)
    10. グトゥカー、カイニ、ザーダ(たばこ関連製品)
  6. ヘルスサイエンス庁、ライセンス・証明部門(Health Products Regulations Group, Health Science Authority
    • 薬物乱用規制の第4付表に記載されている規制薬物

シンガポール税関:
輸入管理・禁止品目リスト"Controlled & Prohibited Goods for Import外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"(List of Prohibited Goods for Imports を参照)

輸入管理品目

個別品目が輸入管理品目に該当するかは、シンガポール税関HS・CA製品コード検索(HS/CA Product Code Search外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にて検索が可能。また、輸入管理品目の指定対象品目を輸入する場合、監督省庁から輸入ライセンスを取得する必要がある。輸入ライセンスの取得が必要な場合は、Networked Trade Platform外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますより申請が可能。各管轄官庁の主な輸入管理品目は以下のとおり。

  1. シンガポール税関(Singapore Customs
    1. 紛争ダイヤモンド(キンバリー・プロセス証明制度)
    2. コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、ビデオCD(VCD)、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、DVD-ROMのマスター製造機械、複製機器
  2. シンガポール食品庁(Singapore Food Agency:SFA)
    1. 加工食品・食卓用器具
    2. 青果物
    3. コメ
  3. 国立公園庁(National Parks:NParks
    • 切り花、植物、植物の部分、昆虫、微生物、その他のCITES規制の植物
  4. 保健省生物安全対策部(Biosafety Branch, Ministry of Health
    1. 人獣共通感染症病原体
    2. 特定の毒素
  5. 情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority of Singapore:IMDA)
    1. 不適切な出版物管理(Controller of Undesirable Publications:CUP)
      出版物・録音メディア
    2. ライセンス部門(IMD)
      電気通信・情報通信関連サービス
  6. 内務省(Ministry of Home Affairs:MHA)
    1. シンガポール警察(Singapore Police Force:SPF)
      1. ライセンス・取締部(公共娯楽・酒類)(Police Licensing & Regulatory Department (Public Entertainment & Liquor)
        • 娯楽用機械(コインやディスクで稼動するもの。ピンボール台、シューティング・ギャラリーなどを含む)
    2. 中央麻薬取締局(Central Narcotics Bureau:CNB)
      • ケシの種子(kaskas / poppy seeds
    3. 民間防衛庁(Singapore Civil Defence Force:SCDF)
      1. 石油
      2. 可燃性物質(flammable materials
    4. ギャンブル規制局(Gambling Regulatory Authority:GRA)
      • スロットマシン
  7. 建築・建設庁(Building and Construction Authority:BCA)
    • 砂、砂利、花崗岩など建設資材
  8. ヘルスサイエンス庁(Health Science Authority:HSA)
    1. 治療用製品(治療用チューインガムを含む)
    2. 医療機器
    3. 細胞・組織・遺伝子治療製品(関連する法律は2021年3月1日に施行された「Health Products (Cell, Tissue and Gene Therapy Products) Regulations 2021」である)
    4. 中国漢方薬
    5. 臨床研究に使用される医療用・治療用製品
    6. 規制薬物および向精神薬
    7. オーラルデンタルガム
    8. 「毒物」として指定された物質
    9. 有効成分(関連する法令は、2023年12月18日に施行された「Health Products (Active Ingredients) Regulations 2023」である)
  9. 陸上交通庁(Land Transport Authority:LTA)
    1. 電動アシスト自転車
    2. 電動パーソナルモビリティ機器

シンガポール税関:

輸出入管理品目

以下は各管轄官庁より、輸出入も管理される品目である。

  1. シンガポール税関(Singapore Customs
    • 紛争ダイヤモンド(キンバリー・プロセス証明制度)
  2. 国立公園庁(National Parks:NParks)
    • 観賞魚
  3. シンガポール食品庁(Singapore Food Agency:SFA)
    1. 魚介類
    2. コメ
  4. 国家環境庁(National Environment Agency:NEA)
    1. 化学物質管理部(Chemical Control and Management Department:CCMD)
      1. 有害物質(2022年1月3日より、塗料に含まれる鉛の管理(輸出入、再輸出を含む)を国家環境庁が行うことになり、有害物質ライセンスが必要となる)
      2. オゾン層破壊物質
      3. ロッテルダム条約規定物質
    2. 放射線保護・核科学局(Radiation Protection and Nuclear Science Division:RPNSD)
      1. 放射線照射装置(照射装置、X線、レーザー、超音波、MRI、電子レンジ、紫外線光源)
      2. 放射性物質
  5. シンガポール税関
    1. コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、ビデオCD(VCD)、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、DVD-ROMのマスター製造機械、複製機器
    2. 国家官庁(National Authority:NA [化学兵器協約(Chemical Weapons Convention:CWC)], Singapore Customs)化学兵器協約に規定される化学物質

シンガポール税関:

輸出入・輸送管理品目

以下は各管理官庁によって輸出入および輸送において管理品目とされた主な品目である。

  1. 国立公園庁(National Parks Board:NParks
    1. 動物
    2. ワシントン条約で規制対象となる動植物
  2. シンガポール食品庁(Singapore Food Agency:SFA)
    1. 肉・同製品
    2. 畜産・畜産物
  3. 内務省(Ministry of Home Affairs:MHA)
    1. シンガポール警察(Singapore Police Force:SPF)
      ライセンス・取締部(武器・爆薬)(Police Licensing & Regulatory Department (Arms & Explosives)
      • 武器、爆薬
    2. 中央麻薬取締局(Central Narcotics Bureau:CNB)
      • 薬物乱用法の第3スケジュールで指定されている規制薬物(MDA)
  4. 国家環境庁(National Environment Agency:NEA)
    化学物質規制管理部門(バーゼル条約)(Chemical Control and Management Department (Basel Convention)
    • バーゼル条約規定物質
  5. 保健省生物安全対策部(Biosafety Branch, Ministry of Health
    1. 治療・診断を目的としたヒト・動物の血液
    2. 酵母菌

シンガポール税関:

輸入地域規制

輸出入規制法では、北朝鮮、イラン、リビア、ソマリア、シリアからの輸入禁止品目が規定されている。

  1. 北朝鮮
    北朝鮮からの輸入、積替え禁止品目リスト:List of Prohibited Imports and (Inward) Transhipment or goods in Transit from the DPRK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(シンガポール税関)
  2. イラン
  3. リビア
    • 武器および軍需品
  4. ソマリア
    • 木炭
  5. シリア
    • 化学兵器および関連機器、商品、技術

シンガポール税関:

輸入関連法

1. 税関法、2. 輸出入規制法、3.その他関連法・規制

  1. 1960年税関法(Customs Act 1960
    輸出入および同関連手続きに関する規定を定めた法律。関税の評価、賦課方式などについても規定している。
  2. 1995年輸出入規制法(Regulation of Imports and Exports Act 1995
    シンガポール税関が所管する輸出入禁止措置などの決定の根拠となる法律。また、輸出入、貨物積み替えなどを行う貿易業者、通関業者等が各種許可、証明書、その他書類の取得を申請するために、シンガポール税関への登録を義務付ける規定も含まれる。なお、具体的な規定は主にその補足法律である輸出入規制規則(272A章、規則1号、1999年改正版)(Regulation of Imports and Exports Regulations (Cap 272A, Rg 1, 1999 Rev Ed))にて記載される。
  3. その他関連法・規制
    1. 化学兵器(禁止)法(Chemical Weapons (Prohibition) Act
      化学兵器禁止条約の適確な実施を確保するため、化学兵器の製造、所持、譲り渡しおよび譲り受け、輸出入を禁止するとともに、特定物質の製造、使用等を規制。
    2. 物品・サービス税法(Goods and Services Tax Act
      物品・サービス税の課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告の手続き等について規定。
    3. 自由貿易地区法(Free Trade Zones Act
      シンガポール国内で自由貿易地区(FTZ)を指定する権限の付与、指定されたFTZ内で操業する企業に対して認可された運営業務と税制などを規定。
    4. 戦略物資(管理)法(Strategic Goods (Control) Act
      後述の「輸出管理その他」戦略物資管理の項を参照。
    5. 国際連合法(United Nations Act
      国連憲章第41条「非軍事的措置」に基づいて、特定国への輸出入を制限する規則を制定する権限等について規定。
    6. シンガポールで輸出入が管理されている品目については、個別に定められた法律や規制に則った輸出入手続きが必要となる。

シンガポール税関:輸出入管理品目管轄官庁リスト "Competent Authorities' Requirements for Controlled Items外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

輸入管理その他

輸出入管理の対象となる品目は、それぞれの所管省庁や政府機関により、事前登録やライセンス取得などが義務付けられている。輸出入管理品目は、「輸入品目規制」、「輸出品目規制」の項を参照。

輸入管理の対象となる品目のうち、シンガポール食品庁(SFA)が管轄している食品の輸入は、ライセンス取得のみならず、品目によって輸出国政府機関が発行する各種証明書が要求されている。中でも、肉・同製品の輸入管理は特に徹底しており、SFAにより承認された原産国および生産者からのみ輸入が認められている。
肉類、魚介類、生鮮果実、生鮮野菜、コメ、加工食品、生卵の輸入管理・手続きは「輸出入手続-必要書類等」の項を参照。

「戦略物資管理」または「ワシントン条約」に関しては、後述の「輸出管理その他」を参照。

輸出品目規制

輸出禁止品目は1品目のみで、サイの角・同粉末。輸出管理品目は、コメ、化学物質などがあり、事前登録および輸出ライセンスの取得が義務付けられている。

輸出禁止品目

国立公園庁(National Parks Board: Nparks

  • サイの角(加工品、未加工品、粉末等を含む)

輸出管理品目

「輸出入管理品目」、「輸出入・輸送管理品目」に以下を合わせたものが、主な管理品目。
個別品目が輸出管理品目に該当するかは、シンガポール税関(HS/CA Product Code Search外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にて検索が可能。また、輸出管理品目の指定対象品目を輸出する場合、監督省庁から輸出ライセンスを取得する必要がある。輸出ライセンスの取得が必要な場合は、シンガポール税関(Networked Trade Platform外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)より申請が可能。

  1. シンガポール税関(Singapore Customs
    1. 「戦略物資(管理)法」規制対象品目
  2. エンタープライズ・シンガポール(Enterprise SG)
    1. ゴム

シンガポール税関:

輸出地域規制

輸出入規制法では、中央アフリカ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、ハイチ、イラク、レバノン、リビア、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、北朝鮮、イラン、ロシアの13カ国について輸出禁止品目が規定されている。

  1. 中央アフリカ
    • 武器および軍需品
  2. コンゴ民主共和国
    • 武器および軍需品
  3. ハイチ
    • 小型兵器、軽量武器および弾薬
  4. イラク
    • 武器および軍需品、それらの生産方法
  5. レバノン
    • 武器および軍需品
  6. リビア
    • 武器および軍需品
  7. ソマリア
    • 武器および軍需品
    • 爆発性物質および混合物、爆発物関連商品、爆発性物質や混合物、爆発性関連商品の製造に必要な技術
    • 国連安全保障理事会(UNSC)決議2551(2020)の採択に伴い、シンガポールは輸出入規制法(Regulation of Import and Export Act)の第7スケジュールを更新し、ソマリアに関連する貿易禁止事項を更新した。更新された禁止事項は、2021年輸出入規制(改正)規則(Regulation of Imports and Exports (Amendment) Regulations 2021)に掲載され、2021年8月2日より発効している。これに伴い、ソマリアに関連するニトログリセリンおよびニトログリセリンを含む混合物(個別の薬用量に包装または調製されたものを除く)の輸出、積み替え、および通過が禁止されている。
  8. 南スーダン
    • 武器および軍需品
  9. スーダン
    • すべてのダルフール地方(東ダルフール州、中央ダルフール州を含む)への武器および軍需品
  10. シリア
    • 化学兵器
  11. 北朝鮮
    北朝鮮からの輸出、積替え禁止品目リスト:List of Prohibited Exports and (Outward) Transhipment or goods in Transit to the DPRK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(シンガポール税関)
  12. イランへの輸出、積替え禁止品目リスト:List of Prohibited Exports and (Outward) Transhipment, or goods in Transit to Iran外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(シンガポール税関)
  13. ロシア
    • 軍事用物資
    • 軍事・民生の両用戦略物資

シンガポール税関:

輸出関連法

1. 税関法、2. 輸出入規制法、3. その他関連法・規制

  1. 1960年税関法(Customs Act 1960
    輸出入および同関連手続きに関する規定を定めた法律。関税の評価、賦課方式などについても規定している。
  2. 1995年輸出入規制法(Regulation of Imports and Exports Act 1995
    シンガポール税関が所管する輸出入禁止措置などの決定の根拠となる法律。また、輸出入、貨物積み替えなどを行う貿易業者、通関業者等が各種許可、証明書、その他書類の取得を申請するために、シンガポール税関への登録を義務付ける規定も含まれる。なお、具体的な規定は主にその補足法律である輸出入規制規則(272A章、規則1号、1999年改正版)(Regulation of Imports and Exports Regulations (Cap 272A, Rg 1, 1999 Rev Ed))にて記載される。
  3. その他関連法・規制
    1. 2000年化学兵器(禁止)法(Chemical Weapons (Prohibition) Act 2000
      化学兵器禁止条約の適確な実施を確保するため、化学兵器の製造、所持、譲り渡しおよび譲り受け、輸出入を禁止するとともに、特定物質の製造、使用等を規制。
    2. 1993年物品・サービス税法(Goods and Services Tax Act 1993
      物品・サービス税の課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告の手続き等について規定。
    3. 1966年自由貿易地区法(Free Trade Zones Act 1966
      シンガポール国内で自由貿易地区(FTZ)を指定する権限の付与、指定されたFTZ内で操業する企業に対して認可された運営業務と税制などを規定。
    4. 2002年戦略物資(管理)法(Strategic Goods (Control) Act 2002
      後述の「輸出管理その他」内「戦略物資管理」の項を参照。
    5. 2001年国際連合法(United Nations Act 2001
      国連憲章第41条「非軍事的措置」に基づいて、特定国への輸出入を制限する規則を制定する権限等について規定。
    6. シンガポールで輸出入が管理されている品目については、個別に定められた法律や規制に則った輸出入手続きが必要となる。

シンガポール税関:輸出入管理品目管轄官庁リスト "Competent Authorities' Requirements for Controlled Items外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

輸出管理その他

戦略物資管理は、シンガポール税関が行っている。
1986年11月、ワシントン条約に批准し、加盟国となっている。

戦略物資管理

シンガポール税関が管理。戦略物資(管理)法において、軍事用、または軍事・民生の両方に利用可能な特定物資は戦略物資として管理の対象となるほか、関連する技術の物理的・電子的な移動も対象となっている。

シンガポール税関(Singapore Customs

シンガポール税関は、戦略物資の管理および戦略物資制度の実施を担当する国家機関として、貿易産業省(MTI)から指定されている。シンガポール税関は、シンガポール警察(SPF)、入出国管理局(ICA)と緊密な連携を取りながら戦略物資の管理業務を遂行している。シンガポール税関は国家機関として次の業務を行う。

  1. 戦略物資(管理)法(Strategic Goods (Control) Act)、戦略物資(管理)規定(Strategic Goods (Control) Regulations)ならびにこれらに付随する関連法規の施行
  2. 戦略物資の許可申請の処理
  3. 武器の仲介取引業者の登録および監査
  4. 業界への働きかけおよび国民意識高揚プログラムの実施
  5. 国内外からの問い合わせ窓口業務

シンガポールは、大量破壊兵器の拡散を抑制するため、戦略物資および関連技術の取引および移動を規制することを目的とした戦略物資管理制度を採択している。

一般に戦略物資とは、軍需品、軍事用として利用できる物資ならびに、核兵器、化学兵器、生物兵器などの大量破壊兵器の開発または製造に利用できる物資を指し、軍事・民生の両方に利用可能な特定の物資も含まれる。軍事・民生の両方に利用可能な物資とは、民生用・産業用として広く利用できるものの軍事用にも利用可能であり、核兵器、生物兵器、化学兵器、ミサイルの開発、生産、利用に用いることができるとされる物資を意味する。

適用法規

戦略物資および関連技術の取引管理の基礎となる法規は、次のとおりである。

  1. 戦略物資(管理)法(Strategic Goods (Control) Act
    戦略物資(管理)法は戦略物資および関連技術、ならびに大量破壊を引き起こす懸念のある兵器や、これらの兵器を搭載するミサイルの開発、製造、操作、貯蔵、取得に利用可能な物資ならびに技術の物理的・電子的な移動および取引を規制する法律である。
  2. 戦略物資(管理)規定(Strategic Goods (Control) Regulations
    戦略物資(管理)規定には、戦略物資の許可の承認、取消、停止に関する条件など、戦略物資(管理)法の管理上の手続きおよびガイドラインが定められている。

戦略物資および技術

  1. 戦略物資管理リスト

    規制対象である戦略物資および技術は、戦略物資(管理)命令(Strategic Goods (Control) Order)別紙の第1、2章に規定されている。戦略物資(管理)命令では、関連のソフトウエアおよび技術を含めた、輸出、積み替え、トランジットの規制対象品目の包括的かつ全面的なリスト(戦略物資管理リスト)が記載されている。

    戦略物資管理リスト上において、戦略物資は、軍需品ならびに軍事・民生の両方に利用可能な汎用品の2つのカテゴリーに大別される。同リストには各規制品目とそれらの技術仕様、ならびに適用される例外項目が明記されている。

    2024年戦略物資(管理)命令(Strategic Goods (Control) Order 2024)が2024年8月1日に公示されており、2024年10月1日より施行された。2024年戦略物資(管理)命令により、シンガポールの戦略物資管理リストは2023年のワッセナー・アレンジメントの軍需品リスト(2023 Wassenaar Arrangement’s Munition List)および2023年の欧州連合の二重使用品目リスト(European Union’s List of Dual-Use Items)に対応して更新された。また、2019年10月1日より、2019年戦略物資(管理)(仲介)(修正)令(Strategic Goods (Control) (Brokering) (Amendment) Order 2019)が施行されている。

    シンガポール税関:戦略物資管理リスト "Strategic Goods Control List外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  2. キャッチオール規制

    戦略物資管理リスト上に記載がないものの、大量破壊兵器または「関連活動(以下詳述)」に利用される懸念のあるその他の物資も戦略物資(管理)法の規制対象となる。これは「キャッチオール」規制として国際的に知られる措置である。

    戦略物資(管理)法(第2(1)条)では、「関連活動」を次のように定義している。

    1. 核兵器、化学兵器、生物兵器の開発、製造、取り扱い、操作、保守、貯蔵、検出、識別または普及
    2. 前述の兵器を搭載可能なミサイルの開発、製造、保守または貯蔵

    戦略物資(管理)法(第5(2)条)におけるキャッチオール規制に関する規定では、戦略物資管理リストに該当しない物資および技術の摘発が認められている。
    この規定の対象となる物資および技術は、次の場合輸出規制の対象となる。

    1. 当該物資または技術が関連活動に関して全部または一部利用される懸念がある旨の通知を輸出業者が権限を有する者から受けた場合
    2. 当該物資または技術が関連活動に関して全部または一部利用される懸念があることが分かっている場合
    3. 当該物資または技術が関連活動に関して全部または一部利用される懸念があるとする合理的な根拠がある場合

    このように、キャッチオール規制に関する規定により、禁止活動に対する許可や慎重な判断が実際に必要となるため、規制物質管理制度への準拠要件がさらに厳しいものになっている。

  3. 規制対象取引
    戦略物資(管理)法では、戦略物資管理リストに記載の戦略物資ならびに戦略物資技術、およびキャッチオール規制の対象品目に関して、取引業者が以下の取引を実施する際は税関に事前申請を行う義務を定めている。
    1. 輸出:シンガポールからの陸路、海路、空路による物資の持ち出し(シンガポールから持ち出す目的で物資を輸送機関へ乗せることを含む)
    2. 再輸出:シンガポールに一旦輸入された物資の再輸出
    3. 積み替え:シンガポールへの持ち込みに使用された輸送機関から物資を取り出し、シンガポールから持ち出す目的で同一または別の輸送機関に乗せること。積み替えは船荷証券、航空貨物運送状、積荷目録を通じて実施する
    4. トランジット:陸路、海路、空路により他国からシンガポールへ物資を持ち込み、シンガポールに陸揚げすることなく、持ち込みに使用されたものと同一の輸送機関でシンガポールから持ち出すこと
    5. 無形技術移転(ITT):外国の人物が規制対象物資・技術を入手できるようにすることを目的として、シンガポール国内から規制対象物資・技術を電子的手段(電子メール、ファックスなど)により電送すること、または前述の目的のために、規制対象物資・技術をシンガポール国内においてコンピュータ上で入手可能な状態にすること
    6. 仲介取引:規制対象物資・技術の取得または処分に関する契約により、規制対象物資・技術の他国への移動が生じること、あるいはそのような懸念があることを把握している場合、またはそれを信ずるための根拠がある場合において、かかる契約の手配・交渉を行うこと、または手配・交渉を促進させるための行動を実施すること

    このため、規制対象物資の輸出を実施する者は、その者が当該物資の所有者であるか否かにかかわらず、許可を取得することが義務付けられている。
    また、すべての許可保有者および登録者は、記録を保持する必要があり、英語で作成していない場合は、税関からの要求に応じて、英語翻訳を提供する必要がある。
    許可申請時に提出された情報または特定事項に変更があった場合については、その変更から14日以内に、税関長に許可の修正を申請する必要がある。

  4. 許可制度:戦略物資取引制度(Strategic Trade Scheme:STS)
    税関は、合法的な取引業者による許可申請の円滑な実施、さらに戦略物資および戦略物資技術の最終用途が大量破壊兵器関連でない旨の申告を促進させるため、2007年6月に戦略物資取引制度(STS)を開始した。同制度上、許可は取引、目的地または宛先ごとの3種類に分けられる。なお、目的地も宛先ごとの許可は、最長3年に渡り1回の申告で複数のシップメントに対する許可を取得できる。

管轄官庁

シンガポール税関(Singapore Customs外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所在地:55 Newton Road, #10-01 Revenue House
Singapore 307987
Tel:(65) 6355-2000

ワシントン条約

1986年11月にワシントン条約に批准し、加盟国となっている。

  1. 条約加盟の有無
    シンガポールは1986年11月にワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora:CITES)に批准、加盟国となった。
  2. 管理当局・窓口機関

    国立公園庁(National Parks Board:NParks)
    所在地:National Parks Board HQ,1 Cluny Road
    Singapore Botanic Gardens
    Singapore 259569

  3. 関連法令
    1. 「2006年絶滅のおそれのある種(輸出入)法」(Endangered Species (Import & Export) Act 2006
      CITES種の輸出入許可、NParksに対する権限の付与、違反者への罰則等が規定されている。
    2. 「1965年動物鳥類法」(Animals and Birds Act 1965
      CITES種または非CITES種に拘らず、あらゆる生きている動物、鳥類、魚介類の輸入にライセンスの取得を義務付けている。
    3. 「1965年野生生物法」(Wildlife Act 1965)(元「野生動物鳥類法」(Wild Animals and Birds Act))
      野生動物の捕獲や輸出を禁じ、輸入を規定。
    4. 「1993年植物管理法」(Control of Plants Act 1993
      CITES種または非CITES種の野生または栽培植物の輸出入を規定。
  4. 輸出入手続き
    1. 輸入

      CITESリストに掲載されたあらゆる動植物の輸入には「CITES輸入許可」を事前にNParksより取得しなければならない。輸入申告には輸出国の管轄官庁が発行した「CITES輸出・再輸出許可」を事前に取得していることが条件となる。輸入者は貨物が到着する少なくとも2週間前に「CITES輸入許可」をGoBusiness Licensing Portal外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで申請しなければならない。申請後、CITES輸入許可の取得には通常、少なくとも7営業日を要する。「CITES輸出・再輸出許可」の原本は貨物の通関手続き後直ちにNParksの野生動植物課に提出しなければならない。

    2. 輸出・再輸出

      CITESリストに掲載されたあらゆる動植物の輸出または再輸出には「CITES輸出・再輸出許可」を事前にNParksより取得し、輸入国の輸入者に発送しなければならない。
      なお、輸出・再輸出対象の貨物は在庫カードが付いていない場合に、輸出・再輸出許可を申請する前に、新たに在庫カードを作成し、NParksの承認を申請する必要もある。「CITES輸出・再輸出許可」はGoBusiness Licensing Portal外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで申請する。輸入許可と同様に、通常の申請受理時間は少なくとも7営業日となる。
      なお、貨物が出国するまでにこの輸出・再輸出許可を入手しなければならない。
      また、必要に応じて、NParksより発行された輸出・再輸出許可はCITES加盟の輸入国における輸入許可申請の根拠として使用することができる。

    3. 証明書の署名電子化

      2019年10月1日より、すべてのCITES許可証におけるNParksの署名が電子化された。申請者は、透かし印刷可能な対象のプリンター(Watermark Printers Compatibility List外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を利用すれば自身で印刷が可能となった。

    4. 輸出入許可手数料
      CITES輸出入許可にかかる手数料は次のとおりである。
      1. CITES輸入・輸出・再輸出許可:1種ごとに12シンガポール・ドル(Sドル)、最低60Sドル
      2. CITES附属書III掲載種の原産地証明:29.40Sドル
      3. 製造品の商業貨物に関するCITES再輸出許可:29.40Sドル
      4. 非商業目的の製造品を旅行者が携帯品として持ち出す際の署名済みCITES許可:10Sドル
    5. 携帯品としての持ち込み
      CITESリストに掲載された動植物を個人の携帯品として国内に持ち込む際にも「CITES許可」を保持していなければならない。
  5. CITESリストに掲載された動植物の輸出入

    動物:Conditions for Importing & Exporting CITES Species (Animal)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    植物:Conditions for Importing & Exporting CITES Species (Plant)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    CITES許可の申請先:GoBusiness Licensing Portal外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  6. 特記すべき事項
    CITES非該当の野生動植物の輸出入
    CITESリストに掲載されていないあらゆる野生動植物を商業目的で輸出入・再輸出する事業者は、Networked Trade Platform(NTP)を通じて申告しなければならない。これらCITES非該当品の輸出・再輸出において、輸入国より輸出・再輸出される野生動植物がCITESに該当しないという証明書を要求される場合がある。この場合、輸出者はGoBusiness Licensing Portal外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通して、CITES非該当証明書を申請、取得後に許可される。

    CITESリストに掲載されていない動植物の輸出入(NParks):Trade of Non-CITES Listed Wildlife外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます