Section 3. 税制

3.7 個人税制の概要

すべての個人は国籍に関わらず、居住者または非居住者に区分されます。個人に対する所得税は暦年中における個人の所得に対して課税されます。

3.7.1 居住概念と課税所得

  1. (1)

    居住者

    日本国内に住所*1 を有する者、日本国内に 1 年以上居所を有する者を居住者*2 といいます。居住者に対しては、所得の源泉地を問わず全世界所得に対して所得税が課税されます。

    1. *1

      上記1.において「住所」とは生活の本拠をいう。居所とは相当期間継続して居住する場所だが、生活の本拠という程度には至らないものをいう。

    2. *2

      居住者のうち日本に国籍を有しておらず、かつ、過去 10 年間のうち 5 年以下の期間国内に住所または居所を有する者は非永住者とされる。非永住者の課税範囲は居住者の課税範囲に準ずるが、国外源泉所得については、日本国内で支払われたり、日本へ送金されない限り日本では課税されない。ただし、国外で支払われる給与であっても日本の勤務に基づいて支給されているものは国内源泉所得に該当し、日本で支払いを受けた給与と合算して所得税が課税される。

  2. (2)

    非居住者

    居住者以外の者を非居住者といいます。非居住者については、日本の国内源泉所得についてのみ日本の所得税が課されます。前述 3.4.4 のとおり、非居住者に対する源泉税の課税範囲を国内源泉所得に対して網羅的に規定しているため、特定の場合を除き、非居住者については源泉徴収のみで課税が完結する場合が多くなっています。

<表 3-6 個人の課税所得の範囲>

個人の課税所得の範囲
居住形態 / 所得の区分 国外源泉所得以外の所得 国外源泉所得
国内払い 国外払い 国内払い 国外払い
国内送金分 それ以外
居住者 永住者 課税 課税 課税 課税 課税
非永住者 課税 課税 課税 課税 非課税
非居住者 課税 課税 非課税 非課税 非課税

3.7.2 申告所得税

  1. (1)

    居住者に対する申告所得税

    所得は各種所得に区分され、区分された所得ごとに定められた方法で所得金額が算定されます。その所得金額の合計額から各種所得控除を控除し、控除後の課税所得金額に下記の累進税率を乗じて税額を算定します。あらかじめ所得に課せられた源泉徴収税額がある場合には控除されます。

  2. (2)

    非居住者に対する申告所得税

    非居住者はその態様により、(a)事務所などを国内に有する非居住者、(b)国内において建設、組立てを 1 年以上継続して行う非居住者または特定の代理人を通じて事業を行う非居住者、(c)その他の非居住者に区分されます。

    その態様別区分により、それぞれ定められた範囲の所得について、課税所得が計算されます。なお、非居住者に対する課税方法についても、恒久的施設の有無に応じて恒久的施設帰属所得とそれ以外の国内源泉所得に区分して課税されることになります。非居住者に課される申告所得税額は、原則として居住者の場合と同様に計算されます(適用される所得控除等・外国税額控除の限度額など取扱の差異があります)。日本で提供した役務に対して支払われる給与所得で海外において支払われたため、日本において源泉徴収されていない非居住者は、その給与等総額の20.42%の税額を申告して、納付しなければなりません(分離課税)。

  3. (3)

    個人の申告所得税(居住者の場合及び非居住者の総合課税の場合)の税率は以下のとおりです。

<表 3-7 個人所得税の税率>

個人所得税の税率
課税所得金額の区分 税率
¥1,950,000 以下 5 %
¥1,950,000 超 ¥3,300,000 以下 10 %
¥3,300,000 超 ¥6,950,000 以下 20 %
¥6,950,000 超 ¥9,000,000 以下 23 %
¥9,000,000 超 ¥18,000,000 以下 33 %
¥18,000,000 超 ¥40,000,000 以下 40 %
¥40,000,000 超 45 %
  1. (4)

    給与所得については、収入金額から下記の給与所得控除額を控除した金額に基づいて、所得税額を計算します。

<表 3-8 給与所得控除額の速算表>(2020 年分以降給与に適用)

給与所得控除額の速算表
給与の収入金額 給与所得控除金額
¥1,625,000 以下 ¥550,000
¥1,625,000 超 ¥1,800,000 以下 (給与の収入金額)×40%-¥ 100,000
¥1,800,000 超 ¥3,600,000 以下 (給与の収入金額)×30%+¥ 80,000
¥3,600,000 超 ¥6,600,000 以下 (給与の収入金額)×20%+¥ 440,000
¥6,600,000 超 ¥8,500,000 以下 (給与の収入金額)×10%+¥1,100,000
¥8,500,000 超 ¥1,950,000

3.7.3 源泉所得税

居住者及び非居住者に対する源泉所得税は前述 3.4.2 及び 3.4.4 のとおりです。

3.7.4 申告・納付

居住者は源泉徴収により納税手続が完了している場合を除いて、その年の所得について、翌年 2 月 16 日から 3 月 15 日までの間に確定申告書を提出し税額を納付しなければなりません。ただし、合計所得金額が諸控除の合計額を超えない者や、支払先 1 か所から源泉徴収(年末調整)の対象となる給与の支払を受ける場合でその年の給与収入が 2,000 万円以下で、他の所得が 20 万円以下である者は、原則として申告の必要はありません。

非居住者の申告納付は、原則居住者の規定に準じます。なお税務署長に納税管理人の指定についての報告をすることなく出国する非居住者は、出国前に確定申告書を提出し、税額を納付しなければなりません。

3.7.5 復興特別所得税

個人及び法人は、2013 年 1 月 1 日から 2037 年 12 月 31 日まで、所得税の額に対して 2.1%の復興特別所得税が課されます。また、源泉徴収を行う場合についても、源泉所得税の額に対して 2.1%の復興特別所得税をあわせて徴収することとされています。例えば、外国法人に支払う利子に係る源泉所得税の税率は 20%ですが、復興特別所得税(20%×2.1%)が加算され、合計 20.42%で源泉徴収を行います。

なお、租税条約の規定により、国内法に定める源泉所得税率が軽減され、または免除される場合には、復興特別所得税は課されません。

3.7.6 個人住民税・個人事業税

個人住民税は、個人所得に対する都道府県民税と区市町村民税の総称であり、各年 1 月 1 日現在日本に住所等を有する者について課されます。個人住民税は所得割と均等割(定額)等からなります。所得割は前年の所得について課税され、その課税所得の計算は特別のものを除き所得税の計算の規定に準じて計算されます。個人住民税の申告は、3 月 15 日までにしなければなりませんが、所得税の確定申告書を提出する場合は改めて個人住民税の申告は不要とされています。個人住民税(所得割)の標準税率は以下のとおりです。

<表 3-9 個人住民税(所得割)の標準税率>

個人住民税(所得割)の標準税率
都道府県民税 一律 4 %
区市町村民税 一律 6 %
  1. 均等割の標準税率は、道府県民税 1,000 円、区市町村民税 3,000 円であるが、2014 年度から 2023 年度の 10 年間にわたり、それぞれ 1,500 円、3,500 円となる。

  2. 地方自治体により標準税率と異なる税率の場合がある。

地方税法に定める一定の事業を行う個人は事業税を納付しなければなりません。事業税の課税所得は特別の定めがあるもののほか、原則として所得税の計算の規定に準じて計算されます。申告は 3 月 15 日までに行い、都道府県から交付される納税通知書にしたがって、8 月と 11 月に納付しなければなりません。個人事業税の税率は事業の種類に応じて 3%~5%です。

3.7.7 相続税及び贈与税

  1. (1)

    納税義務者と課税財産の範囲

<表3-10 相続税及び贈与税の納税義務者と課税財産の範囲>
a. 相続人・受遺者及び受贈者の住所が国内にある場合

相続税及び贈与税の納税義務者と課税財産の範囲
被相続人・贈与者(財産をあげた人) 相続人・受遺者および受贈者(財産をもらった人)
国内に住所あり 国内に住所あり
一時居住者*1
国内に住所あり 国内・国外財産ともに課税 国内・国外財産ともに課税
国内に住所あり
一時居住者*1
国内・国外財産ともに課税 国内財産のみに課税
国内に住所なし
10 年以内に日本に住所あり
国内・国外財産ともに課税 国内・国外財産ともに課税
国内に住所なし
一定の外国人*2
国内・国外財産ともに課税 国内財産のみに課税
国内に住所なし
10 年超日本に住所なし
国内・国外財産ともに課税 国内財産のみに課税

b. 相続人・受遺者および受贈者の住所が国内にない場合

相続税及び贈与税の納税義務者と課税財産の範囲
被相続人・贈与者(財産をあげた人) 相続人・受遺者および受贈者(財産をもらった人)
国内に住所なし
日本国籍あり
10 年以内に日本に住所あり
国内に住所なし
日本国籍あり
10 年超日本に住所なし
国内に住所なし
日本国籍なし
国内に住所あり 国内・国外財産ともに課税 国内・国外財産ともに課税 国内・国外財産ともに課税
国内に住所あり
一時居住者*1
国内・国外財産ともに課税 国内財産のみに課税 国内財産のみに課税
国内に住所なし
10 年以内に日本に住所あり
国内・国外財産ともに課税 国内・国外財産ともに課税 国内・国外財産ともに課税
国内に住所なし
一定の外国人*2
国内・国外財産ともに課税 国内財産のみに課税 国内財産のみに課税
国内に住所なし
10 年超日本に住所なし
国内・国外財産ともに課税 国内財産のみに課税 国内財産のみに課税
  1. (注)

    図中網掛部分は国内・国外財産ともに課税。白枠部分は国内財産にのみ課税

  2. *1

    出入国管理及び難民認定法別表第1の上欄の在留資格者で、相続・贈与前 15 年の間に日本に住所がある期間が 10 年以下の人。

  3. *2

    日本国籍がない人で、相続・贈与前 10 年以内に日本に住所があった人のうち、次のいずれかに該当する人

    1. 日本国内に住所を有しなくなった日前15年以内において日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人(その期間引き続き日本国籍を有していなかった人に限ります。)

    2. 日本国内に住所を有しなくなった日前15年以内において日本国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える人(その期間引き続き日本国籍を有していなかった人に限ります。)のうち同日から2年を経過している人

  4. *3

    この区分の人で、次に該当する場合には、国内財産のみが課税対象になります。

    1. 短期非居住贈与者から贈与により財産を取得した場合において、その短期非居住贈与者が再び日本国内に住所を有することなく、その短期非居住贈与者が日本国内に住所を有しなくなった日から2年を経過したとき

      1. (※)

        「短期非居住贈与者」とは、贈与の時において日本国内に住所を有していなかった贈与者であって、その贈与前10年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがある人のうち日本国内に住所を有しなくなった日前15年以内において日本国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える人(その期間引き続き日本国籍を有していなかった人に限ります。)で、同日から2年を経過していない人をいいます。

    2. 2017年4月1日から2022年3月31日までの間に非居住外国人(2017年4月1日から贈与の時まで引き続き日本国内に住所を有しない人であって日本国籍を有しない人をいいます。)から贈与により財産を取得した場合

以下、被相続人・贈与者を「財産をあげた人」、相続人・受遺者及び受贈者を「財産をもらった人」とします。

  1. (2)

    外国人駐在員が日本駐在中に相続・贈与により財産をもらった場合

    相続・贈与時に日本に住所がある人が財産をもらった場合には、その財産をもらった人が相続税・贈与税の納税義務者となります。そして、その財産をもらった人の国籍や財産をあげた人の住所にかかわらず、取得したすべての財産について課税されます。つまり、日本国内にある財産のみならず、国外にある財産についても相続税・贈与税の対象となります。外国人駐在員が日本駐在中に本国に居住している家族から相続等により国外にある財産を取得した場合であっても、日本の相続税・贈与税の対象となりますので注意が必要です。ただし短期滞在の場合には(上記*1 参照)国内財産にのみ課税されます。

  2. (3)

    外国人駐在員が日本駐在中に亡くなった場合や贈与をした場合

    日本に駐在している外国人駐在員の相続人等である外国居住者が相続等により財産を取得した場合であっても、その財産をもらった時において財産をあげた人の住所が日本国内にあった場合には、その財産をもらった人の国籍にかかわらず、取得したすべての財産について課税されます。つまり、日本国内にある財産のみならず、国外にある財産についても相続税・贈与税の対象となります。外国人駐在員が日本駐在中に不慮の事故等により亡くなった場合、財産を相続等する家族が本国に居住していたとしても、日本の相続税の対象となりますので注意が必要です。ただし外国駐在員が短期滞在の場合には(上記*1 参照)国内財産にのみ課税されます。

  3. (4)

    外国人駐在員が日本駐在期間を終えて帰国した後の取扱い

    財産をあげた人・もらった人いずれも日本に住所がない場合には、日本国内にある財産のみ相続税・贈与税の対象となります。しかしながら、財産をもらった人が日本国籍を有している場合で、財産をあげた人・もらった人のいずれかが相続・贈与前 10 年以内に日本に住所を有していたことがあるときは、日本国内にある財産のみならず、国外にある財産についても相続税・贈与税の対象となりますので注意が必要です。ただし、高度外国人材等の受入れと長期滞在を更に促進する観点から、2018 年 4 月 1 日以後に外国人が出国後に行った相続・贈与については国外財産については相続税・贈与税の対象から外されることとなりました。ただし出国から 2 年以内に再び日本に住所を移した場合には、課税されます(上記*3① 参照)。

  4. (5)

    相続税・贈与税の税率

    相続税・贈与税ともに 10%から 55%の税率により課税されますが、相続税と贈与税では各税率が適用される課税価格が異なります。

  5. (6)

    外国税額控除

    相続や贈与により日本国外にある財産をもらった人が、その国外財産のある国においてその国外財産について相続税・贈与税に相当する税が課された場合(贈与については財産をあげた人に課された場合を含みます。)には、一定の範囲で外国において課された税を日本の相続税・贈与税から控除する外国税額控除の規定によって二重課税の調整がされます。

Section 3:目次


Section3:税務 各種申請書類

Section3
(Section1)
申請書式名 申請様式の掲載箇所 管轄省庁
3.3.1
(1.6)
法人設立届出書(国税)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (手続名)「内国普通法人等の設立の届出」ページ内「法人設立届出書」PDF参照 国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.1
(1.6)
法人設立届出書(東京都に設立の場合、都税)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 「法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税・法人都民税 申請様式」ページ内 1.申請書・届出書 ①法人設立・支店設置・異動の際の届出参照 東京都主税局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.1
(1.6)
法人設立届出書(市町村税)【例:横浜市】外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 横浜市 「横浜市電子申請【法人市民税】法人設立・開設の届出、事業年度・納税地・その他の変更・異動届出」ページ内「ダウンロードファイル」の法人設立・開設届出書(第1号様式)を参照 各市町村役場
【例: 横浜市財政局主税部法人課税課外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.1
(1.6)
外国普通法人となった旨の届出書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (手続名)「外国普通法人となった旨の届出」ページ内「外国普通法人となった旨の届出書」PDF参照 国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.10(3)
(1.6)
青色申告の承認申請書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (手続名)「青色申告書の承認の申請」ページ内「青色申告の承認申請書」PDF参照 国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.4.2
(1.6)
給与支払事務所等の開設届出書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (手続名)「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」ページ内「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」PDF参照 国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.10(1)
(1.6)
申告期限の延長の特例の申請書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (手続名)「申告期限の延長の特例の申請」ページ内「申告期限の延長の特例の申請書」PDF参照 国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.1(1)
(1.6)
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (手続名)「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」ページ内「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」PDF参照 国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.10(1)
(1.6)
申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書(東京都)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 「法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税・法人都民税 申請様式」ページ内 1.申請書・届出書 「④申告書等の提出期限の延長」の「申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書」を参照 東京都主税局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
3.3.10(1)
(1.6)
申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書(東京都以外)【例:神奈川県】外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 神奈川県 e-kanagawa 神奈川県電子申請システムの手続き名「申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書(第13号の2様式)ページ内「ダウンロードファイル」参照 納税地の所轄県税事務所
【例: 神奈川県外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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