ジェトロ対日投資報告2023
第3章 最近の政府施策
第5節 バイオものづくり革命推進事業

バイオものづくりの分野では、先行して取り組まれている医薬品や食品のみならず、化学品・素材・繊維・燃料など、多種多様な産業領域での広範かつ革命的な活用が見込まれている。

特に、遺伝子改変技術等により、微生物等が従来保有する物質生産能の増強や新しい目的物質の生産能の獲得、あるいは酵素分解等による目的物質の取得といったテクノロジーとして注目されており、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2022年6月閣議決定)においても科学技術・イノベーションの柱の一つと位置づけられた。

多様な原料と製品を出口とした革新的なバリューチェーンを構築するため、必要な技術や社会システム実証を活発に行うことで、これまでの化石資源を原料とした製造プロセスに替わる持続可能なものづくりとして、次世代の産業基盤となり、日本の産業競争力の核となり得ることが期待されている。

本事業では、バイオものづくり原料の調達のための技術開発やシステム実証を行うとともに、バイオものづくりの付加価値の源泉を握る微生物等改変プラットフォーマーの育成や微生物等の改良技術の開発、 量産化のための製造技術開発・実証等を行う。

2023年度~2032年度において、事業期間総額約3,000億円の予算が計上された。

図表3-5 バイオものづくり革命推進事業の内容
項目 研究開発項目 内容
研究開発項目(1) 未利用資源の収集・資源化のための開発・実証
  • 未利用資源の収集のためのサプライチェーン構築に向けた調査
  • 未利用資源の原料化のための開発・実証
  • 循環型バイオものづくりを進めるための原料としてのバイオ製品等の収集実証
研究開発項目(2) 産業用微生物等の開発・育種及び微生物等改変プラットフォーム技術の高度化
  • 産業用微生物等の開発・育種
  • 産業用微生物等の開発・育種を通じたプラットフォーム技術の高度化
研究開発項目(3) 微生物等による目的物質の製造技術の開発・実証
  • 微生物等を用いて商用スケールで物質生産を行う際に必要となる大量培養等のスケールアップに伴う技術の開発や生産実証
研究開発項目(4) 微生物等によって製造した物質の分離・精製・加工技術の開発・実証
  • 発酵や大量培養といった微生物等を用いたプロセスによって生産した物質等を培地等から分離・精製し、最終製品へと加工することに伴う技術の開発と生産実証
研究開発項目(5) バイオものづくり製品の社会実装のための評価手法等の開発 以下などを検討するにあたって必要な開発や事例創出
  • 商品の差別化を図り、高付加価値品として消費者に選んでもらう仕組み(表示ルール、ブランド戦略)
  • 温室効果ガスの削減効果をクレジット等の価値に変える仕組み(コスト増分を回収)(LCA 評価、カーボンクレジット取引)
  • バイオ由来製品の廃棄時の回収ルール等の仕組み(ステークホルダー間の行動変容促進)
  • 資源循環経済の実現に向けて、日本の有する技術や製品が国際的に評価される仕組み(日本で製造された製品が高い環境対応との評価)
  • マーケット投入に向けた、消費者・企業の受容を促すための分析(消費者・企業調査)

2023年版目次

  1. 第1章
  2. 第2章
  3. 第3章

お問い合わせ

フォームでのお問い合わせ

ジェトロはみなさまの日本進出・日本国内での事業拡大を全力でサポートします。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム

お電話でのお問い合わせ

受付時間

平日9時00分~12時00分/13時00分~17時00分
(土日、祝祭日・年末年始を除く)