ジェトロ対日投資報告2023
第2章 日本の対内直接投資動向
[コラム2] インバウンド回復を受け、再び日本の観光アセット活用に脚光

第6節のとおり、堅調に拡大していた観光分野のグリーンフィールド投資は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、冷え込みを見せた。一方、外国人による訪日は、2022年2月から回復に転じ、2023年に入ってから大幅に加速、2023年8月時点でコロナ禍前の85%程度の水準にまで回復を見せている(図表2-21)。併せて、外国企業によるM&A案件の傾向を見ると、同様の傾向が見られ2021年に底を打ち、2022年以降回復傾向がうかがえる(図表2-22) 。大和ハウス工業(大和リゾート)等の大型案件も生まれており、再び日本の観光アセットに注目が集まっている(図表2-23) 。

図表2-21 コロナ禍前(2019年)と比較した2023年の訪日外客数(同月比)
日本政府観光局は、訪日外客数について、コロナ禍前の2019年と、2023年を、同月比で比較調査した。2023年、1月2月は、2019年、同月比で、50%台。3月4月5月は、60%台。6月7月は、70%台と増え続け、8月には、85%と、順調な回復を見せている。

〔出所〕日本政府観光局(JNTO)発表資料より作成

図表2-22 観光関連産業の対日M&A案件金額(完了ベース)
Workspaceは、観光関連産業の対日-M&A案件の金額について、2020年から2023年までを、完了ベースで比較調査した。2020年には、6億1,700万ドルであったが、新型コロナの影響を大きく受け、翌2021年では、1,300万ドルまで落ち込んだ。しかし、2022年では5億7,600万ドルと、2020年の93%まで回復し、さらに2023年には、11億2,600万ドルと、2020年の180%となり、大きな伸びを見せている。

〔出所〕「Workspace」(Refinitiv)より作成

図表2-23 2022年以降の観光関連産業の大型買収案件
買収完了日 被買収企業:
企業名
被買収企業:
業務内容
買収企業:
企業名
買収企業:
最終親会社
所在地
買収企業:
業種
買収金額
2022年9月 ハウステンボス レジャー・娯楽 PAG HTB Holdings 香港 金融 1,000億円
2023年7月 大和ハウス工業
(大和リゾート)
ホテル 投資家グループ(ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ) シンガポール 金融 556億1,700万円
2022年7月 KKday JAPAN 旅行ポータル TGVest 台湾 金融 2,000万ドル
(2020年以降
計9,500万ドル)
2023年3月 ロイヤルホテル ホテル Blossoms Holding HK カナダ 金融 未公表
2023年9月 WDホールディングス 娯楽チケット
手配
Vivid Seats 米国 卸売、サービス 87億円
2023年8月 ビスポークホテル心斎橋 ホテル City Developments シンガポール メディア、エンターテインメント 85億円

2023年版目次

  1. 第1章
  2. 第2章
  3. 第3章

お問い合わせ

フォームでのお問い合わせ

ジェトロはみなさまの日本進出・日本国内での事業拡大を全力でサポートします。以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム

お電話でのお問い合わせ

受付時間

平日9時00分~12時00分/13時00分~17時00分
(土日、祝祭日・年末年始を除く)