米国務省、「アンデス・大西洋回廊」の立ち上げを発表、アルゼンチン西部の資源調達に向け支援
(米国、アルゼンチン)
ニューヨーク発
2026年09月29日
米国国務省とアルゼンチン外務省は9月23日、アルゼンチンのインフラの強化・現代化を目的とした共同イニシアチブ「アンデス・大西洋回廊」の立ち上げを発表
した。国務省は同日、ファクトシート
も発表した。
「アンデス・大西洋回廊」は、G7が主導する発展途上国へのインフラ整備支援枠組み「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」の一環で立ち上げられた共同イニシアチブだ。アルゼンチン北西部や南西部のバカ・ムエルタ盆地(2026年8月25日記事参照)などの鉱物資源が豊富な地域と大西洋沿岸を結ぶインフラの強化と現代化により、リチウムや銅、石油、ガスを含む重要鉱物およびエネルギーのサプライチェーン強化を目指す。
米国は同イニシアテチブを通じて、米国国際開発金融公社(DFC)や米国輸出入銀行(EXIM)、米国貿易開発庁(USTDA)による融資・開発・技術支援関連ツールの提供や民間セクターとの連携により、回廊の開発に必要な資金調達を支援する。対してアルゼンチンは、外国資本の誘致に向けた法的・規制的環境および投資保護強化を推進する。また、「大規模投資奨励制度(RIGI、注1)」を通じて、長期的な税制、貿易、為替上の優遇措置を提供する。
両国が特に協力を強化する4分野は次のとおり(注2)。
- 運輸部門:鉄道や水路、港湾の改修・拡張に向けた優先インフラプロジェクトを特定し、米国企業が入札者または下請け業者として参入する機会を創出する。
- エネルギー部門:米国の資本、設備、サービス提供者の参画を促進するため、米国の投資や技術に加え、直接融資や融資保証、保険商品などの金融商品を活用して、バカ・ムエルタ盆地のエネルギー資源を商業的に開発する。
- 鉱物部門:サプライチェーンの確保とグローバルなサプライチェーンの多様化に向け、「米国・アルゼンチン重要鉱物枠組み(注3)」に基づき、重要鉱物の採掘・加工を支援する機会を特定する。
- デジタル部門:2月に締結した相互貿易投資協定に準拠したかたちで(2026年2月9日記事参照)、信頼性が高い技術の活用を支援し、情報プラットフォームのサイバーセキュリティーや税関の検査用機器などの領域で協力を推進する。
なお、「アンデス・大西洋回廊」は、PGIIの一環として米国が支援する「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」「カスピ海横断国際輸送ルート(中央回廊)」、フィリピンの「ルソン経済回廊」、南部アフリカの「ロビト回廊」に連なる構想と位置付けられる(注4)。PGIIは中国主導の途上国インフラ支援「一帯一路」に対抗する狙いがあるとみられている(2022年6月28日記事参照)。
(注1)鉱業、エネルギー、石油・天然ガス、インフラ、テクノロジーなど8つの分野で2億ドル以上の投資を実施する案件に対し、法人税や関税の減免、資本取引規制の例外措置などの恩典を30年間保証して与える制度。アルゼンチン政府は8月、改正施行規則を発効した(2026年8月20日記事参照)。
(注2)ファクトシートでは、バカ・ムエルタ盆地でのLNGプロジェクトに対する、EXIMによる最大60億ドルの意向表明書の発行といった、具体的な取り組みがあわせて示されている。
(注3)2月に開催した重要鉱物閣僚会合に合わせて両国が締結した(2026年2月5日記事参照)、リチウムや銅など戦略的に重要な鉱物のサプライチェーン強靭(きょうじん)化を目指す合意文書。
(注4)インド・中東・欧州経済回廊(IMEC):2026年7月13日記事参照、カスピ海横断国際輸送ルート(中央回廊):2026年6月11日付世界は今―JETRO Global Eye参照、ルソン経済回廊:2026年4月20日記事参照、ロビト回廊:2026年8月13日付地域・分析レポート参照。
(滝本慎一郎)
(米国、アルゼンチン)
ビジネス短信 ca31fede7955fef7





閉じる