大型投資奨励制度(RIGI)の改正施行規則が発効、鉄道改修なども対象に
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2026年08月20日
アルゼンチン政府は8月14日、大型投資奨励制度(RIGI)の改正施行規則(政令748/2026号
)を官報に公示し、即日発効した(注1)。RIGIは鉱業、エネルギー、石油・天然ガス、インフラ、テクノロジーなど8つの分野で2億ドル以上の投資を実施する案件に対し、法人税や関税の減免、資本取引規制の例外措置などの恩典を30年間保証して与える制度。企業の申請を受けて政府が認可するもので、2026年8月上旬時点で21の案件が認可されている。
今回の改正では、インフラ分野における鉄道建設について、新設のみならず既存設備の改修や付帯設備の整備もRIGIの対象に加えられたほか、RIGIの認可対象になる「旧来事業の拡張」について、輸送能力の向上も「拡張」の概念に含まれることが明文化された。また、テクノロジー分野(注2)においても、工場の新設・拡張を伴わずとも新製品を生産するのであれば「旧来事業の拡張」と見なされることが明文化された。
鉄道は重要鉱物の輸送手段、製造業分野で申請増える可能性も
具体的には今回の改正で、「鉄道インフラの場合、建設とは、新規インフラの整備、既存インフラの更新・交換・転換・開発、ならびに物流および鉄道輸送の適切な運営に必要な付帯インフラの整備をいう」という文言が、2024年の政令第749/2024号の附属書Iの第3条n項の(iii)の1.に加筆された。
これにより、これまで明確化されていなかった「鉄道建設」の範囲について、新線の敷設のみならず既存路線の改修や拡張、レールや設備の交換、付帯設備の整備もRIGIの対象になることが明確になった。
また、2024年の当初施行規則(政令第749/2024号)の付属書Iの第60条には、「RIGIに認可されていない旧来の事業を拡張するプロジェクト」についてもRIGIの対象になることがうたわれているが、今回の改正で、「鉄道建設については、実施された投資により既存の鉄道インフラの輸送能力が検証可能なかたちで増加した場合、既存の生産能力の増加が存在する(拡張した)とみなす」との条文が第60条の(ii)として追記された。
アルゼンチンでは金、銀に加え、埋蔵量世界第4位のリチウムが生産されているほか、銅鉱山については英国・オーストラリアのBHP、スイスのグレンコア、カナダのファースト・クォンタム・ミネラルズ(FQM)など世界の資源各社が権益を取得しており、これから開発と生産が本格化する段階だ。こうした鉱物資源を輸送する手段として鉄道の活用は注目されている。例えば、FQMが権益を持つアルゼンチン北西部サルタ州のタカタカ銅鉱山の近郊には、1940年代に開通したチリまで続く複線の線路が敷設されている。しかし、重量物である銅鉱石を輸送するためには改修や補修が必要で、今回の改正はこうした状況を見据えたものでもあると見られる。
1940年代に開通したチリ国境まで続く鉄道C-14号線とタカタカ駅(2026年7月28日、ジェトロ撮影)
モビリティー、ロボット産業、人工知能、防衛産業などのテクノロジー分野では、2024年の当初施行規則(政令第749/2024号)の付属書Iの第60条が謳う「RIGIに認可されていない旧来の事業を拡張するプロジェクト」について、条文が修正(注3)され、工場の新設や拡張を伴わない場合でも、要件を満たした新製品を生産する場合はRIGIに申請することができるようになる。現在、RIGIに認可された21案件は鉱業、エネルギー、インフラ分野に偏っているが、製造業分野での案件も今後申請、認可される可能性が出てくるだろう。
(注1)2024年8月27日に公布された施行規則(政令749/2024号)、ならびに2026年2月の同改正施行規則(政令205/2026号)を改正したもの。2024年8月の施行規則(政令749/2024号)は2024年8月27日記事参照、2026年2月の改正施行規則は2026年3月27日記事参照。
(注2)革新的な性質を持つ技術に基づく商品およびサービスの生産を目的とする活動で、具体的にはバイオテクノロジー、ナノテクノロジー、新しいモータリゼーション技術に基づくモビリティー、エネルギー転換技術、航空宇宙・衛星産業、原子力産業、ソフトウエア産業、ロボット産業、人工知能、防衛産業。
(注3)条文は次のように修正された。
(i)テクノロジー分野において、RIGIに認可されていない旧来のプロジェクトに新製品の生産を追加する場合も拡張とみなす。この場合、当該プロジェクトの拡張は、以下の条件をすべて同時に満たさなければならない。
a)新製品が、RIGI申請時点で既に生産されていた製品と比較して、イノベーションを伴う技術的または機能的要素を含み、かつその構成要素の少なくとも50%において、経済的価値基準(金額ベース)での差異が認められること。
b)拡張を伴うプロジェクトの投資額が2億5,000万米ドル以上であること。
c)追加される新製品の市場におけるライフサイクルが10年以下であること。
(峯村直志)
(アルゼンチン)
ビジネス短信 13fcd4d01fa47589





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