G7、途上国へのインフラ投資支援計画(PGII)発表、5年間で6,000億ドル拠出を目指す

(米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ、EU)

ニューヨーク発

2022年06月28日

G7は6月26日、ドイツのエルマウで首脳会合を開き、発展途上国へのインフラ整備支援の新たな枠組み「グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII)」を発表した。中国主導の途上国インフラ支援「一帯一路」に対抗する狙いがあるとみられる。

米国ホワイトハウスが同日発表した、PGIIの趣旨や目的についてまとめたファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、G7各国は2027年までに民間資金を含めて6,000億ドルの途上国インフラ投資支援を目指すとしている。具体的な投資分野として挙げたのは、気候変動、健康医療、男女平等、デジタル技術の4つで、透明性が高く持続可能性が高い計画に投資を行っていくとしており、G7を中心にアジアやアフリカ、中南米の途上国への世界からのインフラ投資を拡大する方針だ。

既に具体的金額を発表している米国は2,000億ドルを拠出する。米国国際金融開発公社や輸出入銀行などが参加して官民合わせて支援を行うとしているが、官民の金額比率や今後どのように民間に参加要請を行っていくかなど詳細は現時点では明らかとなっていない。また、日本はPGIIで650億ドルの拠出目標を新たに発表したほか、EUは2021年12月に5年で3,000億ユーロの対外インフラ投資計画を発表済みだ(2021年12月3日記事参照)。

今回の構想に類似した「より良い世界再建(Build Back Better World)構想」が2021年6月のG7首脳会合時に米国より既に提示されていたが、その後の具体的進展に乏しかったことから、今回名前を変えて復活したかたちだ。ホワイトハウスによると、PGIIの現時点のプロジェクトとして、アンゴラで米国が官民で投資している総額20億ドルの太陽光発電開発プロジェクトや、セネガルでフランスのパスツール研究所などが開発しているワクチン製造施設に330万ドル拠出する計画などを途上国インフラ投資支援の実例として挙げている。

米国のジョー・バイデン大統領は会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「(PGIIは)援助でも慈善でもない。全ての人々に利益をもたらす投資だ」と説明した上で、「民主主義国家が(途上国に対して)できることや提供すべきことを全て示していけば、われわれは常に競争に勝つことができると確信している」と述べ、中国主導の途上国インフラ支援「一帯一路」への対抗意識を鮮明にしている。

(宮野慶太)

(米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ、EU)

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