米国務省、フィリピンとフィンランドの「パックス・シリカ」参加を発表、「経済安全保障ゾーン」第1弾も
(米国、フィリピン、フィンランド)
ニューヨーク発
2026年04月20日
米国国務省は4月16日、フィリピンとフィンランドが経済安全保障分野の連携の枠組み「パックス・シリカ」に参加すると発表した(フィリピン参加
、フィンランド参加
)。
パックス・シリカは2025年12月に米国が立ち上げた、同盟国・パートナー国との連携のための枠組み。人工知能(AI)の進化によって重要鉱物や関連インフラなどの需要が増加し、サプライチェーンの再編が進むとの認識の下、敵対国への依存軽減や新技術の確保、機密度の高い技術の保護といった領域での連携を目標としている。これまでに日本を含む12カ国・地域(注1)が参加しており、フィリピンが13番目、フィンランドが14番目の参加国・地域となった。国務省は、フィリピンが半導体や電子機器などの製造分野にかかわる能力や人材を、フィンランドが先進的なモバイル通信やAI、重要鉱物の採掘・加工などにかかわる能力を、それぞれパックス・シリカにもたらすとした。
また国務省は同日、フィリピンの「ルソン経済回廊(LEC、注2)」に約4,000エーカー(約16.2平方キロメートル)の産業ハブ拠点を設立する計画も発表した。ファクトシート
では、LECの特徴として、(1)インド太平洋地域における地理的中心性、(2)若く技術力の高い労働力、(3)ニッケル・銅・クロム鉄鉱・コバルトなどの重要鉱物の豊富な埋蔵量、を挙げ、米国からの投資がLECの価値をさらに高めると強調した。
さらに国務省は、フィリピン政府が同拠点を「経済安全保障ゾーン」に指定する予定だと明らかにした。経済安全保障ゾーンでは、パックス・シリカの枠組みの下、AI産業に特化した投資を促進し、ハブ拠点の構築を目指すとしている。国務省は、LECの経済安全保障ゾーンを第1弾と位置付け、今後、他国・地域で同ゾーンを拡大する意向を示している。将来的には、各ゾーンを相互に接続してパックス・シリカ参加国の製造拠点や物流回廊を統合し、有志国間でのサプライチェーンの統合を目指す。国務省はファクトシートの中で、パックス・シリカを通じて「世界が現在依存している集中型のサプライチェーンと競争し、最終的にはそれを置き換える」と明記していることからも、サプライチェーンの対中依存からの脱却を目指す方針がうかがえる。
(注1)これまでに米国のほか、オーストラリア、ギリシャ、インド、イスラエル、日本、カタール、韓国、シンガポール、スウェーデン、アラブ首長国連邦(UAE)、英国の11カ国が「パックス・シリカ宣言」に署名して参加していた。また台湾は、パックス・シリカ宣言および米台経済安全保障協力に関する共同声明を米国と発表して参加した。
(注2)2024年4月に米国、フィリピン、日本の3カ国が立ち上げを発表した枠組みで(2024年4月15日記事参照)、マニラを含むルソン地域の鉄道や港湾など、戦略的重要インフラへの投資加速での3カ国連携を目的としたもの。
(滝本慎一郎)
(米国、フィリピン、フィンランド)
ビジネス短信 475f9d71b137c081





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