鉄鋼・同製品112品目の一般関税率を2023年5月末まで15%に維持

(メキシコ)

メキシコ発

2022年07月04日

メキシコ政府は6月29日、夕刻の官報で政令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、6月30日にMFN(最恵国)関税率(一般関税率)が10%に引き下げられる予定だった鉄鋼・同製品112品目(添付資料表1参照)ついて、15%の税率を2023年5月末まで延長することとした。メキシコでは2015年5月8日以降、鉄鋼の関税率が0%になっていたが、鉄鋼の国際的な過剰生産の状況や2018年以降は米国において鉄鋼・アルミニウム232条に基づく追加関税(2018年3月9日記事参照)が課されたことから、代替市場を求める安価な鋼材流入に対抗する目的で2015年10月以降、MFN税率を6カ月の期限付で15%まで引き上げ、その後も維持する措置を何度も継続してきた(2015年10月14日2016年4月8日2016年10月12日2017年4月10日2017年10月25日2018年6月7日2019年3月27日記事参照)。2019年9月20日付政令(2019年10月2日記事参照)では、6カ月間の延長ではなく、最長4年間かけて段階的に引き下げることが定められ、2021年9月22日には一時的に10%まで引き下げられたが、2021年11月22日付官報で再び15%に引き上げられていた(2021年11月25日記事参照)。

今回、MFN税率を15%に維持した背景には、昨今の国際情勢下でIMFが世界の2022~2023年の経済成長率見通しを3.6%と前年推定値の6.1%から大きく減速するとし、世界の鉄鋼市場も縮小が見込まれること、米国政府による鉄鋼・アルミニウム232条の適用が継続しており、メキシコを代替市場とした安価の鋼材流入が引き続き懸念されることから、(メキシコの鉄鋼業界を不公正貿易から保護するため)関税削減スケジュールを見直すことが適切だとしている(政令前文)。

2023年6月以降に段階的に関税削減

今回の政令に基づき、関税削減スケジュールは以下のとおり変更となる。品目別詳細については、添付資料の表2を参照。

  • 2023年6月1日に10%、2023年9月22日に5%と引き下げ、2024年10月1日に最終的に0%にする品目:94品目
  • 2023年6月1日に10%、2023年9月22日に7%まで引き下げる品目:2品目
  • 2023年6月1日に10%、2023年9月22日に5%まで引き下げる品目:15品目
  • 2022年6月1日に10%、2023年9月22日に5%、2024年10月1日に3%まで引き下げる品目:1品目

(中畑貴雄)

(メキシコ)

ビジネス短信 86c697f63ac333dc