鉄鋼関連186品目に一般関税率15%を再適用

(メキシコ)

メキシコ発

2019年03月27日

メキシコ政府は3月25日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで政令を公布し、鉄鋼関連186品目に対する一般関税率を15%とした。2月1日に0%に戻していたが(2019年2月6日記事参照)、3月26日から180日間の時限措置として再適用する。15%の対象となる鉄鋼・同製品、ならびに産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)の対象品目は、2018年6月5日付官報で公布した政令と同一だ。日本製の鋼材輸入については、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)、あるいは「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」が活用され、引き続き無関税となる。

約2カ月遅れた延長措置

鉄鋼の一般関税率は、2015年10月7日付の官報公示政令の第1条に基づき、2015年10月8日以降、HS72類の鋼板を中心とする97品目について、0%から15%に引き上げられた。この政令は180日間の時限措置だったが、4回延長された。2018年6月6日以降は、米国の通商拡大法232条の影響で対米輸出が困難になった安価な鋼材がメキシコ市場に流入するのを警戒し、従来は15%の対象外だった棒鋼や形鋼、鋼管類も対象に加えられ、186品目に一気に拡大した(2018年6月7日記事参照)。

2018年6月5日付政令の有効期限は1月31日だったが、232条に基づく追加関税措置が続いており、世界的な鉄鋼の余剰生産の状況も改善していないことから、全国鉄鋼会議所(CANACERO)は適用延長を要請していた。今回の延長は鉄鋼業界の声を反映したものだが、約2カ月遅れての政令公布となった。

電炉材についてはTPP11を活用

15%の対象品目の中には、鉄スクラップを原料として電気アーク炉で生産される棒鋼などの電炉材が含まれる。日墨EPAにおける電炉材の品目別原産地規則(PSR)は、関税分類の「類」(HS上2桁)の変更であるため、スクラップの原産性を明確にしないと日本商工会議所から特定原産地証明書が発行されない場合が多い。他方、TPP11の品目別原産地規則は「項」(HS上4桁)の変更で原産品となるため、スクラップがたとえ非原産材料であっても原産品となりやすい。従って、電炉材の場合はTPP11の活用を検討すべきだろう。また、TPP11を使うことでメキシコ税関に支払う通関手数料(DTA)が軽減されるため、日墨EPAよりもコスト削減効果が高い(2019年1月4日記事参照)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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