鉄鋼97品目の一般関税率15%を半年間延長-暫定措置、対象品目は変わらず-

(メキシコ)

メキシコ発

2016年04月08日

 メキシコ経済省は4月4日、暫定措置として鉄鋼97品目にかけていた一般関税率15%について、さらに180日間延長すると発表し、5日から適用した。指定されていた97品目のリストに変更はなく、また電気、電子、自動車産業に対して特別に設定した産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)に基づく10品目(HS番号ベース)の無関税品目リストについても、変更は行っていない。

97品目以外の鋼材は0%のまま>

 201644日付官報公示第1条に基づき、2015108日以降、0%から15%に引き上げられている鉄鋼97品目の一般関税率は、45日から180日間維持される。品目リストも全く同じで、全てHS72類の鋼材となっている。移行措置の第1条により、今回も期限を定めた暫定措置としている。鋼材268品目の関税は、201557日以前は3%だったが、それ以降は無税となっていた(注)。本政令の対象となる97品目以外の鋼材の一般関税率については0%で変更はないものの、原産国によってはアンチダンピング(AD)税の対象になっているため、AD税有無の確認が必要だ。

 

 政令第2条により、PROSEC対象業種のうち、電気、電子、自動車(部品も含む)産業に登録されている企業であれば、対象となる10品目についてはPROSEC税率が0%となる。電気産業(I)向けが3品目、電子産業(II)向けが1品目、自動車産業(XIX)向けが7品目(1品目が電気産業と重複)となっている。具体的な対象品目については、2015年10月14日記事添付を参照。

 

 また、同官報には示されていないものの、本件は一般関税率の引き上げを目的としており、日本製の鋼材(HS72類)を輸入する場合には、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)に基づく特恵関税の適用を行えば、PROSECの取得状況にかかわらず、無関税で輸入が可能だ。

 

<非FTA国からの鉄鋼輸入に対処>

 鋼材に対する一般関税率15%適用延長の理由として経済省は、政令の前文の中で次のとおり説明している。「対象期間中もAD調査の開始、相殺関税の決定、セーフガード、特定品目の一般関税率引き上げなど、貿易救済措置を取る国が増え、国内産業への負の影響を緩和しようとしている。異なる国々の産業間で健全な競争条件の欠如が続いており、このことが今回の措置の継続を必要とし、また急を要する。本措置により法的プロセス(貿易救済措置など)を導入する時間的余裕を生み、防御を固めることができる。他方、電気、電子、自動車産業に影響が出ることから、同期間内のPROSEC対象品目も同時に維持すべきだ」

 

 当地の鉄鋼業界団体で、通商政策にも大きな影響力を持つ全国鉄鋼産業会議所(CANACERO)はプレスリリース(216日)で、イルデフォンソ・グアハルド経済相と面談し、国内の鉄鋼産業保護のため、貿易救済措置を続けるべきで、特にメキシコとの自由貿易協定(FTA)を持たない国々からの不公正な輸入に断固対応すべきだ、と申し入れたことを明らかにしている。この申し入れを受けて、専門家の間では、関税率を15%よりも引き上げる、または品目数の増加が必然との意見もあった。経済省としては、電気、電子、自動車産業など、重要な産業に影響のある品目も多く含まれており、難しい判断を迫られていた中で、品目数と税率を維持した上で延長を決めたとみられる。

 

 メキシコの2015年の鉄鋼(HS72類)の輸入総額は前年比1.82%減の94680万ドル。国別では首位の米国が9.99%減の415,950万ドル、2位の日本が0.9%減の127,690万ドルと減少している一方、3位の韓国は47.9%増の108,930万ドル、4位の中国は27.4%増の6億ドルとなっている。

 

(注)201029日付官報で公示された輸出入一般関税率(TIGIE)ならびにPROSEC政令を改定する政令に基づき、鉄鋼および鉄鋼製品の大半の関税率は201211日に0%となった。しかし、2012年にアンパロ訴訟(憲法で保護された基本的人権を国が侵害した場合、その原因となった行政・立法・司法措置の無効を訴える裁判)が2件提訴され、当該人権侵害行為(関税の引き下げ)の差し止めが請求され、これが裁判所に認められたことから、0%だった関税率は201281日に3%に引き上げられた2012810日記参照)。突然の関税率の引き上げにより影響を受けた企業が多かったため、同アンパロ訴訟自体が不適法だという訴えが裁判所に出された。裁判所は201557日、同アンパロ訴訟の適法性を否認したことにより、同日から鋼材268品目の一般関税率は0%に戻っていた。

 

(中島伸浩)

(メキシコ)

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