電動化が進展 中国勢の存在感高まる
イタリア自動車動向(1)

2026年8月19日

イタリアの外国自動車代理店組合(UNRAE)が2026年1月27日に発表した報告書「UNRAE Pocket 2025(イタリア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、イタリアの乗用車新規登録台数は152万5,685台となり、前年比2.1%減(約3万3,000台減)となった。2019年と比較すると20.4%減少しており、コロナ禍前の水準への回復は依然として道半ばだ。

燃料別では、2024年に続きハイブリッド車(HEV)が堅調に拡大し、新規登録台数に占めるシェアは44.4%に達した。また、バッテリー式電気自動車(BEV)のシェアも6.2%まで上昇するなど、環境配慮車への移行は着実に進んでいる。さらに、中国メーカーの比亜迪(BYD)や零跑汽車(リープモーター)の存在感が顕著となり、競争力を高めていることが注目される。

上位3社(フィアット、トヨタ、VWの順)は不変

2025年の乗用車新規登録台数をメーカー・ブランド別(表1参照)に見ると、前年に引き続きフィアットが首位を維持した。登録台数は14万3,556台で前年比0.9%増と微増。シェアは前年比ほぼ横ばいの9.4%だった。トヨタは2024年に続いて2位を維持したものの、登録台数は前年比1.8%減の12万749台となった。シェアは前年同様7.9%だった。フォルクスワーゲン(VW)も3位を維持したが、登録台数は前年比7.6%減の11万2,073台となり、上位3メーカーの中で減少が目立った。

表1:2025年のメーカー・ブランド別乗用車新規登録台数とシェア(単位:台、%)(△はマイナス値)注1:1~10位および日系・アジアメーカー・ブランドなどを記載。 注2:(-)は前年比で順位が同順、(↑)は上昇、(↓)は下降を示す。
順位 メーカー・ブランド 2024年台数 2025年台数 前年比 シェア
1(ー) フィアット 142,341 143,556 0.9 9.4
2(ー) トヨタ 122,949 120,749 △ 1.8 7.9
3(ー) フォルクスワーゲン 121,292 112,073 △ 7.6 7.3
4(ー) ダチア 97,262 95,293 △ 2.0 6.2
5(↑) プジョー 78,165 75,397 △ 3.5 4.9
6(↓) ルノー 87,145 74,323 △ 14.7 4.9
7(ー) BMW 71,043 73,226 3.1 4.8
8(↑) アウディ 67,810 68,846 1.5 4.5
9(ー) ジープ 68,445 62,481 △ 8.7 4.1
10(↓) フォード 68,720 60,726 △ 11.6 4.0
13(↑) MG 39,953 49,907 24.9 3.3
14(↓) 現代 49,467 46,720 △ 5.6 3.1
15(↓) 起亜 47,786 44,029 △ 7.9 2.9
18(↑) 日産 34,948 31,495 △ 9.9 2.1
19(↓) スズキ 37,684 31,219 △ 17.2 2.0
21(初) BYD 2,769 23,621 753.1 1.5
26(↓) テスラ 15,650 12,847 △ 17.9 0.8
27(↓) マツダ 14,218 10,818 △ 23.9 0.7
28(↑) ホンダ 7,449 9,717 30.4 0.6
32(初) リープモーター 274 7,469 2,625.9 0.5
37(↓) レクサス 6,090 6,432 5.6 0.4
40(↓) スバル 1,663 2,520 51.5 0.2
43(↓) 三菱 3,253 1,611 △ 50.5 0.1
合計(その他の自動車メーカー・ブランドを含む) 1,558,682 1,525,685 △ 2.1 100

注1:1~10位および日系・アジアメーカー・ブランドなどを記載。
注2:(-)は前年比で順位が同順、(↑)は上昇、(↓)は下降を示す。

出所:UNRAE資料から作成

アジア勢では、現代自動車グループの現代と起亜がいずれも登録台数、シェアともに微減した。順位も現代は14位(前年13位)、起亜は15位(同14位)で、前年から後退した。代わって13位に浮上したのが、前年16位だった上海汽車傘下の英系ブランドMGだ。登録台数は前年比24.9%増で4万9,907台を記録した。

日本勢では、日産が18位、スズキが19位で、2024年から順位が入れ替わった。スズキは好調だった2024年の反動もあり、登録台数は17.2%減となった。マツダは27位で、昨年の26位からほぼ変わらなかったが、登録台数は23.9%減の1万818台となった。

一方、ホンダは28位と、2024年の31位から順位を上げた。登録台数は30.4%増と好調だった。スバルは登録台数が2023年並みの水準に戻り2,520台で前年比51.5%増。順位は40位だった。

中国メーカーの台頭が鮮明に

2025年は、これまでも注目されてきた中国車の台頭が鮮明になった。上述のメーカー・ブランド別では、BYDが登録台数2万3,621台で21位、リープモーターが7,469台で32位に入った。また後述するように、両メーカーはプラグインハイブリッド車(PHEV)やバッテリー式電気自動車(BEV)のモデル別ランキングでも存在感を示した。

BYDは2023年7月31日、イタリア・ミラノの中心部であるドゥオーモ広場に国内初の販売拠点を開設。北部イタリアを中心とする大手ディーラー、アウトトリノ(Autotorino)と販売提携し、イタリア市場への本格参入を開始した。2024年のメーカー・ブランド別ランキングではランク外だったものの、2025年はPHEVの「シールU」、BEVの「ドルフィンサーフ」がランクインを後押しした。また、2023年からステランティスと提携関係にあるリープモーター(ステランティスが15億ユーロで約20%の株式を取得)も存在感を高めている。2024年はBYDと同じくランク外だったが、2025年はとりわけBEVの「T03」が好調で、販売拡大を牽引した。

モデル別の新規登録台数(表2参照)では、フィアットの「パンダ」が前年比2.7%増と堅調に推移し、首位を維持した。ダチアの「サンデロ」は前年比18.1%減となったものの、前年に続き2位を確保した。ジープの「アベンジャー」は2024年に前年比85.0%増と大きく伸長したのに続き、2025年も17.5%増と好調を維持し、3位を堅持。また、トヨタは「ヤリスクロス」が5位を維持し、「ヤリス」も前年比4.8%増と堅調で前年8位から6位へ順位を上げた。これらはいずれもHEVが販売を牽引している。

表2:2025年のモデル別新規登録台数トップ10(単位:台、%)(△はマイナス値)
順位 モデル メーカー・ブランド 2024年台数 2025年台数 前年比
1 パンダ フィアット 99,828 102,485 2.7
2 サンデロ ダチア 60,381 49,445 △ 18.1
3 アヴェンジャー ジープ 41,186 48,376 17.5
4 C3 シトロエン 38,592 38,442 △ 0.4
5 ヤリスクロス トヨタ 36,942 37,386 1.2
6 ヤリス トヨタ 32,294 33,846 4.8
7 ダスター ダチア 28,427 33,573 18.1
8 208 プジョー 32,487 31,320 △ 3.6
9 クリオ ルノー 35,780 29,069 △ 18.8
10 ZS MG 27,671 28,988 4.8

出所:UNRAE資料からジェトロ作成

PHEVとBEVが急伸 中国メーカーが存在感

燃料別(表3参照)のシェアを見ると、ガソリン車およびディーゼル車はいずれも減少した。ガソリン車は2023年から2年連続で増加していたが、2025年は37万2,102台で、前年比で18.2%減少した。ディーゼル車についても14万7,573台で前年比31.5%減と、大幅な減少となった。

表3:乗用車新規登録台数の燃料別シェアの推移(単位:%) 注:レンジエクステンダー車(REX)を含む。
燃料別 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
ガソリン 37.8 29.9 27.7 28.5 29.2 24.4
ディーゼル 32.7 22.1 19.6 17.5 13.8 9.7
液化石油ガス(LPG) 6.8 7.4 9.0 9.1 9.3 9.2
ハイブリッド(HEV) 16.1 29.0 34.0 36.1 39.9 43.9
プラグインハイブリッド(PHEV)(注) 2.0 4.8 5.1 4.4 3.4 6.6
バッテリー式電気自動車(BEV) 2.4 4.6 3.7 4.2 4.2 6.2
メタンガス 2.3 2.2 0.8 0.1 0.1 0.0

注:レンジエクステンダー車(REX)を含む。

出所:UNRAE資料からジェトロ作成

HEVは前年に引き続き順調に拡大。シェアは前年の39.9%から4ポイント上昇し、43.9%に達した。ただし、登録台数の伸びは前年比7.6%増にとどまり、2023年からの2桁成長と比べるとやや伸びが鈍化している。

環境対応車の中で、シェアおよび登録台数で特に大きく伸長したのが、PHEVとBEVだ。とりわけPHEVは、シェアが前年の3.4%から6.6%へと約2倍に拡大し、登録台数も前年比90.2%増の10万407台に達するなど、顕著な成長を示した。

この背景には、各メーカーがPHEVのラインアップ拡充したことで、消費者の選択肢が広がったことがある。また、社用車課税制度の改正が2025年に施行されたことも、追い風となった。同制度では、福利厚生として従業員に提供される私的利用可能な社用車について、環境性能に応じた課税基準の見直しが行われた。その結果、PHEVが税制上有利な区分となり、企業需要の拡大を後押ししたとみられている。

BEVのシェアは前年の4.2%から6.2%へと拡大した(図参照)。登録台数も9万4,675台と前年比44.3%増となり、着実な成長を示している。背景には、2025年10月に導入された環境・エネルギー安全保障省による補助金制度が奏功したことがあるとみられる。さらに、BEVについては社用車需要に加え、個人向けを含む全ての販売チャネルで伸びがみられ、市場全体での普及が進んでいると分析されている。

図:BEV新規登録台数の推移
イタリアにおける2019年~2025年のバッテリー式電気自動車(BEV)の新規登録台数の推移およびシェアは、2019年は1万671台・0.6%、2020年は3万2,491台・2.4%、2021年は6万7,267台・4.6%、2022年は4万9,165台・3.7%、2023年は6万6,313台・4.2%、2024年は6万5,626台・4.2%、2025年は9万4,675台・6.2%。

出所:UNRAE資料からジェトロ作成

環境対応車を動力方式・モデル別に見ると、HEV(表4参照)ではトヨタ「ヤリスクロス」がフィアット「パンダ」に次ぐ2位、トヨタ「ヤリス」は前年同様3位となった。ただし登録台数には大きな差があり、首位「パンダ」の10万2,430台に対し、「ヤリスクロス」は3万7,386台にとどまった。また、日産「キャシュカイ」は前年比10.2%減となったものの、7位でトップ10圏内を維持している。

表4:2025年のHEVモデル別新規登録台数トップ10(単位:台、%)(△はマイナス値) 注:新規登録台数のうち、ハイブリッド車に限定して集計。
順位 モデル メーカー・ブランド 2024年台数 2025年台数 前年比
1 パンダ フィアット 97,571 102,430 5.0
2 ヤリスクロス トヨタ 36,941 37,386 1.2
3 ヤリス トヨタ 31,643 33,755 6.7
4 アヴェンジャー ジープ 13,823 25,059 81.3
5 プーマ フォード 28,166 24,097 △ 14.4
6 600 フィアット 5,922 20,778 250.9
7 キャシュカイ 日産 18,369 16,491 △ 10.2
8 3008 プジョー 5,007 14,983 199.2
9 ZS MG 849 13,723 1516.4
10 208 プジョー 5,069 13,457 165.5

注:新規登録台数のうち、ハイブリッド車に限定して集計。

出所:UNRAE資料からジェトロ作成

PHEV(表5参照)では、前述のとおりBYDの「シールU」が大幅に伸長し首位だった。トヨタの「C-HR」は2位だった。「C-HR」は前年比4.2倍増の7,592台と伸びたが、「シールU」はそれを上回る1万4,488台(前年比12倍)だった。

表5:2025年のPHEVモデル別新規登録台数トップ10(単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし) 注1:レンジエクステンダー車(REX)を含む。 注2:2025年に投入されたモデルは前年比計上不可。
順位 モデル メーカー・ブランド 2024年台数 2025年台数 前年比
1 シールU BYD 1,190 14,488 1117.5
2 C-HR トヨタ 1,805 7,592 320.6
3 X1 BMW 3,145 6,254 98.9
4 Tiguan フォルクスワーゲン 776 5,521 611.5
5 7 ジェイクー 4,253
6 ゴルフ フォルクスワーゲン 479 4,077 751.1
7 フォルメンター クプラ 3,812 3,169 △ 16.9
8 スポルテージ 起亜 641 2,937 358.2
9 クーガ フォード 2,578 2,629 2.0
10 テラマール クプラ 103 2,419 2248.5

注1:レンジエクステンダー車(REX)を含む。
注2:2025年に投入されたモデルは前年比計上不可。

出所:UNRAE資料からジェトロ作成

BEV(表6参照)でも、前述のとおり中国メーカーの躍進が目立った。テスラは前年に引き続き「モデル3」が首位を維持したものの、登録台数は前年比10.4%減の7,114台にとどまった。テスラの「モデルY」は登録台数が23.7%減で、前年の2位から3位へ後退した。一方、2025年はリープモーターの「T03」が2位に食い込み、5位にはBYDの「ドルフィンサーフ」がランクイン。トップ5のうち2モデルを中国メーカーが占めた。

乗用車全体では自国のフィアットをはじめ欧州メーカー・ブランドのシェアが底堅いものの、環境適応車への移行、販売増加に伴い、中国車が販売台数を伸ばす様子がうかがえる。中期的な競争の激化や市場構造の変化を注視する必要がある。

表6:2025年のBEVモデル別新規登録台数トップ10(単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし) 注1:新規登録台数のうち、BEV車に限定して集計した内数。 注2:2025年に投入されたモデルは前年比計上不可。
順位 モデル メーカー・ブランド 2024年台数 2025年台数 前年比
1 モデル3 テスラ 7,943 7,114 △ 10.4
2 T03 リープモーター 197 6,242 3068.5
3 モデルY テスラ 7,435 5,676 △ 23.7
4 スプリング ダチア 3,542 4,813 35.9
5 ドルフィンサーフ BYD 4,566
6 C3 シトロエン 758 4,129 444.7
7 iX1 BMW 2,366 3,041 28.5
8 プーマ フォード 2,577
9 アヴェンジャー ジープ 2,479 2,485 0.2
10 5 ルノー 383 2,329 508.1

注1:新規登録台数のうち、BEV車に限定して集計した内数。
注2:2025年に投入されたモデルは前年比計上不可。

出所:UNRAE資料からジェトロ作成

執筆者紹介
ジェトロ・ミラノ事務所
平川 容子(ひらかわ ようこ)
2021年からジェトロ・ミラノ事務所に勤務。