2025年の新車登録は29万台強、EVが6割近く(イスラエル)
国別で中国が首位に、日本は2位に後退

2026年5月25日

2025年のイスラエル自動車市場は、新車登録台数が前年比8.0%増の約29万台と回復基調を鮮明にし、その内訳ではハイブリッド車(HEV)を含む電気自動車(EV)が全体の6割近くを占めるなど電動化の進展が一層加速した。とりわけ中国メーカーの存在感が急速に高まり、EV販売の拡大を背景に中国は国別シェアで首位に浮上した。

メーカー・ブランド別でトヨタ首位、国別では日本は2位に後退

イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)によると、イスラエルの2025年の自動車新車登録台数は29万3,591台となり、前年比8.0%増と高い伸びを示した。2023年から2024年にかけて伸び率が1%未満の低成長にとどまっていたことと比べると、2025年は自動車市場の回復基調がより明確になった。

月次動向を見ると、2025年の出だしは堅調に推移した。1月の登録台数は4万6,613台で、前年同月比24.8%増となった(図参照)。しかし、2月の同5.9%減に続き、6月は同34.4%減と大きく落ち込んだ。イランとの「12日間戦争」(2025年6月24日付ビジネス短信参照)により、イスラエル国内では経済活動や通常業務に混乱が生じ、自動車部門も一時的な影響を受けた。

一方、8月以降は回復基調が鮮明となった。8月から11月にかけては、いずれの月も前年同月比で20~30%台の増加が続いた。I‑viaによれば、複数ブランドにおけるモデルの供給の拡充が登録回復を支えるとともに、クロスオーバーSUV(スポーツ用多目的車)やSUVを中心とした新世代車種へと需要シフトが進展したことが、登録台数の増加につながったと分析している。ただ、12月には同21.4%の減少となった。

図:自動車の月別登録台数の推移(2022年1月~2025年12月)
自動車の月別登録台数の推移をみると、2025年は総じて回復基調が確認できる。年初の1月は前年同月比24.8%増と大幅な伸びを示し、3月から5月にかけてもプラス圏で推移した。一方、6月はイランとの12日間戦争の影響を受け、前年同月比34.4%減と大きく落ち込んだ。その後は回復に転じ、8月以降は増加基調が鮮明となり、9月から11月にかけてはいずれも前年同月比で2桁増を記録した。

出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)資料からジェトロ作成

メーカー・ブランド別に新車登録台数を見ると、トヨタ自動車が前年比4.0%増の3万5,850台で、全体の12.2%を占めて首位を維持した。幅広い車種構成を背景に、2025年も安定した登録実績を確保した。

2位は韓国の現代自動車で、9.8%増の3万1,173台(シェア10.6%)だった。前年は大幅な落ち込みを記録したが、2025年は回復に転じ、登録台数を伸ばしたことで順位を維持した。3位には中国の奇瑞汽車(CHERY)が浮上した。登録台数は前年の2.1倍に当たる2万7,353台(同9.3%)と急拡大し、前年から順位を4つ上げた。韓国の起亜自動車は5.5%減の2万4,304台(同8.3%)で4位、チェコ国内で最大の乗用車メーカー、シュコダ・オート〔フォルクスワーゲン(VW)グループ〕は7.9%増の2万783台(同7.1%)で5位となり、いずれも前年から順位を1つ下げた。

メーカーを国別に集計すると、2025年は中国が首位となった。登録台数は前年比73.5%増の8万7,060台(シェア29.7%)となった。CHERYの急伸に加え、同社が主に海外展開するオモダ・ジャクー(Omoda・Jaecoo)の両ブランドが単年で販売規模を急拡大させたことで中国全体を押し上げた。

2位は日本で、登録台数は前年比13.0%減の7万229台(同23.9%)となり、首位から後退した。トヨタ自動車は安定した実績を維持し、日産自動車は増加に転じた。マツダ、三菱自動車、スズキなど複数メーカーで登録台数が減少した。

3位は韓国で、登録台数は前年比4.1%増の5万7,991台(同19.8%)となった。現代自動車の回復が寄与した一方、起亜自動車の減少が全体の伸びを抑制した。

なお、車種別に見ると、首位は中国のCHERYが手がけるジャクー7(Jaecoo7)で1万5,213台だった。

EVの新車登録台数が全体の6割近く

2025年のハイブリッド車(HEV)を含む電気自動車(EV)の登録台数は、前年比27.5%増の16万8,755台となった。全新車登録台数に占めるEVの比率は57.5%に達し、EVがイスラエル市場の中心的な潮流となっていることが示されている。

国別に見ると、中国メーカー・ブランドが前年比93.0%増の7万8,583台(EV全体のシェア46.6%)となり、前年の同シェア30.8%から大きく拡大した。内訳を見ると、バッテリー式電気自動車(BEV)が4万4,318台、プラグインハイブリッド電気自動車 (PHEV、注)が3万2,146台と、いずれも大幅な増加となった。2位は日本で前年比11.7%減の3万8,276台(同22.7%)と大きく後退した。登録の大半はHEV(3万7,740台)だった。3位は韓国で前年比24.7%増の3万297台(同18.0%)となった。

メーカー・ブランド別に見ると、トヨタ自動車が前年比6.2%減の2万8,080台(同16.6%)と減少したものの首位を維持した。2位は現代自動車で、前年比38.5%増の2万2,728台(同13.5%)で続いた。3位にはCHERYが浮上し、登録台数は2万1,706台と、前年の4,829台から4.5倍に急増した。BEVに加えてPHEVの投入が進み、EV市場で一気に存在感を高めた。

EVの種類別に見ると、HEVの登録台数は前年比30.0%増の7万6,878台で、全登録台数の26.2%を占めた。PHEVは前年比5.6倍の3万3,711台(全登録台数の11.5%)と大幅に拡大した。一方、BEVは前年比13.4%減の5万8,166台(同19.8%)だった。

EVの種類別・メーカー・ブランド別に上位を見ると、HEVではトヨタ自動車が2万8,080台と首位で、現代自動車が2万1,592台で続いた。BEVでは中国の比亜迪(BYD)が8,134台、CHERYが6,221台。PHEVでは、CHERYが1万3,366台、同社が展開するオモダ・ジャクーは1万3,308台だった。

生産国1位は中国

イスラエルに自動車の生産工場はなく、国内で販売している自動車は全て輸入車になる。

そこで、グローバル・トレード・アトラス(貿易統計データベース)で乗用車(HSコード:8703)の輸入額を見ると、2025年も中国が首位となった。中国からの輸入額は前年比2.8%増の20億600万ドルに増加した。前述のとおり、BEVやPHEVの輸入拡大が主因とみられる。これに韓国(前年比0.3%減)、日本(同46.3%減)が続いた(表1参照)。

表1:イスラエルの乗用車(HSコード:8703)の国別輸入額推移(2023~2025年)(単位: 100万ドル、%、ポイント)(△はマイナス値)
順位 2023年 2024年 2025年
金額 金額 金額 前年比 寄与度
1 中国 1,468 1,950 2,006 2.8 0.8
2 韓国 1,164 943 940 △ 0.3 △ 0.0
3 日本 735 922 495 △ 46.3 △ 6.4
4 チェコ 542 515 476 △ 7.7 △ 0.6
5 ドイツ 617 504 362 △ 28.2 △ 2.1
6 ベルギー 201 99 225 128.3 1.9
7 米国 276 259 222 △ 14.1 △ 0.5
8 フランス 97 170 147 △ 13.4 △ 0.3
9 英国 79 167 136 △ 18.4 △ 0.5
10 スペイン 236 325 111 △ 65.8 △ 3.2
世界計 6,485 6,689 5,486 △ 18.0 △ 18.0

出所:グローバル・トレード・アトラスからジェトロ作成

I-viaの公開データから生産国別の新車登録台数を見ると、中国が1位で、韓国、日本が続いた(表2参照)。

表2:主要生産国別の新車登録台数(2023~2025年)(単位:台、%)(△はマイナス値)
順位 台数 前年比 シェア
2023年 2024年 2025年 2025年 2025年
1 中国 47,058 64,035 105,324 64.5 34.4
2 韓国 53,186 46,141 51,694 12 16.9
3 日本 35,881 44,806 42,285 △ 5.6 13.8
4 チェコ 24,006 25,825 26,703 3.4 8.7
5 フランス 15,410 12,282 15,359 25.1 5
6 スペイン 16,073 16,935 15,095 △ 10.9 4.9
7 ドイツ 13,963 12,630 9,880 △ 21.8 3.2
8 英国 2,389 3,703 7,412 100.2 2.4
9 タイ 13,043 11,105 6,659 △ 40.0 2.2
10 スロバキア 7,583 6,402 4,973 △ 22.3 1.6
11 米国 5,466 4,606 3,792 △ 17.7 1.2
12 ハンガリー 7,116 6,926 3,204 △ 53.7 1
13 ポルトガル 1,475 2,078 2,623 26.2 0.9
14 ルーマニア 1,679 1,833 1,914 4.4 0.6
15 トルコ 24,428 13,630 1,404 △ 89.7 0.5
16 ポーランド 562 978 1,372 40.3 0.4
17 メキシコ 2,332 2,062 1,018 △ 50.6 0.3
18 モロッコ 316 755 138.9 0.2
19 スウェーデン 617 544 719 32.2 0.2
20 ベルギー 1,112 648 461 △ 28.9 0.2
世界計 278,592 279,668 306,265 9.5 100

出所:イスラエル自動車輸入業者協会(I-via)からジェトロ作成

最後にメーカー・ブランド別に生産国を確認してみる。中国は、ほぼ全て中国製だった。韓国は、韓国製が84.0%を占め、スロバキア製(6.1%)、チェコ製(4.9%)と続いた。また日本は、日本製が56.2%で、フランス製(16.7%)、タイ製(8.8%)、英国製(7.6%)だった。


注:
PHEVには、内燃機関部分がガソリン仕様のものとディーゼル仕様のものがある。本稿でのPHEVは、その両者を区別していない。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・テルアビブ事務所長
中溝 丘(なかみぞ たかし)
1997年、ジェトロ入構。海外調査部、国際交流部、経済産業省通商政策局(出向)、ジェトロ・ヒューストン事務所、産業技術部、企画部、経済産業省貿易経済協力局(出向)、ジェトロ・ヒューストン事務所長、サービス産業部、調査部米州課長などを経て、2023年5月から現職。