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新たな優遇税制でさらなる成長が望まれるGIFTシティー(インド)
2021年度予算案で国際金融サービスセンター(IFSC)へのインセンティブ発表

2021年4月1日

インド西部グジャラート州のグジャラート国際金融テックシティー(Gujarat International Finance Tec-City)、通称:GIFTシティーは、2007年に当時のナレンドラ・モディ州首相(現・インド首相)の発案により、インド初のスマートシティープロジェクトとして構想が示された。2021年度(2021年4月~2022年3月)国家予算で国際金融サービスセンター(International Finance Service Center :IFSC)に関連する新たな優遇税制などが発表され、これにより、GIFTシティーが金融機関やIT関係企業のさらなる集積を呼び込み、将来的には世界的な金融ハブに成長することが期待される。

2021年度国家予算案で新たな税制インセンティブを導入

GIFTシティーは「2005年経済特区法」に基づく国内初のIFSCとして、2015年4月に州都ガンディーナガルで営業を開始し、総面積900エーカー(約364万平方メートル)の敷地内に、金融オフショア取引の経済特区(SEZ)や居住エリア、商業エリアを併設した高品質な多目的地区として開発が進められてきた(2019年5月19日付地域・分析レポート参照)。

インド中央政府は、2021年2月1日に発表した2021年度国家予算案(2021年2月12日付ビジネス短信参照)で、新たに「IFSCに拠点を設ける場合の優遇税制」と「IFSCにおける航空機リース事業への優遇措置」を以下のとおり盛り込んだ。国内唯一のIFSCのGIFTシティーが国際的なビジネス拠点として発展・拡大するために、より一層の後押しをする方針だ。

1.IFSCに拠点を設ける場合の優遇税制

  1. IFSCに拠点を置く外国銀行の投資部門が所定条件を満たす場合、特定証券の譲渡益課税を免除。
  2. 2023年3月31日より以前に、オフショアファンドをインドのIFSCに移管する場合、移管による譲渡益課税を免除。
  3. IFSCのオフショア銀行とのノン・デリバラブル・フォワード契約から非居住者が譲渡所得を得た場合、当該所得への課税を免除。

2.IFSCにおける航空機リース事業への優遇措置

  1. 航空機リース事業に関するIFSC企業からの非居住者に対するロイヤルティー支払いにかかる所得税の免除。
  2. IFSCに所在する会社が航空機とエンジンの譲渡益を得た場合、100%の所得控除。

今回の政策に関して、ハルディープ・シン・プリ航空相は2月26日に開催された「インド航空リース・サミット」で、世界でリース機のシェアが飛躍的に伸びていることに言及し、「インドは今後20年間で、50億ドル超の約2,000機の航空機が必要で、毎年100機の納入が見込まれる」というエアバス社とボーイング社の予測を紹介。プリ大臣は、インドを製造やメンテナンスも含めた航空機リース事業やファイナンスのハブとして発展させるため、政府はさまざまなイニシアチブを取っているとし、「航空産業が必要とする柔軟な規制の運用ができるGIFTシティーIFSCを通して、航空産業のエコシステム構築を構想している」とした(「タイムズ・オブ・インディア」紙、2月26日付)。

2021年度国家予算案を受け、グジャラート州政府も3月3日に発表した同年度の州政府予算の中で、航空機リース会社に対する印紙税免除を発表した。政府の措置と合わせて、GIFTシティーでの航空機リース事業にさらなる刺激を与えることが期待されている。これまでインドの航空リース事業は、税金の高さがネックとなって不振が続いていたが、最近、アイルランドを拠点とするリース会社Acumen Aviation社、インドステート銀行、Investec社、V-Man Aero社、JetSetGo Aviation Services社、HALアライアンス社、スパイス・ジェット社などをはじめとする企業がGIFTシティーIFSCの航空機リース事業への参入に関心を示していたと報じられている(「タイムズ・オブ・インディア」紙、3月4日付)。

政府のコミットメント歓迎、フィンテック進展などの追い風に

GIFTシティー社長兼グループ最高責任者であるタパン・レイ氏はプレスリリースの中で、「今回の一連の税制上の優遇措置で、GIFTシティーをグローバルな金融ハブとして発展させるという政府のコミットメントを再確認した。ファンドビジネスや航空機リース事業、金融ビジネス、オフショア投資バンキング企業がGIFTシティーIFSCに拠点を置く後押しになる」と今回の発表を歓迎した。また「GIFTシティーでの世界的なフィンテックハブの発展は、フィンテック分野のスタートアップ企業の成長を促進し、GIFT Cityは、これらの企業がグローバルに発展するためのプラットフォームを提供する。フィンテックに関する研究やイノベーション、新時代のスキル開発を促進し、新たな雇用機会の創出とGIFTシティーへの質の高い人材の誘致にも役立つだろう」としている。

GIFT IFSCのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます によると、GIFT IFSCは、2016年度の国家予算により、GIFT SEZのIFSCに対する優遇税制が適用されたことに加え、財務省がイニシアチブを取り、インドの金融関係の規制当局であるインド証券取引委員会(SEBI)、インド準備銀行(RBI)、保険規制開発庁(IRDAI)がそれぞれ資本市場仲介業者や銀行、保険会社・保険ブローカーのためのガイドラインを発行した。これにより、国内外の金融機関はGIFT IFSC内で、さまざまな事業分野のIFSCユニットを設置することができる制度が整備された。

このように、GIFT IFSCのために新しく認可された諸制度は、外国からの投資、特に、金融機関や仲介業者を誘致するための諸条件を整えており、スタートして3年という短期間で125社以上の金融関係機関がRBI、SEBI、IRDAIの認可を受けたとされている。

その後、2019年12月にインド国会は、IFSCでの金融サービス活動全般を一元的に統括する「国際金融サービスセンター局」(International Finance Service Centre Agency:IFSCA)を設立する法案を可決、2020年4月27日にその本部がグジャラート州ガンディーナガル市に設立されている。

なお、GIFTシティーは、グジャラート州都市開発会社(GUDC)と、インフラ建設や資金調達サービスを提供するIL&FSとの合弁事業として設立された。しかし、IL&FSの財務・信用状態の悪化を受け、2020年5月にGUDCがIL&FSから3億2700万ルピー(約4億9,050万円、1ルピー=約1.5円)で持ち株を買収、現在はグジャラート州政府の直轄事業となっている。

新型コロナ禍において拡張の動きも

新型コロナウイルス禍の中の2020年12月には、バンク・オブ・アメリカが既にリース済みの10万平方フィート(約9,290平方メートル)に加え、30万平方フィートを追加するリース契約を結んでいる(「エコノミック・タイムズ」紙2020年12月20日付)。また、HSBCはGIFTシティーに国際ビジネスユニットを設立した(「ビジネス・スタンダード」紙2021年1月26日付)。都市計画で重要な役割を果たす公共交通機関は、新型コロナ禍の影響を受けて計画が遅延したが、州の最大都市アーメダバードとGIFTシティーが立地するガンディーナガルの2都市を結ぶメトロ事業の建設工事が進められている。第1フェーズの一部が既に開通し、第2フェーズの工事が急がれている。

2021年度予算案でのインセンティブ付与からも、国を挙げた今後の成長への高い期待がわかるGIFTシティー。恩典を活用した日本を含む多くの投資家によるGIFTシティーでの事業参画が望まれる。

執筆者紹介
ジェトロ・アーメダバード事務所長
古川 毅彦(ふるかわ たけひこ)
1991年、ジェトロ入構。本部、ジェトロ北九州、大阪本部、ニューデリー事務所、ジャカルタ事務所、ムンバイ事務所長などを経て、2020年12月からジェトロ・アーメダバード事務所長。

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